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18話
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「もう、笑わないで下さい」
「あははは、申し訳ない。つい。貴方は貴族の方なのにとても変わってらっしゃる」
「えっ?そうですか?」
「はい。それと私のようなものに敬語など使話ないでください」
「あっ、はい。わかった。それであなたの名前は?」
「私はイーノと申します。この度は過分なお心遣いいただきありがとうございます。それでは、そろそろお暇したいと思います」
「えっ?もう帰るの?助けてもらったのに何もお礼出来てないのに!」
「このように休ませていただいただけで充分でございます。ましてや服まで頂いてしまい……」
そう言いながら彼は胸元を探った。すると、血相を変えて叫んだ。
「ない!ペンダントがない!」
そうして辺りを見回した。それでも目に付くところにはなかったようで、すぐにこちらに顔を向けた。
「あの!私のつけていたペンダントを知りませんか?ペンダントといっても指輪に紐を通しただけなのですが……」
「いや、俺は……ルッツ何か聞いてる?」
「いえ、私も何も聞いておりません」
「どうしよう、まさか俺を助けてくれた時に落ちたんじゃあ……すぐに探しに行かなきゃ」
「待ってください。ディートリヒ様!探すにしても、あなた様が行く必要はありません。今、他の使用人に確認して探しに行かせますから」
「うっ、わかった。あの、イーノこちらで探すので見つかるまでここにいてもらえない?」
「いえ、先ほどは取り乱して申し訳ありません。そのようなお手間をかける訳には参りません。お暇いただいて、自ら探しに行きたいと思います。それでは御前失礼します」
彼はそういって止める間もなく慌てて出て行ってしまった。捜索を断られたがそれでも俺はルッツに頼んで、探してもらうよう手配してもらった。
本当は俺が探しに行きたかった。彼のために何かしたかった。恩返しがしたかった。こういう時、前世の身軽さが羨ましく思う。
「あははは、申し訳ない。つい。貴方は貴族の方なのにとても変わってらっしゃる」
「えっ?そうですか?」
「はい。それと私のようなものに敬語など使話ないでください」
「あっ、はい。わかった。それであなたの名前は?」
「私はイーノと申します。この度は過分なお心遣いいただきありがとうございます。それでは、そろそろお暇したいと思います」
「えっ?もう帰るの?助けてもらったのに何もお礼出来てないのに!」
「このように休ませていただいただけで充分でございます。ましてや服まで頂いてしまい……」
そう言いながら彼は胸元を探った。すると、血相を変えて叫んだ。
「ない!ペンダントがない!」
そうして辺りを見回した。それでも目に付くところにはなかったようで、すぐにこちらに顔を向けた。
「あの!私のつけていたペンダントを知りませんか?ペンダントといっても指輪に紐を通しただけなのですが……」
「いや、俺は……ルッツ何か聞いてる?」
「いえ、私も何も聞いておりません」
「どうしよう、まさか俺を助けてくれた時に落ちたんじゃあ……すぐに探しに行かなきゃ」
「待ってください。ディートリヒ様!探すにしても、あなた様が行く必要はありません。今、他の使用人に確認して探しに行かせますから」
「うっ、わかった。あの、イーノこちらで探すので見つかるまでここにいてもらえない?」
「いえ、先ほどは取り乱して申し訳ありません。そのようなお手間をかける訳には参りません。お暇いただいて、自ら探しに行きたいと思います。それでは御前失礼します」
彼はそういって止める間もなく慌てて出て行ってしまった。捜索を断られたがそれでも俺はルッツに頼んで、探してもらうよう手配してもらった。
本当は俺が探しに行きたかった。彼のために何かしたかった。恩返しがしたかった。こういう時、前世の身軽さが羨ましく思う。
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