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第2章
100しみこむ*①
しおりを挟む浴槽の湯が、動くたびに揺れ跳ねる。
カシュエルの上に跨り膝を立て、肩に腕を置きレオラムは身体を震わせた。
自分に突き刺さる熱く硬いものは一度放ったのにその存在感を誇示したまま、レオラムの中を抉っていく。
一度目は散々解され貫かれたあとは、感じさせるよりは叩きつけるような動きであったが、その荒っぽい動作にも感じてレオラムもあっという間に絶頂を極めた。
今は一度目とは違い、ゆっくりとレオラムのいいところを重点的に攻めてくる。
過ぎる快感に、レオラムはなすすべもなくそれを受け止めていた。
「ん、あぁ、ふぁっ……、ぁっ」
「……レオ。もっと」
穿たれ、揺さぶられ、その間もあらゆるところに口づけを受ける。
想いを乗せるように肌に痕を残され、感じるところを攻められるときゅっとカシュエルのものを締め付け、その度にまた激しくなるというのを繰り返していた。
ちゃぷ、ちゃぷと揺れ水音が激しさを物語り、レオラムは甘い声を上げ続けた。
「あっ、あぁっ……」
「ここ好きだよね?」
「……ん、いやっ」
「嫌じゃないでしょ。ほら、ここはとても喜んでる」
気持ちよすぎて苦しくて身体をずらそうとすると、勃ち上がり揺らされるたびに揺れる前の方を掴まれた。
きゅっと根元を絞められながら、先端をくりっと撫でられる。
「……ぁっ、……カシュ…、それは……」
「ね、レオ。気持ちいいの好きだよね」
「……」
「レオ、好き?」
「……はい」
「私とこうするのも、好き?」
それはどう答えていいのだろうか。
嫌ならしていない。ただ、ここで好きと言ってしまうと、カシュエルがというよりはそういう行為だけがとも取られてしまいそうでレオラムは口をつぐむ。
レオラムがカシュエルに絆されていることはわかっているはずなのに、敢えて口にすることを望む王子に不思議に思っていると、ぐりぐりと感じるところを押したと思ったら引き抜いた。
「……んぁっ……、カシュ」
「ね、レオ。私の欲しい?」
直接的な言葉と、欲しいと聞きながら縁を引っ掛けわざと外すように動かされ、レオラムは顔を赤らめる。
先ほど王子の大きなものが挿入っていたばかりのそこは、そのたびに物欲しげにくぱっと開き、中に入っていたカシュエルの出したものと湯が混ざり合い、なんとも言えない感覚にさらにお尻を意識する。
気持ち良いことは好きだし、カシュエルにもたらされる快感に溺れてはいる。だけど、直接それが欲しいとか、さすがに言葉にするのはためらわれた。
だって、王子のである。
高貴な方の高貴なもの。
卑屈になっているわけではなく、男である自分が王子の放たれるものを受け止めてしまっていいのかという気持ちは消えてくれない。
だけど、求められている気持ちも胸が痛くなるほど伝わってきていて、それを嬉しいと感じてしまっているから、特に二人っきりになるとそういった思考もすぐに押し流されてしまう。
行ったり来たりの思考はずっとくすぶり、レオラムの中で消えてくれない。
だったらどうしたらというのもわからなくて、そういったレオラムのはっきりしない態度が王子を不安にさせてしまっているのだろうか。
だから、時おり強く求められることがあるのだろうかとまでは、レオラムもなんとなくだが思うことはある。
「カシュー……」
ずっとこのままでいられれば、そう思う気持ちもある。
だけど、無視できないものはたくさんあるわけで、例えその感情に嘘はなくても、その場限りの言葉をレオラムは口にすることができなかった。
「レオ。私が欲しいって言って」
くにくにと押しては引いて、受け入れたいと疼くそこを刺激してくる。
カシュエルを思う気持ちは特別で、だけど王子のそれに比べると何か違うようで、何が自分に足りないのかわからない。
レオラムはもどかしい気持ちで、カシュエルの神秘的な瞳を見つめた。
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