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主人マクベス
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しおりを挟む――で。結局特に会話もなく黙々と、あっという間に食べ終わっちゃってただいま食器洗い中。マクベスが嫌いなナスも綺麗に全部食べてくれたのは良かったわ。
ちらっと目を向けると彼、またソファーに座って本を読んでる。待ってるわよね。変に緊張しちゃって、彼じゃないけど手が滑ってお皿を割っちゃいそう。
割らなかったけど。食器の片付けもすぐに終わって、彼が「おいで」って手招きをするから隣に座った。50センチくらい間を空けて。
「何でそんなに緊張しちゃってるかなぁ?初夜の恋人でもないのに」
「しょっ!?ば、馬鹿なこと言わないでよっ!!話ならさっさとしなさいっ」
「あっはははは、ごめんごめん。でも、やっと笑ってくれたね。話っていうのは俺のことだよ。よそ者の俺がどうして晴明様を慕っていたのか、俺のことを知りたいんでしょ?」
「外国の変な人ってことしか知らないもの。それにしても今になってどうしてよ?」
「俺はナツメのことを知っているけどナツメは俺のことを知らないままっていうのはフェアじゃないからね。それに、最近君は俺のことをよく気にしてるから」
「き、気になんかしてないわ……」
あたしのことはお見通しってわけね。なぜだかわからないけど「わかるよ」って微笑む彼は深呼吸をして語り始めた。
時は晴明様が生きた時代、平安時代にさかのぼる。その日、あたしは晴明様のお使いで何日もかけて遠くへ出かけていた。
帰ってきたら部屋の布団で異国の男が寝ているんだから驚いたわ。晴明様に聞いても「時の迷い人」としか言わないし。
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