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4巻
4-3
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「君たちエルフが外の世界に許してもらえるまで、この幻惑の森には守ってもらわないと困るってことか」
そんな話をしながら幻惑の森を進む。
俺たちには木々が生い茂っているように見える場所も、レアルスが先頭に立って一歩足を踏み入れると突然道に変化する。
逆に、道に見えた場所へグラッサが不用意に向かうと、次の瞬間彼女の回りを鬱蒼と茂った高い草が取り囲んだりもする。
「本当にわけがわからない場所だな。ところで前から疑問だったんだが」
俺は先頭を歩くレアルスの背に疑問を投げかける。
「この森の幻惑魔法はエルフ族が仕掛けたんだよな? これほど大規模な幻惑魔法を、いったいどうやって維持してるんだ?」
「……」
「悪いことを聞いたか。エルフの命運がかかってるような秘密を部外者に教えるわけにはいかないもんな」
黙り込んでしまったレアルスに、俺は余計なことを聞いてしまったと頭を掻く。
しかし、彼女は首を横に振った。
「いや……実はこの森については我々エルフ族もよくわかっていないんだ」
「は?」
「一説には、遙か昔に女神様が、当時弱小種族だったエルフ族を守るためにこの森に幻惑をかけたとも言われている。まあ、今となっては眉唾物だと思っているが」
つまりこの幻惑の森は自然に発生したと言うことなのだろうか。
「じゃあ、エルフだけがこの森の幻惑に惑わされない理由もわからないと?」
「ああ。我々エルフ族は生まれながらにしてこの森の幻惑が効かない体になっている。理由はわからない」
「幻惑に対する耐性を持って生まれてくるってことか」
もしかすると、この森が幻惑に包まれる前からエルフ族はこの地に住んでいて、徐々に濃くなっていく幻惑に知らずのうちに耐性が育っていったのかもしれない。
それを調べる術はないが、エルフたちが自分たちの力で幻惑魔法をかけているわけではない以上、それが一番納得出来る答えだろう。
「だとすれば、他の種族もエルフの国で生まれ育って代を重ねたら、同じように幻惑耐性を持った子供が生まれるかもな」
「エルフと他種族が……か。そんな未来が来るのだろうか」
「他種族との交流を続けていけば、いつかチェキのようなエルフと他の種族の子供も生まれるだろうし、可能性はゼロじゃないさ」
今はまだ夢でしかないが、チェキやロステル王たちの努力が実を結べば、近い未来に実現するだろう。
「我々の努力次第ということだな」
レアルスは僅かに目を細め、口元に笑みを浮かべるのだった。
それから半時間ほど森の中を歩いた俺たちがたどり着いたのは、エルフたちが辺境砦攻略のための前線基地としていた砦だった。
といってもまだ森の中にあり、もう少し南に下れば森を出るくらいの位置だ。
かつては何百人ものエルフが潜み、人間側の動向に目を光らせていた。
しかし今は、十数人程度の兵が最低限国境の守りについているだけのようだ。
「お前たちの砦まで案内すべきなのだろうが、今は国を離れられぬ身なのでな」
「いや、ここまで送ってもらえれば十分さ。あとは自分たちで歩いていくから」
この森をまっすぐ南に抜けて半日ほどの距離に、人間族側の国境砦がある。そこから更にティーニック山脈の麓に広がる森に沿って作られた街道を進み、いくつかの村を抜ければ目的の辺境砦とたどり着く。
国境砦までの半日というのは徒歩での話なので、馬車でもあれば借りても良かったが……この砦には馬車は存在しないというのは既に聞かされていた。
なにせ、必要がなかったので置いてないと言うのだ。
だがそれも言われてみればそのはずで、この砦から人間領に向けても道は整備されていないのである。
戦いの最前線である以上、敵国との間にきっちりと整備された道を作ることを、エルフは嫌っていた。
それに、主に身一つと弓など軽装備のエルフ族にとって道は必要ないが、もし道があれば、人間族側は投石機やバリスタのような兵器を投入出来る。
結局、人間族側からエルフ領を攻めることはなかったが、幾度か道を整備しようとしては阻まれていたっけ。
ともかく今日は国境砦にでも泊まって、辺境砦方面に向かう馬車を探すつもりだ。
「案内、助かったよ」
「ありがとうございました、レアルスさん」
「チェキを頼んだよ」
俺たちはレアルスと一人一人握手を交わす。
