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離れてみたら
【一】悩ましい面談※
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この日も朝から暑かった。
あの恐喝まがいの告白事件から一週間が過ぎたが、今の処、瑞樹と優士の間に目に見える変化と云う物は無かった。せいぜいが、瑞樹が胸を掻き毟るのを堪えているぐらいか。
休暇が終わった後、真っ先に瑞樹は高梨に治療隊へ異動すると伝えた。その際に念の為に宿舎を出なくて良いのかと云う確認も取った。高梨の返答は先に優士が口にしていたのと同じだったので、瑞樹はほっと一息を吐いた。また、ほっと一息を吐いたのは高梨も同じなのだが、瑞樹がそれに気付く事は無かった。
『それなら、早い内に津山と顔合わせだけでも済ませておくか』
そう、何処か苦い物が混じった様な声の高梨に言われたのが、二日前の事だ。
今、瑞樹は高梨と共に、救護部隊が居る建物へと来ていた。
それは駐屯地の隣にある朱雀御用達の病院だ。朱雀専用の病棟と一般病棟とに別れている。
しかし、隣とは云え、討伐部隊が使う庁舎とは距離がある。
こちらに異動すれば、恐らくは勤務中は優士と出会う事は無いだろう。
それを寂しく思いながらも、朝と夜は一緒に飯を食べるのだから、良いかと瑞樹は思った。
「やあ、君が橘君かな? 話は高梨から聞いてますからね、さあ、座って座って。ああ、高梨も」
白い扉を叩いて入って行った先は、応接室の様だった。木の幹を使って作られた頑丈そうなローテーブルの上には、氷の浮いた麦茶が三つと水羊羹が用意されていた。ソファーから立ち上がった津山に促されるままに、高梨が『失礼する』と先に腰を下ろし、続いて瑞樹もその隣に座った。三人掛けのソファーなのだろうが、微妙に狭い気がすると、瑞樹は思った。それは、言うなれば高梨の圧だと思うのだが。
「まあ、適当に飲んだり摘まんだりして聞いて下さいね。楽にしてね。あ、高梨が居たら無理かな?」
「…おい…」
津山の言葉に、高梨はむっすりとした顔と声で麦茶の入ったコップを手に取った。
「ああ、怖いおじさんですねぇ~。私は、彼と違って優しいから安心して下さいね」
「…はあ…」
にっこりと笑う津山に、瑞樹は曖昧に返事をする。おじさんにおじさんと呼ばれた高梨は更にむっすりとした顔になった。
自ら『優しい』と口にする人間に碌な奴は居ない。と、瑞樹は思っていた。と云うか、優士から叩き込まれていた。
『お前は危なっかしいからな』
とも言われていた。
瑞樹は、目の前に座る津山を見る。
治療部隊を統べる津山恭彦。髪は一本に絞った物を胸の前に垂らしている。目はぶ厚い牛乳瓶の底の様な眼鏡のせいで見えない。確か、高梨より二つか三つだか上だと聞いたが、そんな眼鏡のせいか、そうは見えない。高梨よりも、津山は年下に見えた。面長の顔に、すっと通った鼻筋に、薄めだが形の良い唇をしていて、その唇は笑みの形を取っていた。その口から溢れる声は、穏やかで優しい。背は高梨よりも若干低い様に見えた。身体付きもほっそりとしている。黒い隊服の上には、白衣を纏っていた。
「君の症状は高梨から聞いています。妖を前にすると、幼い頃の心的外傷で動けなくなると云う事で間違いないですか?」
「はい…すみません」
確認する様に聞いて来る津山に、瑞樹は小さく頭を下げる。
「うん。謝らなくて良いですよ。それは、妖にだけですか? 血は…血の匂いとかは大丈夫? 血を見ても動けますか?」
そんな瑞樹をやんわりと片手で制して、津山は瑞樹が想像していなかった問いを投げて来た。
「え…?」
ぱちりと瞬きをする瑞樹に、津山は浮かべていた笑みを消して、若干低い声で告げる。
「私達の仕事は傷付いた隊員や、一般人の治療をする事です。血を見るのは、日常茶飯事と思って下さい。また、遺体の身体を綺麗にするのも、私達の役目です」
「…おい…」
津山の様子に不穏な物を感じた高梨が低い声をあげ制止しようとするが、津山は軽く高梨を睨んでそれを止めた。
「高梨は黙っていて。君の状態を鑑みるに、先に知って置いた方が良いと思います。亡くなった隊員、または一般人、誰もが全員綺麗な訳ではないです。君はそれを知っていますね? 食い千切られた腕や脚、腹に喰い付かれ、はみ出た臓器。それらを体内に戻したり、或いは除去したり、縫合してなるべく生前に近い状態で、ご家族の元へと帰す。それらも、私達の務めです。君に出来ますか?」
「…あ…」
膝の上に置いて、拳にしていた瑞樹の手が震えている。脳裏に過るのは、あの日の母の姿だ。ずっと、ずっと自分を抱き締めながら、妖に喰われて行った母の姿だ。あの時の噎せ返る程の血の匂いを、まだ瑞樹は覚えている。
