私と母のサバイバル

だましだまし

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11 結界

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気持ちの良い朝の陽射しに目を覚ます。

ううーん、と伸びをし横を見るとお母様がまだスヤスヤと眠っていた。
先に降りようかと木の方をみて息を呑む。

昨日ニードルディアの死骸を食べていた蛇の魔物より大きい個体がいたのだ。
ただ、いるけど動きが妙だった。

枝に巻き付きグルグル回っては幹に戻り…また枝に戻るを繰り返している。
私達の寝ている木の板の手前から先へは来ない。

しばらく観察していると横から「おはよぉ」と寝ぼけた声が聞こえた。
「起きてたのね~。何見てるの?」
「おはようございます、お母様。…なんか蛇の魔物が…変なの…」
そう言って板の向こうを指差す。
チラッとみてシレッとお母様は言った。

「あぁ、この枝に巣があったんじゃない?あの魔物、朝は木の上の巣で寝てるから」
そういって枝先を指で示したあと大あくびをしている。
「巣!?でもあそこからこっちに来ないわよ?」
まるで行き慣れた道の先が無くなったと言わんばかりに魔物は右往左往していた。

「そりゃ結界で進めないもの~。あの魔物にしたら巣は見えてるけど間が無くて進めないって感じと思うー…多分」
「は!?結界!?!?」
とんでもない爆弾発言だ。

結界といえば一部の大きな神殿や教会に張られている聖域。
たとえ魔物暴走スタンピートが起きても安全地帯を維持できる力がある故に神殿や教会はどの国でも一定の自治権を勝ち取っている。

神官たちが毎日祈りを捧げ、やっと維持できるとかじゃなかったかしら…?
「お母様、光魔法が使えるから!」
ドヤッと胸を張るけどそんな事出来るなら早く教えて欲しい。
光魔法で結界が張れるなんて初めて知ったわ。

「それなら結界張ったまま移動したら魔物も寄り付かないんじゃ…」
「止まってなきゃ発動出来ないのよ~。張る前に見つかっててもダメだし使い勝手悪いの。移動出来てたら侯爵家に捕まってないわぁ~」
口を尖らせてぶーぶー言うが、それでもわざわざ木の上で寝る必要は無かったという事だ。

「お母様…なんで木の上で寝たか分かってる?」
「え?気持ちいいから?」
キョトンとして言われると頭痛がしてくる。

「見張りをしなくてもニードルディアやアックスベアみたいな魔物に襲われないように、だったんだけど…」
お母様はキョトンとしたまま小首を傾げた。
「でも、あの蛇の魔物や大人しいのが多いけど鳥の魔物もいるから木の上って安全地帯じゃないわよ?アックスベア対策ならアックスベアって木登り上手だし。なんなら切り倒せちゃうから無意味なんだけど…」

己の無知さに絶句するしかない。

「じゃあ…わざわざ木の上に寝床を作ったのは無意味だったのね…」
ついで脱力。
「気持ちよく眠れたし楽しかったから無意味じゃないわよ?」
ニコニコのお母様。

うん、ま、いいや。


考えるのを止めた私はサックリ風魔法で蛇の魔物を倒して下に降り、朝ご飯を作ることにした。

朝食は今手に入れた蛇肉と蜘蛛パンで作るサンドイッチだ。
コップに水を入れてもらい、昨日摘んだそのまま食べられる野草に水を吸わせて食感を取り戻している間に焼いた蛇の身を骨が多いのでほぐす。

少し味見をすると鶏むね肉のようにあっさりとしているがしっとりしているので、まるで味のないサラダチキンだった。
ほぐした身に岩塩同士をこすり合わせて塩をパラパラ振りかけ野草と蜘蛛パンに挟めば完成だ。

「手際いいわねぇ♪」
ご機嫌でサンドイッチを頬張るお母様。
昨日食べてすっかりパン扱いしてるけど元を辿れば蜘蛛が作った謎物体…。
一瞬の抵抗感に葛藤しつつ私も同じくかぶりつく。


うん、美味しいは正義。
もう蜘蛛気にしない。また見つけよう。

贅沢言えばドレッシング欲しいなんて思いながら昨晩同様美味しく食べれてしまった。
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