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ネギたま牛丼(並)+食べるラー油+生にんにく【3】
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「なるほど。君独自のカスタマイズということか」
「はい」
どぎつい赤と柔い黄土色のペーストを乗せた商品は、今のところどのチェーン店でも売られていないだろう。
激辛フェアがくる予告もない。
「アレが良かったのだが、正規メニューではないのか」
「食べるラー油とニンニクがあればいつでもできますよ」
ネギたま牛丼が突如全牛丼屋から消える未来は考えにくい。
「そうか。ところで、君は会社の冷蔵庫にそれを保存しているんだったね?」
「……はい」
「まだ、使い切ってはいないかな」
まさか。
「大変申し訳ないが、取りに行ってもらうことは可能かな?」
巡にはできない理由を言えと言われることのほうが不可能だった。
◩
「冗談じゃねぇよ」
すれ違う社員から怪訝な表情を向けられながら、肩を怒らせた巡は鞄片手に休憩室を目指す。
忘れ物が調味料だなんて、あまり他人に見られたくない。
動くもののいなくなった休憩室は真っ暗だったが、侵入してきた巡の動きをセンサーが捉え、一斉に天井の明かりが点った。
その眩しさに目を細めながらも巡は大股で冷蔵庫に近づき、力任せに扉を開いた。
中のブツを回収し、ボスのもとに戻る。
そう言えばスパイ映画の主人公のようだが、今の巡は竜人のお駄賃で動く使いっ走りでしかない。
何がメシ友だ。召使いの間違いだろ。
自分で了承したことも忘れ、巡は不機嫌な顔でよく冷えた瓶とチューブ容器を鞄の中に突っ込んだ。
すると、まるで頃合いを見計らっていたかのように、社用携帯が振動を始める。
打刻を切ったあとに連絡が来ることは稀で、大抵が翌日のアポの変更についての通達だ。
巡は素早い手つきで画面のロックを解く。
するとそこには見慣れない番号からのSMSメッセージが届けられていた。
[地下を何度も往復してもらうのも迷惑だろう。忙しくさせてすまないが本体も取りに行ってきてほしい]
どうやって番号を知った等は言わない。これは社用だ。
ネギたま牛丼なんて文字すら残したくないらしいクルは、それとわかるような指示を出してきた。
要は近くの店で牛丼買って帰ってこいということなのだ。
俺は昼に食ってんだよ!
巡はそう返信したかったが、承知いたしました。しばらくお時間をいただきますがよろしいでしょうか、と返事を返す。
すると、驚くべき速さで”急がなくてもいい。中で待っている”と返信が来た。
どんだけ牛丼食いたいんだよあの竜。
携帯を鞄の中に放り込んだ巡はまた足早に廊下を引き返すことになった。
◩
牛丼の袋をひっさげた巡が地下駐車場に戻ると、クルは滑稽なほど他の役員の姿がないことを確認してから巡を車内へ迎え入れた。
「おかえり。あちこち移動させてすまなかったね」
「いえ、一辺に済んでかえってありがたいです」
ほんとだよ、頼むから手当は弾んでくれよ。
巡は作り笑顔でどんぶりの入ったビニール袋を手渡すと、ではこれで、と腰を浮かせる。
「待ってくれ、鞄の中に」
しまった。ラー油とニンニクのこと忘れてた。置いて帰るか。
「あっ、すみません。じゃあこれ」
鞄の中を弄り、その二つを掴んだ巡がお渡しします、という前にクルが口を開く。
「そうだ、ちょうどいい配分というものが分からなくてね。やって見せてくれないか」
クルはいそいそと運転席の後ろに取り付けてあった車内テーブルを開いて袋をその上に乗せている。
「お、お好きなだけかければよろしいかと」
「そうは言っても、やはり玄人の知恵を借りたいのだ」
俺は牛丼カスタマイズのプロじゃねぇ。
巡には品のいい木目調の車内テーブルと舌を出した牛のマスコットキャラのビニール袋が不釣り合いに見えた。
巡はプラスチックのスプーンで雑にラー油ペーストを掬い、同じくニンニクチューブも握りつぶした。
