泡沫

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衝動

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あっという間に自分の家から

潤くんの家の前までついてしまった。

エントランスにはいって
エレベーターで部屋までいく。

玄関を開けて、潤くんに手をひかれ

中へと入った。

黒のベースで整理整頓された部屋に
無造作に置いてある潤くんが着てたであろう寝間着があった。

「ごめん、ぐちゃぐちゃだけど。」

お互いここまで無言できて

繋がれた手を離して潤くんは言った。

「今、クーラーつけるから」

そう言ってクーラーをつける。

「ぐちゃぐちゃなんかじゃないよ?」

あたしがそう言うと

「え?いや、汚いよ」

と笑いながら無造作に置かれた寝間着を取った。

それをどこかへ持っていき

冷蔵庫を開けながら

「なんか飲む?」

とあたしに聞く。

「んー…」

迷ってると

「お茶でいい?」

そう言われ渡された。

「ありがとう。」

「そこ座って?」

そう言ってソファを指す。

「うん…」

あたしは言われたとおり
ソファに座った。

「俺、着替えてくるね。」

そう言って違う部屋へと向かう。

無駄に酔いを冷ますかのように
あたしはお茶を飲んだ。

「愛結。」

そう言われて振り返ると潤くんが
Tシャツとハーフパンツを着てて
手には同じようにスウェットの下と
Tシャツを持っていた。

「これ、着て?」

それをあたしに渡す。

「でも…」

「その格好じゃ、疲れるでしょ。」

確かに…家にいるときはいつも
ラフな感じだし…。

正直、少し汗ばんで着替えたかった。

「あ…ありがとう。」

あたしは受け取った。

「そっちの部屋で着替えてきていいから」

指でその部屋を指しながら言った。

「わかった。」

そう言ってそこの部屋へと急いでいく。

そこはダブルベッドが置いてあって
クローゼットのなかはスーツでいっぱいで
潤くんの寝室なのがすぐわかった。

ワンピースを脱いで
潤くんのTシャツをきて、下をはく。


あたしが部屋へと戻ると

「少しズボンでかいよね笑」

と言って笑っていた。

殿様みたいに足がなっちゃうから
少し捲って上にあげた。

「おいで?」

そう言ってあたしを隣に座らせる。

「なんか見る?」

あたしにそう言ってDVDを持ち出す。

潤くんは適当に選んでDVDをかけた。

見てるはずなんだけど
横にいる潤くんに気が散って
内容なんて入ってこない。

だけど、なんだか落ち着いてきて…
眠くなってくる。

ふと、横をみると潤くんも眠そうに
していた。

「眠いよね…?」

あたしが言うと

「いや…なんか酒が今さら効いてるみたいで笑」

そう言って、あたしにもたれかかる。

あたしの心臓はうるさいぐらいにまた鳴り続ける。

一緒にいたいなんていってさ
勝手に家についてきてさ。

あたしどうかしてる。

今さら、どうしようと一人でパニックになってて。

「あの、あたしやっぱり帰る…ごめんね寝ていいからね…」

そう言って立とうとすると

「ん…無理。」

そう言って手を引っ張られた。

潤くんの顔がもう目の前にあって

「一緒に寝よ」

そう言われて寝室に連れていかれる。

付き合ってもないのにこれっておかしい?

よくわからなくなっていて
頭も回らない。

そんな状態で

潤くんのベッドへ入る。

髪の毛…セットしたままで嫌じゃないかな?

枕が汚れるよね…

化粧したままだし…。

いやいや、違うそうじゃなくって。

変な心配して余計に頭がおかしくなる。

「ふっ笑。」

潤くんは笑ってあたしを布団のなかで
抱き締めた。

「すげー眉間にシワ寄ってたよ笑。」

そう言われて

ハッて我に返る。

潤くんの心臓の音が聞こえる。

あたしもだけど潤くんも凄い早い鼓動だった。

不思議と潤くんに抱き締められてると
落ち着いて…眠くなる。

「潤くん…?」

「んー?」

「抱き枕にしてない?」

「ふふっ笑。ばれた?」

そう言ってあたしの身体を少し離し

顔をみられる。

「風呂はいるの忘れた」

そう言って潤くんが起き上がる。

「愛結先入ってきていいよ」

そう言ってあたしの手をひいて
お風呂場へ連れてく。

「これ、バスタオルと化粧落とし」

そう言われて受けとる

「あっ、今なんで化粧落としあるの?とか思った?化粧するときとかあるんだよねイベントとか撮影とかでそんときつかったりとかするから置いてあるの」

そう言って笑った。

顔に出ていたのだろうか。

潤くんには何もかも見透かされてる気がする

シャワーから出て鏡を見て

あれ…あたし素っぴん…どうしよう。

引かれないかな…

恐る恐る寝室にいくと

「何タオルで顔かくしてんの?」

そう言ってタオルをどけようとする

「いや、あの素っぴんだから」

そう言うと

「ふっ笑。そんなの気にならないしむしろそっちの方がいいよ」

そう言って頭を撫でた。

潤くんもお風呂場へ行き
暫くひとりぼっちで寝室に取り残される。

これっておかしいよね…

なにもしなければ…おかしくない?

そんなことぶつぶつ考えてて

「愛結?髪の毛乾かそう」

そう言って寝室にドライヤーをもって
潤くんは戻ってきた。

あたしの長い髪を潤くんはドライヤーで
乾かす。

自分でやるっていったのに

長いし時間かかるからと言われ

無理矢理ドライヤーをかけられた。

「はい、終わり。」

そう言われて

「ありがとう。」

そう言い返した。

ドライヤーを片しにいったあと
潤くんはベッドへ寝転んで

「さっ、寝よ」

そう言ってあたしを布団のなかへ引き込む。

また抱き締められて身動きが取れない
状況になって。

こんなにくっついてたら寝れない…

そう思ってると

「ごめん、俺さ今、凄く我慢してるのね。だから動かないで」

そう言われて潤くんの顔をみる。

我慢してる?動かないで?

どうゆう…

あたしは急に顔が熱くなる。

なんか凄く恥ずかしがってる潤くんをみて
笑えてきてふはって大笑いをした。

「ちょっとまぢ笑わないで。」

少しふてくされながら潤くんは言う。

「ごめん笑。」

「そうやっていじめると襲うよ。」

冗談交じりに潤くんは言っていて

「ふふ笑。いいよそれでも笑。」

とあたしもふざけた感じでかえした。

でも、潤くんは無言で

「潤くん?」

あたしが問いかけると

「いや、今の本気?俺、抑えんの必死なんだけど。それでも本気ならもう抑え効かないんだけどさ。」

そう言われて見つめられる

「え…いや…あの…」

どう答えていいかわからなくて戸惑う。

「嫌だったらぶん殴って。」

そう言ってあたしの上に覆い被さって

キスをする。

「ん…っ」

何回も何回もキスをする。

息ができないくらいに。

「もう…無理」

そう言って真面目な顔をしてキスを続け
あたしもそれを受け入れていた。
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