魔輝石探索譚~大賢者を解放するため力ある魔石を探してぐるぐるしてみます~≪本編完結済み≫

3・T・Orion

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第五章 ヴェステ王国編

おまけ4 フレイリアルの小さな悩み 3

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リーシェライルと言う存在は…命握りつぶすことを躊躇しない、恐ろしく自己中心的で傲慢な…限りなく闇寄りの心持つ…強大な力有する圧倒的なモノ。
大賢者の内に在る助言者コンシリアトゥールであり、賢者の石の中にある記憶と意識の集合体を統べる…大賢者となったフレイリアルとは決して切り離せない表裏一体の存在。

空の器であるグレイシャムに入り…人の領域に留まれど、其の意に沿わぬ者在るならば…望む結果得るべく暗躍する。倫理も…論理も…踏み越え、どのような思考で行動するかさえも定かではない…警戒に警戒を重ねても足りぬ危険な存在。
近くに在るのなら、怒り買わぬよう最善尽くし立ち回るは必須。
もし其の心火に触れたなら、気付かぬ内に足下消し去られ…2度と意志持てぬ存在に落ちるであろう。
それぐらい…強引で…不条理で…強大な存在。
但し…リーシェライルは、たった1人の事を除き…無関心と言う名の寛容さを持つ。

「フレイと一緒に居られるのなら、其れで良いかな…」

フレイリアルと共に過ごす為なら、万難廃すべく世界を凪ぎ払い…更地にしかねないぐらいの思い持つ。
其の関係性崩すものや傷つけるものを、一切の躊躇なく…問答無用で処断する。

故にフレイリアルとの距離を縮めないようにする事は、ブルグドレフが2人の協力者となり共に過ごすうちに悟った…必須の最優先事項。
ブルグドレフの生死左右する、肝心不可欠の重要課題なのだ。

リーシェライルのフレイリアルへの愛は、歪み持つ病的な執着。
1の年程近くで過ごし得た、ブルグドレフの結論。
其れは…自身含めた周囲へと危険呼び込む災厄の芽である…と、ブルグドレフの本能が警鐘を鳴らす。

ブルグドレフは1の年程前の大事変の詳細な顛末知る者では無いが、中々優秀な本能を持っていると言えるだろう。実際…あの恐ろしいほどの災厄の切っ掛けとなったのは…闇落ちしたリーシェライルであり、当たらずとも遠からずの警告。
危険な存在であると認識しているからこそ、誤解受けないよう今まで慎重に…十分に警戒しながら過ごしてきた。

それなのにミーティの不用意な一言は、予想外の場所からブルグドレフが築いた立場を崩し…底なしの汚泥の中へ他意なく突き落とす。
ミーティが話を振ってきた内容は、フレイリアルへの思いや配偶者についてであり…危険指定領域に踏み込んでいる。更に2人は…フレイリアルの気持ち傷つける、相当失礼な言い回しを用いていたのだ。
ミーティの悪意なき悪意によって、罠かと思うぐらい周到に…ブルグドレフは2重の禁忌へと誘い込まれてしまった。
言葉に踊らされ…乗せられてしまったのは事実であるが、後悔先に立たず。

『この糞ガキ! まったく何してくれるんだ。無邪気に人のこと嵌めてくれるな』

ブルグドレフの心の中、ミーティへ向けた小さな怨嗟湧き上がる。
フレイリアルへの不適切な言動1つで生命が危険に曝される…と真に理解出来ているのは、此処に居る者の中ではブルグドレフだけなのかもしれない。
ミーティと共にいると…折角回避してきた危険な道に引き戻され、命取りになりかねない運命に踏み入りそうだ。

『呑気なお気楽男よ! 此の場から立ち去る予定のあるオマエとは立場が違うんだ! 此れ以上危うい場所へ私を追い込まないでくれ!!』

ブルグドレフは切に願う。
そんな中…ミーティと同じヤラカシ系のフレイリアルが、ゲンナリした表情浮かべながら2人をたしなめる。

「ミーティってば本当に失礼で…相変わらずヤラカシ放題だよね…。ある意味変わらなくって安心したよ! ドルは変な風に感化されないようにしてね!」

驚くことに大人な対応で流してくれた。

「申し訳ありません。気を付けます」

ブルグドレフは速攻で謝罪し、一抜けで生命の危機から脱出する。
そして今回も…フレイリアルの大らかさによって、窮地から救われた事に感謝した。
安堵の吐息に沈むブルグドレフの横、ミーティが口を開く。