「ああ、ラチェッキ殿と我が王の理想のために死力を尽くすつもりだ」
「そんな大袈裟な。あまり気合いを入れすぎると突然ポッキリ折れるからな。少しくらいは肩の力を抜くことも覚えた方がいいぞ」
「ふむ。トーアこそ、少しは気を抜くことが出来る場所を作るべきだと私は思うがな」
「俺は見ての通り、いつも気を抜いて生きてるぞ?」
俺はわざとらしく両手をぶらぶらさせて笑う。
レアルスはそんな俺と、左右に並ぶ二人に順番に目を向けると頭を横に振る。
「……いや。余計なことを言ってしまったな」
「心配してくれるのは嬉しいけど、俺は大丈夫さ」
すまなそうな表情のレアルスに俺はそう告げると、足下に置いてあった荷物を持ち上げる。
「もう行くよ」
「道中、気を付けてな。といってもトーアをどうこう出来る魔物もいないだろうが……それでは私も戻る」
レアルスはそれだけ口にすると俺たちに背を向ける。
そして背中越しに手を振ると、そのまま森の幻惑に溶け込むように消えていったのだった。
◆第二章◆
レアルスと別れた俺たちは、そのまま森の中の獣道のような道を南下していった。
あの砦からは、しばらくの間は森が続く。
一見すると同じ森の中のように思えるが、どういうわけか、あの砦の南側には幻惑の力は全く届かない。
おかげで道案内も必要とせず、一時間もかからず俺たちは森を完全に出ることが出来た。
海岸沿いの十数メートルくらいある崖の上が出口だった。
国境砦はここから緩い下り坂を進んでいった先にあり、そこを越えると東側に数百メートルも続く砂浜が広がっているはずだが、ここからは見えない。
「いい天気だ」
眩しい日差しに目を細める俺の耳に、感嘆の声が届く。
「うわぁ!」
声の主はニッカだ。
「あれが海なんですね……」
「そうよ。そういえばニッカは海を見たことがなかったんだっけ?」
「うん、私は王都に出るまでずっと田舎にいたから」
ニッカの村から王都までは、大陸の中央部分を通る。
なので海を見たことがないらしい。
俺たちが通ってきたヴォルガ帝国は貿易港で栄えているが、海岸沿いの港に寄らず、ドワーフのトンネルを抜けて直接港から離れた魔都に向かったために、結局海を見る機会はなかったのである。
ちなみに俺は砦に放逐される以前に、何度か海の近くの別荘に行く機会があったので、そのときに嫌と言うほど見ている。
「それで、初めて海を見た感想は?」
俺は立ち止まって海を見つめるニッカに質問を投げかける。
「とっても青くて綺麗……だけど、なんだか怖いです」
「怖い?」
「はい。どうしてかそう感じるんです」
この世界の海が全て同じとは思わない。
地球でも場所によって海の色は違う。
寒い北国のどんよりとよどんだ黒ずんだ海もあれば、南国の透き通った青い海もある。
俺たちが今見ている海はどちらかと言えば後者だ。
このあたりは魔族領の北部と違い温暖で、地球で言えば沖縄あたりの気候に似ている。
そして海も同じように透明度が高く、眩しいくらい青い。
……前世では一度も本州を離れたことはなかったので、実際に沖縄の海を見たことなんてないのだが。
「きっとあの海の中には魔物がうじゃうじゃいるから、それで怖いんじゃない?」
「えっ?」
「海が魔物の巣窟だってことをニッカも聞いたことあるでしょ?」
そう、グラッサの言う通り。
この世界の海は見かけよりも遙かに危険が潜んでいる。
「陸から離れすぎたら、あっという間に襲われて海に引きずり込まれるんだから」
「昔、お婆ちゃんから聞いたかも」
「だから、そんなふうに教えられたから怖いって思ったんじゃないの?」
「そうかも」
それで納得したように頷くニッカ。
この世界には魔物が存在している。もちろん海にも魔物はいて、海中ダンジョンも存在しているらしい。
しかし地上のダンジョンと違い、海の中のダンジョンには誰も入ることは出来ないんだとか。
正確には、魔法や魔道具を駆使すれば行くことくらいは出来るが、地上に住む種族は誰も彼も水中で自由に動くことは不可能である。
地上の魔物やダンジョンは、冒険者やそれぞれの国の軍などによって資材回収を兼ねた討伐が行われている。
しかし、海中の魔物やダンジョンは地上の人々にとっては難度が極端に高く、実質対処のしようがない状況なのだ。
もちろん魔物とて無限に増え続けるわけではないため、海が魔物で溢れ返るなんてことは起こらない。
ただ、地上に比べれば遙かにその数が多いことは間違いなく、理由は定かではないが、海が深くなればなるほど、その海域に潜む魔物は強力になっていくそうだ。
