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17.レストルズ商会
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本来、私が到着して直ぐにお披露目があってもおかしくはなかったのだけれど、すぐにお父様が動いて、こちらの国に来た事もあり、私の学園編入の方が早かったのだ。
流石に地方貴族がこちらに来るのもそうだが、そもそも貴族の準備には時間がかかる。ドレスを仕立てる事から始まるのだから。だから、ドレスを仕立てる時間や地方から王都へやってくる時間、そして余裕を持たせた日程での舞踏会開催となった。
「……念の為、貴族御用達の仕立て屋に王太子殿下がドレスを頼んでないか調べてから……」
「あら?でもそんな事をして、もし万が一の事になれば仕立てる時間がなくなりますし。まぁ私はお直しでも良いのですけど」
「それは皇女様の立場的にダメでしょう……」
深いため息と共にガルムの肩が落ちた。正直、贈られてくるなんて思ってもいなかったけれど、こちらが直ぐに用意してしまえ、ば私側が王太子を蔑ろにしたと捉えられかねない。
ギリギリの時間に作る事が、王太子からドレスの手配をされていないという、向こうの非を周囲に植えつけさせる事が出来る。
それに用意するのは帝国風だ。王国風ではない。王太子殿下が用意していたら勿論王国風になるはずだが、それを帝国風にする事で、より一層王太子側の非を打ち出せる。
……というか、とっとと舞台のように婚約破棄を言い出してくれれば良いものを。こちらに非がないよう考えるのも面倒だわ。向こうに非がありすぎて。
「大丈夫よ、贈られてきたからドレスはなしだとか、料金を払わないとか言わないから。私、荷物は最小限で来たので舞踏会用のドレスなんて持ってきていないのよね」
嘘だろ、と言わんばかりにガラムの口元が引きつる。確かに皇女なのであれば馬車何台つれてくるのかと言わんばかりの荷物を持ってくるだろうが、私的にすぐ帰るつもりでもあるし、そもそも荷造り自体も面倒になる。
必要なものは現地調達してしまえば良い。物に執着はしないが、捨てるのは嫌なので、持って帰る必要がない物は孤児院等に寄付してしまえば良いと思っている。
「王太子殿下からドレスを贈られた事もなければ、こちらに来てから採寸した事もないけれど……」
「……一度、当商会へ採寸にお越しください……出来れば本日放課後にでもっ」
絶対にドレスが用意されるわけないと理解したガルムは、この世には人の形をした絶対的に理解出来ない脳みその持ち主が居る……と呟いていて、その言葉にベルとジェンは深く頷いていた。
まぁ……もう、何を言っても今更すぎる程に王太子は低能だという事だけは確かだ。
「ここよね?」
「ここですね」
放課後になり、王都にあるレストルズ商会へ向かった私達の前には、カーテンが閉め切られていて、どう見ても開いてないお店だった。
「……貸し切り?」
「今日の昼に言って、今?」
「自分でも馬鹿な事を言ったなって思いました」
学園をサボってすぐに店へ赴けば、それもありえる事だろうけれど、それでも貴族を相手にしている事もある店ですぐにそんな事が出来るとも思えない。
とりあえず声をかけてみようと店の方へ一歩踏み出すと、中から大きな声が聞こえた。
「いきなり何ですかそれ!もう!こっちの書類まだなんですよー!」
「あぁああああ!全従業員の給料計算も……その前に収支―!」
「いや、ほんっとスマン!任せた!」
「「オーナー!!!!!」」
思わず、そっと一歩後ろに下がった。
中から聞き覚えのある声が謝罪の言葉を言っていた気もするけれど、声量や内容から予測出来るとしたら、中は嵐だ。只今、大事になっている。
流石に地方貴族がこちらに来るのもそうだが、そもそも貴族の準備には時間がかかる。ドレスを仕立てる事から始まるのだから。だから、ドレスを仕立てる時間や地方から王都へやってくる時間、そして余裕を持たせた日程での舞踏会開催となった。
「……念の為、貴族御用達の仕立て屋に王太子殿下がドレスを頼んでないか調べてから……」
「あら?でもそんな事をして、もし万が一の事になれば仕立てる時間がなくなりますし。まぁ私はお直しでも良いのですけど」
「それは皇女様の立場的にダメでしょう……」
深いため息と共にガルムの肩が落ちた。正直、贈られてくるなんて思ってもいなかったけれど、こちらが直ぐに用意してしまえ、ば私側が王太子を蔑ろにしたと捉えられかねない。
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……というか、とっとと舞台のように婚約破棄を言い出してくれれば良いものを。こちらに非がないよう考えるのも面倒だわ。向こうに非がありすぎて。
「大丈夫よ、贈られてきたからドレスはなしだとか、料金を払わないとか言わないから。私、荷物は最小限で来たので舞踏会用のドレスなんて持ってきていないのよね」
嘘だろ、と言わんばかりにガラムの口元が引きつる。確かに皇女なのであれば馬車何台つれてくるのかと言わんばかりの荷物を持ってくるだろうが、私的にすぐ帰るつもりでもあるし、そもそも荷造り自体も面倒になる。
必要なものは現地調達してしまえば良い。物に執着はしないが、捨てるのは嫌なので、持って帰る必要がない物は孤児院等に寄付してしまえば良いと思っている。
「王太子殿下からドレスを贈られた事もなければ、こちらに来てから採寸した事もないけれど……」
「……一度、当商会へ採寸にお越しください……出来れば本日放課後にでもっ」
絶対にドレスが用意されるわけないと理解したガルムは、この世には人の形をした絶対的に理解出来ない脳みその持ち主が居る……と呟いていて、その言葉にベルとジェンは深く頷いていた。
まぁ……もう、何を言っても今更すぎる程に王太子は低能だという事だけは確かだ。
「ここよね?」
「ここですね」
放課後になり、王都にあるレストルズ商会へ向かった私達の前には、カーテンが閉め切られていて、どう見ても開いてないお店だった。
「……貸し切り?」
「今日の昼に言って、今?」
「自分でも馬鹿な事を言ったなって思いました」
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とりあえず声をかけてみようと店の方へ一歩踏み出すと、中から大きな声が聞こえた。
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「あぁああああ!全従業員の給料計算も……その前に収支―!」
「いや、ほんっとスマン!任せた!」
「「オーナー!!!!!」」
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