【完結】可愛い義妹のためならば 〜超絶シスコン兄貴の異世界無双〜

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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 のたうち回るオークにぶつからないように、ロングソードで何度も斬りつけていく。
 オークのブヨついた肉は柔らかく、容易く斬れる。
 見る内にオークの身体に紅い傷痕が刻まれていく。

 ……けっこうしぶといな、これだけ斬っても致命傷たり得ないとは。
 すると、オークがのたうち回るのをやめ、ゆらりと起き上がる。

 痛めつけられたことに激昂するか……と思いきや、低く唸って慎重に槍を構えている。
 ……そう言えば聞いたことあるな。
 手負いの草食動物は、時に肉食動物すら撃退するほど獰猛になるのだと。

 つまり、このオークは手負い状態。
 生存のために俺と言う害敵の排除に必死になるだろう。
 絶命を確認するまで、気は抜けないな。

「動きが鈍っている今なら……!」

 ってシャル!?
 手負いの相手になに迂闊に近付こうとしてるんだ!?

「待てシャルッ、今のヤツに近付くな!!」

 しかし俺の制止の声は遅すぎた。
 オークは迂闊にも近付いてきたシャルを睨みつけると、素早く槍の向きを変えていた。

「間に合えッ!!」

 俺は瞬時に魔法陣を顕現、鉄砲水をオークに放つ。
 槍の穂先がシャルの胸を貫く――

 ――寸前に鉄砲水がオークの横腹に炸裂し、重心がブレたオークの槍は、シャルの左脇のすぐ下を通り抜けた。

「ひぅっ!?」

 よろけたオークは、忌々しげに俺に怒りの視線を向けるが、

「シ ャ ル に 何 し て ん だ テ メ ェ」

 それよりも先に俺はオークの顔の前に飛び掛かって、ロングソードを思いっきり力任せに振り降ろす。
 ズブグチャ、と言う何かが潰れたような感覚が、ロングソードの柄を通じて俺に伝わる。
 多分、脳を潰したんだろう。
 その証左として、オークは断末魔を上げることなく、前頭辺りから薄紅色の噴水を放出しながら倒れた。汚え噴水だ。
 だが俺はオークの絶命よりも確かめなければならないことがある。

「シャル!怪我はないか!?」

 ロングソードをその場に放って、尻餅をついているシャルへ駆け寄る。

「は、はひっ、大じょぶ、です……」

 大じょぶのようだ。
 もしシャルに傷を負わせていたら、火球でヤツを黒豚にしてやるところだったよ。

「そうか、なら良かった」

 シャルの手を取り、ぐっと立ち上がらせる。

 隠れてもらっていた商人や冒険者さん達に、オークを撃破した旨を伝えれば、揃って感謝されまくった。

 どうやら彼らはサダルスウドに立ち寄って、そこからまた別の地へ移動するところにオークの襲撃を受けたらしい。

 一度サダルスウドまで戻って体勢を立て直すらしいので、俺とシャルはそれに便乗し、応急修理だけした馬車に乗せてもらった。
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