【完結】聖女と共に暴れます

かずきりり

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48.視野の違い-マユside-

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「は…犯罪?」
「何を言っているんだ!?」
「マユを気にかけていただけじゃないか!」

狼狽える三人に呆れるしかない。
視界の隅に映るリスタも、小さくため息を吐いている。

「私は異世界から来ました。価値観も何もかも違う世界です。お分かりですか?」
「それは別世界なのだから当たり前だろう」

何を言っているんだという態度でストーカー王子は言う。

「…本当に?」
「当たり前だろう?」
「想像した事はありますか?」
「は?」
「精霊も居ない。教育水準も違う。マナーも違う。貴族の序列もない。それを想像した事はありますか?」
「体験していないものを想像できるわけがないだろう。」

視野が狭すぎるし、理解力もないのかと本当に呆れる。

「それが寄り添うという事ですよ」
「なんだと!?」

リスタが声を挟む。
あまり批判めいた事を言わないリスタに対して、怒りの表情を見せる殿下に、心底呆れかえる。

「想像した事はありますか?他人の気持ちを。置き換えた事はありますか?相手と自分の立場や状況を。自分が放つ言葉が、行動が、後にどんな影響を及ぼすのか。立場的に考えるのは当たり前なのに、出来ないのですか?体験していないからと」
「それ…は…」

三人は狼狽える。きっとそんな考えは必要ない立場にでも居たのだろう。

元々私の居た世界だって、出来ない人も居たけれど、ただのクラスメートというだけなのであれば距離を保てば良いだけの話だ。
自分の言動に責任を持たず、それがトラブルに発展したところで、知らぬ存ぜぬ私は関係ないとヒステリックに叫ぶ奴は居る。
口が達者な奴であれば、責任転嫁するな!とでも良い喚きだすほどで、言葉の意味を理解していない奴も居た。
ただ、問題は立場だ。
私に至っては逃げる事もできず押し付けられるだけの状態になってしまっていた。
幸い、精霊達のお陰でアリシアの元に行けたけれど、それは結果論でしかない。
自分が努力し、精霊と交流できなければ、あの地獄は延々と続いていたのだ。
ただの善意としても、悪意がないとしても、話し合う事も出来ず、ただこちらにストレスを押し付けるだけの存在でしかなく。
悪く思う私が悪いとでも言いたいのか。
否、そんな事はない。
話を聞かず、寄り添う事もせず、逃げ出す事も出来ない環境を作らない相手が悪いと思う。

「愛してる?それは貴方の感情であり、私は否定するつもりもありません。私を幸せにする?私の幸せは私が決めるものです。」
「マユ!?女は愛されてこと幸せなんだよ!?」
「そもそもの価値観が違う!私は政略結婚なんてする必要がない世界からきてるの!」

そもそもの根底を忘れて、その時その時の言葉だけで返すのは止めて欲しい。
数分の記憶くらい保て。マジで。
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