昼より量が多くなってしまったのは気のせいだ。
これに大さじいっぱいだの何だのはない。適量だ、適量。
短く簡単な作業だが、クルに手元を見つめられるのは妙にそわそわする。
「……できました」
「ありがとう!」
大の竜人が屈託のない笑顔を見せたことに、巡の毒気がわずかに抜かれる。
すっかり赤くなったスプーンを手渡されたクルはいったん牛丼へ向き合ったあと、なぜか巡のほうへ顔を向けてきた。
「最初は混ぜずにおいたほうがいいのだろうか」
知らね。好きにしろ。
「個人の好みですよ。作法はありませんから」
「君はいつもどうしている?」
適当だよ。覚えてない。
「そうですね、黄身を崩して、軽く混ぜてます」
「なるほど。私もそうさせてもらおう。では」
スプーンがさらにひらたくなるような、鱗のついた大きな手が祈るように合わせられる。
そのあと、ネギとラー油とニンニクに囲まれて絶体絶命だった丸い月は崩壊し、とろとろと具材の上を流れていった。
一口がデカいな。まあ人間と作りが違うか。
クルはその長く大きな口を開き、肉なのか飯なのか調味料なのかわからない塊を、鋸のように尖った牙が連なる口内へと入れた。
目を閉じ、ゆっくりと顎を動かす。かたい鱗に覆われた顔から感情を読み取るのは難しかった。
やっぱ不味いのかな。これに懲りたらいいけどな。いや、俺が損するか?
すっかり車内から退出する機会を逸してしまった巡は、クルの様子を見守る事の他にやることがない。
ややしばらくして、クルはぽつりと言葉を漏らした。
「……これは、劇薬だな」
「あー、そうですよね、常務のお口には」
「クルでいい。いや、不味いわけではない。ある意味期待していたものだ。だが、予想以上に、こう、口の中から刺激に侵されていくというのか……ある種の背徳感を覚える。そのような味だ」
「はあ」
ダイエットは明日から、と思いながら食ってるヤツくらいしか共感できないんじゃないのか、ソレ。
「全てのものが濃い。加減を知らない。己の求めるものだけを詰め合わせている。うまみ調味料の存在を近くに感じる。君はこれを毎日」
「たまにです、たまに」
「そうだろうな。これはあまりに危険だ。癖になる」
ニンニク背油マシマシラーメンを毎日食ってる社員が居ると知ったらどんな顔をするだろう。
巡は飲み会で聞いてもいないのにラーメンブロガーであると明かしてきた同僚の顔を思い出していた。
その間にもクルは素早くスプーンを動かし、あっという間に丼の中身を平らげてしまった。
かすかに残ったのは、ニンニクの刺激臭だけだ。
「ふう。やはり掟に定められるだけのことはある。ヒトは罪深い……む。そういえば、君の分がないじゃないか」
クルはビニール袋の口を結びながら、不思議そうにしている。
カッカしていた巡の頭からは、自分の分を注文することが抜け落ちていた。
「あー……お気遣いなく。昼にも食べましたし、夜は違うものにしようかな、と」
へらへらと笑い、それらしい理由を並べる巡にクルは肩を落として心底申し訳なさそうな様子を見せる。
「君には本当に悪いことをした。私は己の都合ばかり考えていたようだ」
「めっ滅相もない、全然、常、クル、さんは全然アレですその悪くないです」
まさか結構な深刻さをもって謝られるとは思っておらず、かえって巡のほうがあたふたする始末だ。
「今度はゆっくり揃って食事できる環境を整えよう。そうだ、プライベートの連絡先を教えてくれないか」
クルはいつの間にか小型デバイスを手にしていた。
「えっ、あ、はい」
巡は鞄の底から私用携帯を取り出し、通話アプリの連絡先交換モードを立ち上げる。
無事互いに連絡先の交換を終えると、クルは落ち着いた声色で巡に話しかけてきた。
「君の都合に合わせて、私も依頼を出すとしよう。安心しなさい、この掟破り以外のことに君の連絡先を使用したりはしない。約束しよう」
「あ、はい、それはもう」
「これで君も私も竜人族内では大罪人、共犯だ」
俺も? 嘘だろ……?