「…ったく、お子ちゃまなフレイに言われたくないよなぁ。ハチャメチャで餓鬼っぽいのはお前だろ? オレはそういうのは卒業したぞ!」

胸を張り、得意げに空気読まず語り続けるミーティ。
久々に会ったにも関わらず、気心知れた仲間である事に胡坐をかく。
自分の立場を過信し、何の気遣いもせず饒舌に…思うがまま言葉続けてしまった。

「まぁ…真実の気持ち捧げる事に目覚め…成長しちゃったオレだから、些末な事には拘らないよ! 乳がデカかろうが貧弱だろうが、大半は問題ないぞっ! 思い捧げる相手を見つけた者の真実の愛は、全てを凌駕するのだよぉ~ハハハハハッ」

変な宗教にでも入っちゃったかのように、両手広げ愛を語るミーティが胡散臭い。
皆の目をシラッとさせ、場の温度を下げていく。
だが浮かれたミーティは、未だ気付かない。
的外れな愛を語る自身に酔い…鼻高々に大人度誇り、知らず知らずと境界を越えてしまったことに…。

「…貧弱? …大半は問題ない?」

何処からともなく、ミーティの言葉を繰り返す小さな呟きが聞こえた。
究極の残念さ纏う愛情表現は、最愛の者の米噛みにピキリと青筋浮き上がらせ…真なる敵へと変貌させる。
愛や友情が有ろうと無かろうと…言っちゃいけない事は言っちゃいけないし、駄目なものは駄目なのだ。
親しき仲にも礼儀は必須、礼儀なきモノに天誅下るは必定。
ミーティが自ら作り出した敵により、罪を理解せぬまま報いを受けるまでの秒読みが始まる。

許容範囲を超えてしまった残念男のミーティに呆れ果てる…モーイとフレイリアル。
ミーティの言動について、意図的でなくとも悪質である…と審判下す。

紡ぎ出した言葉の罪に対し、侮蔑の思い込めた冷ややかな視線送る冷酷な女神達。
女子だけが到達出来る…怖ーい世界へ移動し、確定した罪に値する罰を検討する。
勿論…咎人ミーティの反応や状況など、一切関係ない。
空間は共有してるが…世界は別、処断する2人にとってミーティは塵あくたに等しき存在に成り下がる。

「…大人…大人…って調子に乗っちゃって、ホンっとに鬱陶しいっ…」

無表情なフレイリアルが、此の状況下…ポソリと吐き捨てる様に呟いた言葉。
心からの蔑み入り…どうでも良さが滲み出る。

「スッゴク偉そうな感じで本気で腹立たしいんだけど、知らないうちに愚かさ極めて…至高の馬鹿領域に至っちゃったの? 何か大丈夫? 変なものでも食べたちゃったのかな? それとも…私の方が調子悪くなるような変なもの食べて、幻聴が聞こえてきたのかな?」

ミーティの阿呆な言動への嫌悪感と共に、哀れみまで言葉に宿る。
だが、フレイリアルの根底に生じた憤りは消えない。
そして其の思いを引き継いでくれそうな、最も辛辣で厳しい審判下すであろう者へと視線送り…託す。

「本当に何なんだと思う?」

「毒を食らったか…頭イカレちまうヤバイ病を患ったのかもしれんが、言い訳にしかならんな。久々の再開なのにマジでスマン! 口が禍に侵食されているようだ!」

モーイはフレイリアルへの申し訳なさで…思わず謝罪を入れるが、モーイ自身も其れ以上の憤り溜め込んでいるようだ。
其れはモーイ自らの手で、最期まで裁く覚悟へと繋がる。

「生かしておくのが恥ずかしいほど、脳が沸いて完全に思考力消えている。コイツを…大目に見る必要も…許す必要も無いようだ…」

手加減無しだと、腹に力入れ…視線に思い込め…モーイは述べる。

「直近に居た者として制御出来ず本当に申し訳ない。責任を持って処断する…アタシが殺る…」

「確かに…現実に引き戻すためには、一度此の世の果てを…あの世近くまで見に行った方が良いのかもしれないね…」

「あぁ、禍根は断つので安心してくれ」

殺気帯びた会話が繰り広げられていると言うのに…未だミーティは空気読まず、自分の世界でポワポワしてる。そして断罪されている事にも気付かず、駄目押しするようにヤラカシ続ける。

