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子猫皇女
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「……というのがこの世界に前世日本にある商品が流通している理由だよ」
「へぇ……、そうなんですね。……どうしてこたつは作ってくれなかったんですか?」
僕はこたつがなかったから、大変な目に遭ったんだ。
「あぁ、こたつ?俺も冬に寒くて欲しいって言ったんだよ、そうしたらアイツ前世もお嬢様でさ、全室床暖房だったからこたつなんて知らない!とか言いやがって……」
知らない物は作り出せないか……。ヴェセリー商会といえばシャーロットの家だから……、シャーロットのお母さんは転生者になるのか……。
昔たしか、シャーロットの猫爪が鳥みたいでゴツくてコンプレックスだって言ってたな、朱雀の血が入っている所為かな?一般的には神獣の血の方が強いはずだけどシャーロットは猫の血が強いのは何故なんだろう……。
「話しは逸れてしまったけど、君の用件はなんだい?」
あっ、と鞄の中からライナルト様から預かった要望書を出した。
「実は、この度第十五王子セオドール様と結婚することになりまして、……妃教育の期間、二週間程お休みを頂きたいのですが……」
「お!おめでとう。休みは大丈夫だよ、要望書も頂いてるしね。皇族になるのか……大変だなぁ」
「はい……、それとパレード当日まで、この事は秘密にして貰えますか?」
恐縮しながらお願いをする。
「ん!?オフレコね了解。後々わかるのに、そこまで秘密にするのは何かあるの?」
「……お恥ずかしい話しなんですが、王子様と結婚出来るなんて今でも信じられなくて、全部が夢で儀式が終わるまでに消えてしまうんじゃないかとか、パレード当日までに暗殺されるんじゃないかとかネガティブな事ばかり考えてしまって……」
「ふ~ん、……暗殺はないとは言い切れないけど、わかった秘密にしよう」
「ありがとうございます」
☆
本日午前はテーブルマナーを習っている。
「私たち猫獣人は人へ進化したのですから、猫飲み、猫食いはご法度ですよ!カトラリーは外側から順番に使う事!」
「はい!」
「姿勢は正しく、なるべく音は立てずに。どんなに苦手な食べ物もシェフと大地の恵みに感謝を忘れずひと口だけでも召し上がりましょう!」
「はい!」
「いい時間ですね、そろそろお昼休みにしましょう!午後は一時から開始致します」
「はい!先生。午後も宜しくお願いします」
☆
ランチは、宮殿で用意するか聞かれたけれど、一人の時間も欲しくて持参するとお断りした。
宮殿の西庭へ出てみたけれど、一月の外気は寒い。少し歩いてみるとガゼボのような建物が見えた。
衛兵の方にガゼボに入っても良いか尋ねてみたら、手前の大きなガゼボは一般に開放しているのでどうぞ、と言われた。
ランチセットを手に、ガゼボの入り口のドアをゆっくりと開くと…………。
色取り取りの花達が犇めきあって咲いていて、受粉の為なのだろうか、この時期だというのに蝶々が舞っている、やわらかな日差しが降り注いで、多種多様の花の香りが爽やかに薫る。
幻想的で外景とは相反しているその空間に息を呑んだ。
中央には噴水が、その存在感を主張して鎮座している。
六角形や八角形の小さなガゼボは見たことはあるけれど、こんなに大規模なガゼボは初めて見た、小さめの体育館くらいの大きさかな……。
噴水の脇にはベンチが置かれていたので、そこでランチにした。
母直伝の猫草入りサンドウィッチを食べ終えて、お茶を飲み一息している時だった。
不意に、頭上から生暖かい紅茶の様な液体が流れてきて……。
「あにうえのきさきだなんて、わたしはみとめていないからね!」
たどたどしく話す可愛らしい声の主を見る為に振り返ると……。
黄色のドレスを纏った何とも可愛らしい子猫姫が噴水の縁に立ち、おままごと用のティーポットを手に持っていた。
僕が振り返ったことにびっくりしたのか、目を真ん丸に見開いて尻尾をピンと張る。
「みとめてないんだからね!」
誰だろう、こんな幼女に悪役令嬢の台詞を吹き込んだ人物は……。
普通なら怒る場面なのだろうが、猫好きの僕にとっては、目に映る子猫幼女はご褒美以外の何者でもなかった。
この子猫何処かで会った事があるような……、学院時代のプロムのダンスレッスン中に覗きに来た子猫!確か第二十二王女アンジェリーヌ・ブリュイエール様(ミヌエット種)だと侍女達に聞いたんだった。
やられっぱなしもつまらないなと思いハンカチで頭を拭き終わると……。
「悪戯する子は、お仕置きにもふもふなでなでしちゃうぞー」と変態おやじみたいな言葉を口にし、指を動かしながら近づくと……。
「きゃあー、ちかづかないで、このへんたい!」と吐き捨て、逆毛を立ててからティーポットを放り投げ、必死に猫型で逃げ駆ける。
猫型はさらに可愛くて本気でなでなで出来たら幸せだなと思った。
逃げても、幼女の足だからすぐに追いつきそうになる、相手は皇女様だ本当に悪戯するわけにはいかないので、追いつきそうになると足を止めて、距離が離れるとまた追いかけてを繰り返した。
始めは必死で逃げていたけれど、後半はキャッキャッしながら楽しそうで、まるで追いかけっこのようだった。遊び相手が欲しかったのだろうか。
