聖女として誘拐されましたが、字幕の人はいい仕事をしてました!

隅野せかい

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「しょうかんじにしようするじゅもんに、つうやくのきのうをつけたのでまちがいないかと。なんどもかくにんしましたし」

 ゲス男の問いに、目の下に隈をつくったスタッフらしい人が応えてる。

 あ察し。

 このゲス男、えらいっぽいが、部下に全部やらせる、もとい押し付けるタイプだ。

 監督もしない助言もしない相談にものらない、当然、責任もとらない。

 成功は自分の手柄、失敗は他人の責任。ぼくちゃんえらいからそれが当然。

 あるあるー。

 こういうのが上にいると、下の人は苦労するよねー。

 で、スタッフのひとが確認したってことは、ゲームのデバッグモードみたいなのもあったり?

 と、思ったら、画面の隅に『かな漢字モード』という表示が出た。


 おお。魔法スゴイ。安直ともいう。


 あたしは心の中で念じた。ぽちっと。

『かな漢字モード』

 ゲス男は、にこやかな笑顔をはりつけたまま、こちらへ向きなおり、

「麗しの聖女様、急な招請に思うところはおありでしょう。
 ですが、なにとぞなにとぞ海よりも広い寛大で広い御心をもって――」

 ウザ。

 読みやすくなったせいで、更にウザ!

 あたしの心は、このゲスに対しては、駅前の噴水くらいの広さしかない感じ。

 本心のゲスさは判っているから、虚礼とかムダなんですけどー?

 と思ったら、『簡略モード』という表示が出た。

 ぽちっと。

『簡略モード』

「さっさと世界を救え、この野蛮なメス豚が!」

 おお。滅茶苦茶わかりやすい。

 やたら形容詞がある気取った話し方、デバッグしてた人達も面倒だったんだろう。ナイス機能。

 にしても簡略にすると、過剰な形容詞だけでなく謝罪とか慮りの言葉が消滅するのは、心底ゲスだってことですね。

 しかも、さっさと。かい。野蛮でメス豚かい。

 ムカつくー。

「下賤な貴様には邪悪を払う力がある。邪悪な相手に対して念ずれば相手は消える。それが貴様の唯一の取り柄だ」

 礼儀正しくにこやかに話しているが、要約だとまさにゲスまるだし。

 こんなやつらに力を貸したくないけど、そうでなければ帰れないのなら仕方がないのかなぁ。

 ああ、やだやだやだやだ。
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