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3章 商人への道?
103.可愛くて効果もあるって最強
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ぬいぐるみを抱えて寝に行ったイザベラちゃんを見送る。このアイテム、寝ないと効果ないのが、ちょっと不便なとこだよね。
「抜本的に解決するにはどうしたらいいんだろう?」
「誰がお嬢様を呪っているか、調査するべきですね。閣下に直接お伝えしてみます」
イザベラちゃんが部屋からいなくなった途端、シシリーの様子が普段通りになった。呪いの影響がシシリーにも出てたってことかな?
「直接って……あぁ、仲介する人が犯人だとまずいもんね」
考えたくないけど、その可能性はあるんだ。思わず耳がへにゃっと垂れる。
怖いし、悲しいなぁ。その思いは、イザベラちゃんやシシリーの方が強いだろう。仲間だと思っていた人を疑わないといけないんだし。
「そうですね……。お嬢様に掛かっている呪いは、おそらく『反転』の効果を持つものだと思うのですが」
「なにそれ?」
呪いって種類があるの? 闇魔術自体、僕は全然知らないんだよね。
「えっと……呪いというのは、闇魔術などでデバフが掛かった状態全般を指します」
「麻痺とかも呪いってこと?」
「それが闇魔術によるものでしたら。基本的にモンスターから受けるデバフは、麻痺や火傷など詳細になることが多いのですが、人が人に闇魔術でデバフを掛けた場合は、呪いとしか示されないことがほとんどです。人物鑑定を極めるのは特殊な職についている場合だけで、普通は鑑定スキルのレベルが足りないからですね」
なるほど。つまり、人物鑑定か全鑑定スキルのレベルを上げたら、呪いの詳細も見れるってことか。僕はまだレベル2しかないから、呪い状態ってことしかわからなかっただけ。
「そうなんだね。シシリーが呪いを反転っていう効果だと考えた理由はなに?」
「反転の呪いをバトル時に使うと、好悪感情を逆転させる効果があります。つまり、モンスターに掛けると、人間を攻撃してこなくなるんですね。逆にモンスターから掛けられると、パーティーの仲間内で同士討ちが始まります」
こわっ!
もし僕がリリやルトと一緒にバトルしてたとして、反転のデバフがかかったら、二人を攻撃しちゃうし、攻撃されちゃうってことだよね。
「バトル時以外では、好意的な感情が強いほど、その相手に対して攻撃的な態度をとるようになると知られています。また、その呪いが掛けられている人に対して、周囲も悪感情を持つようになる、という波及効果もあるようです。嫌われている人だと、むしろ好かれるようになるそうですが」
シシリーが苦々しい表情で言った。
「イザベラちゃんはシシリーのことが好きだから攻撃的な態度をとったし、シシリーもイザベラちゃんのことが好きだから、一緒にいるのが苦しくなったってこと?」
「そうだと思います。本心とは反対の感情が表面に現れてしまうので、とても違和感を覚えるのが特徴ですね」
厄介な呪いだなぁ。好きだからこそ、嫌な態度をとっちゃうなんて。
そう思ったところで、『あれ?』となった。僕はイザベラちゃんのこと好きだし、態度にもそのまま感情を表してた気がするけど?
「――モモさんは、おそらく精神力が高いのでしょうね。少なくとも、呪いの効果を打ち消すほどには」
僕の疑問を察したのか、シシリーが教えてくれた。
そういえば、シシリーもイザベラちゃんも、レベルがすごく低い。つまりステータスが初期値に近くて、精神力が低い可能性が高いってこと。呪いへの抵抗性がなかったわけだ。
「イザベラちゃんは? 僕のこと嫌いなの……?」
そうだったら悲しい! 泣いちゃうよ……。
思わず目を潤ませてシシリーを見上げると、慌てた感じで首を横に振られた。
「いえ! この呪いは相手との精神力の合計値によって影響の出方が変わってくるんです。合計値が30を超えるとほぼ影響が出ません」
「僕一人でも、装備を考えたら精神力が30近くあるから、影響がほとんど出てないってことだね」
納得。精神力を高める装備を持ってて良かった!