子猫皇女様との癒やしの時間も束の間、午後一時を少しまわってしまい、エメラルダ先生に叱られた。
「へぇ……、そうなんですね。……どうしてこたつは作ってくれなかったんですか?」
僕はこたつがなかったから、大変な目に遭ったんだ。
「あぁ、こたつ?俺も冬に寒くて欲しいって言ったんだよ、そうしたらアイツ前世もお嬢様でさ、全室床暖房だったからこたつなんて知らない!とか言いやがって……」
知らない物は作り出せないか……。ヴェセリー商会といえばシャーロットの家だから……、シャーロットのお母さんは転生者になるのか……。
昔たしか、シャーロットの猫爪が鳥みたいでゴツくてコンプレックスだって言ってたな、朱雀の血が入っている所為かな?一般的には神獣の血の方が強いはずだけどシャーロットは猫の血が強いのは何故なんだろう……。
「話しは逸れてしまったけど、君の用件はなんだい?」
あっ、と鞄の中からライナルト様から預かった要望書を出した。
「実は、この度第十五王子セオドール様と結婚することになりまして、……妃教育の期間、二週間程お休みを頂きたいのですが……」
「お!おめでとう。休みは大丈夫だよ、要望書も頂いてるしね。皇族になるのか……大変だなぁ」
「はい……、それとパレード当日まで、この事は秘密にして貰えますか?」
恐縮しながらお願いをする。
「ん!?オフレコね了解。後々わかるのに、そこまで秘密にするのは何かあるの?」
「……お恥ずかしい話しなんですが、王子様と結婚出来るなんて今でも信じられなくて、全部が夢で儀式が終わるまでに消えてしまうんじゃないかとか、パレード当日までに暗殺されるんじゃないかとかネガティブな事ばかり考えてしまって……」
「ふ~ん、……暗殺はないとは言い切れないけど、わかった秘密にしよう」
「ありがとうございます」
☆
本日午前はテーブルマナーを習っている。
「私たち猫獣人は人へ進化したのですから、猫飲み、猫食いはご法度ですよ!カトラリーは外側から順番に使う事!」
「はい!」
「姿勢は正しく、なるべく音は立てずに。どんなに苦手な食べ物もシェフと大地の恵みに感謝を忘れずひと口だけでも召し上がりましょう!」
「はい!」
「いい時間ですね、そろそろお昼休みにしましょう!午後は一時から開始致します」
「はい!先生。午後も宜しくお願いします」
☆
ランチは、宮殿で用意するか聞かれたけれど、一人の時間も欲しくて持参するとお断りした。
宮殿の西庭へ出てみたけれど、一月の外気は寒い。少し歩いてみるとガゼボのような建物が見えた。
衛兵の方にガゼボに入っても良いか尋ねてみたら、手前の大きなガゼボは一般に開放しているのでどうぞ、と言われた。
ランチセットを手に、ガゼボの入り口のドアをゆっくりと開くと…………。
色取り取りの花達が犇めきあって咲いていて、受粉の為なのだろうか、この時期だというのに蝶々が舞っている、やわらかな日差しが降り注いで、多種多様の花の香りが爽やかに薫る。
幻想的で外景とは相反しているその空間に息を呑んだ。
中央には噴水が、その存在感を主張して鎮座している。
六角形や八角形の小さなガゼボは見たことはあるけれど、こんなに大規模なガゼボは初めて見た、小さめの体育館くらいの大きさかな……。
噴水の脇にはベンチが置かれていたので、そこでランチにした。
母直伝の猫草入りサンドウィッチを食べ終えて、お茶を飲み一息している時だった。
不意に、頭上から生暖かい紅茶の様な液体が流れてきて……。
「あにうえのきさきだなんて、わたしはみとめていないからね!」
たどたどしく話す可愛らしい声の主を見る為に振り返ると……。
黄色のドレスを纏った何とも可愛らしい子猫姫が噴水の縁に立ち、おままごと用のティーポットを手に持っていた。
僕が振り返ったことにびっくりしたのか、目を真ん丸に見開いて尻尾をピンと張る。
「みとめてないんだからね!」
誰だろう、こんな幼女に悪役令嬢の台詞を吹き込んだ人物は……。
普通なら怒る場面なのだろうが、猫好きの僕にとっては、目に映る子猫幼女はご褒美以外の何者でもなかった。
この子猫何処かで会った事があるような……、学院時代のプロムのダンスレッスン中に覗きに来た子猫!確か第二十二王女アンジェリーヌ・ブリュイエール様(ミヌエット種)だと侍女達に聞いたんだった。
やられっぱなしもつまらないなと思いハンカチで頭を拭き終わると……。
「悪戯する子は、お仕置きにもふもふなでなでしちゃうぞー」と変態おやじみたいな言葉を口にし、指を動かしながら近づくと……。
「きゃあー、ちかづかないで、このへんたい!」と吐き捨て、逆毛を立ててからティーポットを放り投げ、必死に猫型で逃げ駆ける。
猫型はさらに可愛くて本気でなでなで出来たら幸せだなと思った。
逃げても、幼女の足だからすぐに追いつきそうになる、相手は皇女様だ本当に悪戯するわけにはいかないので、追いつきそうになると足を止めて、距離が離れるとまた追いかけてを繰り返した。
始めは必死で逃げていたけれど、後半はキャッキャッしながら楽しそうで、まるで追いかけっこのようだった。遊び相手が欲しかったのだろうか。
子猫皇女様との癒やしの時間も束の間、午後一時を少しまわってしまい、エメラルダ先生に叱られた。
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