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オメガと判定されたのは中学時代。アルファだと疑ってなかった桔梗に訪れた最初の挫折。
昨日までは笑顔を見せていた父親が、桔梗のオメガと書かれた判定通知を見たとたん般若の面のように顔を歪め、すぐさま離れに行くように怒鳴りつけた。
子供だった桔梗は、訳もわからぬ混乱の中で、言われたように離れへと使用人に連れられた。それからは家を出るまで本宅に戻った事はない。
あんなに形相を変える父が怖かった。同時にオメガという自分に置かれた状況を憎み、嘆くようになった。
オメガになったから、父は自分を拒絶した。
オメガというのは、父にとっては唾棄すべき存在。だからオメガになった桔梗は捨てられた。
香月にはオメガは必要ない。あの家はアルファの城だから。オメガの桔梗はあの場所にいてはいけないのだ。
『あなたがオメガで嬉しい』
そんなことない。自分がオメガだから家族と離された。
オメガなんて全然いいことなんてなかった。どれだけ努力してもアルファには敵わず、オメガと知られれば性的な目で舐めるように見られ、葛川のように男オメガが珍しいのか襲われそうになったのも一度や二度ではない。
『僕のオメガ……これからはずっと守ります』
みんな最初はか弱いオメガを擁護しようとする。だけど最後には体が目的だって知る。あなたもきっとそうだ。
『大切にします。僕の……』
瞼の裏に光を感じて意識がゆっくり浮上する。桔梗は小さく唸り、ゆるりと目を開くと眩い光が入って、思わず眇める。
「ん……ここは」
手を翳しそっと視線を周囲に滑らせると、全く見知らぬ部屋のベッドに自分が寝ている事に気づく。体を起こそうと身じろぐものの、なぜか体がやけに重く、首に違和感を覚える。
桔梗は怠い体を叱咤し、のろのろと半身を起こしてふかふかの枕に背中を預けて首を巡らす。
部屋の中央に桔梗がいるキングサイズのベッドがアイボリーの壁に接するように置かれ、左には壁の腰板と同じ木材を使用した大きな扉がある。あれはクローゼットなのだろう。幾つも扉があることから、他にもどこかへ続く部屋があるのかもしれない。ベッドと反対の壁には天井まで続く書架があり、娯楽本やエッセイ集などもあるが、料理に関する本が多い気がする。この部屋の持ち主は料理が好きな人なのだろうか。
右手は壁の一面全てが窓となっており、ロールカーテンが上げられてる窓から見える澄んだ青空がまるで絵画のようで、小さく吐息がこぼれた。
ルームコロンなのか、微かに香るハーブの匂いは、どこか桔梗の心をほっとさせる。
(ハーブって民間療法でも使うらしいから、鎮静効果があってもおかしくないな)
強制解雇になってしまったものの、桔梗がいた会社は医療機器を扱う商社だったため、家にも話題の一貫としてそういった本を何冊か買って読んでいた。
それにしてもなぜか喉が痛いし、首の後ろも妙にズキズキする。体も重だるいし、頭も妙に記憶がぼやけている。
しかしうっすらと、大雨の中で誰かに抱えられた事や、ずっと温かい何かに包まれていた事、それから首の痛みを総合すると、もしかしなくてもそうなのだろうと気づく。
だけど、桔梗は不思議と嫌悪感を感じていないことに首を傾げていた。
「きっと、ここはあの時の人の家なんだろうな……」
呟いた声は驚くほどに掠れていて、自分がかなり声を張り上げていたのが、多分あの時だったのを理解してしまい、カッと頬に熱が集まるのを感じていると。
「ああ、起きられましたか」
カチャリと扉が開く音が聞こえ、桔梗はビクリと全身を戦慄かせて掛け布団をかき集めるように引き寄せる。別に裸ではない。ちゃんとしたパジャマ(かなりブカブカだったが)を着ていて、肌もさっぱりとしているから、誰に見られてもおかしなところはない。だが、見知らぬ家の寝室で寝ていた桔梗からすれば、警戒を高めるには十分な状況だった。
なぜなら彼はアルファだったからだ。
「はじめまして、わたしは医師の藤田といいます。ドアは開けておきますので、入ってもいいですか?」
にこやかに微笑む初老の男性はそう告げ、目の前のドアを全開にしたまま桔梗の返事を待つ。桔梗が警戒を解かないままコクリと頷くと、ありがとうございますと言って医師が静かに入室してきた。