そうなると、イザベラちゃんの護衛のリシェードさんがあまり影響を受けてない感じだったのも、そのおかげってことかな。護衛をするくらいなんだから、きっとレベルが高いだろうし、相応に精神力が高くても不思議じゃないもん。
反対に、シシリーやメイドさんみたいな、戦う機会がほぼない人は、ステータスが低くて影響を受けやすいってことだ。お付きのメイドさんがいないのも、イザベラちゃんと上手くやっていけなかったからなのかも。
多くのプレイヤーがイザベラちゃんに会った場合は、よっぽど精神力を上げてない人じゃなければ、仲良くなれるってことか。もちろん、言動での影響も大きいだろうけど。
「――んん? じゃあ、シシリーも念の為精神力を高めておいた方がいいってこと?」
「お嬢様が再度呪いに掛からなければ問題ないと思いますが……。いえ、犯人が捕まっていない以上、私が呪いを掛けられる可能性もありますし、後でアイテムを探しておくべきですね」
真剣な表情で頷くシシリーを眺めながら、ちょっと考える。シシリーを手助けしてあげたいんだけど、精神力を上げるアイテムって、今のところぬいぐるみ(大)しか知らないんだよね。
ブローチやピアスは防御力を5上げるアイテムで、天兎の綿毛を使ってても種類ごとにアイテムの効果が違うんだと思う。
同じぬいぐるみなら、精神力に効果が出るかな?
「綿毛ちょっとあるし、作ってみるか」
「え、なにをですか?」
きょとんとするシシリーに「あとで鑑定してねー」と答えにならない返事をしながら、錬金玉と錬金布を取り出す。
錬金布に綿毛を載せて作るのは、ぬいぐるみ中・小・特小。サイズの種類多すぎるよね。効果が高まることを期待して、綿毛100%で作ってみた。……綿毛の在庫が0になったよ!
「――あ、可愛いですね」
「手乗りうさぎだねー」
シシリーが真っ先に手に取ったのは、特小サイズのぬいぐるみ。人の手のひらより小さくて、丸っこくて可愛い。紐をつけたらキーホルダーにもできそう。
「効果は……アイテムボックス外で持ち歩くと、精神力・幸運+8になるそうです」
「ぬいぐるみ(大)とほぼ変わらないじゃん!」
驚いたけど、使っている綿毛の数を考えたら、妥当かもしれない。ぬいぐるみ(大)は夢羊の毛×7、綿毛×3で作ってて、今回のぬいぐるみ(特小)の材料は綿毛×3だからね。
「利便性で使い分けられる感じですね。他のぬいぐるみの効果と重複はできないようです」
「なるほどねー。他のサイズのはどう?」
聞いてみたら、中サイズは精神力・幸運値+16で、小サイズは精神力・幸運値+12だと教えてくれた。どれも、アイテムボックス外で持ち歩いてる間に限定した効果。
この法則を大サイズにも適応すると、精神力・幸運値+20の可能性がある。大サイズを持ち歩くのは大変だし、バトル時はほぼ不可能だけど。
夢羊の毛を混ぜると、『睡眠(ログアウト)中に持っていると、目が覚めた(ログインした)後数時間精神力・幸運値が上がる』っていう効果になるんだろうな。
ステータスへの影響は、綿毛のみで作ったぬいぐるみの方が大きいけど、使いやすさで考えると微妙だ。
「――とりあえず、シシリーにはこの特小サイズをプレゼントするよ! このリボンでどっかに付けてれば邪魔にならないんじゃないかな」
市場で衝動買いした赤色のリボンと一緒に渡す。
「いいんですか? あの、お金を支払いますので」
「退職祝い的な感じで遠慮せず受け取って」
躊躇うシシリーに押し付けたら、控えめな笑みを浮かべながら「ありがとうございます」と言って受け取ってくれた。そして、少し考えた後に、ぬいぐるみにハーネスを着けるようにリボンを巻き付けた後、髪を結んでいるゴムの上から付けてる。
それでも可愛いと思うけど、ちゃんとしたアクセサリーに仕立てたくなった。ヘアアクセサリーもいつか作ってみようかなー。
「他のぬいぐるみはどうされるんですか?」
「うーん……今度の写真撮影会でプレゼントしてみようかな。ビンゴ大会みたいなことできたら楽しそう!」
景品をいっぱい用意して、ゲームするんだ。きっと盛り上がるよ。
ワクワクとしてたら、シシリーが微笑んで「いいアイディアですね」と言ってくれた。
「抜本的に解決するにはどうしたらいいんだろう?」
「誰がお嬢様を呪っているか、調査するべきですね。閣下に直接お伝えしてみます」
イザベラちゃんが部屋からいなくなった途端、シシリーの様子が普段通りになった。呪いの影響がシシリーにも出てたってことかな?
