妖精を隷属した国の末路

小梅カリカリ

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妖精国

売られた妖精達

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 商人達はそれぞれ買い取った妖精達を連れて去っていく。
 弱いと思っていた人間に隷属されてこれから売られていく妖精達。これからはその人間のいう事を聞いてどんなことでもしなければならない。屈辱的な表情で商人の後ろを歩いている妖精達。

 女性3人を買い取ったある商人。街の宿に着いた途端、妖精達に話しかけてきた。
「一体こんな事が起こるなんて、妖精王はきちんと統治していなかったんですね。あなた達もそうですよ。一応妖精王を守る立場の妖精達なんでしょう、あのクウオに気を付けてさえいたらこんな事は起こらなかったのに。何も気が付かなかったんですか、気が付かないからこんな事になったのか。チッ。」

 ぶつぶつと文句を言われ最後には舌打ち、悔しそうに睨みつける妖精3人。
 そんな3人を見て商人は鼻で笑うと、ガラリと雰囲気を変えて妖精達を睨みつけ威圧すると、文句を続ける。弱いはずの人間に威圧されて、驚き少し怯えてしまう妖精達。
「力があるくせに商品になるような間抜けが、何偉そうに俺様の事を睨んでるんだよ。怒るならお前自身を怒れ。俺に怒りを向けるのは筋違いだ。
 俺が王達を隷属契約をさせたわけではないんだからな。間抜けなお前たちのせいで【シャイ】の中で戦争が起きるかもしれないんだぞ。
 脳無しどもが、ふざけんな。お前達の力の影響力を考えろ、馬鹿が。
 妖精を廻って戦争、妖精の力を使って他国へ戦争、妖精国が【シャイ】に攻め込む。どれが起きても最悪だ。怒りをぶつけるのは俺達の方だ。」
 最後には怒鳴りつけられて俯いた3人。怒っている商人の言葉を聞き、これから起こる事を理解すると3人とも商人に謝罪した。

 そこに別の商人が訪ねてきた。こちらは兵士3人買い取っていた。
「ああ、怒鳴り声が外にまで聞こえて役立たずの脳筋兵士が小さくなってますよ。私は紳士なのでね、丁寧にゆっくりと話して理解させたところですよ。妖精っていうのは揃いも揃ってこんなのばかり、脳みそが魔力で溶けてしまったんでしょうかねえ。」
「あんたの場合は嫌みでネチネチだろ。俺はあっさりだ、あんたよりは優しいぞ、イヤーミ。」

 その言葉を聞いて商人は笑うと、兵士達に部屋に入って隅で立っているように命じた。兵士達は何を言われたのか目を赤くして俯く。
「変なあだ名はやめてください、照れ屋さん。」
 怒った顔になった照れ屋商人を見て、満足気な顔になるイヤーミ商人。
「これで6人。あと姉妹の商人達が来てくれる事になっているので12人。
 強欲な彼は王達を買ったので今頃ドロン国に向かってるでしょう。王なんかを売りに行ったらあの商人殺されますよ。
 ドロン国の代表マッキン・オウコ殿にね。という事で取りあえず半分の15名は解放ですね。」
「あいつは商人仲間にまで嫌われる嫌な奴だったからな。消えてくれて嬉しいよ。」

 幼い姉妹の商人達もやってきた。こちらの妖精6名は全員、項垂れて泣いている。
「自分達が何をしたかも分からずに、私達に生意気な事を言ったから躾けたの。」
 カラカラッと笑った姉妹の商人は部屋に入ると椅子に座って紅茶を飲む。勿論妖精達は皆部屋の隅に立たされている。

 それを見て他の2人の商人も椅子に座り紅茶を貰った。
「あの魔法大好きお爺様の所に売りに行くって言ってたのがいたわ。そこも3人解放できそうね。それとは別にさっき他の商人を盗賊を煽って襲わせてみたけれど妖精達が撃退してた。商人を襲うと妖精と戦闘になるわね。」
「そうか、その件は考えないといけないかな。いや、妖精達なら自分達で何とかするだろうから妖精に任せるか。
 とりあえず18人か。残りは12人、王の弟の始末は王か妖精達がやるからこれも無視。全く、この件が終わったら妖精達には2度とこっちに来ないで欲しいよな。
 別に俺達魔法の助けなんていらないよ。魔法なんてなきゃないで何とかするさ。
 雨が降らないなら違う国に行けばいい、台風なら事前に移動、土砂崩れとか防げない自然災害だって助からないのは仕方がない。だってあんたたち、全ての自然災害から俺達を守ってるわけじゃないんだよ。
 戦争どころか人類滅亡になりそうな事に巻き込む位なら、こちらとは一切関わりを持たないで欲しいって俺は思うよ。」
「そうですね、今回の件はどうせ話が洩れるでしょうから、妖精達には関わりたくないという意見が増えそうです。」