「君もおすすめの罪深きジャンクフードがあったら教えてほしい。いつでも連絡を待っているよ」
◩
巡がネギたま牛丼の運び屋になってから数日後、私用携帯のネットバンキングアプリが口座へ入金があったと連絡をよこしてきた。
帰りがけの電車内、つり革に掴まっている巡はそこそこ大きな額に顔をほころばせないように口元を引き締める。
ネギたま牛丼換算なら二十杯弱の額だ。拘束時間と労働内容を考えれば美味しすぎる案件だった。
でもなあ。コソコソあっち行ってこっち行って、しかもでっかい男竜人の相手だしなあ。しかも上司の上司の上司の、どこまで上だっけ?
気疲れを覚えた巡が携帯に目を落とすと、すぐに別のメッセージが画面に表示される。
げっ。
そう声が漏れそうになるのを巡は何とか耐える。
件のお上からだ。
[私は恐ろしいものを知ってしまった。これを見てほしい]
その下には添付URL。巡の指がそれに触れる。
飛んだ先は、どうやら個人経営ハンバーガー店のホームページだ。
何が恐ろしいのか。
画像を訝しげに見つめる巡へ、クルが追撃をかける。
[一番人気は、ドーナツバーガーらしい。私は今言葉が出ない]
[パンズをドーナツにする。未知なる世界が待っているとは思わないか?]
[それとも君レベルであれば、体験済みであるのかな]
ジャンクフード中毒になりかけている竜人様の中で、俺はどんな存在になっているんだろう。
まだ食べたことはないと返事をすると、また驚くべき速さで返信が来た。
[それはよかった。では、二人で罪深きバーガーを体験しに行こう。空いている日を教えてくれるかな]
こうして巡の休日は竜人とのランチデートで潰されることになってしまった。
つづく
「はい」
どぎつい赤と柔い黄土色のペーストを乗せた商品は、今のところどのチェーン店でも売られていないだろう。
激辛フェアがくる予告もない。
「アレが良かったのだが、正規メニューではないのか」
「食べるラー油とニンニクがあればいつでもできますよ」
ネギたま牛丼が突如全牛丼屋から消える未来は考えにくい。
「そうか。ところで、君は会社の冷蔵庫にそれを保存しているんだったね?」
「……はい」
「まだ、使い切ってはいないかな」
まさか。
「大変申し訳ないが、取りに行ってもらうことは可能かな?」
巡にはできない理由を言えと言われることのほうが不可能だった。
◩
「冗談じゃねぇよ」
すれ違う社員から怪訝な表情を向けられながら、肩を怒らせた巡は鞄片手に休憩室を目指す。
忘れ物が調味料だなんて、あまり他人に見られたくない。
動くもののいなくなった休憩室は真っ暗だったが、侵入してきた巡の動きをセンサーが捉え、一斉に天井の明かりが点った。
その眩しさに目を細めながらも巡は大股で冷蔵庫に近づき、力任せに扉を開いた。
中のブツを回収し、ボスのもとに戻る。
そう言えばスパイ映画の主人公のようだが、今の巡は竜人のお駄賃で動く使いっ走りでしかない。
何がメシ友だ。召使いの間違いだろ。
自分で了承したことも忘れ、巡は不機嫌な顔でよく冷えた瓶とチューブ容器を鞄の中に突っ込んだ。
すると、まるで頃合いを見計らっていたかのように、社用携帯が振動を始める。
打刻を切ったあとに連絡が来ることは稀で、大抵が翌日のアポの変更についての通達だ。
巡は素早い手つきで画面のロックを解く。
するとそこには見慣れない番号からのSMSメッセージが届けられていた。
[地下を何度も往復してもらうのも迷惑だろう。忙しくさせてすまないが本体も取りに行ってきてほしい]
どうやって番号を知った等は言わない。これは社用だ。
ネギたま牛丼なんて文字すら残したくないらしいクルは、それとわかるような指示を出してきた。
要は近くの店で牛丼買って帰ってこいということなのだ。
俺は昼に食ってんだよ!