「いやぁ…何か色々みたいだけど、大人の情事…あっ事情には子供は首を突っ込んじゃぁいかん…ぐぉっ」

言葉が止まると共に漏れでる呻き声…。
ミーティの言葉途中で、モーイが背後から…強烈な膝をつく程の蹴りを入れたのだ。

「悪っりぃなっ、胸筋は貧弱かもしれないがっ…足腰の筋肉は程よく鍛えてあるっ」

言葉通り…完璧で優美に鍛えられた足から繰り出される…高威力の脚力で、容赦なく力一杯ゲシゲシと踏みつけるモーイ。
激しい憤りは、ミーティのフレイリアルへの失礼な言動と…モーイの身体的脆弱性示す部分を口にした事にあったのかもしれない。

「うぐっぉっ…ゲボォ…ガボッほあぁあ」

ザスッと言う…蹴る時に出る嫌な感じの鈍い音と、ちょっと変な呻き声も響く。
目の前で起きている天誅下される光景に、異議を唱える者はいなかった。
止め処なく付け上がるミーティに…堪忍袋の緒が切れたモーイ、制裁はミーティにとって最愛の者の美しきお御足によって下される事となった。
自身の中にある何かしらの羨ましさに驚きつつ表情引き締め、余波食らわぬよう静観していたブルグドレフ。
ミーティが多様な趣味の一つに目覚め、深みに嵌らない事を願うのだった。


モーイが作り出した爽快な光景は、旅していた頃と変わらぬ…何処か抜けてる気楽な雰囲気作り出し…は懐かしさで気分和らぐ。
少しスッキリした表情になった女子2人は、朗らかに会話を続ける。
もっとも…何故ミーティが調子に乗り偉そうに大人を語っていたのか、フレイリアルは其の時点では分からなかった。
その為…若干の憤りは残り、察したモーイが再度謝罪する。

「フレイ、ごめんな。何かコイツ…いつも以上に失礼で…残念なヤツ過ぎるよな。申し訳ないとしか言いようがない…」

「モーイが謝ること無いよ! それにミーティが大人げなく言葉吐き出すような脳無しの子供っぽいヤラカシをする残念人間…ってことは思い出したから大丈夫!」

フレイリアルは、清々しい笑顔でミーティをこき下ろす。

「それに今のヤラカシで新たに記憶に刻まれたよ。敵認定されて命無くしたいのかと思うぐらい増長しちゃった迂闊さは、まったくもって予想外だったけどね…。間抜けた頓痴気野郎だって事…二度と忘れない!」

そして蔑み入る呆れ顔で…とどめを刺した。

「未来ある私の様なコ・ド・モの反面教師を務め、教訓を与えてくれたことには感謝するよぉ。こーんな成年迎えた残念なオ・ト・ナ…にはなりたくないからね!」

辛辣な言葉を好き放題並べ、ミーティからの売り言葉を…遅れ馳せながら十二分に買って返す。
諸事情により…ミーティがその日の内にプラーデラに送り返された後に、ミーティがモーイに結婚を申し込んでいた件などを聞かされた。
答えもらえぬ不安を紛らわせるべく…妙に偉そうな言動になっていたのであろう事、モーイから色々と説明され…再度謝罪される。

「本当に悪かったな、あそこまで調子こいてヤラカス…って少し先を考えちまう…」

モーイの言葉には、本気で思い悩む雰囲気が感じられた。
ミーティ危うし! 見捨てられる危機襲来…と言った所であるが、制裁を受けた後も真に自身の過ち理解したのかは怪しい。

「まぁ…見た目は結構お兄さんっぽくなってたけど、相変わらずミーティらしくって…ある意味安心したよ」

仲間内での揶揄い…であり、軽く流しはした。
だが…今後も変化する事のない幼いままの容貌は、一生付き纏う自身の枷…と成る事をフレイリアルは実感する。

手に入らないであろうものへの羨望と失望が湧き上がり、奥底に仕舞い込んだ見た目への劣等感…の様なものがチクリと刺激される。
そして再度、外見と言う名の "呪縛" がフレイリアルに絡みつくのだった。 
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