「…うん」
瑞樹が思わず、片手で口を覆った時、静かな津山の声が耳に届いた。
「まあ、誰でも最初は吐きますからね。ただし、怪我人や亡くなった方の身体に掛けると云う事は禁止ですよ。橘君には、まずは血に慣れて貰う事から始めた方が良さそうですね。病院で外科の補助役として動いて貰いましょうか」
「…え…あの…俺で良いんですか…?」
てっきり、そんな人間は要らないと言われるだろうと思っていた瑞樹だ。口から手を離して津山を見れば、彼は眉を下げ、軽く肩を竦めて見せた。
「こちらもこちらで、若い人間は中々入って来なくて困っているんですよ。新人が来たかと思えば、妖に負わされた傷が原因で戦えなくなった、元討伐隊の四十路過ぎのおっさんだったりと、悲惨なものなのです」
「…は…」
嘆かわしいと両腕を広げる津山に、瑞樹は何度も瞬きをする。
その隣では、高梨が眉間に片手をあてて軽く首を振っていた。
「ですから、是非、心的外傷を克服して、新月の夜には共に駆け回りましょうね」
眼鏡で解らないが、にっこりと笑ったのだろう。声を弾ませて、白い歯を見せる津山に、瑞樹は『はあ…』と、頷いた。
「では、正式な書面は後程用意する。九月からで構わないな?」
これで終わりと云う事なのだろう。こつんっと、高梨が軽く握った拳でテーブルの表面を叩いて意識をそちらへと向けさせた。
「ええ、構いませんよ。ああ、可能ならば、異動までに、そちらの医務室の手伝いを橘君にさせてあげて下さい。医務室には私から話して置きますので」
「ああ、解った。では、行くか橘」
「…ああ、紫さん。今夜どうです? 久しぶりに」
(…ん…? ゆかり…?)
立ち上がろうとした高梨に、津山がグラスを持つ様な仕草でクイッと手を傾けた。
その仕草を見て瑞樹はちらりと高梨を見た。そう云えば、高梨と津山は旧知の仲だと天野から聞いたと優士が言っていたな、と瑞樹は思い出していた。
「断る。雪緒が待っているんでな。ではな」
高梨はそれを一瞥した後、眉を顰めて地を這う様な声で断りを入れた。
「うーん。奥さんが居た時には付き合ってくれたくせに、つれないですね。一晩ぐらい良いでしょう? そんなに、ゆ」
バタンッと、津山の言葉を遮る様に扉が乱暴に閉められた。
「…っとに、眼鏡に碌な奴は居ないな…」
扉を睨んで忌々し気に呟く高梨を、瑞樹は胡乱な目で見詰めていた。
あの恐喝まがいの告白事件から一週間が過ぎたが、今の処、瑞樹と優士の間に目に見える変化と云う物は無かった。せいぜいが、瑞樹が胸を掻き毟るのを堪えているぐらいか。
休暇が終わった後、真っ先に瑞樹は高梨に治療隊へ異動すると伝えた。その際に念の為に宿舎を出なくて良いのかと云う確認も取った。高梨の返答は先に優士が口にしていたのと同じだったので、瑞樹はほっと一息を吐いた。また、ほっと一息を吐いたのは高梨も同じなのだが、瑞樹がそれに気付く事は無かった。
『それなら、早い内に津山と顔合わせだけでも済ませておくか』
そう、何処か苦い物が混じった様な声の高梨に言われたのが、二日前の事だ。
今、瑞樹は高梨と共に、救護部隊が居る建物へと来ていた。
それは駐屯地の隣にある朱雀御用達の病院だ。朱雀専用の病棟と一般病棟とに別れている。
しかし、隣とは云え、討伐部隊が使う庁舎とは距離がある。
こちらに異動すれば、恐らくは勤務中は優士と出会う事は無いだろう。
それを寂しく思いながらも、朝と夜は一緒に飯を食べるのだから、良いかと瑞樹は思った。
「やあ、君が橘君かな? 話は高梨から聞いてますからね、さあ、座って座って。ああ、高梨も」
白い扉を叩いて入って行った先は、応接室の様だった。木の幹を使って作られた頑丈そうなローテーブルの上には、氷の浮いた麦茶が三つと水羊羹が用意されていた。ソファーから立ち上がった津山に促されるままに、高梨が『失礼する』と先に腰を下ろし、続いて瑞樹もその隣に座った。三人掛けのソファーなのだろうが、微妙に狭い気がすると、瑞樹は思った。それは、言うなれば高梨の圧だと思うのだが。
「まあ、適当に飲んだり摘まんだりして聞いて下さいね。楽にしてね。あ、高梨が居たら無理かな?」
「…おい…」
津山の言葉に、高梨はむっすりとした顔と声で麦茶の入ったコップを手に取った。
「ああ、怖いおじさんですねぇ~。私は、彼と違って優しいから安心して下さいね」
「…はあ…」
にっこりと笑う津山に、瑞樹は曖昧に返事をする。おじさんにおじさんと呼ばれた高梨は更にむっすりとした顔になった。
自ら『優しい』と口にする人間に碌な奴は居ない。と、瑞樹は思っていた。と云うか、優士から叩き込まれていた。