「直接って……あぁ、仲介する人が犯人だとまずいもんね」
考えたくないけど、その可能性はあるんだ。思わず耳がへにゃっと垂れる。
怖いし、悲しいなぁ。その思いは、イザベラちゃんやシシリーの方が強いだろう。仲間だと思っていた人を疑わないといけないんだし。
「そうですね……。お嬢様に掛かっている呪いは、おそらく『反転』の効果を持つものだと思うのですが」
「なにそれ?」
呪いって種類があるの? 闇魔術自体、僕は全然知らないんだよね。
「えっと……呪いというのは、闇魔術などでデバフが掛かった状態全般を指します」
「麻痺とかも呪いってこと?」
「それが闇魔術によるものでしたら。基本的にモンスターから受けるデバフは、麻痺や火傷など詳細になることが多いのですが、人が人に闇魔術でデバフを掛けた場合は、呪いとしか示されないことがほとんどです。人物鑑定を極めるのは特殊な職についている場合だけで、普通は鑑定スキルのレベルが足りないからですね」
なるほど。つまり、人物鑑定か全鑑定スキルのレベルを上げたら、呪いの詳細も見れるってことか。僕はまだレベル2しかないから、呪い状態ってことしかわからなかっただけ。
「そうなんだね。シシリーが呪いを反転っていう効果だと考えた理由はなに?」
「反転の呪いをバトル時に使うと、好悪感情を逆転させる効果があります。つまり、モンスターに掛けると、人間を攻撃してこなくなるんですね。逆にモンスターから掛けられると、パーティーの仲間内で同士討ちが始まります」
こわっ!
もし僕がリリやルトと一緒にバトルしてたとして、反転のデバフがかかったら、二人を攻撃しちゃうし、攻撃されちゃうってことだよね。
「バトル時以外では、好意的な感情が強いほど、その相手に対して攻撃的な態度をとるようになると知られています。また、その呪いが掛けられている人に対して、周囲も悪感情を持つようになる、という波及効果もあるようです。嫌われている人だと、むしろ好かれるようになるそうですが」
シシリーが苦々しい表情で言った。
「イザベラちゃんはシシリーのことが好きだから攻撃的な態度をとったし、シシリーもイザベラちゃんのことが好きだから、一緒にいるのが苦しくなったってこと?」
「そうだと思います。本心とは反対の感情が表面に現れてしまうので、とても違和感を覚えるのが特徴ですね」
厄介な呪いだなぁ。好きだからこそ、嫌な態度をとっちゃうなんて。
そう思ったところで、『あれ?』となった。僕はイザベラちゃんのこと好きだし、態度にもそのまま感情を表してた気がするけど?
「――モモさんは、おそらく精神力が高いのでしょうね。少なくとも、呪いの効果を打ち消すほどには」
僕の疑問を察したのか、シシリーが教えてくれた。
そういえば、シシリーもイザベラちゃんも、レベルがすごく低い。つまりステータスが初期値に近くて、精神力が低い可能性が高いってこと。呪いへの抵抗性がなかったわけだ。
「イザベラちゃんは? 僕のこと嫌いなの……?」
そうだったら悲しい! 泣いちゃうよ……。
思わず目を潤ませてシシリーを見上げると、慌てた感じで首を横に振られた。
「いえ! この呪いは相手との精神力の合計値によって影響の出方が変わってくるんです。合計値が30を超えるとほぼ影響が出ません」
「僕一人でも、装備を考えたら精神力が30近くあるから、影響がほとんど出てないってことだね」
納得。精神力を高める装備を持ってて良かった!
