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第十七節「厳しき現実 触れ合える心 本心大爆発」
~ユウワク リジーシア~
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「入口と思われる門に到達しました、これから作戦を始めます」
瀬玲が手軽く報告を済ませると、途端に勇達の表情から余裕が消えた。
壁に埋まる形で備わった3メートル程もあろう大きな扉と思われるモノを勇達が探る。
現地の植物と同化したであろうその扉にはしっかりと枝を切った輪切りの跡が残っており、人気が有る事を悟らせた。
「どう?」
「多分中で鍵を掛けてるんだと思う、ちょっとやそっとじゃ動きそうにない」
「ぶっ壊しちゃえばいいじゃん」
「それはダメだって師匠言ってたでしょ」
よほど仕掛けがしっかりしているのだろう、命力を込めて押し引きするが僅かにガタ付くだけでビクともしない。
開始間際のトラブルに、相談し合うも埒が明かず。
「ノックしてみた?」
「……トイレかよ……まだしてない」
ズンズン!!
命力を僅かに込めて扉を叩くが、鈍い音が響くだけでビクともしない事には変わりなく、別段反応がある訳でもなかった。
「入ってませーん……ってか?」
「勇、それ笑えない……」
2年間も塀の中で過ごす……それはよほどの備蓄があるか、中で栄えているか……もしどちらでもなければ中に居る人間は既に……そう考えれば冗談にもならない。
仮にそうであればこの様に要請が来る訳は無いのではあろうが。
「仕方ない……壊すしかないか」
勇は「ハァ」と溜息を洩らすと、そっと背中に携えたアラクラルフを手に取り……背中に抱えたままその力を篭める。
「スゥー……フゥー……!!」
一呼吸をすると……勇の体から僅かに命力が立ち上り、ゆらりと魔剣へと伝わっていく。
その刀身へ命力が満遍なく伝わると……その右足を滑らせて腰を落とし、力強く身構えた。
「行くぞ……!!」
その瞬間―――
バァーーーーーンッ!!
「ようこそいらっしゃいましたぁ~~~!!」
突然聞こえてきたのは……揚々とした明るい声。
「……は?」
扉が大きな音を立てて勢いよく上がり……突如、扉の奥に居たであろう大勢の人々が大手を振って彼等を歓迎する様に出迎えたのだ。
「魔剣使い様!! ようこそリジーシアへ!! 我ら一同貴方様方を心より歓迎致しまぁーーーすっ!!」
予想外も予想外……そんな状況に、四人揃って茫然と目を丸くしていた。
だがそんな戸惑う彼等に、リジーシアの人々が更なる行動を起こす。
「魔剣使い様っ!! さぁこちらへどうぞぉ~」
そこに現れたのは勇達側からしても麗しく見える程の美女軍団。
その可愛い面立ち、スタイル抜群の体付きを前面に押し出した格好の10人程の彼女達が「ずずい!!」と勇の前にやってきた。
「まぁっ、逞して素敵なお体っ!!」
「きゃあ!! すごぉーい!!」
「さすが魔剣使い様……ステキですぅ!!」
「え、え? ええ!? そ、そうかな?」
猛烈な美女達の猛攻を前に、勇が思わず頬を赤く染める。
先程の凛々しい顔付きはどこへ行ったのか……その顔は既ににやけきっており、すっかり彼女達の雰囲気に飲み込まれていた。
「魔剣使い様……お名前を教えて下さりませんかぁ?」
「ふ、ふじさきゆうって言います……」
「あぁーん、素敵な名前ですぅ!!」
美女の一人が感極まり勇の腕に抱き着くと……その豊満で柔らかい胸が彼の腕に纏わりつき、快感とも言える初めての感触に勇の心臓が今までにない鼓動を立てる。