藤田は一定の距離を保ちながらベッドサイドテーブルに、手にしていたトレイを乗せた。未開封の水の入ったボトルと、錠剤が二種類。ひとつは桔梗が使用している抑制剤で、もうひとつは……
「あの……ここはどこなんですか?」
おずおずと疑問を口にする桔梗に、藤田はライティングデスクから椅子を持ってきて座っているところだった。きっと桔梗が警戒しているのに気づき、なるべく威圧感を感じさせないよう桔梗に目線を合わせてくれようとしたのだろう。
藤田は腰を下ろし、うーん、と上目で何事か思案して。
「まずはお名前を教えていただけますか?」
ボトルを渡しそう尋ねたのだった。
桔梗は自分の名前を告げ、身分証は持っていた鞄の中にあると告げると、藤田は「それは後ほど」と返し、トレイに乗っていた二種類の錠剤をシートから押し出し桔梗の手へと落とす。
「ここは、あなたがヒートになった時に保護した人物の自宅になります。保護場所は店舗側になる門のところですね。ここまでは覚えてますか?」
手の中にある白い錠剤を見つめたまま、小さく「はい」と答える。
「……これからあなたに残酷な事実をお話します。わたしはこの家の主の関係者ですが、結果如何では警察に連絡する事も可能です。その事を前提に、あなたに言いましょう。よろしいですね?」
桔梗は手の錠剤をぎゅっと握り締め、ゆるりと首肯した。
医師の話を統括すると。
この家の主は桔梗を保護した店のオーナーという話だ。店はカフェバーを経営していて、バースはアルファ。
「彼はあなたのヒートフェロモンに中られ、ラットになりました」
「それって、俺が彼にフェロモンテロを起こした……と」
桔梗は自分がしでかした事に、さあっと顔を青ざめさせた。
フェロモンテロとは、故意にアルファに対してフェロモンでラットを誘発させて、承諾もなく番契約を結ばせることを指す。近年、誘発剤によるフェロモンテロが多発しており、アルファがオメガに使用して強姦したり、逆にオメガがフェロモンでアルファをラットにして肉体関係を結んだりしている事から、同意ない性交はアルファだろうがオメガだろうが準強制強姦罪になる。
「違います。あなたは意図せずヒートになり、たまたま保護した人物がアルファだった。これは哀しい事故です」
「ですが……」
「彼は普段からアルファ用の抑制剤を使用していました。あの日もちゃんと服用していた。……多分、効果が切れる寸前だったのでしょう。彼は気づかずにヒートのあなたに近づいた。そして……避妊していたとはいえ、あなたのうなじに噛み付いた」
淡々と告げる言葉に、桔梗は「やっぱり」と微かに疼く首の後ろに意識を向けた。
なぜなら、藤田は自身でアルファとは言っていないが、その体躯やオメガに対するマナーを見る限りで察知した。しかし桔梗の鼻はアルファの匂いを全く感じなかった。
これまで会社の上司や他のアルファの匂いを多少なりとも感じていたから。こんなに近くに座る藤田の匂いを感じないなんて、彼が番持ちであっても桔梗がオメガである以上は感じるものだったから。だから自分が玲司という人と番になったのをうっすらとながら自覚していたのである。
「今、あなたに渡したふたつの錠剤、ひとつは抑制剤です。ヒートは終わりがけのようですが念のため。そしてもうひとつは緊急避妊薬です。先程も言いましたが、彼はかろうじて避妊をしています。ですがラット時の話を鵜呑みにする訳にもいきませんので、そちらをお飲みください。……ああ、別にあなたが子供を望むのでしたら、強引に飲めとは言いません」
「いえ……心遣い感謝します」
「あと、額も切れてたので、そちらも軽く縫合しました。日にちが経ってるので、もしかしたら傷が残るかもしれませんが」
「丁寧にありがとうございます」
額にそっと手をやると、ガーゼの感触と共にテープで肌が引きつけた感覚を感じる。そういえば社長にファイルを投げつけられたなと、その後の出来事が強すぎてすっかり忘れていた。
「もし痛みが続くようなら、痛み止めも処方しますので」
アルファだけど医師だからか、細かな気配りに、これまでの緊張が少しだけ解ける。
渡された薬を飲み、ボトルの蓋を締めた時に、何かが割れる音が唐突に桔梗の耳へと届いた。
「今のはいった「お前、自分が何をしたのか、分かっているのか!? 畜生以下の非道をするとは思わなかったぞ!」
桔梗の言葉を遮る大声と陶器の割れる音と、何か重いものが倒れる音が聞こえ、桔梗は恐怖に震える。
「ふう……。お二人共三十を過ぎた良い大人ですのに、子供みたいな事をして……」
「あの……」
「ああ、大丈夫ですよ。すぐに戻りますので、お待ちください」
呆れたように深々と溜息を零し、藤田は椅子から立ち上がると部屋を出ていこうとする。何かよく分かっていないが、自分も行かなくてはと、桔梗はベッドから降りて慌てて藤田のあとを追う。
パジャマの裾を折り曲げ部屋を出ていこうとする桔梗は、ちらりとゴミ箱に視線を向けると、妙に安堵した吐息をはいて寝室をあとにした。
廊下を歩き、階段を降りる藤田に続いて桔梗も降りていく。次第に声が大きくなっているのか、怒鳴ってる相手が声を張り上げているのか、劈く音が桔梗の体をこわばらせた。
桔梗は人に怒鳴られるのが苦手だ。それがアルファなら余計に。
かつて桔梗を詰った父親の怒鳴り声と直結してしまう。だからこそ桔梗はそういった場面にならないよう、仕事については事前に過剰に用意をし、人付き合いも差し障りのない距離を保つようにしてきたのだ。
階下に降り立つといくつかのドアがあり、藤田は迷う様子もなく歩くのを、桔梗もあとに続いて行く。激しく声を荒げるのが次第に明確になって桔梗の耳に響いた。
恫喝する大声は父親を思い出し、心臓がドクドクと激しく高鳴る。首を竦めると項辺りがズキリと痛んだが、それよりも動揺のが強かった。
大丈夫、ここには父親もいないし、あの声も父の声ではない。桔梗に興味ない人が、こんな場所に居る訳がない。
桔梗は自分に必死に何度も言い聞かせ、過去に塗りつぶされる心を奮い立たせる。
「いったい、朝からなにをされているんですか、おふたりとも」
藤田がドアのひとつを開き、中に向かって窘める言葉を吐く。すると、あれだけの激しい音が一変、ピタリとやんだ。
桔梗は藤田の肩越しに中の様子をうかがう。
陽が差し込み眩しいほど光に満ちたその場所は、どうやらリビングダイニングのようだ。
カウンターキッチンと、壁を切り取ったような窓に四人がけの長テーブルが直角に設置され、とても明るい雰囲気だった。それからリビング側は、壁に埋め込まれた大型テレビと相対するようにソファセットが置かれ、そのソファも座面が広くゆったりできそうなのがいい。
あまり物を置いてないのか、閑散とした印象は否めないものの、すっきり片付いた部屋は桔梗に良い印象を与えた。
そのリビングに、がっちりとしたアルファ然としたスーツ姿の男性が息を荒げて睥睨する先に、同じ体躯の良い黒髪の男性が座り込んで俯いていた。乱れた髪で表情は覗えなかったが、口元に赤い痣よりも赤い血が一筋流れているのに気づく。
「だ、大丈夫ですか!?」
桔梗は藤田をおしのけ、座る男性へと慌てて近づく。ふわりと記憶にある香りが鼻先に届き「もしかして」と見上げると、男性と視線がかち合う。
怜悧な輪郭、秀でた額に黒髪がかかり、とても色気がある。太い眉毛の下には青みがかった黒い瞳が陽の光を受けて煌き、まっすぐな鼻梁と薄い唇。厚みのある胸にがっしりとした肩幅。それは桔梗がアルファだったらと理想する姿に近い。
なりたくてなれなかったアルファが桔梗の前にいた。
「君は……」
突然桔梗が現れ男性は一瞬呆けた顔をしたものの、すぐに眉根を寄せて悲しげな表情となり、そっと手を伸ばしてきたがすぐに怯えたように引っ込む。
たったそれだけで、彼が自分のうなじを噛んだアルファで、その事実を酷く後悔しているのだと分かる。
「ごめん……」
なぜ彼が謝るのだろう。彼は自分のヒートに巻き込まれた被害者だと桔梗は切なくなる。
突発的な事故なのだ。桔梗にも非があり、一方的に謝れる理由はない。
「謝らないでください。あなたは俺のヒートに巻き込まれただけなんです。俺にも責任の一端はあるんです」
「だけど……僕は君のうなじを噛んで番に……」
「それは」
「僕はアルファの本能に負けたんです。抑制剤を常用しているからと慢心してました。だけどあなたのフェロモンに抵抗できず、意識のないあなたの体を無理やり暴き、うなじを噛んでしまったんです。僕は最低だ……」
ああ、この人は自分以上に今回の事を悔恨しているのだろう。
悪いのは自分なのに。ただこの人は巻き込まれただけの被害者だ。
