双子の妹に全てを奪われた令嬢は訳あり公爵様と幸せになる

甘糖むい

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「君は何をしたんだ?」

ミシャルがなぜそんな扱いを受けていたのかとヴァイスは問いかけた。
事前に調べていた為に瞳の色への迫害と知っているとはいえ、ミシャルの口から詳しい詳細を聞き出そうとしていた。

「たぶん瞳の色が原因だと思います」

ミシャルは重い口を開いた。
物心ついた時には閉じ込められて暴力を日常的に受けていたミシャルはシャルルを始めとした家の者たちに言葉の暴力も受けていた事をぽつりぽつりと伝えた。
ミシャルを閉じ込めておきながら、貧相な身体だとか詰められていた中で一番言われていた言葉が自分の瞳の色についてだった。

伸びた前髪を掴んで無理矢理覗き込んでおきながら罵倒される事も多かったと言えばゼリヌの目が鋭くなった。

「黒い瞳について知っている事はあるのか?」

クロディクスの言葉にミシャルは首を振ってこたえた。

「両親の瞳の色とは全然違うので私だけが異端だと思われていました。」

ミシャルの瞳を見て震えあがった両親は一度はどちらが悪いのか揉めにもめた。
父は美しい母の不貞を疑った。
以前からダンスパーティーやお茶会と社交的な妻をよしとしなかった鬱憤を晴らすように母を責めた。
一時は虐げられそうになった母親は、そうなるとなぜ言い伝えで聞いていた黒い瞳の災いをもたらす忌子が自分たちの元に来たのかと父親の家系が隣国の血が強いと言う事で母親はヒステリックに叫び返した。

激しい言い争いの末、双子を生んだこととシャルルの瞳が両親の瞳の色を混ぜた色だったことでその疑いも晴れた。

二日間揉めた二人は、言いたいことをお互いに言い合った事で自分達を正当化することに落ち着いた。
両親はミシャルを悪と決めつけ、自分たちは悪くない、ただ偶然生まれたミシャルが悪いのだと決めつけた。

他の貴族にばれては自分達が被弾されると考えた両親はミシャルを閉じ込めた。
殺すなという言葉を守るためだけに乳母を一人だけつけて外に出さないように、噂も立たないように徹底してミシャルが生まれた事も秘密にされた。

「君が生まれることを予言した呪い師について知っている事は?」
「わからないです」

ヴァイスに問われてミシャルは首を振った。
予言をしたと言う呪い師について知っている事はミシャルについて2つ予言をしたこと以外会った事もなかった。
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