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「すべてミシャル様が?」
リュークは皿からミシャルへと視線を寄越して、恐る恐る問いかけた。
まさかこの細い身体に大人が3人分食べる量を盛った皿5枚分が詰め込まれているとは想像できなかった。
残されることを前提にリュークが用意した食事の量は1皿2人前はあった。
物量の法則がねじ曲がっているとしか思えない現状に、ではクロディクスが食べたのかとはクロディクスをよく知るからこそ、それはあり得ないとリュークは真っ先に否定したい気持ちで問いかけた。
「えっと、お肉のお料理以外はほとんど私が…」
突き刺さる視線にミシャルが答えると、リュークは今度はクロディクスを見た。
二人きりで食事を取る間に何があったか全くわからないが、あの食事を碌に取ろうとしない人間らしさを投げ捨てたクロディクスが大皿の肉を食べたと聞いてリュークは目を白黒させてクロディクスの様子を伺った。
…なんのつもりで食事を召し上がったのかわからないが、いい傾向なのか?
考えがまとまらず、リュークはだまって皿を片付けようと皿を重ねた。
今何か下手な事を言ってしまうのは憚られる。
「そのまんじゅうは後でミシャルに届けてやってくれ」
空いた皿の上にうさぎのまんじゅうが乗った皿を乗せようとしたリュークにクロディクスから声がかかった。
「新しいものをお作りしますが?」
時間が経っても食べれられる保存食にも似たうさぎのまんじゅうは見た目ほど作るのが大変なものではなかった。
必要に応じてその場その場で作れる食べものに執着じみた事を言われて、リュークはクロディクスらしくない物言いに怪訝な顔をしながらクロディクスに問いかけた。
「いや、それでいい、ミシャルもそう望んでる。時間がたった方が旨いと話をした手前その皿の物じゃないと私の格好がつかない」
その言葉を受けてリュークがミシャルに視線をやると、ミシャルは勢いよく頷いた。
クロディクスに脅されているのかと思いきや、ミシャルは本当に心から残り物を供されることを望んでいるようで、リュークは真意がわからないものの了承した。
「明日のお茶菓子としてお出しします。お茶にしますか?コーヒーなども用意できますが」
ミシャルの好みがわからず、リュークは用意できるものを全て諳んじた。
その暗号のような飲み物の名前を聞き終えてミシャルは結局選ぶことが出来ずに、リュークにすべて任せる事を選んだ。
リュークは皿からミシャルへと視線を寄越して、恐る恐る問いかけた。
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残されることを前提にリュークが用意した食事の量は1皿2人前はあった。
物量の法則がねじ曲がっているとしか思えない現状に、ではクロディクスが食べたのかとはクロディクスをよく知るからこそ、それはあり得ないとリュークは真っ先に否定したい気持ちで問いかけた。
「えっと、お肉のお料理以外はほとんど私が…」
突き刺さる視線にミシャルが答えると、リュークは今度はクロディクスを見た。
二人きりで食事を取る間に何があったか全くわからないが、あの食事を碌に取ろうとしない人間らしさを投げ捨てたクロディクスが大皿の肉を食べたと聞いてリュークは目を白黒させてクロディクスの様子を伺った。
…なんのつもりで食事を召し上がったのかわからないが、いい傾向なのか?
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今何か下手な事を言ってしまうのは憚られる。
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「新しいものをお作りしますが?」
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クロディクスに脅されているのかと思いきや、ミシャルは本当に心から残り物を供されることを望んでいるようで、リュークは真意がわからないものの了承した。
「明日のお茶菓子としてお出しします。お茶にしますか?コーヒーなども用意できますが」
ミシャルの好みがわからず、リュークは用意できるものを全て諳んじた。
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