「それほど深くない所までなら、魔道具で魔物を引き寄せないように出来るんだけどな」
「そうなんですか?」
「そうでもなきゃ魚も獲れないだろ。漁師が乗る船には、弱い魔物を近寄らせない魔除けの魔道具が積んであるんだよ」
この世界の海にも、もちろん魚はいる。
そしてその魚を獲って暮らす漁師もだ。
「だから漁師さんって、実はあたしより魔力が多い人も一杯いるんだよね」
グラッサの言葉に、ニッカが目を丸くする。
「ええっ! 本当に?」
「うん。前に父さんと漁師町に行商で寄ったときに聞いたんだけどね。魔除けの魔道具を動かすためだけじゃなくて、時々魔道具が効かないはぐれの魔物に襲われることもあるから、攻撃魔法くらい使えないと漁師にはなれないらしいよ」
そう、彼女の言う通り、海の男はそんじょそこらの冒険者より強い。
辺境砦にも元漁師の傭兵が何人かいたので、何度も手合わせに付き合わされた俺は、それを身をもって知っていた。
そういえば前世の世界でも、漁師町の漁師にはヤクザも手を出さないとか言われてたっけ。
「そうなんだ。でもそんなに強いなら、色んな所からお誘いがあるんじゃない? ギルドとか国とか」
「誘われても普通は行かないからね」
「どうして?」
「だって漁師をやっている方が安全で儲かるから」
グラッサの言葉に、ニッカが首を傾げて意味がわからないといったような表情を浮かべる。
たぶん彼女はこう思っているのだろう。
『魔物に襲われる危険がある海で魚を獲るのに、どうして安全なのだろう』と。
答えは簡単だ。
彼らにとって海は、魔物がいようといまいと自分たちの庭のようなもので、見ず知らずのダンジョンに潜って宝を探すよりも危険はない。
その上、海の大半を魔物に支配されているこの世界では、漁師町自体が少ないのもあって、魚はかなりの高級品だ。
つまり漁師という職業は、冒険者や兵士になるよりも遙かに高給取りなのである。
「と、いうわけよ」
歩きながらグラッサが漁師のことをニッカに教えて聞かせる。
「知らなかった……村じゃ川魚しか食べたことなかったし」
「村の川には魔物はいなかったからね」
別に川には魔物が棲まないというわけではないが、一般的に水棲の魔物がいるのは、大きな川に限られている。
水底が見えるような川では水深が足りないのか魔力が少ないのか理由はわからないが、魔物を見かけたという話は聞いたことがない。
だからニッカたちの村では、普通に川魚を獲って食べていたのだろう。
「川魚か……鮎とかもいるんだろうか」
俺は二人の会話を聞きながら、昔一度だけ食べたことがある鮎の塩焼きを思い出し、溢れてくる涎を飲み込んだ。
「よぉトーア、久しぶりだな」
国境砦に到着した俺が入国手続きをしていると、砦の奥から一人の男が手を振りながら姿を現した。
戦士と言うには線が細く見える無精髭のその男のことを、俺は知っている。
「エニシュじゃないか。お前、まだここにいたのかよ」
「まぁな。っていうか、お前こそ王都に帰ったと思ってたらトンデモねぇ方向から帰ってきやがって」
がしっと俺の肩に手を回しながら男――エニシュが笑う。
「しかも可愛らしいお姫様を二人も連れて凱旋たぁ、驚きだぜ」
エニシュは俺より二歳ほど年上で、辺境砦にいた頃に共に修業をした仲だ。
辺境砦は基本的に猛者やベテランばかりで、同年代の者はほとんどいないのもあって、俺とエニシュが仲良くなるのに時間はかからなかった。
「ど、どうも」
「初めまして。えっと、トーアさんのお知り合いの方ですか?」
「トーアの親友でエニシュってもんだ。よろしくなお嬢さん方」
「親友って……どちらかっていうと悪友だろうが。二人とも、こいつは女ったらしだから気を許さないようにな」
エニシュは無精髭を生やしているせいで、年の割に老け顔でおっさん臭くも見える。
しかしこと攻撃魔法に関しては辺境砦でも上位の実力を持っていて、俺も何度もエニシュの魔法に助けられていた。
まぁ、同じくらい俺もこいつのことを助けてやったので貸し借りは一切ない。
「なに言ってやがる。お嬢さん、このアホの言うことは真に受けないようにな」
「誰がアホだ」
俺は肩に回されたエニシュの腕を無理矢理ほどきながら言い返す。
「あはは……二人とも仲良しなのはわかりました」
「アホ同士っぽいよね」
そんな俺たちを見て、ニッカとグラッサは苦笑いを浮かべてそんなことを口にした。
