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第76話 新学期がやってきた!
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楽しい夏休みがとうとう終わってしまった。
色々とイベントが多過ぎて目まぐるしい一か月だったな。
でもそのおかげでモヤモヤして正体のわからなかった気持ちも解決した。
今ではつくしと手を握り合って登校するという進展っぷりだ。
「やあ間宮君、久しぶり!」
「おはよう、緒方君」
それで教室にやってくればクラスの懐かしい面々がまた姿を見せてくれる。
席に着けば緒方君もこうして声をかけてきてくれたし、二学期が来たなぁって感じがするな。
とはいえ、教室は別の事で大盛り上がりな訳だけど。
「オーホッホッホ! わたくしとルームメイトとなれる事を誇りに思いなさぁい!」
「「「おおおーっ! 本物の司条遥だーっ!」」」
「違いますわ! わたくしこそドブ川の女王、ドブ川遥ですわーっ!!」
またやってるよ。どこでも見境ないなアイツ。
そういえば遥も俺達と同じクラスに編入したんだっけか。
それにしたってみんな騒ぎ過ぎだろう。
ま、おかげで注目が彼女に移りっきりだから俺的には静かでいいんだけどな。
「やっぱり司じょ――ドブはるさんの人気はすごいね」
「ドブはるさん。今そう呼ばれてるんだなアイツ」
「うん、前よりずっと砕けた感じがして割とウケがいいみたい。元々人気だったからね、前とのギャップもすごくて新しいファンも増えてるんだって」
さすがだな、遥は。
まさか最悪なまでの評判をここまで持ち返すなんて。
「アイツそこまで人気だったの?」
「そりゃそうだよ! だってナンバーワンだし、戦い方も美しいし、参戦当初は小学四年生だったのに、それでも恐れずに敵に立ち向かう。ダンジョン攻略を見る僕らにとってはヒーローみたいなものだったんだからさ!」
ヒーローねぇ。女子なんだけど。
とはいえ、そういう性別とかを乗り越えた格好良さがあったんだろう。
一部のクラス女子も盛り上がりをみせているくらいだし。
「あ、そうだ! ねぇねぇ間宮君、ちょっと自慢していい?」
「え、別にいいけど……?」
ん、唐突になんだろう?
謙虚な緒方君が自慢なんて珍しい。
なんだ、通学鞄とは別の大きな鞄から何か取り出した。
おお、なんだかすごいデカい物が出てきたんだが!?
「へへ、これね、ビューチューバーも使う事があるくらいの結構高いビデオカメラなんだ!」
「おおー、すごいな! かっこいいし高そう!」
「うん! 実は兄さんが新しい機材買うからって、お古のこの機材を譲ってもらったんだよ!」
ほうほう、いい兄を持っているんだなぁ緒方君は。
お高い機材を譲ってくれるなんて、きっと仲の良い兄弟なんだろう。
そういえばすえつぐも動画で「機材を買い換えました! 古い機材は弟に譲渡する予定でーす!」とか言ってたし、兄弟ってきっとこれが普通なんだろうなぁ。
いいなぁ兄弟。一人っ子の俺にはうらやましい話だ。
「そ、それでね間宮君、実はお願いがあって……」
「うん?」
「もしよかったらなんだけど、この機材でダンジョン部の映像を撮らせてくれないかな? も、もちろん動画投稿サイトには載せないからさ」
「それならいいんじゃないかな? 収益化すると色々うるさいみたいだけど、個人用なら別に平気だと思うよ」
「ホント!?」
「うん、部長に聞いてみるからあとで一緒に部室行こう」
「やった! ありがとう!」
緒方君、なんか思った以上に喜んでくれているみたいだ。
キラッキラでピュアッピュアな笑顔がとても眩しい。
俺はなんとなしに応えたつもりなんだけどね……。
――と、そんな訳で放課後。
承諾した以上は裏切りたくない。
なのでつくしと緒方君を連れて部室へと赴いた。
そうしたら遥がすでに部屋の中でソファーに座っていた。
あと澪奈部長やモモ先輩が部屋の隅においやられている。何があったの。
「あ、彼方っち達来たねぇ」
「ども。どうしたんっすか、そんな端で」
「いやね、本当に遥がウチの学校に編入してくるとか思わなかったからさぁ」
「寝耳に水魔術……くふふ、びっくりね」
まぁ二人はまだ遥に慣れてないもんなぁ。
澪奈部長もすでに二回ほど共闘はしてるはずなのだけれど。
「やはりわたくしの存在感が引き立つゆえの事でしょうね、ふふっ」
遥は遥で優雅にお紅茶を嗜んでいらっしゃるようだし。
……あ、違う。
この香りはただの白湯だ。リーズナブル!
「ところで部長、実は友達が個人的に動画撮りたいらしいんで連れてきたんですけど――」
「あ、ヒロ君じゃーん、久しぶりぃ!」
「早矢川先輩ど、どうも」
「あれ、二人とも知り合いだったの?」
「うん、こないだちょっと会ってねぇ」
「実は兄さんが家に招待したみたいで、その時に会ったんだよ」
ほう……澪奈部長、緒方君の兄とも仲が良いとは。
これはすえつぐに意外なライバルが現れたようだぞ、あいつ大丈夫か~?
