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第六十五話 今日は我慢しよう
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「ありがとう、ピィーちゃん。それとバードストライクは身体を回転させながら撃った方が威力は上がるよ。ついでに捕まりにくくなる」
『分かった。練習する』
それが出来れば苦労しない。
使った後に目が回って、上手く飛べなくなる。
使うならもうどうなってもいい時だけだ。
「それともう一つ。一人で出来ないことは仲間や友達に頼るといい。きっと助けてくれるはずだよ」
『仲間……』
お父さんに言われたけど、今度は分かったとは言えなかった。
もう一度ボス修行するつもりはないし、仲間呼んでも大した奴来ない。
薬草を補充すると危険な家から飛び立った。
レナスを溺愛するママに本当のこと報告したら僕の命が危ない。
レナスは良い子だと嘘の報告しないと、僕の方が嘘つき鳥として怒られそうだ。
『ヤァッ、ヤァッ』
とりあえず回転しながら街に向かって飛んでいこう。
超加速超回転であの盾ごと身体を貫いてやる。
♢♢♢
『火の始末よし!』
森の中でたき火は危ないから、しっかり消えたのを確認した。
これで街に唐揚げの材料を買いに行ける。
『う~~ん、ピィーちゃん、帰って来ないね』
一応待ったけど、ピィーちゃんが逃げたまま戻ってこない。
多分、僕に負けたショックで木の上で悔し涙でも流しているんだろう。
その気持ちは分かるから、今はソッとしておこう。
回復した黒い翼を出して飛び立った。目指すは街だ。
『邪魔するよ』
扉を優しく開けて、冒険者ギルドに入った。
Eダンジョンから鳥肉、蛇皮、狐皮。
Dダンジョンから鳥肉、鳥羽根、猫皮、果物と売れそうな物を取ってきた。
これだけあれば欲しい物は全部買えるはずだ。
「……おい、おじ様が来たぞ」
「……ああ、手筈通りにやるぞ」
なんか企んでいるみたいだ。
おじさん冒険者達が僕をチラチラ見て小声で話している。
何するつもりか知らないけど、気にせずに受付に向かった。
『買取りしてくれ。今度は急いでくれよ』
これぞ、おじ様対応だ。
下から見上げているけど、受付のお姉さんに上から目線で頼んだ。
「……悪いけど、買取りできないわ」
『何だと?』
だけど、気に入らなかったのか買取り拒否してきた。
でも、ピィーちゃんに頼むぐらいだ。
ドラゴンフルーツを見せれば、床に頭をつけて、「買取らさせてください!」と頼むはずだ。
『フッ。これを見てもそう言えるかな』
収納袋に右手を入れて掴むと、受付の上に一個だけドラゴンフルーツを置いた。
「分かってないわね。あなた、レナス君でしょ?」
『‼︎』
「捜索願いが出ているわ。大人しくしてもらいましょうか」
お姉さんの口から僕の名前が出て驚いた。
さらにガタガタと音を立てて、おじさんやお兄さんがテーブルから立ち上がっている。
何するつもりか分かったけど……
もしかして、この少人数で僕を取り押さえるつもりなの?
『レナスだって? 悪いな、人違いだ』
だけど、ここで暴れるとお金が貰えない。
無関係で貫き通すしかない。
「それを決めるのはあなたじゃなくて、私達よ。そのフードを取りなさい」
『嫌だと言ったらどうするんだ?』
「それはおかしいわね。やましいところがないなら取れるはずよ」
なるほど、どうしても僕の顔を見たいらしい。
だったら僕も容赦しない。どんな方法を使ってもフードは取らない。
『やましいところか……だったら、まずはその厚化粧を取ったらどうだ』
「はぁ? 何ですって?」
『やましいところはないんだろ?』
「ふっ、ふふっ、こ、これは素っぴんよ」
なんか顔が引き攣っている。
笑っているけど、キレる寸前だ。
トドメの一撃で終わらせてやる。
『フッ。どおりでそんな顔しているわけだ』
「どういう意味だ、クソガキィー!」
あっ、やり過ぎたみたいだ。
お姉さんが短剣を持って、受付を飛び越えて向かってきた。
「やべえ! フローラちゃん、キレたぞ!」
「誰でもいいから早く止めろ! あのガキ、死ぬぞ!」
あっ、心配しなくてもいいですよ。
だって……
「なぁっ‼︎」
『”クリスタルシールド”』
突き立てられた短剣は僕の見えない盾が防いでいる。
切っ先が数ミリだけ突き刺さっただけで止まっている。
驚くお姉さんには悪いけど、これで終わりじゃない。
『吹き荒れろ”アイスストーム”』
「きゃあっ!」
「うおおおおお!」
僕に近づく奴らをまとめて氷の嵐で吹き飛ばした。
嵐が収まると部屋全体が薄っすらと凍りついていた。
「くそぉ、身体が凍って動けねぇ……」
「寒いぃ、寒いぃ、よぉ……」
ちょっとやり過ぎちゃったみたいだ。
震える歯をガチガチ鳴らして床に倒れているおじさん達には悪いことした。
『手加減はしておいた。次はドラゴンを持ってくる。それまでに唐揚げに必要なものと、よく切れる包丁を用意しておけ。買取なしはなしだ』