『お前は危なっかしいからな』
とも言われていた。
瑞樹は、目の前に座る津山を見る。
治療部隊を統べる津山恭彦。髪は一本に絞った物を胸の前に垂らしている。目はぶ厚い牛乳瓶の底の様な眼鏡のせいで見えない。確か、高梨より二つか三つだか上だと聞いたが、そんな眼鏡のせいか、そうは見えない。高梨よりも、津山は年下に見えた。面長の顔に、すっと通った鼻筋に、薄めだが形の良い唇をしていて、その唇は笑みの形を取っていた。その口から溢れる声は、穏やかで優しい。背は高梨よりも若干低い様に見えた。身体付きもほっそりとしている。黒い隊服の上には、白衣を纏っていた。
「君の症状は高梨から聞いています。妖を前にすると、幼い頃の心的外傷で動けなくなると云う事で間違いないですか?」
「はい…すみません」
確認する様に聞いて来る津山に、瑞樹は小さく頭を下げる。
「うん。謝らなくて良いですよ。それは、妖にだけですか? 血は…血の匂いとかは大丈夫? 血を見ても動けますか?」
そんな瑞樹をやんわりと片手で制して、津山は瑞樹が想像していなかった問いを投げて来た。
「え…?」
ぱちりと瞬きをする瑞樹に、津山は浮かべていた笑みを消して、若干低い声で告げる。
「私達の仕事は傷付いた隊員や、一般人の治療をする事です。血を見るのは、日常茶飯事と思って下さい。また、遺体の身体を綺麗にするのも、私達の役目です」
「…おい…」
津山の様子に不穏な物を感じた高梨が低い声をあげ制止しようとするが、津山は軽く高梨を睨んでそれを止めた。
「高梨は黙っていて。君の状態を鑑みるに、先に知って置いた方が良いと思います。亡くなった隊員、または一般人、誰もが全員綺麗な訳ではないです。君はそれを知っていますね? 食い千切られた腕や脚、腹に喰い付かれ、はみ出た臓器。それらを体内に戻したり、或いは除去したり、縫合してなるべく生前に近い状態で、ご家族の元へと帰す。それらも、私達の務めです。君に出来ますか?」
「…あ…」
膝の上に置いて、拳にしていた瑞樹の手が震えている。脳裏に過るのは、あの日の母の姿だ。ずっと、ずっと自分を抱き締めながら、妖に喰われて行った母の姿だ。あの時の噎せ返る程の血の匂いを、まだ瑞樹は覚えている。
「…うん」
瑞樹が思わず、片手で口を覆った時、静かな津山の声が耳に届いた。
「まあ、誰でも最初は吐きますからね。ただし、怪我人や亡くなった方の身体に掛けると云う事は禁止ですよ。橘君には、まずは血に慣れて貰う事から始めた方が良さそうですね。病院で外科の補助役として動いて貰いましょうか」
「…え…あの…俺で良いんですか…?」
てっきり、そんな人間は要らないと言われるだろうと思っていた瑞樹だ。口から手を離して津山を見れば、彼は眉を下げ、軽く肩を竦めて見せた。
「こちらもこちらで、若い人間は中々入って来なくて困っているんですよ。新人が来たかと思えば、妖に負わされた傷が原因で戦えなくなった、元討伐隊の四十路過ぎのおっさんだったりと、悲惨なものなのです」
「…は…」
嘆かわしいと両腕を広げる津山に、瑞樹は何度も瞬きをする。
その隣では、高梨が眉間に片手をあてて軽く首を振っていた。
「ですから、是非、心的外傷を克服して、新月の夜には共に駆け回りましょうね」
眼鏡で解らないが、にっこりと笑ったのだろう。声を弾ませて、白い歯を見せる津山に、瑞樹は『はあ…』と、頷いた。
「では、正式な書面は後程用意する。九月からで構わないな?」
これで終わりと云う事なのだろう。こつんっと、高梨が軽く握った拳でテーブルの表面を叩いて意識をそちらへと向けさせた。
「ええ、構いませんよ。ああ、可能ならば、異動までに、そちらの医務室の手伝いを橘君にさせてあげて下さい。医務室には私から話して置きますので」
「ああ、解った。では、行くか橘」
「…ああ、紫さん。今夜どうです? 久しぶりに」
(…ん…? ゆかり…?)
立ち上がろうとした高梨に、津山がグラスを持つ様な仕草でクイッと手を傾けた。
その仕草を見て瑞樹はちらりと高梨を見た。そう云えば、高梨と津山は旧知の仲だと天野から聞いたと優士が言っていたな、と瑞樹は思い出していた。
「断る。雪緒が待っているんでな。ではな」
高梨はそれを一瞥した後、眉を顰めて地を這う様な声で断りを入れた。
「うーん。奥さんが居た時には付き合ってくれたくせに、つれないですね。一晩ぐらい良いでしょう? そんなに、ゆ」
バタンッと、津山の言葉を遮る様に扉が乱暴に閉められた。
「…っとに、眼鏡に碌な奴は居ないな…」
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