53 / 74
42.我等が天使の幸せ。
しおりを挟む
~モブメイドSide~
私はアーバスノット公爵家のしがないメイドです。
毎日掃除、洗濯、備品の手入れ…その繰り返し。
もうかれこれ15年ほどじゃないでしょうか。このお屋敷では、15年でやっと一人前。それくらい人が長く働いていて、楽しい職場であると自慢できます。
そんな公爵家には、ある暗黙の了解が。
奥方様とルカリオン様には目を合わせてはならない。
そんな約束事があるのです。決して、嫌がらせ目的とかではございません。私達使用人の心の安寧を保つためのものです。
このお二方と目が合うと、あまりの美しさに目が潰れる…そんなことがまことしやかに囁かれております。
実際、おいたわしいことに、ルカリオン様が6歳のとき。誘拐されて心にも身体にも深刻な傷を抱えてお戻りになられたとき。
皆が心配してルカリオン様の部屋周辺の掃除に行く人数が増えておりました。
そのとき、ようやくお部屋から出ることが出来たルカリオン様に、運良くお目にかかることの出来た使用人達がいたのです。
あの愛らしい声音で、『ただいま』と言われるのがもうたまらなくって……いけない、脱線しました。
そのときに目が合った使用人達全員、その場では何とか取り繕えたものの、休憩に入った途端天に召されてしまいました…。私もその一人です。
中には自身の汚物を立てた人間も居ましたが、そいつ達は文字通り天に召しました。ルカリオン様のお目に触れてはなりませんからね。
奥方様も同様です。もう遠くから観るだけでも眩しくて眩しくて。
あぁ…本当に。良い職場です、ここは。
ですが…そのルカリオン様。あの糞王子…失礼しました。
我が屋敷の天使の心を傷つけ自死しようとするまで追い詰めたあのゼイン殿下が…!運命なんですよっ…!!
あの方のどこが良いのか…!
仕事は出来る様ですが、ルカリオン様のことを何一つ分かっていらっしゃらない!
あんなに愛されていらっしゃるのに、どうして私達の天使を泣かせるのか!!
あの、旅行から早めに帰ってこられたと思いきや、屋敷に着いたとたん熱をお出しになられたとき。フースカで何が起きたかを聞いた私達の心を知っておりますか!!
『あの王子許すまじ!』
まあ…結局両想いなのでね。許すも許さないもないのですが。
そんなこんなで色々あったルカリオン様…。
本日、お屋敷を出発されます。
原因はあの王子にあるのでとても腹立たしいですが。
とても、ご立派に成長されました。
私達使用人ともっといたかったとおっしゃってくださり、誠にありがとうございます。
私達使用人一同、ルカリオン様の幸せを第一に願っております。
どうか、お幸せに。
結婚式をするときは屋敷全体の使用人全てを招いて欲しいです!!切実に!!
ルカリオン様のウェディングスーツ見たいです!!
「こら、モーヴィ。ルカリオン様が居なくなったからって手を止めるな!」
「あっ先輩。いえ、あの方の幸せを願っておりました。」
私の肩を叩いたのは20年目の先輩。髭がとても良い感じにセットされていて憧れの人です。
「………はぁ…。本当に、世界一幸せになってほしいよな…。」
「ええ。でも私、ルカリオン様より先に先輩を幸せにします。」
私達はここに16で勤めに来ています。もう先輩も私も30は超え、そろそろ相手が欲しいところ。
「はっ…?!」
「ね、先輩。お互いもういい歳です。私達、相性良いでしょ?結婚しましょうよ。私、先輩を幸せにする自信、あります。」
みるみるうちに顔を赤く染める先輩。可愛い。
「だっ、いや、お前…!あれはっ…!抱かせてくれって言ったから…!」
「でも先輩、気持ちよさそうにして、最後は自分からおしりを―――」
「わああああっ!!やめろやめろ!!それ以上は言うな!!」
ふふ、ルカリオン様の次に幸せにしますよ、先輩。
※※※※※※※※
久しぶりのモブ視点ですが如何でしたでしょうか。
メイドさんね、ここ漢しかいない世界なので漏れなく漢です。
あのワンピースは着ませんよ?普通に燕尾服みたいなやつです。ただ、あのカチューシャみたいな『ホワイトブリム』はつけてます。
ルカちゃんが中々メイドに慣れなかったのはそれが理由です。
屈強な男達がふわふわの可愛いカチューシャをつけてるんです。
いくら幼く常識を知らなかったルカちゃんでも、そのあべこべさを理解するには時間を要しました。
もともとホワイトブリムは髪が落ちてこないようにするものらしいのですが、この世界。髪が長い男、多いんです。
だからそれがあるんですけども。
でもデザインはシンプルで良かったんじゃない?
そう思われる方、いらっしゃるんではないでしょうか。
最初に作ったデザイナーを恨みなさい、メイド達よ…。
完全にデザイナーの趣味でした。
現実では理由はわからないですよ!ここは創作の世界なので!
