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第十三 算数ドリル その二

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バーベキューの準備は楽しかった。

俺も含めて全員、他者との直接的な触れ合いに飢えていたのだ。

肉も上質な肉であり、味と食べ応えがしっかりとしている。

即ち美味しいと言わざるをえない。

皆が笑顔で過ごしている。

楽しいな、こんな時間がいつまでも続けばいいのに。

しかし俺の願いはかなわない。

楽しい事も悲しい事もやがては終わりがやってくる。

生きていればこそ、終わりを実感する事が出来るのだ。

何としても勝ち残ろう。

楽しい三時間は、一気に過ぎてしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

案内された場所は教室らしき空間。

五台の机と椅子、教卓が一台のみ。

五番の机に着席した。机上には筆記用具が置いてある。

他の四人も着席した。

アナウンス「五問の算数ドリルを解いて貰う。
      勝ち抜けの人数制限は無し。
      他の参加者との相談、移動も可能とする。
      他者への妨害は失格、脱落とする」

天井からマジックハンドが出て来て、各机へ裏向きに問題用紙を置いた。

アナウンス「制限時間は三分間。
      一問正解で勝ち抜けとする。
      以上、競技開始」

巨大な電光掲示板が出現し、カウントダウンをしている。

問題用紙を表にし、問題に取り掛かった。

三桁同士の掛け算が五問ならんでいる。

難しくはなさそうだ。

空白に筆算を書き、一分程で五問を答え終えた。

割と簡単だったな。

これなら全問正解で勝ち抜け出来そうだ。

でも小学生にしたら難しいのか、此処にはいないけど。

なんとなく机の引き出しをみると、電卓が置かれていた。

罠かな、使ったら失格かも、一応聞いてみよう。

「運営の方、電卓を使ってもいいんですか?」

俺に視線が集中するのが分かった。

アナウンス「使用を許可する」

「ありがとうございます」

他の三人も引き出しから、電卓を取り出した。

何故か、四番の引き出しには電卓が無かったらしい。

電卓で検算し、五問共正解しているのを確認した。

もう使わないだろうしな。

立ち上がり移動し、四番に電卓を渡すと、お礼を言われた。

残り時間は一分を切っている。

何で電卓が一つ足りなかったんだろう?

教卓にでも入れ忘れてるのかもな。

教卓を調べると、電卓と用紙が一枚あった。

電卓は俺が使ったのと同じ代物。

用紙を確認する。

・ルール説明。
・五問の算数ドリルを解いて貰う。
・勝ち抜けの人数制限は無し。
・他の参加者との相談、移動も可能とする。
・他者への妨害は失格、脱落とする。
・電卓の使用、譲渡、は可能。
・制限時間は三分間。
・一問正解で勝ち抜けとする。
・               以上。

??????????違和感がある。

残り時間は二十秒を切っている。
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