妖精の取り替え子として平民に転落した元王女ですが、努力チートで幸せになります。

haru.

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~第一章~

謝罪

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 ひとしきり泣いて落ち着いた私とシスターは別室に移動してこれまでの事を少しだけ話した。  

「そうでしたのね。神殿長様もアクア様の事を心配されてました。困ってる事はないか、助けは必要じゃないかと。……でもアクア様の側にはきっとトロイアス様が居るだろうと二人で話していたのです。」

「トロイってば私の為に騎士団辞めたみたいで……」

「ふふふ、相変わらず情熱的な方ですね。」

  気まずそうに目を反らした私を微笑んで見つめてくるシスターは「二人が一緒に居るとわかっているから陛下も王妃様達も安心できるのですわ。」と言ってくれた。

  もう7年来の付き合いでほぼ毎日一緒に居たから二人で一人みたいな感覚なのかもしれないけど、人からそう言われるとちょっと恥ずかしい気持ちになるな。

  ほのぼのと話していると突然シスターが真面目な表情をして謝罪してきた。

「先日子供達が街中でアクア様の秘密を明かしてしまい申し訳ございませんでした。あれは私の落ち度でございます。……夜中でしたので、安心して神殿長様と話していた所を見られてしまいました。誠に申し訳ございませんでした。」

  如何なる処分でも受けますと言ってシスターは頭を下げた。

「シスター、私はもう王族ではありません。誰かを罰する権利もございませんし、そもそもあの時は子供達の存在に助けられてしまいました。……むしろ私の方こそ子供達を危険な場面に巻き込んでしまい申し訳ありませんでした。」

「な、アクア様が謝罪する必要などーー」

「いえ、あの子達は私と関わりがあると多くの人達に知られてしまいました。私にとって孤児院や神殿が大切な場所だと知られてしまいました。」

「それは……」

「私はもう王族ではありません。ですが貴族からの恨みは沢山買っている筈ですし、治癒師として手に入れようとする者達も現れるかもしれません。あの子達は身を守るすべのない幼子なのに後先考えず、あの子達と関わってしまいました。申し訳ございませんでした。」

  最近ずっと考えていた。
  貴族達はこのまま引き下がるだろうか。長年私の存在を疎み続けていた彼等が平民になった私を見逃してくれるだろうか。
  憂さ晴らしや復讐はともかく、私の能力を手に入れようとする者も現れるだろう。

  彼等が私を手に入れる為に直接来るのならまだいい。
  だが脅そうとするのなら私の一番の弱みは子供達だ。 

  あの子達や孤児院や神殿に危険が及ぶのなら、もう此所にも来るべきではない。

  私が意を決して伝えようとするとシスターは穏やかでゆったりとした口調で「貴族がアクア様に手出しする事は出来ませんよ。」と仰った。

「え……っ?」

  言っている意味がわからない。
  私の方が平民で下なのにどうして手出し出来ないの?

  頭の中には疑問が沢山沸いてきた。

「だって貴女を愛する者達がそれを許す筈がありませんもの。……アクア様の身の安全はトロイアス様が、貴族からの危害には陛下達が動かれる筈ですわ。」

「そ、そんな筈は……だって私はもう……」

「ええ、アクア様はもう王族ではなく平民です。それも我が国にとってとても貴重な治癒師であり魔法使いです。……陛下はどんな時も身内の為に権力は振るわない方ですが、国や民の為ならば力を惜しまない方です。ですから陛下は必ず平民となったアクア様への守りを発動しますよ?  どんな形なのかは存じませんが、王家の皆様は貴女を不幸にした者達を決して許しませんわ。」

「それにアクア様に何かあれば冒険者も王都の平民も黙っていませんわよ!  私達だって、アクア様を守る為ならどんな事でも致しますわ!」

  シスターの悪戯染みた笑顔で微笑んできた。


  お父様達が私を守る為に何かしようとしてるの?
  王城を出ても尚、守ろうとしているの?

  それに冒険者や街の人達も?

  まさか、そんな筈はない。
  でもシスターの真剣で力強い瞳が真実を物語っているようだった。

  ……皆ちょっと過保護すぎるよ。

  今の話はシスターの想像でしかない話だったが、何故か信じてみたいと思った。


△▽△▽


「それで?  アクア様の事ですから他にも用事があるのでしょう?」

  シスターはお茶の用意をしながら、うふふと笑った。

「えっ……わ、わかるのですか?」

「アクア様がおねだりしようとする時はいつも、少しだけ不安そうにしてるのでわかってしまいますわ。」

  さ、流石……シスター セレナ。
  
  シスターは楽しそうに裁縫道具を引っ張り出してきて「本日は何を作るつもりですか?」と笑顔で聞いてきた。


     
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