エニシュのペースに乗せられていたら、俺まで二人に変な目で見られるようになってしまいそうだ。
「今俺たちは入国審査中なんだから邪魔すんな」
「へいへい。っつってもお前さんの審査なんて必要か? なぁ?」
エニシュは俺たちの審査をするために、俺たちが差し出した身分証を受け取っていた入国審査官の守備兵に声をかける。
「トーアさんのことは知ってますけど、一応は規則なんで」
「かぁっ、相変わらず堅っ苦しいな。まぁそれじゃあさっさと済ませてこいつらを中に入れてやってくれや」
「言われなくても」
審査官はエニシュを一瞥すると、三枚の身分証に懐から取り出した楕円形の宝石のようなものを近づける。
身分証は、一見すると薄い木の板に文字が書かれただけのものだ。
だが実は、その板の中には、俺たちの身分を証明するための情報が刻み込まれており、審査官が手にしている読み取り用の魔道具を使うことで、情報を確認することが可能なのだ。
もちろん、読み取れる内容は、審査官の業務に必要なものだけに限定されている。
「はい。問題ありません」
「ありがとう。あの馬鹿が迷惑をかけちゃったね」
「慣れてますから」
大きく溜息をつく審査官に俺は何も言えず、別の窓口で検査されていた荷物を受け取ると国境砦の中に入った。
明るい外とは違って砦の中は薄暗いせいで、突然トンネルの中に入ったような感覚を覚える。
「それじゃあ、上に行こうか。部屋を用意してあるんだ」
壁にもたれて俺たちを待っていたエニシュが近寄ってくる。
そして俺の横を通り過ぎ、ニッカたちの前に立つと片手を差し出した。
「お嬢様方。お荷物はこのエニシュが部屋まで運ばせていただきましょう」
などと無駄にイケメンボイスで告げた。
「い、いえ。けっこうです」
「自分の荷物くらい自分で持てるから」
しかし二人にはあっけなく断られている。
そりゃそうだ。
さっき既に本性を見せているのだから、今さら格好を付けたところであの二人が騙されるわけがない。
「本当にお前は変わらないな」
俺は呆れながらエニシュの尻を軽く蹴った。
「人がそんなにすぐ変われるもんかよ」
エニシュは蹴られた尻を叩いてホコリを落とす。
「……でもまぁ、お前はちょっと見ない間にずいぶんと変わった気がするけどな」
そう言ってイタズラっぽい笑みを浮かべた。
自分ではよくわからないが、エニシュがそう思うほど俺は変わったのだろうか。
「色々あったんだよ。色々と」
辺境砦を出てから今まで、色々な経験をしてきた。
きっとその経験が俺に変化を与えたのだろう。
それが良い変化であればいいが、そのことは自分自身ではわからない。
「砦を出てからお前が何をしてたか、少しはレントレットから聞いちゃいるが……」
そりゃレントレットたちも辺境砦に戻るときにここを通りかかっただろうし、話は聞いてるか。
「俺が来るって話も?」
「ああ、だから久々に酒でも飲みながら、もっと詳しく聞かせてもらおうと思って準備して待ってたんだぜ」
エニシュはそう言うと、腰にぶら下げていた酒瓶を俺に見せつけるように体を捻る。
そんなものをぶら下げたまま仕事をしてるのかと、俺は呆れた目を向ける。
「なんだよ。俺が酒瓶持ってんのは昔からだろうが」
「そうなんですか?」
ニッカが驚いて俺の顔を見る。
たしかに仕事中に酒瓶をいつもぶら下げているなんて聞いて、信じられないのもわかる。
だが本当のことだ。
「こいつは酒を飲むと魔法の威力が上がるっていう、おかしな性癖を持ってるんだよ。だから特別に許されてる」
「性癖とか言うんじゃねぇ。お嬢さんたちがドン引きしてんだろうが」
実際にエニシュは、戦うときに酒を飲むと強くなる。
まるで酔拳のようだが、遠距離魔法主体のこいつの場合は、別に敵の攻撃をカンフー映画のようにのらりくらりと躱せるようになるわけじゃない。
「俺様は別に酒を飲んでも女に手を出したりなんかしねぇから、安心してくれよ。な?」
ニッカたちに必死に言い訳しているエニシュの背を見ながら、俺は苦笑する。
本当の理由を聞いたら、ニッカたちはどう思うだろうか。
まさか見かけや口調と違って、エニシュという男は酒で感覚を麻痺させないと本気を出せないくらい臆病だからだなんて。
「もういいか? そろそろ部屋に案内してほしいんだが」
「おう、そうだったそうだった。とりあえず荷物だけ置いて、話は酒場で酒を飲みながらしようぜ。部屋は三階だ」
エニシュはそう言って砦の中にある階段を指さしてから歩き出す。
