魔輝石探索譚~大賢者を解放するため力ある魔石を探してぐるぐるしてみます~≪本編完結済み≫

3・T・Orion

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第五章 ヴェステ王国編

おまけ4 フレイリアルの小さな悩み 4

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プラーデラから懐かしき面々が訪れ…皆で集う楽しい時を過ごしていた。
其れなのに、わざわざ合間見て…グレイシャムに入るリーシェライルの居る青の間へと…答え求めフレイリアルは舞い戻っていた。
胸に秘めた小さな願いへの足掛かりとなりそうな…気になって仕方の無い思い付きが頭を過ぎり、フレイリアルを突き動かしたのだ。
しかし…呆気なく、願いは…断たれる。

大賢者の年齢変化。

答えを得る過程の中でフレイリアルがリーシェライルからの質問に口を閉ざしたのは、微妙な切っ掛けで得た子供っぽい願いに…何となく羞恥を覚えた事と…得た答えに落胆したから…。
其れでもフレイリアルは、諦めてしまいそうな自身に抗い…答えの中に新たな可能性を探す。

期待と諦め…無理矢理でちぐはぐなフレイリアルの心の中は、ひと言で纏めると…思い通りにいかず拗ねた感じ。
其のチョット面倒そうなフレイリアルを、リーシェライルは文字通り丸ごと受け止め…微笑み浮かべながら頬寄せ抱き締める。
優しく包み込んだ腕の中…押し黙るフレイリアルの頭を撫でつつ、リーシェライルは再度丁寧に説明を加えていく。

「大賢者への変化で年齢を重ねてしまうのは…賢者の石を取り込み引き継ぎに必要な魔力が足りず、生命力を魔力に変換して受け入れているのは理解しているんだよね」

2度目の説明になるのだが…リーシェライルは、フレイリアルに対しての労は惜しまぬ。
疑問に対し…何度でも…丁寧に、優しく語る。

「資格持たざるモノが受け入れるべきでない…と言う、予め備わった警告…戒めなのかもしれないね…」

リーシェライルは美しい面に苦し気な笑みを浮かべ、自身をも嘲笑する様な私的見解を新たに加えつつ…説明を続ける。

「僕はおおよそ20歳分の力が足りなかったから、7歳から此の姿へ変化したんだ。歴代の大賢者達の処理された礎石の情報を参照すると、若いうちの継承の方が費やす生命力は少ないようだね。まぁ…所持する魔力量に左右されてる感じだけどね…」

以前…説明した時より、詳細な実例を添え…ぐっと解りやすく纏めていく。

「記録を遡ってみると…60代から80代と記された大賢者が多く、継承した年の頃も…20代後半から30代半ばの者が多く見られる。逆算すると40年から50年の月日分ほど、生命力を消耗したのかな…」

聞き入るフレイリアルに、更に身近な例を上げ…解説を加えていく。

「ちなみにニュールは…17歳で変化しちゃって、30年近く消費したみたいだよ」

ニュールが体験した事。
ただし、此れはニュールから直接聞いた話ではない。

フレイリアルもリーシェライルも、ニュールに対し直接経歴問い質すような事は今までしてこなかった。
勿論…フレイリアルに新たな人物の関与確認された時点で、リーシェライルは即…調査命令を出す。
近くに置く人物として少しでも許容出来ない部分あれば、即刻処分する為に…。

リーシェライルがニュールの身辺調査命令を出した時も、其の日の内に報告がもたらされる。
結果…幸か不幸か、ニュールはリーシェライルのお眼鏡に適い…一時審査を通過した。
リーシェライルが持つ特別な人形は…ニュールのヴェステでの事細かな情報まで暴き出し、過去のアレコレさえも情報として取得する。
そして推論により、ニュールが何モノであるかを把握し…本人以上に最初から理解することになった。

「変化が起きた…年齢重ねてしまった状態を、 "生命力" 奪われた…と表現するから誤解が生じるのかもしれないね。説明の言葉が足りなかったと思うけど…実際には "存在力" とでも言う…時空まで含めた事象の連続を費やし、大賢者に至るための魔力として補ってるんだ…」

選任の儀で初めてニュールに接した時…リーシェライルは、自身と同様に賢者の石を内包するモノ特有の魔力を感じた。
今後…もし…処分せねばならないのなら、相当な手間になるであろうモノ。
だが直に接し、悪しきモノでない事も…未だ心拙きモノである事も確認できた。
飼い慣らし…組み込むには、十分な条件。