そうなると、イザベラちゃんの護衛のリシェードさんがあまり影響を受けてない感じだったのも、そのおかげってことかな。護衛をするくらいなんだから、きっとレベルが高いだろうし、相応に精神力が高くても不思議じゃないもん。
反対に、シシリーやメイドさんみたいな、戦う機会がほぼない人は、ステータスが低くて影響を受けやすいってことだ。お付きのメイドさんがいないのも、イザベラちゃんと上手くやっていけなかったからなのかも。
多くのプレイヤーがイザベラちゃんに会った場合は、よっぽど精神力を上げてない人じゃなければ、仲良くなれるってことか。もちろん、言動での影響も大きいだろうけど。
「――んん? じゃあ、シシリーも念の為精神力を高めておいた方がいいってこと?」
「お嬢様が再度呪いに掛からなければ問題ないと思いますが……。いえ、犯人が捕まっていない以上、私が呪いを掛けられる可能性もありますし、後でアイテムを探しておくべきですね」
真剣な表情で頷くシシリーを眺めながら、ちょっと考える。シシリーを手助けしてあげたいんだけど、精神力を上げるアイテムって、今のところぬいぐるみ(大)しか知らないんだよね。
ブローチやピアスは防御力を5上げるアイテムで、天兎の綿毛を使ってても種類ごとにアイテムの効果が違うんだと思う。
同じぬいぐるみなら、精神力に効果が出るかな?
「綿毛ちょっとあるし、作ってみるか」
「え、なにをですか?」
きょとんとするシシリーに「あとで鑑定してねー」と答えにならない返事をしながら、錬金玉と錬金布を取り出す。
錬金布に綿毛を載せて作るのは、ぬいぐるみ中・小・特小。サイズの種類多すぎるよね。効果が高まることを期待して、綿毛100%で作ってみた。……綿毛の在庫が0になったよ!
「――あ、可愛いですね」
「手乗りうさぎだねー」
シシリーが真っ先に手に取ったのは、特小サイズのぬいぐるみ。人の手のひらより小さくて、丸っこくて可愛い。紐をつけたらキーホルダーにもできそう。
「効果は……アイテムボックス外で持ち歩くと、精神力・幸運+8になるそうです」
「ぬいぐるみ(大)とほぼ変わらないじゃん!」
驚いたけど、使っている綿毛の数を考えたら、妥当かもしれない。ぬいぐるみ(大)は夢羊の毛×7、綿毛×3で作ってて、今回のぬいぐるみ(特小)の材料は綿毛×3だからね。
「利便性で使い分けられる感じですね。他のぬいぐるみの効果と重複はできないようです」
「なるほどねー。他のサイズのはどう?」
聞いてみたら、中サイズは精神力・幸運値+16で、小サイズは精神力・幸運値+12だと教えてくれた。どれも、アイテムボックス外で持ち歩いてる間に限定した効果。
この法則を大サイズにも適応すると、精神力・幸運値+20の可能性がある。大サイズを持ち歩くのは大変だし、バトル時はほぼ不可能だけど。
夢羊の毛を混ぜると、『睡眠(ログアウト)中に持っていると、目が覚めた(ログインした)後数時間精神力・幸運値が上がる』っていう効果になるんだろうな。
ステータスへの影響は、綿毛のみで作ったぬいぐるみの方が大きいけど、使いやすさで考えると微妙だ。
「――とりあえず、シシリーにはこの特小サイズをプレゼントするよ! このリボンでどっかに付けてれば邪魔にならないんじゃないかな」
市場で衝動買いした赤色のリボンと一緒に渡す。
「いいんですか? あの、お金を支払いますので」
「退職祝い的な感じで遠慮せず受け取って」
躊躇うシシリーに押し付けたら、控えめな笑みを浮かべながら「ありがとうございます」と言って受け取ってくれた。そして、少し考えた後に、ぬいぐるみにハーネスを着けるようにリボンを巻き付けた後、髪を結んでいるゴムの上から付けてる。
それでも可愛いと思うけど、ちゃんとしたアクセサリーに仕立てたくなった。ヘアアクセサリーもいつか作ってみようかなー。
「他のぬいぐるみはどうされるんですか?」
「うーん……今度の写真撮影会でプレゼントしてみようかな。ビンゴ大会みたいなことできたら楽しそう!」
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