俺は何だか疲れた表情のニッカとグラッサに「騒がしい奴ですまないな」と目で伝えると、エニシュの背を追って階段を上っていくのだった。
そんな話をしながら幻惑の森を進む。
俺たちには木々が生い茂っているように見える場所も、レアルスが先頭に立って一歩足を踏み入れると突然道に変化する。
逆に、道に見えた場所へグラッサが不用意に向かうと、次の瞬間彼女の回りを鬱蒼と茂った高い草が取り囲んだりもする。
「本当にわけがわからない場所だな。ところで前から疑問だったんだが」
俺は先頭を歩くレアルスの背に疑問を投げかける。
「この森の幻惑魔法はエルフ族が仕掛けたんだよな? これほど大規模な幻惑魔法を、いったいどうやって維持してるんだ?」
「……」
「悪いことを聞いたか。エルフの命運がかかってるような秘密を部外者に教えるわけにはいかないもんな」
黙り込んでしまったレアルスに、俺は余計なことを聞いてしまったと頭を掻く。
しかし、彼女は首を横に振った。
「いや……実はこの森については我々エルフ族もよくわかっていないんだ」
「は?」
「一説には、遙か昔に女神様が、当時弱小種族だったエルフ族を守るためにこの森に幻惑をかけたとも言われている。まあ、今となっては眉唾物だと思っているが」
つまりこの幻惑の森は自然に発生したと言うことなのだろうか。
「じゃあ、エルフだけがこの森の幻惑に惑わされない理由もわからないと?」
「ああ。我々エルフ族は生まれながらにしてこの森の幻惑が効かない体になっている。理由はわからない」
「幻惑に対する耐性を持って生まれてくるってことか」
もしかすると、この森が幻惑に包まれる前からエルフ族はこの地に住んでいて、徐々に濃くなっていく幻惑に知らずのうちに耐性が育っていったのかもしれない。
それを調べる術はないが、エルフたちが自分たちの力で幻惑魔法をかけているわけではない以上、それが一番納得出来る答えだろう。
「だとすれば、他の種族もエルフの国で生まれ育って代を重ねたら、同じように幻惑耐性を持った子供が生まれるかもな」
「エルフと他種族が……か。そんな未来が来るのだろうか」
「他種族との交流を続けていけば、いつかチェキのようなエルフと他の種族の子供も生まれるだろうし、可能性はゼロじゃないさ」
今はまだ夢でしかないが、チェキやロステル王たちの努力が実を結べば、近い未来に実現するだろう。
「我々の努力次第ということだな」
レアルスは僅かに目を細め、口元に笑みを浮かべるのだった。
それから半時間ほど森の中を歩いた俺たちがたどり着いたのは、エルフたちが辺境砦攻略のための前線基地としていた砦だった。
といってもまだ森の中にあり、もう少し南に下れば森を出るくらいの位置だ。
かつては何百人ものエルフが潜み、人間側の動向に目を光らせていた。
しかし今は、十数人程度の兵が最低限国境の守りについているだけのようだ。
「お前たちの砦まで案内すべきなのだろうが、今は国を離れられぬ身なのでな」
「いや、ここまで送ってもらえれば十分さ。あとは自分たちで歩いていくから」
この森をまっすぐ南に抜けて半日ほどの距離に、人間族側の国境砦がある。そこから更にティーニック山脈の麓に広がる森に沿って作られた街道を進み、いくつかの村を抜ければ目的の辺境砦とたどり着く。
国境砦までの半日というのは徒歩での話なので、馬車でもあれば借りても良かったが……この砦には馬車は存在しないというのは既に聞かされていた。
なにせ、必要がなかったので置いてないと言うのだ。
だがそれも言われてみればそのはずで、この砦から人間領に向けても道は整備されていないのである。
戦いの最前線である以上、敵国との間にきっちりと整備された道を作ることを、エルフは嫌っていた。
それに、主に身一つと弓など軽装備のエルフ族にとって道は必要ないが、もし道があれば、人間族側は投石機やバリスタのような兵器を投入出来る。
結局、人間族側からエルフ領を攻めることはなかったが、幾度か道を整備しようとしては阻まれていたっけ。
ともかく今日は国境砦にでも泊まって、辺境砦方面に向かう馬車を探すつもりだ。
「案内、助かったよ」
「ありがとうございました、レアルスさん」
「チェキを頼んだよ」
俺たちはレアルスと一人一人握手を交わす。
「ああ、ラチェッキ殿と我が王の理想のために死力を尽くすつもりだ」
「そんな大袈裟な。あまり気合いを入れすぎると突然ポッキリ折れるからな。少しくらいは肩の力を抜くことも覚えた方がいいぞ」
