烙印を背負う少女を『救』うたった一つの方法

朝我桜(あさがおー)

文字の大きさ
28 / 50
第二章 思わぬ『ライバル』登場で、いよいよ二人の間は急接近!? 浮かび上がる彼女のホントのキモチ!!

第二十八話 ご一緒にいかがですか? お嬢様への『共同戦線』のススメ!?

しおりを挟む
――港町カルサイトリコ 酒場サルーン 繁栄と希望プロスペラティ&ホープ 前――

「わぁ! 海だぁ! すっごーい! でっかーい! ひっろーい!」

「へぇ~潮風って、こういう感じなんだね!」

「こぉら! ウィン、フィル、遊ぶのは宿をとってからしましょ」

 そして翌日、僕らは港町カルサイトリコに着いたんだ。

 ちょっと昨日の今日でまだドキドキしている。

 普段見ないウィンの一面を見てしまったからなぁ……。

 と、とにかく今は切りかえていかなきゃ。

「どうしたの? フィル、首なんかブンブンふって」

「わぁぁぁっ! びっくりしたぁ! おどかさないでよ!」

 いきなり上目づかいでのぞきこんでくるんだもんなぁ。

 どきどきが止まらないよぉ……。

「失礼ね、フィルが勝手におどろいただけじゃん」

「まぁまぁ、ケンカはやめようぜ、マイシスター、マイブラザー」

「ちょ、ちょっとアニキ」

「レヴィン兄ぃ重い! 暑苦しい!」

 うっとうしく寄りかかってくるアニキの顔はゆるみきっていて、正直顔もうっとうしい。

 まぁ、昨日はうまくいったようだから、なによりだけど。

「で? お前たちはどこまで行ったんだ?」

「「はぁ!?」」

「ん? その様子じゃ、なにもなかったのか?」

「い、いやぁ……」

「べ、べつにアタシとフィルはそんなんじゃ――」

「そうか、でも ふふーん、オレたちは!」

「なっ! バ、バカ! そういうことをこんな大勢の前で言うんじゃないわよ!」

 GONK!

「ぐはっ!」

 あぁ……アニキ、そんな調子だといつか愛想つかされるぞ。

「リリー姉ぇたち、まさか……」

「////////////……キス、だけよ」

「「え……」」

「キスだけって言ったの! ほら、こんなところで油売ってないで、さっさと入るわよ!」

 えぇ~……。

 キスだけって。

 あんな時間があって、僕らの気づかいはいったい。

 でも、人のこといえないか……。

 酒場に入って、さっそ〈グランドモンスター〉の情報を得た!

「ほら、こいつがその〈グラトニー・プリン〉、賞金5万ノルだ」

 マスターが手配書をすっと差し出してくる――。

「まさか、今日、A級2チームも情報を聞きにくるとは思ってなかったぜ」

「2チーム?」

 すっとマスターが指を差してきた先には、なんと――。

「あら? さては、あなた方も〈グランド・モンスター〉をねらっていますの?」

 酒場にはかーなーり場チガイな、優雅にお茶をしている金髪縦ロールのお嬢様がいたんだ。




「なに、アンタたち?」

 CLINK――。

 お嬢様はティーカップを置くしぐさもなんとも優美で。

「ずいぶんな物言いですわね。これだから田舎者は困りますの。名乗るならまず自分の名前から、ではなくて?」

「……はぁ?」

 まずいまずい!

 ピキィとウィンの顔に青筋が走り始めてる!

「まぁまぁ、ウィン、ちょっとここは落ち着いて」

「何言ってるのフィル? 落ち着いてるよ。アタシは」

 ニコっとしてはいるけど、ダマされちゃいけない。

 だいたいこういうときって、ウィンはめちゃくちゃ怒っている。

「と、とにかくさ、ここは僕にまかせて、ね?」

「フィルがそういうのなら……」

 後ろにいたアニキたちも、肩をすくめている。

 まかせたってことなんだろう。

「えっと、僕らは先日、A級賞金稼ぎバウンティ―ハンターチームになったマックイーン一家です。僕はフィル、さっきの子がウィン、向こうの二人がアニキのレヴィンと、姉のリリーです」

「あら、奇遇ですわね。わたくしたちも家族なのですわ」

 髪をさらっとかきあげて。

「わたくしの名前は〈ジェニファー=シルヴァーヒールズ〉、シルヴァーヒールズ家の当主でございます。後ろにいる二人は、弟のリュシアンと、メイドのアリサですわ」

 ん? シルヴァーヒールズってたしか……?

「えっと、もしかして、あなた方は?」

「ふふふ、ようやく気付きましたわね。そう! わたくしがかの有名な賞金稼ぎバウンティ―ハンターの二代目! 【平原の災厄娘カラミティー・ジェーン】とはわたくしのことですわ!」

 BAAAAAAAAAAAAAAAAAAMM!!

 わぁ~はちきれんばかりのおっぱ――いやいや、何を考えているんだ僕は!

「はぁ……」

「へぇ……」

「……あんたらがあの」

「クーン!」

「驚きのあまり、言葉もでないようですわね」

「さすがはお嬢様です」

「……いや、アリサ、あの人たちはただあきれているだけだと思うよ」

 うん、弟さんのリュシアンって子とはなんだか気が合いそうな気がするよ。

 ただ、エリオットたちをたおしたって聞いていたから、てっきり筋肉ムキムキの人だと想像していたけど。

 まさかこんなキレイな人だったなんて。

「ねぇ、フィル、この人たちってアンタの前いたチームをたおした人たちなんだよね」

「うん、たぶん」

「てっきり、もっとこう、女の人でもかっこよくて、たくましい人を想像していたんだけど、あの小説にある、子供ころにお父さんを殺されて、カタキ討ちをする女ガンマンのミス、エレ――」

「こらっ! そこ聞こえてましてよ!」

 ビシっと指を差してくるジェニファーさん。

「それでどうします? この依頼クエスト。マスター、2チームが受けたい場合ってどうなるんですか?」

 リュシアンくんの言う通り。

 自分もそれが気になっていた。

「どうなるってそりゃぁ。早い者勝ちか、あるいは共同――」

「「もちろん早い者勝ち」」

「だよ!」

「ですわ!」

 ウィンとジェニファーさんがにらみあう。

「なに? やる気ぃ?」

「それはこっちのセリフですわ!」

「イシシッ! そんな油のかたまりなんか二つもつけていて、動けるの?」

「あ、あぶ――フン! ヒガミもここまでくると立派ですわ……しょせんA級といっても、なりたての半人前、あなた方には荷が重すぎるのではなくて?」

「姉さん、ぼくらも3か月前になったばかりだよ?」

「おだまりなさい! リュシアン!」

 だめだ。

 この二人に話をさせておくと収拾がつかなくなる。

 リュシアンくんとメイドのアリサさんとならちゃんと話ができそうだな。

「と、とりあえず、ここはいったん落ち着いて話し合いませんか?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...