もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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9章 もふうさフィーバー

323.仲間を紹介するよ

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 モンちゃんから仕掛けられたイタズラに、プンプンと怒った感じを装いながらペシペシとモンちゃんの膝を叩く。

「ほんとにびっくりしたよぉ」
「ははっ、そりゃいいな。それより、新しいテイムモンスターを連れてきたのか?」

 モンちゃんは僕の文句を意に介さなかった。さらっと流されちゃう。僕も本気で抗議してるわけじゃないからいいけどさ。

 ヒスイに視線を向けたモンちゃんに「うん!」と頷いてから、僕はヒスイの背中をポンポンと叩いた。

「頼りになる僕の新しい仲間だよ。スタ島で出会ったんだ。妖怪モンスターっていう分類で、スタ島にいる神魔の眷属仙猫センリっていう種族なんだ。名前はヒスイだよー」
「にゃ(よろしくにゃー)」
「……なるほど? うん、そっか。さすがモモだな……」

 モンちゃんが固まり、一拍置いてから頷いた。僕を通り越して遠くを見てる気がする。
 ついでに「俺に土産のように驚きを持ってくるのが当たり前みたいになってねーか……?」と首を傾げてた。

 ちょっとそれは当たってる。モンちゃんが驚くところ見るの楽しいんだもん!
 僕がにこにこと笑ってモンちゃんの反応を見てたら、「とりあえず中で話すか……」とため息混じりに促された。

 はーい、のんびり話そうね。
 後で、もう一体の仲間を紹介するけど……家の中で大丈夫かな? 大丈夫であってほしいな。ストルムの良心を信じる!

 家の中に招いてくれるモンちゃんについていくと、客間ではモンちゃんの奥さんのレアナさんがお茶とお菓子を準備してくれてた。いつもありがとー。

 レアナさんが僕を見てクスクスと笑う。

「この人が子どもみたいなイタズラを仕掛けて、ビックリしたでしょう?」
「うん、すっごく驚いたよー。でも、カッコいい子に会えたからいいや」
「あら、優しいわね。でも、お詫びにお菓子は仙桃ミルクを使ったものにしたのよ。たくさん食べてね」

 机の上にはマドレーヌが積まれていた。中に仙桃ミルクジャムが入ってるらしい。食べるの楽しみ!

「あ、僕もお菓子持ってきたよー。僕の農地で採れた王桃オウトウを使ったタルト。一緒に食べようよ」
「へぇ、美味そうだな」
「モモが持ってきてくれるお菓子はいつも美味しいものね」

 あまり甘味を好まないヒスイ以外にタルトを配って、実食です。
 王桃オウトウが甘くてジューシーでうまうま。

 僕の動きに合わせてキラキラが舞うよ。この王桃オウトウ、【美しき王桃オウトウ】っていうアイテムで、食べるとしばらくの間、周囲にキラキラエフェクトが生じるんだ。

 つまり、これを食べたモンちゃんとレアナさんも――

「うおっ、なんだこれ!?」
「あら、まぁ、キラキラしてるわねぇ」

 モンちゃんがぎょっとした顔で周囲を見て、レアナさんは驚いてるけどおっとりした雰囲気で微笑む。
 対照的なリアクションだけど、僕の予想通り。

「えへへー、キラキラエフェクトが付く特別な王桃オウトウなんだよ~」
「……最初に言ってくれ」

 モンちゃんが額を手で押さえて呻いた。
 続けて「消えるまで外出れねぇ……」ってぼやいてるけど、普通に出たらいいと思うよ? お弟子さんたちに「師匠キラキラー!」って喜んでもらいなよ。キラキラしてるモンちゃん、予想してた以上に面白いから。

「――モモ?」
「なぁんにも考えてないよ。ほんとだよ」

 モンちゃんにジトリと睨まれて、目を逸らしながら誤魔化す。思考を読み取るのやめてほしいなー。怒られるのはヤダ。

「はぁ……それにしても、神魔の眷属か……相変わらず凄いモンスターを気軽にテイムしてくるなぁ」
「にゃ(褒められてるにゃ?)」
「褒めてくれてると思うよ」
「にゃにゃー(照れるにゃー)」

 ヒスイがにゃごにゃごと鳴きながら顔をくしくしと洗っていた。照れてるにゃんこ可愛い!
 モンちゃんも表情を和らげてヒスイを見てる。ヒスイの魅力はモンちゃんにも通じてるみたい。さすがヒスイー!

「ヒスイを入れて、モモがテイムしたモンスターは八体か?」
「ううん、もう一体いるよー」
「ほう? そいつはなんだ? いや、待て、心の準備をするから――」

 興味深そうに聞いてきたと思ったら、モンちゃんがすぐに手のひらを僕に向けて制止してくる。
 でも、僕は走り出したら止まらないをモットーにすると今決めたので、気にせず召喚しまーす。

「【召喚】ストルム(っちゃな姿で来てね)」

 こっそりとサイズを念じながらストルムを喚ぶ。伝わってるかはわからない。

「待てと言ってるだろうがっ!」
『またライブする?』

 ストルムがパッと現れて、楽しそうに飛び回る。でも、ライブ会場じゃないことにすぐに気づいて、ちょっとしょんぼりしてた。
 一緒にライブして、ハマっちゃったみたいなんだよねー。

「――ドラゴン……?」
「そうなのです。えへん」

 叫んだ後、ストルムを見て呆然とした顔で固まるモンちゃんに、僕は胸を張って頷く。
 レアナさんは「あら……あらあら……」と目をパチパチと瞬かせていた。さすがにレアナさんもすっごく驚いたみたい。

『この人誰?』
「モンちゃんだよー。凄いテイマーさんなんだ」
『へぇ、確かにモンスターに好かれてる気配がするね』

 そういう気配ってわかるものなんだ?
 ストルムの言葉に首を傾げながら、今度はモンちゃんたちに紹介することにした。

「この子は白嵐竜ホワストドラのストルムだよ。本来のサイズはすっごく大きいんだけど、このくらい小さくなれるんだー」
『どうもー。おいら好みの魔力をくれたら、よろしくしてあげるよ』

 ちょっぴりストルムが偉そう。ドラゴンだから、これが普通なのかな。
 モンちゃんはいつの間にか頭を抱えていた。お薬飲む?
 そっと初級回復薬を差し出してみたけど、受け取ってもらえなかった。これでは頭痛が治らないもんね。

 モンちゃんたちが落ち着いてお話できるようになるまで、マドレーヌを食べて待っていよう。
 ――う~ん、仙桃ミルクジャムうまうまで幸せ~。

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