巡はそう返信したかったが、承知いたしました。しばらくお時間をいただきますがよろしいでしょうか、と返事を返す。
すると、驚くべき速さで”急がなくてもいい。中で待っている”と返信が来た。
どんだけ牛丼食いたいんだよあの竜。
携帯を鞄の中に放り込んだ巡はまた足早に廊下を引き返すことになった。
◩
牛丼の袋をひっさげた巡が地下駐車場に戻ると、クルは滑稽なほど他の役員の姿がないことを確認してから巡を車内へ迎え入れた。
「おかえり。あちこち移動させてすまなかったね」
「いえ、一辺に済んでかえってありがたいです」
ほんとだよ、頼むから手当は弾んでくれよ。
巡は作り笑顔でどんぶりの入ったビニール袋を手渡すと、ではこれで、と腰を浮かせる。
「待ってくれ、鞄の中に」
しまった。ラー油とニンニクのこと忘れてた。置いて帰るか。
「あっ、すみません。じゃあこれ」
鞄の中を弄り、その二つを掴んだ巡がお渡しします、という前にクルが口を開く。
「そうだ、ちょうどいい配分というものが分からなくてね。やって見せてくれないか」
クルはいそいそと運転席の後ろに取り付けてあった車内テーブルを開いて袋をその上に乗せている。
「お、お好きなだけかければよろしいかと」
「そうは言っても、やはり玄人の知恵を借りたいのだ」
俺は牛丼カスタマイズのプロじゃねぇ。
巡には品のいい木目調の車内テーブルと舌を出した牛のマスコットキャラのビニール袋が不釣り合いに見えた。
巡はプラスチックのスプーンで雑にラー油ペーストを掬い、同じくニンニクチューブも握りつぶした。
昼より量が多くなってしまったのは気のせいだ。
これに大さじいっぱいだの何だのはない。適量だ、適量。
短く簡単な作業だが、クルに手元を見つめられるのは妙にそわそわする。
「……できました」
「ありがとう!」
大の竜人が屈託のない笑顔を見せたことに、巡の毒気がわずかに抜かれる。
すっかり赤くなったスプーンを手渡されたクルはいったん牛丼へ向き合ったあと、なぜか巡のほうへ顔を向けてきた。
「最初は混ぜずにおいたほうがいいのだろうか」
知らね。好きにしろ。
「個人の好みですよ。作法はありませんから」
「君はいつもどうしている?」
適当だよ。覚えてない。
「そうですね、黄身を崩して、軽く混ぜてます」
「なるほど。私もそうさせてもらおう。では」
スプーンがさらにひらたくなるような、鱗のついた大きな手が祈るように合わせられる。
そのあと、ネギとラー油とニンニクに囲まれて絶体絶命だった丸い月は崩壊し、とろとろと具材の上を流れていった。
一口がデカいな。まあ人間と作りが違うか。
クルはその長く大きな口を開き、肉なのか飯なのか調味料なのかわからない塊を、鋸のように尖った牙が連なる口内へと入れた。
目を閉じ、ゆっくりと顎を動かす。かたい鱗に覆われた顔から感情を読み取るのは難しかった。
やっぱ不味いのかな。これに懲りたらいいけどな。いや、俺が損するか?
