恋人以上、永遠の主人

戦友は一時休戦、家族団らん

１３P

　アキラさんが驚いたように、かじりついたら中は鍋つゆが染みたゆで卵だった。こんなの、いつの間に入れていたの？


　全然気づかなかったというか、そんなのどうでもよくなるくらいに美味しい。うん、すっごい美味しい。見た目も可愛いし、今度おでんを作る時にやってみようかな。


「ん？んばっ！！？な……な、何だ、今のっ！？た、卵が爆発したぞ！？」


　隣で、破裂音と悲鳴。マクベスの巾着が、噛んだ瞬間に弾けたんだけど。まさか。お鍋を挟んではす向かいで、嬉しそうな笑い声が聞こえる。


　ユエさん。何だろう、さすが爆弾魔というのかしら。火薬を入れて仕込んでいたわけじゃなくて、そういう調理法をしていたんだって。


　害がないのはいいんだけど。マクベスの顔周りから下が大惨事。ティッシュとふきんであらかた拭いて、でもマクベスは怒らなかった。


「あははははははっ！あー、やられたやられた。ナツメのじゃなくてよかったよ。でもいいね、こういうの。すごく楽しくて温かくて、まるで本物の家族みたいだ」


　笑った。もう、大爆笑。楽しそうに笑って、体の力が抜けて……どうしてあたしの頭を撫でるのよ？


「マクベスさん、俺達は『家族みたい』じゃない。血はつながっていなくても“本物の家族”なんだ。もちろん、マクベスさんとナツメさんも含めて、な」


「「家族……」」


「俺達鬼死団とあなた方とではどうしても、見えない境界線があるように感じた。たしかに転生だとか能力は違うだろう。だが、心は同じだ。同じ使命、同じ志を持つ者同士。戦友かつ家族。俺はそれを、この席で感じてほしかった」