「ふむ。トーアこそ、少しは気を抜くことが出来る場所を作るべきだと私は思うがな」
「俺は見ての通り、いつも気を抜いて生きてるぞ?」
俺はわざとらしく両手をぶらぶらさせて笑う。
レアルスはそんな俺と、左右に並ぶ二人に順番に目を向けると頭を横に振る。
「……いや。余計なことを言ってしまったな」
「心配してくれるのは嬉しいけど、俺は大丈夫さ」
すまなそうな表情のレアルスに俺はそう告げると、足下に置いてあった荷物を持ち上げる。
「もう行くよ」
「道中、気を付けてな。といってもトーアをどうこう出来る魔物もいないだろうが……それでは私も戻る」
レアルスはそれだけ口にすると俺たちに背を向ける。
そして背中越しに手を振ると、そのまま森の幻惑に溶け込むように消えていったのだった。
◆第二章◆
レアルスと別れた俺たちは、そのまま森の中の獣道のような道を南下していった。
あの砦からは、しばらくの間は森が続く。
一見すると同じ森の中のように思えるが、どういうわけか、あの砦の南側には幻惑の力は全く届かない。
おかげで道案内も必要とせず、一時間もかからず俺たちは森を完全に出ることが出来た。
海岸沿いの十数メートルくらいある崖の上が出口だった。
国境砦はここから緩い下り坂を進んでいった先にあり、そこを越えると東側に数百メートルも続く砂浜が広がっているはずだが、ここからは見えない。
「いい天気だ」
眩しい日差しに目を細める俺の耳に、感嘆の声が届く。
「うわぁ!」
声の主はニッカだ。
「あれが海なんですね……」
「そうよ。そういえばニッカは海を見たことがなかったんだっけ?」
「うん、私は王都に出るまでずっと田舎にいたから」
ニッカの村から王都までは、大陸の中央部分を通る。
なので海を見たことがないらしい。
俺たちが通ってきたヴォルガ帝国は貿易港で栄えているが、海岸沿いの港に寄らず、ドワーフのトンネルを抜けて直接港から離れた魔都に向かったために、結局海を見る機会はなかったのである。
ちなみに俺は砦に放逐される以前に、何度か海の近くの別荘に行く機会があったので、そのときに嫌と言うほど見ている。
「それで、初めて海を見た感想は?」
俺は立ち止まって海を見つめるニッカに質問を投げかける。
「とっても青くて綺麗……だけど、なんだか怖いです」
「怖い?」
「はい。どうしてかそう感じるんです」
この世界の海が全て同じとは思わない。
地球でも場所によって海の色は違う。
寒い北国のどんよりとよどんだ黒ずんだ海もあれば、南国の透き通った青い海もある。
俺たちが今見ている海はどちらかと言えば後者だ。
このあたりは魔族領の北部と違い温暖で、地球で言えば沖縄あたりの気候に似ている。
そして海も同じように透明度が高く、眩しいくらい青い。
……前世では一度も本州を離れたことはなかったので、実際に沖縄の海を見たことなんてないのだが。
「きっとあの海の中には魔物がうじゃうじゃいるから、それで怖いんじゃない?」
「えっ?」
「海が魔物の巣窟だってことをニッカも聞いたことあるでしょ?」
そう、グラッサの言う通り。
この世界の海は見かけよりも遙かに危険が潜んでいる。
「陸から離れすぎたら、あっという間に襲われて海に引きずり込まれるんだから」
「昔、お婆ちゃんから聞いたかも」
「だから、そんなふうに教えられたから怖いって思ったんじゃないの?」
「そうかも」
それで納得したように頷くニッカ。
この世界には魔物が存在している。もちろん海にも魔物はいて、海中ダンジョンも存在しているらしい。
しかし地上のダンジョンと違い、海の中のダンジョンには誰も入ることは出来ないんだとか。
正確には、魔法や魔道具を駆使すれば行くことくらいは出来るが、地上に住む種族は誰も彼も水中で自由に動くことは不可能である。
地上の魔物やダンジョンは、冒険者やそれぞれの国の軍などによって資材回収を兼ねた討伐が行われている。
しかし、海中の魔物やダンジョンは地上の人々にとっては難度が極端に高く、実質対処のしようがない状況なのだ。
もちろん魔物とて無限に増え続けるわけではないため、海が魔物で溢れ返るなんてことは起こらない。
ただ、地上に比べれば遙かにその数が多いことは間違いなく、理由は定かではないが、海が深くなればなるほど、その海域に潜む魔物は強力になっていくそうだ。
「それほど深くない所までなら、魔道具で魔物を引き寄せないように出来るんだけどな」
「そうなんですか?」
