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12.腐った貴族
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「確かに、あの二人は人目を気にせず恋人のように付きっ切り……というか、皆に認められた恋人。いっそ婚約者の扱いだな」
敬語を止めて良いと言ったから、レスター男爵はくだけた話し方で教えてくれる。
「……婚約者のような扱いとは?レスター男爵」
「あ、爵位を貰ったと言っても呼ばれ慣れていないのでガルムと呼んで貰わないと反応できません。平民の成り上がりと見下し、俺に関わる者も居ないので」
正直者だ。
後ろからは笑うのを堪えるベルと漏れる息と、我慢できず噴き出したジェンの声が聞こえた。
確かに爵位を貰ったと言っても、いきなり違う名前で呼ばれ始めても慣れるのには時間がかかるだろう。その上呼んでくれる人が居ないとなれば……うん、納得である。しかしそこはおかしな問題で。
「納得はするけれど、令息令嬢と違い、しっかり爵位を持っている方が身分として上だけど?」
「それを許さないというか認めない奴等が多い。それは国王の意思に反していると考える事も出来ないのだろう」
「反逆罪で捕らえたら、どれだけの跡継ぎが居なくなるのかしら……」
どこまでも教育できてなく、腐りきった国だと言うのか。むしろいっそ腐っているものを排除すると貴族が全てなくなる勢いというのも困ったものだ。
教育が悪いとすれば教師、既に爵位を持っている親世代の教育自体も悪いという事になるので、数十年に渡り腐って行ったというもの。
「マトモな貴族は一割と言ったところかな。真実の愛が正しいとして、王太子殿下の行動も素晴らしいものだと皆で称え合っている」
書類上では分からない内情をサラリと出してくるガルムに、口元が歪む。
私の言葉で、私が何の情報を求めているのか分かるのは流石だ。商人として爵位を貰ったというのは、それだけの手腕があるというのも頷ける。
……そして、王太子の問題行動の根底も、やはりあの真実の愛を元にした舞台か。
きちんと過去の話を元にしていると言っているにも関わらず、だ。
元にしているだけで、あれが事実であるわけではない。
「そんなわけで、あの二人が逢瀬を重ねている場に、平民扱いされている俺が通り過ぎようものなら邪魔をしたと難癖つけられるから教室へ戻れないわけ。……まぁ、皇女様が今出ていったとしても、二人を邪魔する者という認識をされているから何を言われるか分からない」
確かにそうだ。面倒事は勘弁してほしい。
いっそ出て行って、その場で婚約破棄にでもなれば良いが、まだ挨拶もしていない王太子に私から名乗り出るのは帝国の名折れにもなる。
……とっとと挨拶に来れば良いものを。
「くだらないわ……周囲も何を考えているのか」
婚約を継続したまま認知された恋人を作って真実の愛と言っているのを咎めもしない辺り、あまりにも舞台に毒されすぎているのではないか。脳みそに詰まっているのは花畑なのかと開きたくなるわ。
誰か早く王太子に婚約破棄を促してくれないかしら。
「自分で学ばない貴族というのは多い。大抵本を読んで、これだけ知識をつけたぞ!と自慢するばかりで、応用もきかなければ、臨機応変すらできない。平和すぎるが故の弊害とも言える」
「でも突発的な自然災害が起きた時は?まさか下々に丸投げするの?」
「領地の平民達が頑張って考えて立て直す」
貴族とは!?
完全に仕事を放り投げて、税で遊び暮らすだけの存在になっている!
ロドル王国の報告書にも目を通していたけれど、特に問題はなかった筈だが……蓋を開けてみればこんな事になっているのか。
属国の管理を国王に任せているのは何だと思っているのだ。そもそも、属国である事を忘れてはいけない。
敬語を止めて良いと言ったから、レスター男爵はくだけた話し方で教えてくれる。
「……婚約者のような扱いとは?レスター男爵」
「あ、爵位を貰ったと言っても呼ばれ慣れていないのでガルムと呼んで貰わないと反応できません。平民の成り上がりと見下し、俺に関わる者も居ないので」
正直者だ。
後ろからは笑うのを堪えるベルと漏れる息と、我慢できず噴き出したジェンの声が聞こえた。
確かに爵位を貰ったと言っても、いきなり違う名前で呼ばれ始めても慣れるのには時間がかかるだろう。その上呼んでくれる人が居ないとなれば……うん、納得である。しかしそこはおかしな問題で。
「納得はするけれど、令息令嬢と違い、しっかり爵位を持っている方が身分として上だけど?」
「それを許さないというか認めない奴等が多い。それは国王の意思に反していると考える事も出来ないのだろう」
「反逆罪で捕らえたら、どれだけの跡継ぎが居なくなるのかしら……」
どこまでも教育できてなく、腐りきった国だと言うのか。むしろいっそ腐っているものを排除すると貴族が全てなくなる勢いというのも困ったものだ。
教育が悪いとすれば教師、既に爵位を持っている親世代の教育自体も悪いという事になるので、数十年に渡り腐って行ったというもの。
「マトモな貴族は一割と言ったところかな。真実の愛が正しいとして、王太子殿下の行動も素晴らしいものだと皆で称え合っている」
書類上では分からない内情をサラリと出してくるガルムに、口元が歪む。
私の言葉で、私が何の情報を求めているのか分かるのは流石だ。商人として爵位を貰ったというのは、それだけの手腕があるというのも頷ける。
……そして、王太子の問題行動の根底も、やはりあの真実の愛を元にした舞台か。
きちんと過去の話を元にしていると言っているにも関わらず、だ。
元にしているだけで、あれが事実であるわけではない。
「そんなわけで、あの二人が逢瀬を重ねている場に、平民扱いされている俺が通り過ぎようものなら邪魔をしたと難癖つけられるから教室へ戻れないわけ。……まぁ、皇女様が今出ていったとしても、二人を邪魔する者という認識をされているから何を言われるか分からない」
確かにそうだ。面倒事は勘弁してほしい。
いっそ出て行って、その場で婚約破棄にでもなれば良いが、まだ挨拶もしていない王太子に私から名乗り出るのは帝国の名折れにもなる。
……とっとと挨拶に来れば良いものを。
「くだらないわ……周囲も何を考えているのか」
婚約を継続したまま認知された恋人を作って真実の愛と言っているのを咎めもしない辺り、あまりにも舞台に毒されすぎているのではないか。脳みそに詰まっているのは花畑なのかと開きたくなるわ。
誰か早く王太子に婚約破棄を促してくれないかしら。
「自分で学ばない貴族というのは多い。大抵本を読んで、これだけ知識をつけたぞ!と自慢するばかりで、応用もきかなければ、臨機応変すらできない。平和すぎるが故の弊害とも言える」
「でも突発的な自然災害が起きた時は?まさか下々に丸投げするの?」
「領地の平民達が頑張って考えて立て直す」
貴族とは!?
完全に仕事を放り投げて、税で遊び暮らすだけの存在になっている!
ロドル王国の報告書にも目を通していたけれど、特に問題はなかった筈だが……蓋を開けてみればこんな事になっているのか。
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