ユキ・シオン

那月

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 怒らせたら誰よりも鋭い眼光を放つイヌワシの緋桜よりも。その目は鋭利な刃物。壁にヒビが入るほど強烈な蹴りを食らってうずくまる千川原を、見下ろす目は冷たい。


 突然のことに千川原も驚いていることだろう。だが、起き上がりながら懐からまたメスを取り出すと。その横っ面を、男に蹴りつけられた。


 銀色のメスと、鮮血が飛んだ。今ので高い鼻が折れたか?鼻と口を押さえ激しく咳き込む千川原の目の前に立った男は、さらに足を振り上げる。


「笑也、やめろ。俺は大丈夫だから。笑也…………もういいから、やめろって!笑也っ!!」


 腕の中で顔を上げたシオンが声をかけたのも間に合わず、男はまた千川原の顔面を蹴った。ゴロゴロと床を転がった千川原にゆっくり歩み寄り、ぐったりしている千川原の頭を踏みつける。


 そこでようやく、顔をこっちに向けた。そこに在るのは、怒りと憎悪。


「シオンさんは俺が守る。様子見て、穏便に済めばって思ってた。でもこの人はシオンさんを殺そうとしたから。心配すんな。俺、殺すのは慣れてるから」


「っ、ははは……ただの人間の子供が僕を殺す?馬鹿馬鹿しくて笑える。忘れた?僕は蛇の擬人化種。こうやって変身して抜け出して形勢逆転なんて、わけない」


 男の足の下にあった千川原の体が黒く溶け、瞬きの間に蛇の姿へと変わる。そしてまた瞬きをすると、銀色のメスを男の首に突き付ける千川原の姿が見えた。


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