ナチス最終兵器 サメ人間

名無しの東北県人

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第一章

◆チャプター8

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「火星にぃ……っ! 火星に農場ができちゃうぅぅぅううっ!」
 テスト大成功の賞与として、『総統ディルド』を装着したソフィアからバックで激しく突かれていたアノニマが絶頂した。
「お前達は、一体何が目的なんだ!」
 両者の股間から蜜が迸る光景をモニター越しに興味深く観察していたイルザの鼓膜が、口汚いドイツ語で叩かれた。
「それぞれ違いますん」
 イルザは洋館地下の実験室に拘束された、左腕のない友軍兵士の頬を張る。
「それ……ぞれ……?」
「まず私は単に『自分が作りたいものを作りたい』だけですん。故に総統閣下に無許可でソフィア様に協力し、スターリンが知らない資金提供を受けていますん」
 女軍人は八月十一日からずっと拘束されている男の前で、「で」と続ける。
「量産したサメ人間をV2ロケットに入れて、米本土と英本土の計五十六箇所に撃ち込む」
 褐色肌の中尉は味方の右耳を掴み、ナイフを付け根に食い込ませた。
「送り込まれたサメ人間は死ぬまで徹底的な破壊と殺戮を繰り返す」
 赤い肉の断面から溢れた血が、激痛に歪む顎線に沿って伝う。
「まずここまでが、あの方の手段ですん」
 落ちた右耳を拾い上げたイルザは体温残るそれを男の口に押し込もうとするが、彼は唇を固く閉じ、顔を背けて頑なに拒んだ。
「恐るべき蛮行を防げなかった西側のスペクター達は、自分の無力感に死ぬまで苦しむことになりますん」
 イルザが小さく指を鳴らすと、武装親衛隊の黒い軍服に身を包んだ部下二人が、友軍である筈の国防軍兵士を椅子ごと羽交い絞めにして無理矢理口を開かせる。
「ソフィア様と全く同じように『何をやっても心の空白を埋められない苦痛』を追体験することになるんですん」
 中尉はこじ開けられた口に耳を自分の拳ごと呑み込ませるかの如く押し込み、〇・五秒と経たずにそれを嘔吐物と共に吐き出して激しく噎せた兵士に告げる。
「そしてこれが、あの方の目的ですん」
「狂ってる……お前らみんな、狂ってる……」
 女性将校は充血した両目を真っ赤にして肩を上下させる捕虜の前で微笑んだ。
「今回のアイアンランド襲撃作戦は諸々の実験でしたん。サメ人間は通常兵器で簡単に殺されてはいけませんが、だからと言って余りにも強くし過ぎてしまうと、今度は地球がサメ惑星になりますん」
「どうして……どうしてそんなこと……」
「無茶苦茶な逆恨みなのはソフィア様も承知してますん」
 そこまで言い終えたイルザはホルスターからルガーP08拳銃を引き抜くと、
「でもあの方は、誰かのせいにしないと自分を守れない、最低の人間なんですん」
 金メッキが施された銃身を兵士に向け、深呼吸してから人差し指に力を込める。地下室に、乾いた銃声が響いた。
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