その後…総合的に見て許容できるモノである…とリーシェライルに判断されたニュールは、フレイリアルの守護者として近くに在る事を容認された。
其の有難くもないお墨付きにより…意図的にリーシェライルに導かれ引き込まれたニュールは、不安定なフレイリアルを補佐するに足る人物として…今に至るまで深く関わる。
守護者契約の解除が完了しても、まだまだ此の巻き込まれ…からの解放は難しそうだ。

「50代で大賢者へ至る道へ挑戦し、魔力へ変換する為の "生命力" 足りずに命果てた…なんて例もあるみたいだね」

世界に存在する為の力捧げ、魔力に変換する事での不利益。
リーシェライルは敢えて言葉にして付け足し、釘を刺すべくフレイリアルに伝える。

「まぁ…しっかりと年齢確認してから臨まなかった、1000の年以上前の情報だけどね」

淡々と…リーシェライルは事実を告げていく。

「此の500の年の記録では…試練に臨む前、内包魔石と外部魔石の魔力共鳴による経年測定で詳細な年齢を出してるね。此れなら年齢詐称も出来ないし、無駄な手間が防げる。継承の試練への挑戦権も、40代前半までに限定したみたいだね」

情報礎石から得られる情報を言葉として開示し、引き続きフレイリアルの気を引き…色々と紛らわすべく努力する。
それでもフレイリアルは、再び与えられた答えと現状に…納得がいかない。
ゆるりと椅子から立ち上がると、リーシェライルの前に…踏ん張るように両足を広げドカリッと立つ。
少しだけ見下ろすような高さの視点から…挑みかかる様な態度で腕を組み、ほぼ八つ当たり…と言った感じの文句を投げかけてきた。

「私だって1つや2つや3つや4つ、…せめて成年まで…年を重ねたって良いじゃない!」

駄々こねる様に爆発するフレイリアルを、リーシェライルは優しく見つめる。
其処にはある不満げな表情と共に…隠れるように悲しげな表情が浮かんでいる事に気付く。

「そんなに年をとりたかったの?」

「年をとりたいと言うか…もう少し成長して…大人な見た目になりたかった…!」

意を決し…思いを言葉にしたフレイリアルの声には、態度とは裏腹に…切実な思いが溢れていた。
小さな小さな…他の者からすれば取るに足らない微々たる悩みかもしれないが、これから先…通常の人よりも長く続くであろう大賢者としての日々。
其の中で納得せず…叶わぬ願い抱え過ごすと言う事は、淡い苦しさを遥か先まで伴う事になるであろう。

「見た目かぁ…」

思わず困ったような表情浮かべ、小さく呟くリーシェライル。
フレイリアルを確認するように、上から下まで眺める。
顔の作りは年相応の幼さ残すが、身長は成年の女性より少し低い程度であり…嘆くほどの差は無い。

そして特筆すべきは、其れ以外の成長。
成年女性の平均を大きく上回る…前面に張り出す胸部の大きな実りは、片方ずつでも両手から溢れんばかりの大きさを誇っているようだ。衣服の上からでも其の存在を誇示し、万人の目を釘付けにする。
華奢な細腰が一層ソレを強調し、扇情的な趣を強める。

フレイリアルの持つ色合いに否定的な此のエリミアの地でさえ、気付いた者は目が離せなくなる…魅了魔力を具現したかのような肢体。巫女の特質とも言える引き付ける力…魅了の力が、今もしっかり痕跡を残し働きかけ…内から体全体へと染み渡ったのではないか…と思えてしまうぐらいの吸引力。

隠された至宝に気付いたならば…抗えない力に引き付けられ、堪え性の無き者ならば手を伸ばし…捕えようとしてしまうであろう。
たとえ背後に最恐の力持つモノが存在するとしても…。

エリミアで…フレイリアルの女性らしい姿形が衆人から隠されているのは、幸いにも…今の体形になったのが此の地を旅立った後であったから。
戻ってからは…大賢者の厚手の長衣などを纏い、目立たぬ為であろう。
お陰で変に注目されず…余計な視線での苦労を背負い込む事もなく済んでいた。