「それで動画の方は――」
「いいんじゃん? 収益化したらソッコーで徴収すっけどォ」
「そこんとこは容赦ないんすね」
「とーぜん! ルールは守らないとねぇ~♪」
「澪奈パイセン、お金が絡むとあたしらよりうるさいよね!」
「つくし、言い方ァ!」
ま、まぁ動画に関しては問題無いかな。
緒方君がルールを破るような奴には見えないし。
むしろ今のメンバー達の反応の方がずっと心配だよ……。
色々とイベントが多過ぎて目まぐるしい一か月だったな。
でもそのおかげでモヤモヤして正体のわからなかった気持ちも解決した。
今ではつくしと手を握り合って登校するという進展っぷりだ。
「やあ間宮君、久しぶり!」
「おはよう、緒方君」
それで教室にやってくればクラスの懐かしい面々がまた姿を見せてくれる。
席に着けば緒方君もこうして声をかけてきてくれたし、二学期が来たなぁって感じがするな。
とはいえ、教室は別の事で大盛り上がりな訳だけど。
「オーホッホッホ! わたくしとルームメイトとなれる事を誇りに思いなさぁい!」
「「「おおおーっ! 本物の司条遥だーっ!」」」
「違いますわ! わたくしこそドブ川の女王、ドブ川遥ですわーっ!!」
またやってるよ。どこでも見境ないなアイツ。
そういえば遥も俺達と同じクラスに編入したんだっけか。
それにしたってみんな騒ぎ過ぎだろう。
ま、おかげで注目が彼女に移りっきりだから俺的には静かでいいんだけどな。
「やっぱり司じょ――ドブはるさんの人気はすごいね」
「ドブはるさん。今そう呼ばれてるんだなアイツ」
「うん、前よりずっと砕けた感じがして割とウケがいいみたい。元々人気だったからね、前とのギャップもすごくて新しいファンも増えてるんだって」
さすがだな、遥は。
まさか最悪なまでの評判をここまで持ち返すなんて。
「アイツそこまで人気だったの?」
「そりゃそうだよ! だってナンバーワンだし、戦い方も美しいし、参戦当初は小学四年生だったのに、それでも恐れずに敵に立ち向かう。ダンジョン攻略を見る僕らにとってはヒーローみたいなものだったんだからさ!」
ヒーローねぇ。女子なんだけど。
とはいえ、そういう性別とかを乗り越えた格好良さがあったんだろう。
一部のクラス女子も盛り上がりをみせているくらいだし。
「あ、そうだ! ねぇねぇ間宮君、ちょっと自慢していい?」
「え、別にいいけど……?」
ん、唐突になんだろう?
謙虚な緒方君が自慢なんて珍しい。
なんだ、通学鞄とは別の大きな鞄から何か取り出した。
おお、なんだかすごいデカい物が出てきたんだが!?
「へへ、これね、ビューチューバーも使う事があるくらいの結構高いビデオカメラなんだ!」
「おおー、すごいな! かっこいいし高そう!」
「うん! 実は兄さんが新しい機材買うからって、お古のこの機材を譲ってもらったんだよ!」
ほうほう、いい兄を持っているんだなぁ緒方君は。
お高い機材を譲ってくれるなんて、きっと仲の良い兄弟なんだろう。
そういえばすえつぐも動画で「機材を買い換えました! 古い機材は弟に譲渡する予定でーす!」とか言ってたし、兄弟ってきっとこれが普通なんだろうなぁ。
いいなぁ兄弟。一人っ子の俺にはうらやましい話だ。
「そ、それでね間宮君、実はお願いがあって……」
「うん?」
「もしよかったらなんだけど、この機材でダンジョン部の映像を撮らせてくれないかな? も、もちろん動画投稿サイトには載せないからさ」
「それならいいんじゃないかな? 収益化すると色々うるさいみたいだけど、個人用なら別に平気だと思うよ」
「ホント!?」
「うん、部長に聞いてみるからあとで一緒に部室行こう」
「やった! ありがとう!」
緒方君、なんか思った以上に喜んでくれているみたいだ。
キラッキラでピュアッピュアな笑顔がとても眩しい。
俺はなんとなしに応えたつもりなんだけどね……。
――と、そんな訳で放課後。
承諾した以上は裏切りたくない。
なのでつくしと緒方君を連れて部室へと赴いた。
そうしたら遥がすでに部屋の中でソファーに座っていた。
あと澪奈部長やモモ先輩が部屋の隅においやられている。何があったの。
「あ、彼方っち達来たねぇ」
「ども。どうしたんっすか、そんな端で」
「いやね、本当に遥がウチの学校に編入してくるとか思わなかったからさぁ」
「寝耳に水魔術……くふふ、びっくりね」
まぁ二人はまだ遥に慣れてないもんなぁ。
澪奈部長もすでに二回ほど共闘はしてるはずなのだけれど。
「やはりわたくしの存在感が引き立つゆえの事でしょうね、ふふっ」
遥は遥で優雅にお紅茶を嗜んでいらっしゃるようだし。
……あ、違う。
この香りはただの白湯だ。リーズナブル!
「ところで部長、実は友達が個人的に動画撮りたいらしいんで連れてきたんですけど――」
「あ、ヒロ君じゃーん、久しぶりぃ!」
「早矢川先輩ど、どうも」
「あれ、二人とも知り合いだったの?」
「うん、こないだちょっと会ってねぇ」
「実は兄さんが家に招待したみたいで、その時に会ったんだよ」
ほう……澪奈部長、緒方君の兄とも仲が良いとは。
これはすえつぐに意外なライバルが現れたようだぞ、あいつ大丈夫か~?
「それで動画の方は――」
「いいんじゃん? 収益化したらソッコーで徴収すっけどォ」
「そこんとこは容赦ないんすね」
「とーぜん! ルールは守らないとねぇ~♪」
「澪奈パイセン、お金が絡むとあたしらよりうるさいよね!」
「つくし、言い方ァ!」
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