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13.(ネイサン視点)
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学園でルイーズに婚約破棄を告げてから5日、僕は頭痛に苦しめられていた。心の中がぐちゃぐちゃになるような感覚で起きていると叫びたくなる。こんな状態で学園に行くわけにいかないので、休み続けていた。
頭の中でルイーズとモニカの名前がごちゃごちゃに混ざって蠢いていた。
モニカの体調は大丈夫だろうか……、ルイーズめ、モニカを虐めて……、いやルイーズの体調は大丈夫だろうか……ルイーズ? モニカ?
ルイーズは……モニカを虐めるような人間だっただろうか……。
ベッドの中で丸まりながら、そんな考えが頭に浮かぶ。
いや、モニカ、あの可愛いモニカが虐められたと言っているんだ。モニカが僕に嘘をつくはずがないから……ルイーズはひどい……いや、待て。
今まで忘れていたようなルイーズとの思い出が蘇ってくる。
僕とルイーズの婚約が決まったのは……、僕が学園の最終学年になった今年の初めだ。
大体の貴族は卒業までに婚約者を定めることになっているけど、王族については、通常成績が優秀だったり、秀でたところがある貴族の令嬢を何人か婚約者候補として定めて、そこから相手を選ぶことになっている。
ルイーズの第一印象は何だっけ……、ああ、目立たない子だなと思ったんだった。
他の婚約者候補の令嬢たちは、皆、学園内で目立っていた子だったけれど、ルイーズは……婚約者候補になるまで、僕は彼女の名前をあまり知らなかった。
それもそうだ。ルイーズは社交場に出てきても、いつも親しい令嬢の友人とばかり一緒にいるだけだったから……。
彼女の友人の、侯爵令嬢のローラ……、そう明るい性格の赤毛の彼女のことは知っていた。ルイーズは彼女の友人くらいの印象しかなかったっけ……。
そう、婚約者候補決定の祝いのパーティーで、候補の令嬢たちからの問いかけに疲れた僕は、逃げるように壁際で1人佇んでいたルイーズに声をかけたんだった。
他の子たちは、僕の好きなものは何かとか……、踊ってる最中も色々と声をかけてきたけれど、ルイーズはずっと静かに僕を見ていてくれて……、踊り終わった後に『リードがお上手で、足元を見ずに安心して踊れたのは初めてです』って初めて話して微笑んだのが印象的だったんだ。
もっと一緒にこの子と時間を過ごしたいと思って、何度も一緒に踊るうち、気がついたらあっという間にパーティーが終わる時間になってしまっていた。
僕はがばっと起き上がって、壁を凝視した。
そうだ、それから僕はルイーズを誘うようになって、あまり話さなくても一緒に本を読んだりとか……、そんなことをしているのが居心地が良くなって、彼女を婚約者として選んだんだった。
……何でこんなことを今まで忘れていた?
モニカ、そうモニカと知り合ってから……、ルイーズのことを考えなくなった気がする。
モニカと知り合ったのは三月ほど前だった。
平民クラスの男子生徒との合同の剣術の授業で試合をして……、その試合を見にきていたんだ。『ネイサン様、頑張って!』っていう声がして、そっちを向いてみたら、金髪に青い瞳の、目を離すことができないくらい可愛い女の子がいて……、それがモニカだった。
試合が終わって、真っ先に僕はモニカのところに行って、すぐに食事を一緒にしないかと誘った。それから、いつも昼食はモニカと食べるようになった。
こちらから声をかけなくなったら、ルイーズからは僕に連絡をしてくることはなくなって……、そう考えているうちに、だんだんルイーズが憎らしく感じるようになっていった。
せっかく目立たないお前のようなのを婚約者に選んでやったのにお高くとまって、って……?
僕は自分の頭に浮かんできた言葉に呆然とした。
お高くとまって? ルイーズに対して僕がそう思ったのか?
ルイーズは正反対の……控えめなタイプだ。
それなのに、何でそんな言葉が浮かんだ?
「頭が……痛い……」
僕は頭を押さえてうずくまった。
そう、ルイーズは静かに本を読んでいるようなことが好きな女性で、ドレスを破く様なことはしそうにない。
モニカは、嘘を言っている?
