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#14【君ノ名ハ】
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意識を取り戻した彼女にUMAとの出会いと、これ迄の経緯を伝える。彼女は半信半疑ながらも、目の前で起きた事柄とこの世の物とは思えないUMAの端麗さに納得せざる得ないと言った様子だ。
そして、3人?2人と一匹?の語らいが始まる。UMAが一人でソファに座り、テーブルを挟んで私と彼女が床に腰を下ろす。
正直神々し過ぎて近寄り難い……私と同じ行動をとったところを見ると、彼女も同様に感じたのだろう。
彼女が徐に口を開く。
「えっと、今まで通り〈ユーマくん〉で良いのかな?名前とかあるんですか?」
「構わない。名は無くはないが、お前達では発音出来ないだろう。人間達はその時々で好きなように呼んで来る。ただ——」
そう言ってUMAは私をジロリと睨む。
「ただ?」
その様子に彼女が問いかけると、UMAは私を睨んだまま答える。
「この俺様をUMA(未確認生物)扱いしたのはこいつだけだ。」
「あー」
半ば呆れたように答えて、彼女も私に視線を向ける。何となく居た堪れなくなり、私は喧嘩口調で問いかける。
「じゃ、今までどんな風に呼ばれてたのさっ」
私の言葉に「そうだな」とUMAは少し目線を上に向け、思い出すように口を開く。
「この銀色に輝く髪色から〈アルデバラン〉とか——」
「ほうれん草ね」
「完璧なまでに神々しい姿から〈無双〉とか——」
「白菜ね」
「明け方、暁色に染まった髪と瞳を見て〈紅天使〉と称した者も——」
「サツマイモね」
食い気味に返す私にUMAはこの上なく不機嫌な様子で私を睨む。
「あっははははっ」
すると彼女が突然笑い出した。
「何だか、見た目があまりに凄いから萎縮しちゃってたけど、ふっ、あはははっ、この子と上手くやってるのね!」
と、意味の分からない解釈をして来た。するとUMAが驚く程優しい眼差しで私を見て口を開く。
「そうだな、こんなに無遠慮で浅はかな奴は初めてだが、居心地は悪くはないな。」
!?ちょっと!何その表情っ!素敵にも程があるでしょっ!私は思わず熱を帯び出した頬を両手で押さえ、赤く染まって行くのを隠す。
ちゃんと聞いて、私っ!今ディスられたからっ!!
自分を叱責し、奮起させる。ここで恋愛脳になる訳には行かない!私の様子に彼女は何かを悟ったかのように薄目で見て来る。するとUMAが口を開く。
「俺も良いか?」
「え?私に?はい、どうぞ。」
彼女が答えると、UMAは「いや、お前達にだ」と言い聞いて来た。
「名は何だ?」
「そこからっ?!」
その問いに彼女が驚きの声を上げ、私とUMAを交互に見てくる。
「え?だって、もう何ヶ月も一緒に暮らしてるんでしょ?!」
彼女の問いかけに私はおずおずと答える。
「いや、だって、UMA(未確認生物)に名前言う必要ある?」
「はぁ~」
彼女とUMAの溜息が漏れる。彼女はUMAに向かって答える。
「私は雅。ユーマくん、よろしくね。ほら、あんたもっ」
そう言って雅は私を肘で突いて来る。私はUMAを見ながら小さな声で答える。
「………咲です。」
同居生活が始まった夏を過ぎ、秋も深まった今日この頃。本日、ようやく私はUMAに最低限の個人情報を提供した。
そして、3人?2人と一匹?の語らいが始まる。UMAが一人でソファに座り、テーブルを挟んで私と彼女が床に腰を下ろす。
正直神々し過ぎて近寄り難い……私と同じ行動をとったところを見ると、彼女も同様に感じたのだろう。
彼女が徐に口を開く。
「えっと、今まで通り〈ユーマくん〉で良いのかな?名前とかあるんですか?」
「構わない。名は無くはないが、お前達では発音出来ないだろう。人間達はその時々で好きなように呼んで来る。ただ——」
そう言ってUMAは私をジロリと睨む。
「ただ?」
その様子に彼女が問いかけると、UMAは私を睨んだまま答える。
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「あー」
半ば呆れたように答えて、彼女も私に視線を向ける。何となく居た堪れなくなり、私は喧嘩口調で問いかける。
「じゃ、今までどんな風に呼ばれてたのさっ」
私の言葉に「そうだな」とUMAは少し目線を上に向け、思い出すように口を開く。
「この銀色に輝く髪色から〈アルデバラン〉とか——」
「ほうれん草ね」
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「白菜ね」
「明け方、暁色に染まった髪と瞳を見て〈紅天使〉と称した者も——」
「サツマイモね」
食い気味に返す私にUMAはこの上なく不機嫌な様子で私を睨む。
「あっははははっ」
すると彼女が突然笑い出した。
「何だか、見た目があまりに凄いから萎縮しちゃってたけど、ふっ、あはははっ、この子と上手くやってるのね!」
と、意味の分からない解釈をして来た。するとUMAが驚く程優しい眼差しで私を見て口を開く。
「そうだな、こんなに無遠慮で浅はかな奴は初めてだが、居心地は悪くはないな。」
!?ちょっと!何その表情っ!素敵にも程があるでしょっ!私は思わず熱を帯び出した頬を両手で押さえ、赤く染まって行くのを隠す。
ちゃんと聞いて、私っ!今ディスられたからっ!!
自分を叱責し、奮起させる。ここで恋愛脳になる訳には行かない!私の様子に彼女は何かを悟ったかのように薄目で見て来る。するとUMAが口を開く。
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「私は雅。ユーマくん、よろしくね。ほら、あんたもっ」
そう言って雅は私を肘で突いて来る。私はUMAを見ながら小さな声で答える。
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