中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

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序章

夏休みの求人募集

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夏休みに入った。

亜衣とお菊は駅前にあるショッピングモールに買い物に来ていた。とくに目的の物があった訳ではないが、お菊はとある文具店でノートとシャーペンを買っていた。

もうすぐ午後3時ということもあり、コーヒーショップで飲み物をテイクアウトする。日陰になってるベンチを見つけると、二人はそこに腰を下ろした。

「毎日暑いね。勉強する気も起きないよ」

亜衣がウンザリしたように愚痴を零す。

「宿題はしないとダメよ。去年の亜衣のこと知らないけど、今の一言で予想がつくよ」

お菊が「ふう」と溜め息をついた。夏休みの終盤に訪れるであろう自分の未来についても、同時に見えた気がしたからだ。

「私、考えたんだー」

亜衣はお菊の顔を覗きこんだ。

「毎日ダラダラ過ごしてるから、逆に宿題も捗らないんだよ」

亜衣とお菊は部活に入っていない。なので、こうして会うことでもなければ、ほとんど家から出ることはない。

「だからさお菊、何か一緒にやらない?」

亜衣はお菊の手をとると、熱い眼差しで見つめてきた。お菊は心の中で「私は順調なんだけど」と、とりあえず反論してみたが、敢えて口には出さなかった。亜衣と会う機会が増えるのは、お菊にとっても嬉しいことであるからだ。

「亜衣がやるなら、やってもいいよ」

ちょっとぶっきら棒に返事をする。こんなに仲良くなった友達はいないので、接し方が分からない。

「ホント?やりぃ!」

亜衣はそんなお菊の心の機微などお構いなしに、素直にワッと喜んだ。お菊はホッと一安心する。

「で、なにやる?」

亜衣はキラキラした期待の眼差しで、お菊を真っ直ぐに覗き込んだ。

(それを私に聞くのかよっっ!)

お菊は心の中で渾身のツッコミを入れた。

亜衣といると、お菊の内心はとても饒舌になる。でもこれが「とても亜衣らしい」とお菊の気持ちは暖かくなるのだ。

「そうねー」

お菊はとりあえず周りをキョロキョロする。するとベンチから少し離れたところに、ひっそりと佇む掲示板を見つけた。

何故だか惹き寄せられるような感覚になる。

「何かしら?」

お菊が急に歩きだしたので、亜衣は後からついていった。ふたりは掲示板の前に並んで立つ。

そこには1枚の求人広告が貼ってあった。

   ~~~

求人募集

あなたの正義の心で
世界を救ってみませんか?

特別な資格や年齢の制限なし
やる気と正義の心のある方大歓迎!

4時間以上勤務出来る方
日給 五千円~ 応相談

竜宮市役所 異世界支援課

   ~~~

「何これ?ゲームのバイト?」

亜衣は不思議そうに首を傾げた。

「でも市役所よ。ゲームなんてあるかしら?」

お菊もさすがに首を傾げる。

「よし!市役所ならここから近いし、今から行ってみよ」

「え?でも…」

お菊は少し戸惑いの表情を見せたが、亜衣はお構いなしにその手を引いて歩き始めた。

こんな怪しい求人広告見たことない。本当に大丈夫なの?お菊のなかで問答が飛び交う。

だけど、ワクワクしている自分も確かにいてる。亜衣と一緒なら、きっと楽しい。お菊は亜衣の横に追いつくと、吹っ切れた笑顔を亜衣に見せた。
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