双子の妹に全てを奪われた令嬢は訳あり公爵様と幸せになる

甘糖むい

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「……とても美味しいです」
「それはよかった。この紅茶はね、心を落ち着かせる特別なレシピなのよ」

まるで悪戯っ子のようにウインクをしながらエレナはミシャルの言葉に答えると自分も同じように紅茶を一口飲んで自画自賛した。
気持ちが落ち着いたミシャルは、紅茶を飲み干すとエレナに向かって頭を下げた。

「お洋服も汚してしまったり、突然泣いてしまったりと、ご迷惑ばかりかけてしまってごめんなさい」
ミシャルは申し訳なさそうに頭を下げた。震える声から、本心からの謝罪が伝わってくる。

しかし、目の前の老女――セグレッタはその言葉にクスリと微笑みを浮かべた。

「まぁ、何を言い出すかと思ったらそんなこと。大丈夫よ」
その穏やかな声に、ミシャルは驚いて顔を上げる。

「でも……」
まだ不安が残るように、ミシャルは小声で呟いた。

セグレッタは椅子に腰掛けたまま、静かに紅茶を一口飲み、にっこりと笑みを浮かべた。

「このお店はね、貴方のような迷子を手助けするお店なのよ」

「え?」
思わぬ言葉にミシャルは目を丸くした。

「ふふふっ、このお店はね、私がうんと小さい時におじい様――私の祖父から受け継いだ本屋さんなのよ」
セグレッタは懐かしそうに暖炉の火を見つめながら語り始めた。

「そんなに前からあるお店なんですね」
ミシャルも紅茶を手に取りながら、セグレッタの言葉に耳を傾ける。

「ええ、だからね。このお店に来るお客さんは、ここにしかない本を求めてやってくるの」

「ここにしかない……本?」
ミシャルは不思議そうに問い返した。

セグレッタは優しい目でミシャルを見つめながら、静かに頷いた。

「そう、ここはね、ただの本屋じゃないの。普通の本屋じゃ見つけられないような、特別な本が揃っているのよ。そして、そんな本たちは不思議と必要な人の手元に辿り着くの」

「必要な人……」

その言葉にミシャルは再び紅茶の温かさを感じながら、自分が今ここにいる理由を考えた。この本屋さんで何かを見つける運命だったのだろうか?その思いが、彼女の心の中に小さな灯をともした。

セグレッタは微笑みながら、ミシャルにそっと語りかけた。

「だから、貴方が迷い込んだことにも、きっと意味があるのよ。さぁどうかしらミシャル。気になる本はある?」

ミシャルは導かれるようにしてセグレッタの言葉を受けて本棚に目を向けた。
沢山の本が並ぶ本棚にミシャルが導かれるようにして近づくと、そこにはまるでミシャルに選ばれるのを待っているかのようにして一冊の絵本がぽつんと棚の上に置かれていた。
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