僕は使用人を呼ぶベルを鳴らした。
「ネイサン様! 大丈夫ですか?」
僕をベッドに戻そうとする使用人を制止して言った。
「モニカに話をしに行きたい……着替えを準備してくれるか……」
頭の中でルイーズとモニカの名前がごちゃごちゃに混ざって蠢いていた。
モニカの体調は大丈夫だろうか……、ルイーズめ、モニカを虐めて……、いやルイーズの体調は大丈夫だろうか……ルイーズ? モニカ?
ルイーズは……モニカを虐めるような人間だっただろうか……。
ベッドの中で丸まりながら、そんな考えが頭に浮かぶ。
いや、モニカ、あの可愛いモニカが虐められたと言っているんだ。モニカが僕に嘘をつくはずがないから……ルイーズはひどい……いや、待て。
今まで忘れていたようなルイーズとの思い出が蘇ってくる。
僕とルイーズの婚約が決まったのは……、僕が学園の最終学年になった今年の初めだ。
大体の貴族は卒業までに婚約者を定めることになっているけど、王族については、通常成績が優秀だったり、秀でたところがある貴族の令嬢を何人か婚約者候補として定めて、そこから相手を選ぶことになっている。
ルイーズの第一印象は何だっけ……、ああ、目立たない子だなと思ったんだった。
他の婚約者候補の令嬢たちは、皆、学園内で目立っていた子だったけれど、ルイーズは……婚約者候補になるまで、僕は彼女の名前をあまり知らなかった。
それもそうだ。ルイーズは社交場に出てきても、いつも親しい令嬢の友人とばかり一緒にいるだけだったから……。
彼女の友人の、侯爵令嬢のローラ……、そう明るい性格の赤毛の彼女のことは知っていた。ルイーズは彼女の友人くらいの印象しかなかったっけ……。
そう、婚約者候補決定の祝いのパーティーで、候補の令嬢たちからの問いかけに疲れた僕は、逃げるように壁際で1人佇んでいたルイーズに声をかけたんだった。
他の子たちは、僕の好きなものは何かとか……、踊ってる最中も色々と声をかけてきたけれど、ルイーズはずっと静かに僕を見ていてくれて……、踊り終わった後に『リードがお上手で、足元を見ずに安心して踊れたのは初めてです』って初めて話して微笑んだのが印象的だったんだ。
もっと一緒にこの子と時間を過ごしたいと思って、何度も一緒に踊るうち、気がついたらあっという間にパーティーが終わる時間になってしまっていた。
僕はがばっと起き上がって、壁を凝視した。
そうだ、それから僕はルイーズを誘うようになって、あまり話さなくても一緒に本を読んだりとか……、そんなことをしているのが居心地が良くなって、彼女を婚約者として選んだんだった。
……何でこんなことを今まで忘れていた?
モニカ、そうモニカと知り合ってから……、ルイーズのことを考えなくなった気がする。
モニカと知り合ったのは三月ほど前だった。
平民クラスの男子生徒との合同の剣術の授業で試合をして……、その試合を見にきていたんだ。『ネイサン様、頑張って!』っていう声がして、そっちを向いてみたら、金髪に青い瞳の、目を離すことができないくらい可愛い女の子がいて……、それがモニカだった。
試合が終わって、真っ先に僕はモニカのところに行って、すぐに食事を一緒にしないかと誘った。それから、いつも昼食はモニカと食べるようになった。
こちらから声をかけなくなったら、ルイーズからは僕に連絡をしてくることはなくなって……、そう考えているうちに、だんだんルイーズが憎らしく感じるようになっていった。
せっかく目立たないお前のようなのを婚約者に選んでやったのにお高くとまって、って……?
僕は自分の頭に浮かんできた言葉に呆然とした。
お高くとまって? ルイーズに対して僕がそう思ったのか?
ルイーズは正反対の……控えめなタイプだ。
それなのに、何でそんな言葉が浮かんだ?
「頭が……痛い……」
僕は頭を押さえてうずくまった。
そう、ルイーズは静かに本を読んでいるようなことが好きな女性で、ドレスを破く様なことはしそうにない。
モニカは、嘘を言っている?
僕は使用人を呼ぶベルを鳴らした。
「ネイサン様! 大丈夫ですか?」
僕をベッドに戻そうとする使用人を制止して言った。
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