28 / 98
第1章
初日終了 2
しおりを挟む
全員の帰還信号を受けた佐藤は、出迎えのためにドームの中に入室した。
「皆んな、お疲れさま」
するとちょうど全員が起き上がり、ヘッドマウントディスプレイを外しているところであった。
佐藤は全員の表情を確認する。特に亜衣とお菊には注意を向ける。そしてその表情から、楽しんできてくれたと確信する。
しかし、そうやって全員の顔を見回していると、見慣れない顔があることに気付く。気のせいか、1人多い…
「て…ええぇえーっ!」
佐藤は2、3歩よろけて壁に後頭部をぶつけた。
浅野は顔を伏せて、コッソリと腹を抱えて笑っている。坂下はそんな佐藤に同情した。
「佐藤さん、向こうで友達が出来たよ!」
亜衣が鼻息を荒げて報告した。
「しかも、転位の資質まであったんです!」
珍しくお菊も興奮気味に声を荒げる。
「フランです。よろしくお願いします」
フランは深々と丁寧にお辞儀をした。
君たち楽しみすぎだぁーーっ!
佐藤の叫びは残念ながら、声にはならなかった。
~~~
「事情は…分かった。言いたいことは山程あるが、今さら言っても仕方がない…建設的な話をしよう」
佐藤は異世界支援課の事務室に戻ると、水戸にも声をかけてから全員に話し始めた。
浅野と坂下は午後からは元の部署での業務があるため、既に退室している。
「フランさんの姿は、ここ竜宮市ではさすがに目立ち過ぎる」
桃色の長い髪に先の尖った耳、革の鎧まで着こなすその姿は…場所が場所なら大人気だろうが、竜宮市では大いに目立つ。
「お金を渡すから、着替えを買ってきて貰いたい」
佐藤は財布から一万円を取り出した。
「そんな!佐藤さんに悪いです。私たちのお給料を使います!」
お菊は首を振って、受け取りを拒否する。
「僕はここの課長なんだ。だから格好つけさせて欲しい」
佐藤は有無を言わさず、お菊の手に一万円を押し付けた。
「とはいえ諸事情で、予算はこの範囲内で頼む」
「…分かりました」
お菊は頷くと、佐藤からお金を受け取る。
それからお菊は亜衣とフランに声をかけ、3人で来客スペースのあるパーテーションの向こう側に移動した。
「絶対、覗かないでくださいよ!」
お菊は振り返ると、凄い剣幕で釘を刺す。
佐藤と水戸は、只々首を縦に振ることしか出来なかった。
~~~
フランは見た目は小さいが実際は子どもではないため、所謂いいプロポーションであった。
亜衣とお菊がその事で、少なからずショックを受けたのは秘密である。
「ちょっと行ってきます!」
ショッピングモールの中にあるファストファッションの店に、亜衣はフランの服と下着を買いに行くため退室した。
「それでは僕らは、もう少し話を続けよう」
佐藤はパンパンと手を叩き、皆の注目を集める。
「こちら水戸さん。フランさんの同郷の方だ」
佐藤の紹介にフランは大いに驚いた。そして、自分以外にも転位者がいたことに少し安堵する。
「ミトです。私も転位してきました」
「フランです。よろしくお願いします」
「フランさんの宿は、水戸さんの家の部屋が余ってるから、そこを使ってはどうだろうか?」
佐藤が、少し躊躇いがちに提案した。
フランは女性なので拒否される可能性も考慮しているのだろう。お菊はチラリとフランを見る。
「ご迷惑ではありませんか?」
フランが遠慮がちに水戸に尋ねた。
「あなたが良ければ、私は全然構いません」
「…それでは、お世話になります」
水戸が頷くのを確認すると、フランが礼儀正しく頭を下げた。
「皆んな、お疲れさま」
するとちょうど全員が起き上がり、ヘッドマウントディスプレイを外しているところであった。
佐藤は全員の表情を確認する。特に亜衣とお菊には注意を向ける。そしてその表情から、楽しんできてくれたと確信する。
しかし、そうやって全員の顔を見回していると、見慣れない顔があることに気付く。気のせいか、1人多い…
「て…ええぇえーっ!」
佐藤は2、3歩よろけて壁に後頭部をぶつけた。
浅野は顔を伏せて、コッソリと腹を抱えて笑っている。坂下はそんな佐藤に同情した。
「佐藤さん、向こうで友達が出来たよ!」
亜衣が鼻息を荒げて報告した。
「しかも、転位の資質まであったんです!」
珍しくお菊も興奮気味に声を荒げる。
「フランです。よろしくお願いします」
フランは深々と丁寧にお辞儀をした。
君たち楽しみすぎだぁーーっ!
佐藤の叫びは残念ながら、声にはならなかった。
~~~
「事情は…分かった。言いたいことは山程あるが、今さら言っても仕方がない…建設的な話をしよう」
佐藤は異世界支援課の事務室に戻ると、水戸にも声をかけてから全員に話し始めた。
浅野と坂下は午後からは元の部署での業務があるため、既に退室している。
「フランさんの姿は、ここ竜宮市ではさすがに目立ち過ぎる」
桃色の長い髪に先の尖った耳、革の鎧まで着こなすその姿は…場所が場所なら大人気だろうが、竜宮市では大いに目立つ。
「お金を渡すから、着替えを買ってきて貰いたい」
佐藤は財布から一万円を取り出した。
「そんな!佐藤さんに悪いです。私たちのお給料を使います!」
お菊は首を振って、受け取りを拒否する。
「僕はここの課長なんだ。だから格好つけさせて欲しい」
佐藤は有無を言わさず、お菊の手に一万円を押し付けた。
「とはいえ諸事情で、予算はこの範囲内で頼む」
「…分かりました」
お菊は頷くと、佐藤からお金を受け取る。
それからお菊は亜衣とフランに声をかけ、3人で来客スペースのあるパーテーションの向こう側に移動した。
「絶対、覗かないでくださいよ!」
お菊は振り返ると、凄い剣幕で釘を刺す。
佐藤と水戸は、只々首を縦に振ることしか出来なかった。
~~~
フランは見た目は小さいが実際は子どもではないため、所謂いいプロポーションであった。
亜衣とお菊がその事で、少なからずショックを受けたのは秘密である。
「ちょっと行ってきます!」
ショッピングモールの中にあるファストファッションの店に、亜衣はフランの服と下着を買いに行くため退室した。
「それでは僕らは、もう少し話を続けよう」
佐藤はパンパンと手を叩き、皆の注目を集める。
「こちら水戸さん。フランさんの同郷の方だ」
佐藤の紹介にフランは大いに驚いた。そして、自分以外にも転位者がいたことに少し安堵する。
「ミトです。私も転位してきました」
「フランです。よろしくお願いします」
「フランさんの宿は、水戸さんの家の部屋が余ってるから、そこを使ってはどうだろうか?」
佐藤が、少し躊躇いがちに提案した。
フランは女性なので拒否される可能性も考慮しているのだろう。お菊はチラリとフランを見る。
「ご迷惑ではありませんか?」
フランが遠慮がちに水戸に尋ねた。
「あなたが良ければ、私は全然構いません」
「…それでは、お世話になります」
水戸が頷くのを確認すると、フランが礼儀正しく頭を下げた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる