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課題とお野菜ズ
ベジロード店①
しおりを挟む友人たちのやり取りに、少し落ち込み気味だった気分が彼女たちのおかげでずいぶん良くなった。
「ポーズにリクエストとかあれば、伝えるだけは伝えてみるわよ」
「リクエスト?」
「うん。淡々と同じものを作る子もいれば、新しいポーズを模索する子もいるから、もしかしたらノリノリで作ってくれるかも」
もともとフィギュアは、器用なものが多く暇を持て余したお野菜たちが土粘土で遊んで作っていたことと、前世のガチャブームと私のお野菜愛から同志がいたらもしかしたら受けるかもと思ってリヤーフに提案したものだ。
フィギュアはお野菜たちが遊びの延長で作るのでどれひとつとして同じ形のものはなく、たまに面白いポーズのものもあったりと見ているだけで楽しい。
加工は火や風を使えば短時間でできるし、魔力は一定量いるがそこまで高度な魔法ではない。
王都には魔法使いが多い分様々な事情でくすぶって仕事にあぶれている者も多く、補助食品のこともあったので従業員を増やすべく真面目な者を雇い生産体制もばっちりだ。
そして、付加価値としてカブちゃんズとの握手。なので、レア感もありガチャとしての収益も跳ねに跳ねた。
もともとお試しとして期間限定で出したのだが、続くかはわからないことがさらに売り上げを伸ばしている要素と思われる。
私的にはお野菜たちに無理はしてほしくないので、物がなくなれば終ればいいくらいの感覚だ。
今のところポーズをとったり形を作ることが楽しいお野菜たちが一定数おり、安定して作ることができているのでもうしばらくは続きそうだし、これだけ気に入ってくれているのなら何か要望があれば伝えてみるのもいい。
「何その神の御言葉! ですが、まだまだ揃えきれてないから大体見てから言わせてもらうわ。あと、実際にお野菜たちが作っているって知らせたらもっと人が押し寄せるんじゃないかしら?」
「うーん。公に発表してもいいのだけど、これはあくまでカブちゃんズと握手したいといった要望が多くて考えたことだから。こんなに人気になると思わなかったし、それにこれ以上人気になるのはちょっとね。こっちがメインになっても困るし」
よく売れる商品は予約以外の購入の上限を決めさせてもらう代わりに、野菜や栄養補助食品と新しい商品、そして接客カブちゃんズにガチャと全体的に種類を増やしエンターテイメント性を持たせたのだ。
ガチャがメインになってしまってはスタッフの増員もしなければならないし、やはりメインは商品を売ることなのでこれ以上個数を増やすつもりはない。
「加減が難しいのね」
「そもそも、商品に個数制限をかけたのも満遍なく欲しい人に行きわたるようにと思って始めたことだから、これに関してもたくさんの人に楽しんでほしいかな」
こちらも従業員を多く抱えているので利益も重要視してはいるけれど、お野菜たちの美味しさを伝えたいが前提にあるので何事もほどほどがいい。
「一時期、商品の売り切れが続いてましたものね。詳しくは知りませんけれど、そのときにいろいろあったのでしょう?」
「まあ、いろいろ?」
「やっぱり。フロンティアは何も言わなかったから、ある日開いたと思ったらガラッと売り方も変わって新鮮なお野菜も売るようになっていて驚きました。しかも、お野菜たちまで接客しているなんてもう癒やしスポットですわ」
妨害工作を行っていた者の目的は、客足を途絶えさせることや悪い噂を流すことで顧客からの信頼を落とすこと。
最初がただの売り上げ貢献というのも、警戒させないようにと考えてのことだったのだそうだ。
ベジロード店を含めたシュタイン商会の南部での活動において、今までにも商品の輸送ルートを邪魔されたりとさまざまな妨害に遭っていた。
主にベジロード関係の妨害がひどかったようで、簡単な報告は聞いていたが思ったよりも多岐にわたり邪魔されており、そのたびにリヤーフが乗り切り倍返しをしていたようだ。
今まで努力せずとも甘い汁を吸い続けていた南部貴族や関係者からすれば、北部の元貧乏伯爵家で王太子殿下の婚約者となった者が関係する商家が、王都で活躍するのが目障りで仕方がないようだ。
着々と足場を固めて勢力を見せるので、焦ってあらゆる方向から仕掛けてきたらしい。
ありきたりと言えばありきたりな理由であるが、されるほうはたまったものではない。
細部の報告は伯爵である父にはしていたようだが、学生である私には余計な心配はかけないでおこうと話は回ってこなかった。
どうしてわかったかというと、前回にちょろちょろ漏れ出た情報を聞き逃さず突っ込んでいったら仕方なく白状したからだ。
商売のことはリヤーフの管轄であるし、私が知ったところで何ができるかと言われれば何もできない。
商売人には商売人のルールや大人の事情があり、まだ私に隠していることもあるとは思いながらも、そのときはひとまず呑み込んだ。
だけど、数々の妨害の酷さは解決したことであったとしても、いまだに私は腹が立っていた。
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