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1.元聖女は冒険者になりました。
19.
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「人間と小人のハーフ? あらまあ珍しい」
リルさんは少しかがんで私と目線を合わせると、優し気に聞いた。
「お父さんとお母さんどっちが小人なの?」
お父さん、お母さんという言葉に私はじんわりと目頭が熱くなった。
なんだか昨日から感情の揺れ幅が激しい。
今までこんなに誰かと話したりしたことなかったからかなぁ……。
「……わ、わからないんです……。育てられないからって、私のこと、神殿に置いてったみたいで……」
「あらあら、辛いこと聞いてごめんなさいね」
リルさんは私の頭を撫でると、カウンターの中から何か袋に入ったものを取り出して私の手に握らせた。
「これあげるから、そんな悲しそうな顔しないで頂戴。今、冒険者証作ってあげるからね。文字は書ける? これに必要事項書いてね」
渡された紙には、「名前・生年月日(大陸歴)・出身地・種族・職業/技能」と書いてある。
えぇと、名前はレイラ、生年月日は八九八年一月一日(わからないからとりあえず一年の始まりに生まれたことになってる)、出身地はキアーラ王国……、種族は不本意だけど人間と小人ハーフ……、
「職業/技能って何?」
私はライガに聞いた。
「できることだな。使える魔法の種類とか……、パーティー組む時の参考にしたりする感じだから自称でいいんだけど」
「ステファンとライガは何?」
「ステファンは職業は剣士、俺は格闘家だな」
「ライガって格闘家なの……?」
「まあ、剣とかの武器使わないし……」
「技能はステファンは強化の魔法、俺だったら獣語」
「獣語……?」
わくわくする響きだ。
「まぁとにかく、お前だったら職業は神官で、技能は聖魔法でいいんじゃないか」
「じゃあそれにする」
私は用紙に書き込むと、リルさんに渡した。
「ちょっと待っててね」と言われたので、カウンター前のソファに座って、さっき彼女にもらった包みを出した。
「これ、何?」
「飴だろ」
「あめ……? 雨……?」
首を傾げるとライガは驚愕の顔をした。
「飴も食べたことないのか? 本当に可哀そうだな……」
「その可哀そうっていうのやめてってば……」
私が顔をしかめると、ライガは私の手から包みを取って開くと、出てきた乳白色の塊を口に放り込んだ。
「とりあえず、食べてみろ」
「ちょ……、と、えっ、……うわぁぁぁ」
口の中にクリーミーなミルクと、甘さが溶け合った味が広がる。
牛乳は神殿でも朝食で出たけど……、こんな甘いのは初めてだ……。
祈ってもいないのに、疲れに羽が生えて飛んで行ってしまいそうだった。
「美味しいぃぃ」
また涙腺が緩む。
ライガは憐れむような表情で言った。
「お前はこれから先、楽しいことがいっぱいでいいな……」
リルさんは少しかがんで私と目線を合わせると、優し気に聞いた。
「お父さんとお母さんどっちが小人なの?」
お父さん、お母さんという言葉に私はじんわりと目頭が熱くなった。
なんだか昨日から感情の揺れ幅が激しい。
今までこんなに誰かと話したりしたことなかったからかなぁ……。
「……わ、わからないんです……。育てられないからって、私のこと、神殿に置いてったみたいで……」
「あらあら、辛いこと聞いてごめんなさいね」
リルさんは私の頭を撫でると、カウンターの中から何か袋に入ったものを取り出して私の手に握らせた。
「これあげるから、そんな悲しそうな顔しないで頂戴。今、冒険者証作ってあげるからね。文字は書ける? これに必要事項書いてね」
渡された紙には、「名前・生年月日(大陸歴)・出身地・種族・職業/技能」と書いてある。
えぇと、名前はレイラ、生年月日は八九八年一月一日(わからないからとりあえず一年の始まりに生まれたことになってる)、出身地はキアーラ王国……、種族は不本意だけど人間と小人ハーフ……、
「職業/技能って何?」
私はライガに聞いた。
「できることだな。使える魔法の種類とか……、パーティー組む時の参考にしたりする感じだから自称でいいんだけど」
「ステファンとライガは何?」
「ステファンは職業は剣士、俺は格闘家だな」
「ライガって格闘家なの……?」
「まあ、剣とかの武器使わないし……」
「技能はステファンは強化の魔法、俺だったら獣語」
「獣語……?」
わくわくする響きだ。
「まぁとにかく、お前だったら職業は神官で、技能は聖魔法でいいんじゃないか」
「じゃあそれにする」
私は用紙に書き込むと、リルさんに渡した。
「ちょっと待っててね」と言われたので、カウンター前のソファに座って、さっき彼女にもらった包みを出した。
「これ、何?」
「飴だろ」
「あめ……? 雨……?」
首を傾げるとライガは驚愕の顔をした。
「飴も食べたことないのか? 本当に可哀そうだな……」
「その可哀そうっていうのやめてってば……」
私が顔をしかめると、ライガは私の手から包みを取って開くと、出てきた乳白色の塊を口に放り込んだ。
「とりあえず、食べてみろ」
「ちょ……、と、えっ、……うわぁぁぁ」
口の中にクリーミーなミルクと、甘さが溶け合った味が広がる。
牛乳は神殿でも朝食で出たけど……、こんな甘いのは初めてだ……。
祈ってもいないのに、疲れに羽が生えて飛んで行ってしまいそうだった。
「美味しいぃぃ」
また涙腺が緩む。
ライガは憐れむような表情で言った。
「お前はこれから先、楽しいことがいっぱいでいいな……」
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