短剣持って倒れているお姉さんに言うと、凍って開きにくくなっている扉を開けて外に出た。
今日はパサパサのパンだけで我慢しよう。あれなら残りの所持金でも買える。
『分かった。練習する』
それが出来れば苦労しない。
使った後に目が回って、上手く飛べなくなる。
使うならもうどうなってもいい時だけだ。
「それともう一つ。一人で出来ないことは仲間や友達に頼るといい。きっと助けてくれるはずだよ」
『仲間……』
お父さんに言われたけど、今度は分かったとは言えなかった。
もう一度ボス修行するつもりはないし、仲間呼んでも大した奴来ない。
薬草を補充すると危険な家から飛び立った。
レナスを溺愛するママに本当のこと報告したら僕の命が危ない。
レナスは良い子だと嘘の報告しないと、僕の方が嘘つき鳥として怒られそうだ。
『ヤァッ、ヤァッ』
とりあえず回転しながら街に向かって飛んでいこう。
超加速超回転であの盾ごと身体を貫いてやる。
♢♢♢
『火の始末よし!』
森の中でたき火は危ないから、しっかり消えたのを確認した。
これで街に唐揚げの材料を買いに行ける。
『う~~ん、ピィーちゃん、帰って来ないね』
一応待ったけど、ピィーちゃんが逃げたまま戻ってこない。
多分、僕に負けたショックで木の上で悔し涙でも流しているんだろう。
その気持ちは分かるから、今はソッとしておこう。
回復した黒い翼を出して飛び立った。目指すは街だ。
『邪魔するよ』
扉を優しく開けて、冒険者ギルドに入った。
Eダンジョンから鳥肉、蛇皮、狐皮。
Dダンジョンから鳥肉、鳥羽根、猫皮、果物と売れそうな物を取ってきた。
これだけあれば欲しい物は全部買えるはずだ。
「……おい、おじ様が来たぞ」
「……ああ、手筈通りにやるぞ」
なんか企んでいるみたいだ。
おじさん冒険者達が僕をチラチラ見て小声で話している。
何するつもりか知らないけど、気にせずに受付に向かった。
『買取りしてくれ。今度は急いでくれよ』
これぞ、おじ様対応だ。
下から見上げているけど、受付のお姉さんに上から目線で頼んだ。
「……悪いけど、買取りできないわ」
『何だと?』
だけど、気に入らなかったのか買取り拒否してきた。
でも、ピィーちゃんに頼むぐらいだ。
ドラゴンフルーツを見せれば、床に頭をつけて、「買取らさせてください!」と頼むはずだ。
『フッ。これを見てもそう言えるかな』
収納袋に右手を入れて掴むと、受付の上に一個だけドラゴンフルーツを置いた。
「分かってないわね。あなた、レナス君でしょ?」
『‼︎』
「捜索願いが出ているわ。大人しくしてもらいましょうか」
お姉さんの口から僕の名前が出て驚いた。
さらにガタガタと音を立てて、おじさんやお兄さんがテーブルから立ち上がっている。
何するつもりか分かったけど……
もしかして、この少人数で僕を取り押さえるつもりなの?
『レナスだって? 悪いな、人違いだ』
だけど、ここで暴れるとお金が貰えない。
無関係で貫き通すしかない。
「それを決めるのはあなたじゃなくて、私達よ。そのフードを取りなさい」
『嫌だと言ったらどうするんだ?』
「それはおかしいわね。やましいところがないなら取れるはずよ」
なるほど、どうしても僕の顔を見たいらしい。
だったら僕も容赦しない。どんな方法を使ってもフードは取らない。
『やましいところか……だったら、まずはその厚化粧を取ったらどうだ』
「はぁ? 何ですって?」
『やましいところはないんだろ?』
「ふっ、ふふっ、こ、これは素っぴんよ」
なんか顔が引き攣っている。
笑っているけど、キレる寸前だ。
トドメの一撃で終わらせてやる。
『フッ。どおりでそんな顔しているわけだ』
「どういう意味だ、クソガキィー!」
あっ、やり過ぎたみたいだ。
お姉さんが短剣を持って、受付を飛び越えて向かってきた。
「やべえ! フローラちゃん、キレたぞ!」
「誰でもいいから早く止めろ! あのガキ、死ぬぞ!」
あっ、心配しなくてもいいですよ。
だって……
「なぁっ‼︎」
『”クリスタルシールド”』
突き立てられた短剣は僕の見えない盾が防いでいる。
切っ先が数ミリだけ突き刺さっただけで止まっている。
驚くお姉さんには悪いけど、これで終わりじゃない。
『吹き荒れろ”アイスストーム”』
「きゃあっ!」
「うおおおおお!」
僕に近づく奴らをまとめて氷の嵐で吹き飛ばした。
嵐が収まると部屋全体が薄っすらと凍りついていた。
「くそぉ、身体が凍って動けねぇ……」
「寒いぃ、寒いぃ、よぉ……」
ちょっとやり過ぎちゃったみたいだ。
震える歯をガチガチ鳴らして床に倒れているおじさん達には悪いことした。
『手加減はしておいた。次はドラゴンを持ってくる。それまでに唐揚げに必要なものと、よく切れる包丁を用意しておけ。買取なしはなしだ』
短剣持って倒れているお姉さんに言うと、凍って開きにくくなっている扉を開けて外に出た。
今日はパサパサのパンだけで我慢しよう。あれなら残りの所持金でも買える。
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