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第二十八節「疑念の都 真実を求め空へ 崩日凋落」
~SIDE小嶋-02 覗き見える思惑~
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時はほんの少し遡り……
現在時刻 日本時間16:11......
総理官邸。
公務室では先程と相変わらずのデスクに座る小嶋の姿があった。
しかし先程よりも険しい顔付きで、備えられた通話器で話し合う様子が伺える。
モニターに映る通話先は非通知だ。
『―――例のアレですがね、既に十一体は稼働可能な状態にありますよぉ……ひひ』
「そうですか……よくそこまで完成にこじつけてくれましたね、感謝します」
総理大臣と話すには不釣り合いな程に、話す相手の声色はどこか怪しげな雰囲気を醸し出す。
だが相手の口調など構う事無く、小嶋自身はいつもと何ら変わる事無い態度で返していた。
「タイミング的には申し分ありませんね。 では早速ですが念の為にそれを使う事にしましょう。 ではまず一体を……福留に差し向けてください。 例のブツを渡していますので、それの回収もお忘れなく」
『あぁ~彼は用済みって訳ですか、手厳しいですなぁ……そうならないように気を付けなければならないですねぇ……あ、派遣の件は了解しましたぁ』
「貴方程の有能な者を切るなんて事はしませんから安心してください。 それと私の護衛に三体……やはり、福留氏の件では保険で追加二体を起動可能状態で待機させておいてください。 残りは……貴方の護衛用で」
『あいわかりましたぁ』
「この後私は海外に飛びますので、貴方も準備出来次第合流するようにしてください。 では……」
小嶋の言葉を最後に通話は止まり、モニターが映す画像が暗転する。
それを見計らった様に……平野が声を上げた。
「先生、続報が入りました。 田中茶奈と思わしき人物が東京湾方面へと飛び去って行ったそうです」
「そうですか……まぁそれは想定の範囲内です。 どこへ逃げようが我々には何の影響もありませんから。 例え、彼女と共に藤咲勇が居たとしても……」
小嶋が不敵な笑みを浮かべ、鼻で笑う様に「フッ」という声を漏らす。
そんな様子の彼女を前に、平野もまた無表情で頷きながら言葉を連ねた。
「それとカラクラ殲滅の部隊は滞りなく出発、予定通りであれば今夜中には作戦完了する見通しです」
「そちらは現地指揮にお任せします。 滞りなく事を進める様伝えておいてください。 それと……警察関係者に、田中茶奈の制約違反の罪状で藤咲家人を確保するよう通達願います」
「拝承致しました。 外遊の件ですが、後2時間ほどで飛行機の準備が整うそうですので、それに合わせて準備をお願い致します」
「そうですか。 そちらは出来る限りの時間短縮を通達しておいてください」
小嶋が一通り指示を伝えると……平野は全てを受け取り、指示通りに各部署へと通達を送る。
全ては彼女の思惑通りだった。
渋谷の件は別として……茶奈が国外へ出て行く事も、カラクラの里の殲滅も。
茶奈が休暇を取る日に合わせて、全ては動き始めていたのだろう。
しかしそれでも未だ小嶋の真意は計れない。
彼女を取り巻く何かが動き始める。
その意思が望む目的を知る者は果たして居るのだろうか……。
現在時刻 日本時間16:11......
総理官邸。
公務室では先程と相変わらずのデスクに座る小嶋の姿があった。
しかし先程よりも険しい顔付きで、備えられた通話器で話し合う様子が伺える。
モニターに映る通話先は非通知だ。
『―――例のアレですがね、既に十一体は稼働可能な状態にありますよぉ……ひひ』
「そうですか……よくそこまで完成にこじつけてくれましたね、感謝します」
総理大臣と話すには不釣り合いな程に、話す相手の声色はどこか怪しげな雰囲気を醸し出す。
だが相手の口調など構う事無く、小嶋自身はいつもと何ら変わる事無い態度で返していた。
「タイミング的には申し分ありませんね。 では早速ですが念の為にそれを使う事にしましょう。 ではまず一体を……福留に差し向けてください。 例のブツを渡していますので、それの回収もお忘れなく」
『あぁ~彼は用済みって訳ですか、手厳しいですなぁ……そうならないように気を付けなければならないですねぇ……あ、派遣の件は了解しましたぁ』
「貴方程の有能な者を切るなんて事はしませんから安心してください。 それと私の護衛に三体……やはり、福留氏の件では保険で追加二体を起動可能状態で待機させておいてください。 残りは……貴方の護衛用で」
『あいわかりましたぁ』
「この後私は海外に飛びますので、貴方も準備出来次第合流するようにしてください。 では……」
小嶋の言葉を最後に通話は止まり、モニターが映す画像が暗転する。
それを見計らった様に……平野が声を上げた。
「先生、続報が入りました。 田中茶奈と思わしき人物が東京湾方面へと飛び去って行ったそうです」
「そうですか……まぁそれは想定の範囲内です。 どこへ逃げようが我々には何の影響もありませんから。 例え、彼女と共に藤咲勇が居たとしても……」
小嶋が不敵な笑みを浮かべ、鼻で笑う様に「フッ」という声を漏らす。
そんな様子の彼女を前に、平野もまた無表情で頷きながら言葉を連ねた。
「それとカラクラ殲滅の部隊は滞りなく出発、予定通りであれば今夜中には作戦完了する見通しです」
「そちらは現地指揮にお任せします。 滞りなく事を進める様伝えておいてください。 それと……警察関係者に、田中茶奈の制約違反の罪状で藤咲家人を確保するよう通達願います」
「拝承致しました。 外遊の件ですが、後2時間ほどで飛行機の準備が整うそうですので、それに合わせて準備をお願い致します」
「そうですか。 そちらは出来る限りの時間短縮を通達しておいてください」
小嶋が一通り指示を伝えると……平野は全てを受け取り、指示通りに各部署へと通達を送る。
全ては彼女の思惑通りだった。
渋谷の件は別として……茶奈が国外へ出て行く事も、カラクラの里の殲滅も。
茶奈が休暇を取る日に合わせて、全ては動き始めていたのだろう。
しかしそれでも未だ小嶋の真意は計れない。
彼女を取り巻く何かが動き始める。
その意思が望む目的を知る者は果たして居るのだろうか……。
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