すっかり車内から退出する機会を逸してしまった巡は、クルの様子を見守る事の他にやることがない。
ややしばらくして、クルはぽつりと言葉を漏らした。
「……これは、劇薬だな」
「あー、そうですよね、常務のお口には」
「クルでいい。いや、不味いわけではない。ある意味期待していたものだ。だが、予想以上に、こう、口の中から刺激に侵されていくというのか……ある種の背徳感を覚える。そのような味だ」
「はあ」
ダイエットは明日から、と思いながら食ってるヤツくらいしか共感できないんじゃないのか、ソレ。
「全てのものが濃い。加減を知らない。己の求めるものだけを詰め合わせている。うまみ調味料の存在を近くに感じる。君はこれを毎日」
「たまにです、たまに」
「そうだろうな。これはあまりに危険だ。癖になる」
ニンニク背油マシマシラーメンを毎日食ってる社員が居ると知ったらどんな顔をするだろう。
巡は飲み会で聞いてもいないのにラーメンブロガーであると明かしてきた同僚の顔を思い出していた。
その間にもクルは素早くスプーンを動かし、あっという間に丼の中身を平らげてしまった。
かすかに残ったのは、ニンニクの刺激臭だけだ。
「ふう。やはり掟に定められるだけのことはある。ヒトは罪深い……む。そういえば、君の分がないじゃないか」
クルはビニール袋の口を結びながら、不思議そうにしている。
カッカしていた巡の頭からは、自分の分を注文することが抜け落ちていた。
「あー……お気遣いなく。昼にも食べましたし、夜は違うものにしようかな、と」
へらへらと笑い、それらしい理由を並べる巡にクルは肩を落として心底申し訳なさそうな様子を見せる。
「君には本当に悪いことをした。私は己の都合ばかり考えていたようだ」
「めっ滅相もない、全然、常、クル、さんは全然アレですその悪くないです」
まさか結構な深刻さをもって謝られるとは思っておらず、かえって巡のほうがあたふたする始末だ。
「今度はゆっくり揃って食事できる環境を整えよう。そうだ、プライベートの連絡先を教えてくれないか」
クルはいつの間にか小型デバイスを手にしていた。
「えっ、あ、はい」
巡は鞄の底から私用携帯を取り出し、通話アプリの連絡先交換モードを立ち上げる。
無事互いに連絡先の交換を終えると、クルは落ち着いた声色で巡に話しかけてきた。
「君の都合に合わせて、私も依頼を出すとしよう。安心しなさい、この掟破り以外のことに君の連絡先を使用したりはしない。約束しよう」
「あ、はい、それはもう」
「これで君も私も竜人族内では大罪人、共犯だ」
俺も? 嘘だろ……?
「君もおすすめの罪深きジャンクフードがあったら教えてほしい。いつでも連絡を待っているよ」
◩
巡がネギたま牛丼の運び屋になってから数日後、私用携帯のネットバンキングアプリが口座へ入金があったと連絡をよこしてきた。
帰りがけの電車内、つり革に掴まっている巡はそこそこ大きな額に顔をほころばせないように口元を引き締める。
ネギたま牛丼換算なら二十杯弱の額だ。拘束時間と労働内容を考えれば美味しすぎる案件だった。
でもなあ。コソコソあっち行ってこっち行って、しかもでっかい男竜人の相手だしなあ。しかも上司の上司の上司の、どこまで上だっけ?
気疲れを覚えた巡が携帯に目を落とすと、すぐに別のメッセージが画面に表示される。
げっ。
そう声が漏れそうになるのを巡は何とか耐える。
件のお上からだ。
[私は恐ろしいものを知ってしまった。これを見てほしい]
その下には添付URL。巡の指がそれに触れる。
飛んだ先は、どうやら個人経営ハンバーガー店のホームページだ。
何が恐ろしいのか。
画像を訝しげに見つめる巡へ、クルが追撃をかける。
[一番人気は、ドーナツバーガーらしい。私は今言葉が出ない]
[パンズをドーナツにする。未知なる世界が待っているとは思わないか?]
[それとも君レベルであれば、体験済みであるのかな]
ジャンクフード中毒になりかけている竜人様の中で、俺はどんな存在になっているんだろう。
まだ食べたことはないと返事をすると、また驚くべき速さで返信が来た。
[それはよかった。では、二人で罪深きバーガーを体験しに行こう。空いている日を教えてくれるかな]
こうして巡の休日は竜人とのランチデートで潰されることになってしまった。
つづく
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