 その時部屋をノックする音がした。商人達は武器を構えつつ、ドアを開けると手紙を受取りドアを閉める。
「あ、魔法大好きさんからだ。3名救出済みだって。それじゃあ合流しようか。お爺さんの家に向かおう。」
 商人達は荷物を纏めると窓を開ける。妖精達に命じて風魔法で自分達を運ばせた。お爺さんの住む大きな屋敷まで運ばせると裏口の前に降り全員入る。中に入るとおじいさんと契約を解除された妖精達が待っていた。

 商人達4人も屋敷に着くと妖精達の契約を解除した。契約書は燃えて消えていった。妖精達は全員でお礼を言う。
「助けて頂いて、ありがとうございました。あなた達が私達を解放してくださらなかったら、私達死ぬまで酷い目に合うか、戦争の道具にされるか。どちらにしても悲惨な未来だったでしょう。」
 感謝の言葉を聞いた商人達は、自分の気持ちを素直に伝えた。
「あなた達の為ではないですよ。でも感謝するのなら、もうこちらには来ないでください。【妖精国】にはどこか遠くへ移動して頂いて、妖精達はこちらに来ないでいてくれる事が【シャイ】の平和につながります。」
「確約は出来ませんが、王達に伝えます。」
「さっさと国を奪還して王子を救出して王弟を殺し、妖精達が帰れる場所を作りにいけよ。救出したって帰る場所がなきゃ仕方ないだろ。家来なら王達の帰る場所くらい自分達で作るべきだ。」
「どうせ、今は何もできないわ。妖精王達の事も隷属の契約を商人が持っている以上、オウコ殿に任せるしかない。あなた達が行って契約解除を邪魔して失敗し、王達と戦闘にでもなったら【シャイ】の民に死人が大勢出るじゃない。
 それなら自分達の国の反逆者をチャチャっと何とかしてきなさいよ。15人もいるんだから出来るでしょ。」
「そうですねえ、少しは役に立つところを見せないと王達の為にもね。」

 商人達に言われた言葉に悲痛な顔で頷いた妖精達。妖精達は反逆者討伐作戦を練ると国に向かって飛んでいった。
 妖精達がいなくなると、お爺さんが貴重なワインを出してくれて皆嬉しそうに飲み始めた。
「おじいさん、よくあの商人から3人全員買い取れましたね。」
 嬉しそうに、にこにこ笑うおじいさん。周囲の空気が穏やかになる。
「いやあ、買ったのは一番強い子1人だけだよ。契約者が死ぬと契約も破棄されるんだって。だから買うと直ぐに妖精達をあの子が1人で無力化して、商人を部下に殺させたんだ。
 いやあ、あの子は強かったなあ、2対1でも余裕だった。風魔法と土魔法でサンドイッチ状態にしてね。いやあ楽しかったなあ、なかなか良いものが見れたよ。」 

 その頃、妖精王を買った商人は王の魔法でドロン国に向かって飛んでいた。
「さすが妖精王の魔法だなあ、早い早い。これなら今日中に余裕でついてしまうな。」
 機嫌よく笑っている商人。ドロン国へ着くと、代表の部屋へいきなり侵入した。

 驚いているマッキンに商人が妖精国の事情を説明する。黙って聞いていたマッキン。
「そうか、それでいくらで買いたいんだ。言い値で良いぞ。」
 マッキンの態度を見てにやにやと笑う商人。
「そうですねえ、これは物凄い商品です。ですから国で安定した地位と収入の得られる職と交換でお願いします。仕事も全部部下がやるという事で。
 私も最近年であちこち痛いもんで、国の金で旅行や療養に行きたいですな。」
「ほう、なかなか頭が良いな。それくらいなら、私の権限で何とでもなる。書類を作る前に契約の譲渡が出来るか見たいな。やって見せてくれ。」

 少し考えるそぶりをした商人。
「まあ、最強の王がいれば大丈夫か。女なんて妖精とはいっても、王には敵わないでしょうから女2人でやってみせましょう。」
 商談が上手く行きそうで嬉しくてたまらないと言った顔をした商人は、王妃と王妃の妹の契約をマッキンに譲渡した。
 マッキンは譲渡を確認すると、2人に王を数秒抑えるように命じる。2人が結界を使って王を抑え込んだ瞬間、商人の首が落ちた。
「まさか、こんな事が起こるなんて吃驚したよ。商人が油断して話に乗ってくれて良かった。」
「ああ、助けてくれて本当にありがとう。他の者に売られていたらどうなっていたか。すぐに国に戻らないと行けないんだ。片付いたらお礼を言いに会いに行くよ。」
「分かった、気を付けて。協力できることがあれば何でも言ってくれ。」
 マッキンの言葉に感謝を伝え、王達は急いで国に帰っていった。

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