でも可愛いですよねぇ、あのカチューシャ。
私はアーバスノット公爵家のしがないメイドです。
毎日掃除、洗濯、備品の手入れ…その繰り返し。
もうかれこれ15年ほどじゃないでしょうか。このお屋敷では、15年でやっと一人前。それくらい人が長く働いていて、楽しい職場であると自慢できます。
そんな公爵家には、ある暗黙の了解が。
奥方様とルカリオン様には目を合わせてはならない。
そんな約束事があるのです。決して、嫌がらせ目的とかではございません。私達使用人の心の安寧を保つためのものです。
このお二方と目が合うと、あまりの美しさに目が潰れる…そんなことがまことしやかに囁かれております。
実際、おいたわしいことに、ルカリオン様が6歳のとき。誘拐されて心にも身体にも深刻な傷を抱えてお戻りになられたとき。
皆が心配してルカリオン様の部屋周辺の掃除に行く人数が増えておりました。
そのとき、ようやくお部屋から出ることが出来たルカリオン様に、運良くお目にかかることの出来た使用人達がいたのです。
あの愛らしい声音で、『ただいま』と言われるのがもうたまらなくって……いけない、脱線しました。
そのときに目が合った使用人達全員、その場では何とか取り繕えたものの、休憩に入った途端天に召されてしまいました…。私もその一人です。
中には自身の汚物を立てた人間も居ましたが、そいつ達は文字通り天に召しました。ルカリオン様のお目に触れてはなりませんからね。
奥方様も同様です。もう遠くから観るだけでも眩しくて眩しくて。
あぁ…本当に。良い職場です、ここは。
ですが…そのルカリオン様。あの糞王子…失礼しました。
我が屋敷の天使の心を傷つけ自死しようとするまで追い詰めたあのゼイン殿下が…!運命なんですよっ…!!
あの方のどこが良いのか…!
仕事は出来る様ですが、ルカリオン様のことを何一つ分かっていらっしゃらない!
あんなに愛されていらっしゃるのに、どうして私達の天使を泣かせるのか!!
あの、旅行から早めに帰ってこられたと思いきや、屋敷に着いたとたん熱をお出しになられたとき。フースカで何が起きたかを聞いた私達の心を知っておりますか!!
『あの王子許すまじ!』
まあ…結局両想いなのでね。許すも許さないもないのですが。
そんなこんなで色々あったルカリオン様…。
本日、お屋敷を出発されます。
原因はあの王子にあるのでとても腹立たしいですが。
とても、ご立派に成長されました。
私達使用人ともっといたかったとおっしゃってくださり、誠にありがとうございます。
私達使用人一同、ルカリオン様の幸せを第一に願っております。
どうか、お幸せに。
結婚式をするときは屋敷全体の使用人全てを招いて欲しいです!!切実に!!
ルカリオン様のウェディングスーツ見たいです!!
「こら、モーヴィ。ルカリオン様が居なくなったからって手を止めるな!」
「あっ先輩。いえ、あの方の幸せを願っておりました。」
私の肩を叩いたのは20年目の先輩。髭がとても良い感じにセットされていて憧れの人です。
「………はぁ…。本当に、世界一幸せになってほしいよな…。」
「ええ。でも私、ルカリオン様より先に先輩を幸せにします。」
私達はここに16で勤めに来ています。もう先輩も私も30は超え、そろそろ相手が欲しいところ。
「はっ…?!」
「ね、先輩。お互いもういい歳です。私達、相性良いでしょ?結婚しましょうよ。私、先輩を幸せにする自信、あります。」
みるみるうちに顔を赤く染める先輩。可愛い。
「だっ、いや、お前…!あれはっ…!抱かせてくれって言ったから…!」
「でも先輩、気持ちよさそうにして、最後は自分からおしりを―――」
「わああああっ!!やめろやめろ!!それ以上は言うな!!」
ふふ、ルカリオン様の次に幸せにしますよ、先輩。
※※※※※※※※
久しぶりのモブ視点ですが如何でしたでしょうか。
メイドさんね、ここ漢しかいない世界なので漏れなく漢です。
あのワンピースは着ませんよ?普通に燕尾服みたいなやつです。ただ、あのカチューシャみたいな『ホワイトブリム』はつけてます。
ルカちゃんが中々メイドに慣れなかったのはそれが理由です。
屈強な男達がふわふわの可愛いカチューシャをつけてるんです。
いくら幼く常識を知らなかったルカちゃんでも、そのあべこべさを理解するには時間を要しました。
もともとホワイトブリムは髪が落ちてこないようにするものらしいのですが、この世界。髪が長い男、多いんです。
だからそれがあるんですけども。
でもデザインはシンプルで良かったんじゃない?
そう思われる方、いらっしゃるんではないでしょうか。
最初に作ったデザイナーを恨みなさい、メイド達よ…。
完全にデザイナーの趣味でした。
現実では理由はわからないですよ!ここは創作の世界なので!
でも可愛いですよねぇ、あのカチューシャ。
162
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ
MITARASI_
BL
I
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
Ⅱ
高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。
別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。
未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。
恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。
そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。
過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。
不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。
それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。
高校編のその先を描く大学生活編。
選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。
続編執筆中
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる