妖精の取り替え子として平民に転落した元王女ですが、努力チートで幸せになります。

haru.

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~第一章~

医療用コルセット

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「懐かしいですわ。昔はよくこうしてアクリアーナ様から頼まれ事をされましたから。」

  裁縫道具やデッサン用の紙やペンを机の上に並べた。

「その節は無茶な頼み事ばかりして申し訳ありませんでした。」

「あれはあれで楽しませて頂きました。いきなり相談に乗ってほしいと言われたのが女性用の下着の作成なんて……ふふふ」

  だ、だってあの時は本当に悩んでたから……
  成長するにつれて胸は膨らむのに下着はコルセット型の鎧みたいなんだもの!  このままじゃ形は崩れるし、胸が垂れる!しかも押しつけられてて常に息苦しいし!
  ショーツなんて、子供から大人まで皆 かぼちゃパンツなんだよ!?  信じられる!?
  全然可愛くないし、それにすっごい蒸れるの!

  お姉様の話だと、夜着としてエロいスケスケのワンピースとかはあるんだって!
  初夜とか男の人を誘惑する時に裸の上に身につける装備らしく、特別な日に着る物なんだってさ。

  いや、それな普段不必要な物よりも日常的に絶対に必要な下着のグレードアップしようよ!

  15歳越えた辺りで耐えきれなくなった私は下着だけは何とかしようって決めた!

  でも私じゃ衣服の作り方なんて知らないし。
  そもそも淑女として刺繍のやり方しか習ってないのにいきなりブラとショーツなんて難易度が高すぎる。
  そこで過ごしやすくて可愛い下着の制作の相談をシスターにした。

  これまでも孤児院の手伝いとして料理・洗濯・掃除などを教えてもらったりしていたから、シスターは私が苦手な料理の相談かと思っていたらしく、私の相談内容に最初は驚いていた。

  でも孤児達の衣服を繕ったり、時には自分で洋服を作るシスターに縫い物はお手の物で、私の拙い説明の元、試行錯誤して可愛らしい刺繍のある、それもワイヤーの入ったブラとショーツを作り出してくれた。

  完成品をこっそりお母様とお姉様にみせると、
「え!?  可愛いわね。……これが下着なのかしら?」
「ちょっとえっちな気がするけど、着心地も良さそう。」
  と好評価を貰った。更に試着してもらうと、そのワイヤーの威力に二人は驚いていた。

「え!?  こ、これは凄いわ!  何だか、グっ!って持ち上げられているわね!」

「息苦しくもないし、肩への負担も軽くなった気がするわ!」

  そして新しい下着の魅力を知ったお母様とお姉様はブラとショーツを国をあげて作成した。そしてブラとショーツが王族貴族だけでなく、平民にまで広がり我が国の女性用下着問題は解決され、一大事業とまでなった。

  最近では他国もブラとショーツを取り入れ始めているとか……。  

  その後もちょっとした私の頼み事をちょくちょく聞いてくれるシスターは良き相談相手かつ、私の尊敬する仕立て屋なのだ。

「それで今回はどんなご依頼でしょうか?  そろそろ寒い季節ですから、新しい毛糸のパンツですか?」

「そ、それは……また別の機会にお願い致します。」

  暑がりで寒がりな私の体を知っているシスターは冬になると『腹巻き付き毛糸のパンツ』を私が愛用する知っており、新しいのを作成に来たのかと思ったらしい。

  因みにこの『腹巻き付き毛糸のパンツ』も頼み込んでシスターに作ってもらった品だ。

  だって、秋冬になるとすっごい寒いんだもの。
  それなのにドレスは着なきゃいけないし、タイツもないんだよ!  もうお腹が耐えられなくて……

  そこで出来たのが、『腹巻き付き毛糸のパンツ』と『毛糸のモコモコ靴下』だった。

  しかも例の如く、同じ悩みを抱えていたお母様とお姉様がとても気に入って下さり、我が国に新たなブームが密かに到来した。
  男性には明かされない、女性だけの流行となった。

「本日は今までとは違う、治療院にいらっしゃる患者さんの為の『医療用コルセット』の制作の依頼なのです。」

「医療用コルセット?  コルセットとは令嬢達がドレスを着る時に体型をよく見せる、アレでしょうか?」

「ええ、それと似たような物です。ですが『医療用コルセット』はウエストを細める物ではなく、腰痛のある患者さんのサポートになれるように、お腹から腰にかけて固定する物と考えてます。」

「お腹から腰にかけて固定するコルセットですか……」

  今までの依頼とは違い医療用だからか、難しい顔で考え込むシスター。

  紙に何やらサラサラと書き込み、唸っている。

  具体的なイメージは先程伝えたから、それを元に色々と案を考えてくれているのだろう。

  なるべく生地は柔らかくて伸縮性のある素材それか通気性の良い素材、腰の姿勢やサポートができる芯のような部分をつくる事、締め付けは苦しくない程度で、自分で調節出来るようにする事。

  私が伝えたのはこんな感じかな……
  あとは試作品を作って改良を重ねるんだけど、その調査は子供達に任せてみようかと思うの。

  任意で引き受けてくれる腰痛持ちのテスターに、試作品とアンケート 注意事項の紙を手渡す役目。
  
  テスターは治療院で声かけて引き受けてくれた人にお願いするとして、シスターの試作品が出来上がり次第子供達に届けてもらうの。それがあの子達の仕事。

  あとは生産ルートと販売ルートの確立だよね。
  今回はもうお母様やお姉様の力は頼れないし、自分の力で何とかするしかないんだけど……

  どうしようかな……。
  
  
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