「うわ……あぁ……うへへ……」
そんな一瞬で堕落した勇の事を座った目で見るアンディとナターシャ。
「……何あれ」
「おししょ……」
状況がわからず目が点のままのアンディを他所に、瀬玲とナターシャの呆れの視線が勇に知られずとも突き刺さる。
だがそんな二人の前に突如新たな人影がズララァーっと姿を現した。
「ようこそ、お嬢様方……華の都、リジーシアへ!!」
そこに現れたるは瀬玲とナターシャから見てもイケメン&イケメンの列。
彼等の容姿を見た途端、面食いの瀬玲の目が一瞬にしてハートマークへと切り替わった。
「貴女の様な素敵な方と出会えた事は……我々にとっては空に輝く星を掴むが如き奇跡……この奇跡を掴んだ俺達の想い、受け取ってくれませんか?」
「是非ィイイイイイイ!!!!」
瀬玲、一発KO。
普通の人からすればクサい台詞であろうその一言も、愛に飢える彼女からしてみればハート直撃とも言える一言だったのだ。
ナターシャもまた……年頃の女の子。
顔を真っ赤にした彼女を囲む多彩なイケメン達を前に、「ああっ、あああっ!?」と彼等をしきりに見回しながら慌てる事しか出来なかった。
「フジサキユウ様ぁ、こちらへどうぞいらしてくださぁい!!」
「セリ様、ボクらの園へご案内いたします!!」
「ナターシャちゃん、君を歓迎するよ」
美男美女に囲まれ、勇達は男女に別れ離れ離れになりながらリジーシアへと迎え入れられていく。
そしてアンディはと言えば……未だ状況が飲み込めず、美女に誘われるものの「オイラそれよりお腹減ったよ」と呟き、彼女達を困らせながらも領地内へと足を踏み入れていった。
彼等を迎え入れると、その大きく重い扉がゆっくりと閉まっていく。
途端に大きな「ズズン」という音が鳴り響き、扉の勢いが止まる。
続いて重厚かつ多重の楔が次々と仕掛けられて「ガガンガガン」と打ち鳴らし……その扉は再びその頑丈さを再現したのであった。
瀬玲が手軽く報告を済ませると、途端に勇達の表情から余裕が消えた。
壁に埋まる形で備わった3メートル程もあろう大きな扉と思われるモノを勇達が探る。
現地の植物と同化したであろうその扉にはしっかりと枝を切った輪切りの跡が残っており、人気が有る事を悟らせた。
「どう?」
「多分中で鍵を掛けてるんだと思う、ちょっとやそっとじゃ動きそうにない」
「ぶっ壊しちゃえばいいじゃん」
「それはダメだって師匠言ってたでしょ」
よほど仕掛けがしっかりしているのだろう、命力を込めて押し引きするが僅かにガタ付くだけでビクともしない。
開始間際のトラブルに、相談し合うも埒が明かず。
「ノックしてみた?」
「……トイレかよ……まだしてない」
ズンズン!!
命力を僅かに込めて扉を叩くが、鈍い音が響くだけでビクともしない事には変わりなく、別段反応がある訳でもなかった。
「入ってませーん……ってか?」
「勇、それ笑えない……」
2年間も塀の中で過ごす……それはよほどの備蓄があるか、中で栄えているか……もしどちらでもなければ中に居る人間は既に……そう考えれば冗談にもならない。
仮にそうであればこの様に要請が来る訳は無いのではあろうが。
「仕方ない……壊すしかないか」
勇は「ハァ」と溜息を洩らすと、そっと背中に携えたアラクラルフを手に取り……背中に抱えたままその力を篭める。
「スゥー……フゥー……!!」
一呼吸をすると……勇の体から僅かに命力が立ち上り、ゆらりと魔剣へと伝わっていく。
その刀身へ命力が満遍なく伝わると……その右足を滑らせて腰を落とし、力強く身構えた。
「行くぞ……!!」
その瞬間―――
バァーーーーーンッ!!