「十分魅力的で素晴らしい姿をしているんだから、これ以上育つ必要は無いし…十分なんじゃないの? 今のままじゃ駄目?」

取り合えず諫め、説得してみるリーシェライル。
だが、フレイリアルは異を唱える。

「ダメ! こんな子供っぽい感じじゃなくて…大人な感じに…お姉さんな感じに…なりたかった…」

若干の涙声。
その表情は確かに子供のものであったが、身体は別モノ。
大概の者を惑わせ…従わせる、力ある武器となる妖艶な肢体。

『特殊嗜好の無い男に対する最終兵器級の肢体を子供っぽい…と言ったら、世の中の殆んどの女の身体が棒切れ…って感じになっちゃうと思うんだけどなぁ…』

フレイリアルの不満に対し、リーシェライルは心の中とはいえ…思わず正直な感想を漏らす。
基本的にリーシェライルとフレイリアルは意識下を共有する同一の存在であり、本来なら考えが駄々漏れになる間柄。
だが…フレイリアルに対し明確な他者としての存在を望むリーシェライルは、慎重に…思考伝わらぬよう努力している。
勿論…此の考えも上手く遮断中。

『些細だが根深そうな棘。此れを消し去るには、フレイが此の思い抱えるようになった理由も必要だと思うのだが…聞いても答えなかったからなぁ…』

意外と頑ななフレイリアルから、反発されずに聞き出すのは至難の業。
こう言う時は、フレイリアルも無意識に思考を遮断している。

『もし納得せず…理由も語らぬのなら、個人の記憶領域を…閲覧すべきか…』

強制的な介入は可能であるが、其々別々のモノとして存在するためには…あまり入り込みたくない領域。

『親しき仲にも…と思っていたから見るつもりはないし、同化留めるには近付きたくないのだが…』

それでもフレイリアルが心穏やかに過ごす為なら、リーシェライルは不都合厭わぬ。

『まぁ取り合えず、出来る範囲で慰め…気分変えさせるべきかな…』

一瞬の内に巡らせた思考は…数多の経路模索し、取るべき…伝えるべき言葉を選び声にする。

「今の外見はもう変わらないかもしれないけど、それだけが見た目の印象作る訳じゃあ無いんだよ」

リーシェライルは優しい瞳で見つめながら、目の前で憤り…力強い立ち姿保つフレイリアルの両手を取る。そして、幼子相手にするかのように…穏やかな口調で言い聞かせる。

「雰囲気って言うのは、いくらでも変えられるし纏えるんだ」

「…雰囲気…ねぇ」

非常に懐疑的な態度で、フレイリアルが答える。

「どんなに大人な見た目の者でも、子供っぽい行動ばかりしていたら子供そのものに見えてこない?」

臍を曲げた気難しげな表情浮かべるフレイリアルの反応は、あまり芳しくない。

「そうだな…上手く雰囲気を使いこなし纏っているのは、今はニュールの側近になっているピオ卿あたりかな?」

「はぁ??? 何であんな奴!!!」

一気に表情曇り…最大級の嫌悪感表したフレイリアルが、声を大きくし…言葉吐き捨てるように叫ぶ。
フレイリアルにとってピオは、少し思い出すだけでも苛立ってしまうぐらい神経逆撫でる不愉快な存在。ある意味視線外せない、近くにいたら常に注意が向いてしまう…警戒すべき者。
フレイリアルの心の引っ掛かり…拘り…不満…悲しみ…から意識逸らせるには、もってこいの存在だ。

「本当にフレイってば仲…悪いよねぇ」

「"仲" …って言う距離感持つ様な関係じゃ無いっ!!」

揚げ足をとる様に、透かさず激しく否定する。
逆毛立て…嵐吹く…小魔物の様なフレイリアルを見て、何故かリーシェライルは微笑ましく見守る気分になった。そして…目の前で怒り昂り力を込めて立つフレイリアルを落ち着かせるべく、握っていた手を引き…膝の上に座らせ再び抱き締める。

「でもフレイが嫌がる其の者が、僕の知る限りでは…2番目に上手く装っているよ。状況や環境を自分が望む状態に操り変化させ、自分が好感度高く見えるよう人々を欺き…必要に合わせて善良な雰囲気を纏っている。まるで魔力纏うが如くね…」

「……」

リーシェライルは其の状態で説明を加え、腕の中にある背中を…幼子をあやすように撫で付ける。
無言で身体強張らせ憤りを表していたフレイリアルは、温もりを感じ…少し表情和らぎ落ち着き取り戻してきたようだ。

其れでもピオに対する今までの行いに対する直接的不満や…周到なピオが皆を騙している…と思える事に対し、抱えきれぬ不服が消えることはなかった。
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