「そうでもなきゃ魚も獲れないだろ。漁師が乗る船には、弱い魔物を近寄らせない魔除けの魔道具が積んであるんだよ」
この世界の海にも、もちろん魚はいる。
そしてその魚を獲って暮らす漁師もだ。
「だから漁師さんって、実はあたしより魔力が多い人も一杯いるんだよね」
グラッサの言葉に、ニッカが目を丸くする。
「ええっ! 本当に?」
「うん。前に父さんと漁師町に行商で寄ったときに聞いたんだけどね。魔除けの魔道具を動かすためだけじゃなくて、時々魔道具が効かないはぐれの魔物に襲われることもあるから、攻撃魔法くらい使えないと漁師にはなれないらしいよ」
そう、彼女の言う通り、海の男はそんじょそこらの冒険者より強い。
辺境砦にも元漁師の傭兵が何人かいたので、何度も手合わせに付き合わされた俺は、それを身をもって知っていた。
そういえば前世の世界でも、漁師町の漁師にはヤクザも手を出さないとか言われてたっけ。
「そうなんだ。でもそんなに強いなら、色んな所からお誘いがあるんじゃない? ギルドとか国とか」
「誘われても普通は行かないからね」
「どうして?」
「だって漁師をやっている方が安全で儲かるから」
グラッサの言葉に、ニッカが首を傾げて意味がわからないといったような表情を浮かべる。
たぶん彼女はこう思っているのだろう。
『魔物に襲われる危険がある海で魚を獲るのに、どうして安全なのだろう』と。
答えは簡単だ。
彼らにとって海は、魔物がいようといまいと自分たちの庭のようなもので、見ず知らずのダンジョンに潜って宝を探すよりも危険はない。
その上、海の大半を魔物に支配されているこの世界では、漁師町自体が少ないのもあって、魚はかなりの高級品だ。
つまり漁師という職業は、冒険者や兵士になるよりも遙かに高給取りなのである。
「と、いうわけよ」
歩きながらグラッサが漁師のことをニッカに教えて聞かせる。
「知らなかった……村じゃ川魚しか食べたことなかったし」
「村の川には魔物はいなかったからね」
別に川には魔物が棲まないというわけではないが、一般的に水棲の魔物がいるのは、大きな川に限られている。
水底が見えるような川では水深が足りないのか魔力が少ないのか理由はわからないが、魔物を見かけたという話は聞いたことがない。
だからニッカたちの村では、普通に川魚を獲って食べていたのだろう。
「川魚か……鮎とかもいるんだろうか」
俺は二人の会話を聞きながら、昔一度だけ食べたことがある鮎の塩焼きを思い出し、溢れてくる涎を飲み込んだ。
「よぉトーア、久しぶりだな」
国境砦に到着した俺が入国手続きをしていると、砦の奥から一人の男が手を振りながら姿を現した。
戦士と言うには線が細く見える無精髭のその男のことを、俺は知っている。
「エニシュじゃないか。お前、まだここにいたのかよ」
「まぁな。っていうか、お前こそ王都に帰ったと思ってたらトンデモねぇ方向から帰ってきやがって」
がしっと俺の肩に手を回しながら男――エニシュが笑う。
「しかも可愛らしいお姫様を二人も連れて凱旋たぁ、驚きだぜ」
エニシュは俺より二歳ほど年上で、辺境砦にいた頃に共に修業をした仲だ。
辺境砦は基本的に猛者やベテランばかりで、同年代の者はほとんどいないのもあって、俺とエニシュが仲良くなるのに時間はかからなかった。
「ど、どうも」
「初めまして。えっと、トーアさんのお知り合いの方ですか?」
「トーアの親友でエニシュってもんだ。よろしくなお嬢さん方」
「親友って……どちらかっていうと悪友だろうが。二人とも、こいつは女ったらしだから気を許さないようにな」
エニシュは無精髭を生やしているせいで、年の割に老け顔でおっさん臭くも見える。
しかしこと攻撃魔法に関しては辺境砦でも上位の実力を持っていて、俺も何度もエニシュの魔法に助けられていた。
まぁ、同じくらい俺もこいつのことを助けてやったので貸し借りは一切ない。
「なに言ってやがる。お嬢さん、このアホの言うことは真に受けないようにな」
「誰がアホだ」
俺は肩に回されたエニシュの腕を無理矢理ほどきながら言い返す。
「あはは……二人とも仲良しなのはわかりました」
「アホ同士っぽいよね」
そんな俺たちを見て、ニッカとグラッサは苦笑いを浮かべてそんなことを口にした。
エニシュのペースに乗せられていたら、俺まで二人に変な目で見られるようになってしまいそうだ。
「今俺たちは入国審査中なんだから邪魔すんな」
「へいへい。っつってもお前さんの審査なんて必要か? なぁ?」
