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07.ロドル王国
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「リズもちゃんと理解はしているからな……。安心が欲しかったのか。しっかり手綱を掴んでこい」
「そうだな。問題なければ、一度こちらへ花嫁修業に帰ってきてから、またロドル王国へ迎えば良い。お前は賢いから学ぶよりは少しゆっくりしていれば良いだろう」
既に嫁へと出す心境なのか、お父様の目に涙が浮かび、お兄様も感極まっている。
……甘い!そうじゃない!
私は安心が欲しかったわけではない。いや、将来安泰という確証は欲しかったけれども!
「いえ!婚約破棄される事を目標に隣国へ行かせて頂きます!」
面倒な結婚や王妃としての執務より、辺境での悠々自適生活の方が良いに決まっている!
夫婦生活という仕事がなくなるだけでも、十分肩の荷が下りるというもの!跡継ぎの事も気にしなくて良いなんて、気にする事は何もなくなる。
「…………リズ…………」
「…………あぁ…………」
そんな私の言葉に、お父様とお兄様は生気の抜けた顔で、ただ呆れ果てていた。
「ようこそ起こし下さいました!皇女様」
「遠路はるばる、お疲れでしょう。サロンでお茶でもいかがでしょうか」
金髪碧眼で穏やかな国王と薄い茶髪にエメラルドグリーンの瞳をしたきつめ美人の王妃が出迎えてくれ、気遣うようお茶の申し出をされる。それを承諾した私は、二人に案内される形でサロンへと向かう。
あれから直ぐにロドル王国へ、ロス王太子と仲を深める為に卒業までの短い間、留学するという旨を送り、承諾の返事を貰ってからやってきた。
……まぁ、お父様の事だから、これが決定事項であると承諾する以外ない書き方をしていると思うけれど。私もそれを見越して用意していたので、素早く行動する事が出来た。
それも全て、とっとと婚約をなくして辺境で悠々自適生活を送る為だ。
「王城の居住区へお部屋は用意してありますが、まだ婚姻前なので客室をご用意させて頂きました」
「ありがとうございます」
それは当然の事だし、堅苦しく過ごすくらいならいっそ離宮でも良いのだが、そこまでしてしまえば仲を深めるという理由がなくなってしまう。
サロンでは国王と王妃が私に対して丁寧に接してくれる。
「それでは私は失礼いたします」
私は専属侍女の言葉に了承の意味を込めて頷く。
国王や王妃とお茶をしている間に、私に付いてきてくれた専属侍女へ女官長が王城内を案内するのだ。私が迷わないように。
国王と王妃は、ロドル王国の事や学園の事を説明してくれた。……まぁ、事前学習して知っているけど、ここの好意は有難く受け取っておく。
ノルウェット帝国の書物や情報が間違っていると思えないが、古い場合もあるからだ。それにしても、何故、この二人だけなのか。
「それで……王太子殿下はどちらに?」
ビクリと、二人の身体が大げさに揺れたのを見逃さなかった。
ロドル王国はノルウェット帝国の属国で、ノルウェット帝国の皇女である私が来ているのだ。……婚約者云々を抜きにしても、次期国王となる王太子が挨拶に来ないのはマナーとして如何なものか。それに、ロドル王国国王の子どもは、ロス・ロドルただ一人だ。
本来であれば、三人そろって私を出迎えるものだろう。
「ロスは……その、体調を崩しておりまして」
「え……えぇ!風邪のようで、皇女様にうつしてはいけないと」
目が泳いでいる二人を観察するように圧をかけると、二人は私から顔ごと視線を反らした。
……それは、嘘をついていると自ら吐露しているようなものだと私は判断する。そして、王太子を教育する事も出来なければ、息子を窘める技量すらないのだと。
「そうだな。問題なければ、一度こちらへ花嫁修業に帰ってきてから、またロドル王国へ迎えば良い。お前は賢いから学ぶよりは少しゆっくりしていれば良いだろう」
既に嫁へと出す心境なのか、お父様の目に涙が浮かび、お兄様も感極まっている。
……甘い!そうじゃない!
私は安心が欲しかったわけではない。いや、将来安泰という確証は欲しかったけれども!
「いえ!婚約破棄される事を目標に隣国へ行かせて頂きます!」
面倒な結婚や王妃としての執務より、辺境での悠々自適生活の方が良いに決まっている!
夫婦生活という仕事がなくなるだけでも、十分肩の荷が下りるというもの!跡継ぎの事も気にしなくて良いなんて、気にする事は何もなくなる。
「…………リズ…………」
「…………あぁ…………」
そんな私の言葉に、お父様とお兄様は生気の抜けた顔で、ただ呆れ果てていた。
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「遠路はるばる、お疲れでしょう。サロンでお茶でもいかがでしょうか」
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あれから直ぐにロドル王国へ、ロス王太子と仲を深める為に卒業までの短い間、留学するという旨を送り、承諾の返事を貰ってからやってきた。
……まぁ、お父様の事だから、これが決定事項であると承諾する以外ない書き方をしていると思うけれど。私もそれを見越して用意していたので、素早く行動する事が出来た。
それも全て、とっとと婚約をなくして辺境で悠々自適生活を送る為だ。
「王城の居住区へお部屋は用意してありますが、まだ婚姻前なので客室をご用意させて頂きました」
「ありがとうございます」
それは当然の事だし、堅苦しく過ごすくらいならいっそ離宮でも良いのだが、そこまでしてしまえば仲を深めるという理由がなくなってしまう。
サロンでは国王と王妃が私に対して丁寧に接してくれる。
「それでは私は失礼いたします」
私は専属侍女の言葉に了承の意味を込めて頷く。
国王や王妃とお茶をしている間に、私に付いてきてくれた専属侍女へ女官長が王城内を案内するのだ。私が迷わないように。
国王と王妃は、ロドル王国の事や学園の事を説明してくれた。……まぁ、事前学習して知っているけど、ここの好意は有難く受け取っておく。
ノルウェット帝国の書物や情報が間違っていると思えないが、古い場合もあるからだ。それにしても、何故、この二人だけなのか。
「それで……王太子殿下はどちらに?」
ビクリと、二人の身体が大げさに揺れたのを見逃さなかった。
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本来であれば、三人そろって私を出迎えるものだろう。
「ロスは……その、体調を崩しておりまして」
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目が泳いでいる二人を観察するように圧をかけると、二人は私から顔ごと視線を反らした。
……それは、嘘をついていると自ら吐露しているようなものだと私は判断する。そして、王太子を教育する事も出来なければ、息子を窘める技量すらないのだと。
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