「ようこそいらっしゃいましたぁ~~~!!」
突然聞こえてきたのは……揚々とした明るい声。
「……は?」
扉が大きな音を立てて勢いよく上がり……突如、扉の奥に居たであろう大勢の人々が大手を振って彼等を歓迎する様に出迎えたのだ。
「魔剣使い様!! ようこそリジーシアへ!! 我ら一同貴方様方を心より歓迎致しまぁーーーすっ!!」
予想外も予想外……そんな状況に、四人揃って茫然と目を丸くしていた。
だがそんな戸惑う彼等に、リジーシアの人々が更なる行動を起こす。
「魔剣使い様っ!! さぁこちらへどうぞぉ~」
そこに現れたのは勇達側からしても麗しく見える程の美女軍団。
その可愛い面立ち、スタイル抜群の体付きを前面に押し出した格好の10人程の彼女達が「ずずい!!」と勇の前にやってきた。
「まぁっ、逞して素敵なお体っ!!」
「きゃあ!! すごぉーい!!」
「さすが魔剣使い様……ステキですぅ!!」
「え、え? ええ!? そ、そうかな?」
猛烈な美女達の猛攻を前に、勇が思わず頬を赤く染める。
先程の凛々しい顔付きはどこへ行ったのか……その顔は既ににやけきっており、すっかり彼女達の雰囲気に飲み込まれていた。
「魔剣使い様……お名前を教えて下さりませんかぁ?」
「ふ、ふじさきゆうって言います……」
「あぁーん、素敵な名前ですぅ!!」
美女の一人が感極まり勇の腕に抱き着くと……その豊満で柔らかい胸が彼の腕に纏わりつき、快感とも言える初めての感触に勇の心臓が今までにない鼓動を立てる。
「うわ……あぁ……うへへ……」
そんな一瞬で堕落した勇の事を座った目で見るアンディとナターシャ。
「……何あれ」
「おししょ……」
状況がわからず目が点のままのアンディを他所に、瀬玲とナターシャの呆れの視線が勇に知られずとも突き刺さる。
だがそんな二人の前に突如新たな人影がズララァーっと姿を現した。
「ようこそ、お嬢様方……華の都、リジーシアへ!!」
そこに現れたるは瀬玲とナターシャから見てもイケメン&イケメンの列。
彼等の容姿を見た途端、面食いの瀬玲の目が一瞬にしてハートマークへと切り替わった。
「貴女の様な素敵な方と出会えた事は……我々にとっては空に輝く星を掴むが如き奇跡……この奇跡を掴んだ俺達の想い、受け取ってくれませんか?」
「是非ィイイイイイイ!!!!」
瀬玲、一発KO。
普通の人からすればクサい台詞であろうその一言も、愛に飢える彼女からしてみればハート直撃とも言える一言だったのだ。
ナターシャもまた……年頃の女の子。
顔を真っ赤にした彼女を囲む多彩なイケメン達を前に、「ああっ、あああっ!?」と彼等をしきりに見回しながら慌てる事しか出来なかった。
「フジサキユウ様ぁ、こちらへどうぞいらしてくださぁい!!」
「セリ様、ボクらの園へご案内いたします!!」
「ナターシャちゃん、君を歓迎するよ」
美男美女に囲まれ、勇達は男女に別れ離れ離れになりながらリジーシアへと迎え入れられていく。
そしてアンディはと言えば……未だ状況が飲み込めず、美女に誘われるものの「オイラそれよりお腹減ったよ」と呟き、彼女達を困らせながらも領地内へと足を踏み入れていった。
彼等を迎え入れると、その大きく重い扉がゆっくりと閉まっていく。
途端に大きな「ズズン」という音が鳴り響き、扉の勢いが止まる。
続いて重厚かつ多重の楔が次々と仕掛けられて「ガガンガガン」と打ち鳴らし……その扉は再びその頑丈さを再現したのであった。
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