エニシュは俺たちの審査をするために、俺たちが差し出した身分証を受け取っていた入国審査官の守備兵に声をかける。
「トーアさんのことは知ってますけど、一応は規則なんで」
「かぁっ、相変わらず堅っ苦しいな。まぁそれじゃあさっさと済ませてこいつらを中に入れてやってくれや」
「言われなくても」
審査官はエニシュを一瞥すると、三枚の身分証に懐から取り出した楕円形の宝石のようなものを近づける。
身分証は、一見すると薄い木の板に文字が書かれただけのものだ。
だが実は、その板の中には、俺たちの身分を証明するための情報が刻み込まれており、審査官が手にしている読み取り用の魔道具を使うことで、情報を確認することが可能なのだ。
もちろん、読み取れる内容は、審査官の業務に必要なものだけに限定されている。
「はい。問題ありません」
「ありがとう。あの馬鹿が迷惑をかけちゃったね」
「慣れてますから」
大きく溜息をつく審査官に俺は何も言えず、別の窓口で検査されていた荷物を受け取ると国境砦の中に入った。
明るい外とは違って砦の中は薄暗いせいで、突然トンネルの中に入ったような感覚を覚える。
「それじゃあ、上に行こうか。部屋を用意してあるんだ」
壁にもたれて俺たちを待っていたエニシュが近寄ってくる。
そして俺の横を通り過ぎ、ニッカたちの前に立つと片手を差し出した。
「お嬢様方。お荷物はこのエニシュが部屋まで運ばせていただきましょう」
などと無駄にイケメンボイスで告げた。
「い、いえ。けっこうです」
「自分の荷物くらい自分で持てるから」
しかし二人にはあっけなく断られている。
そりゃそうだ。
さっき既に本性を見せているのだから、今さら格好を付けたところであの二人が騙されるわけがない。
「本当にお前は変わらないな」
俺は呆れながらエニシュの尻を軽く蹴った。
「人がそんなにすぐ変われるもんかよ」
エニシュは蹴られた尻を叩いてホコリを落とす。
「……でもまぁ、お前はちょっと見ない間にずいぶんと変わった気がするけどな」
そう言ってイタズラっぽい笑みを浮かべた。
自分ではよくわからないが、エニシュがそう思うほど俺は変わったのだろうか。
「色々あったんだよ。色々と」
辺境砦を出てから今まで、色々な経験をしてきた。
きっとその経験が俺に変化を与えたのだろう。
それが良い変化であればいいが、そのことは自分自身ではわからない。
「砦を出てからお前が何をしてたか、少しはレントレットから聞いちゃいるが……」
そりゃレントレットたちも辺境砦に戻るときにここを通りかかっただろうし、話は聞いてるか。
「俺が来るって話も?」
「ああ、だから久々に酒でも飲みながら、もっと詳しく聞かせてもらおうと思って準備して待ってたんだぜ」
エニシュはそう言うと、腰にぶら下げていた酒瓶を俺に見せつけるように体を捻る。
そんなものをぶら下げたまま仕事をしてるのかと、俺は呆れた目を向ける。
「なんだよ。俺が酒瓶持ってんのは昔からだろうが」
「そうなんですか?」
ニッカが驚いて俺の顔を見る。
たしかに仕事中に酒瓶をいつもぶら下げているなんて聞いて、信じられないのもわかる。
だが本当のことだ。
「こいつは酒を飲むと魔法の威力が上がるっていう、おかしな性癖を持ってるんだよ。だから特別に許されてる」
「性癖とか言うんじゃねぇ。お嬢さんたちがドン引きしてんだろうが」
実際にエニシュは、戦うときに酒を飲むと強くなる。
まるで酔拳のようだが、遠距離魔法主体のこいつの場合は、別に敵の攻撃をカンフー映画のようにのらりくらりと躱せるようになるわけじゃない。
「俺様は別に酒を飲んでも女に手を出したりなんかしねぇから、安心してくれよ。な?」
ニッカたちに必死に言い訳しているエニシュの背を見ながら、俺は苦笑する。
本当の理由を聞いたら、ニッカたちはどう思うだろうか。
まさか見かけや口調と違って、エニシュという男は酒で感覚を麻痺させないと本気を出せないくらい臆病だからだなんて。
「もういいか? そろそろ部屋に案内してほしいんだが」
「おう、そうだったそうだった。とりあえず荷物だけ置いて、話は酒場で酒を飲みながらしようぜ。部屋は三階だ」
エニシュはそう言って砦の中にある階段を指さしてから歩き出す。
俺は何だか疲れた表情のニッカとグラッサに「騒がしい奴ですまないな」と目で伝えると、エニシュの背を追って階段を上っていくのだった。
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