「俺こそごめんなさい。あなたは俺のヒートに巻き込まれた被害者なのに、こんな怪我を……」
「大丈夫です。君こそ体は大丈夫ですか?」
心配そうに目を覗き込んで尋ねてくる男性に、桔梗はコクリと頷く。
いつもヒートになると、抑制剤が効いてるとはいえ、数日は動くのも億劫な倦怠感が続く。それが今回ないのは、自分が番を得たからなのか、アルファに抱かれたからなのか。たっぷり取った睡眠もあわさって、かなり体が軽い。
だからこそ、こんな風に彼には罪悪感をかかえてままでいてほしくない。罪を背負うのは自分だけでいいから。
「俺も大丈夫です。あなたのおかげで」
桔梗は目の前の落ち込んでいる男性の手を取り、きゅっと強く握り締める。
彼は自分のうなじを噛んで番にした。それはつまり、彼が本当に心から好きになった人ができた時、自分は捨てられ地獄の苦しみが待ってる。だけどそれでもいい。彼の運命を変えるほどのことをしでかしたのだから。
「ごめんなさい。それからありがとうございます。俺をあの時助けてくれて」
「君は……」
「あ。それから俺は香月桔梗と言います」
「……え?」
唐突に自分の名前を告げる桔梗に、目の前のアルファ男性はきょとりと黒い瞳を瞬かせる。明らかに桔梗より年上だと思われる人が、呆けてる姿は少しだけ幼く見える。
「お互い、望まぬ結果でしたけど、こうして出会ったのも何かの縁だと思うんです。これからの事とか色々問題は山積してますが……ええっと、」
「玲司です。僕は寒川玲司と言います」
「え、と。玲司さん。これからよろしくお願いしてもいいですか?」
真っ直ぐに玲司の目を見て桔梗が言えば、玲司はふわりと花開くように笑みを浮かべ、ギュウギュウと桔梗を抱き締めてきた。鼻先に届くハーブの香りが、桔梗の心を凪いだ湖のように落ち着かせる。
ヒートの熱にうかされてた時でも記憶に残る肌の温もりと爽やかなハーブの香り。やはりこの人が自分を包んでくれたのだと、桔梗は心の中で納得することができた。
「ありがとう。本当に、ありがとう。あんなに酷い事をした僕と向き合ってくれて嬉しいです」
「え、あ、あの……っ」
それはこちらの台詞だ。初対面で見も知らぬオメガのフェロモンにあてられラットを起こしたというのに、なぜこの人はこんなに嬉しそうなのだろう。
意外と筋肉のついた腕の中で、息苦しさと共に首を傾げていると。
「離さんか、馬鹿者! アルファのお前と違って、オメガの体は繊細なんだぞ。番を殺す気か」
いつの間に玲司の背後に立っていたスーツ姿の大柄な男性が、固く握った拳でもって玲司の頭頂に鉄槌を下す。それを見ていた桔梗と藤田はゴンという音を聞いて自分まで頭を殴られたかのような錯覚に陥り、渋面で彼らの成り行きを見守った。
だが当の玲司はというと、あんなに凄い音がしたというのにニコニコと笑顔を浮かべていて、アルファって頑丈なんだなと別の意味で桔梗は感嘆しながらも。
(玲司さんって、天然さん……?)
内心で思ったのは言うまでもない。
この不思議な人がお店のオーナーをしてて、やはり桔梗よりも年上と知る前に、桔梗のお腹が空腹を訴える。
時計を見れば昼もとっくに過ぎており、玲司が朝食の準備をしてる間、簡単な略歴をスーツの男性が問いただしてきたので、現在家を出て一人暮らしをしていたが突然三日前に勤めていた会社から不当解雇をされたと告げていた。
昨日までは笑顔を見せていた父親が、桔梗のオメガと書かれた判定通知を見たとたん般若の面のように顔を歪め、すぐさま離れに行くように怒鳴りつけた。
子供だった桔梗は、訳もわからぬ混乱の中で、言われたように離れへと使用人に連れられた。それからは家を出るまで本宅に戻った事はない。
あんなに形相を変える父が怖かった。同時にオメガという自分に置かれた状況を憎み、嘆くようになった。
オメガになったから、父は自分を拒絶した。
オメガというのは、父にとっては唾棄すべき存在。だからオメガになった桔梗は捨てられた。
香月にはオメガは必要ない。あの家はアルファの城だから。オメガの桔梗はあの場所にいてはいけないのだ。
『あなたがオメガで嬉しい』
そんなことない。自分がオメガだから家族と離された。
オメガなんて全然いいことなんてなかった。どれだけ努力してもアルファには敵わず、オメガと知られれば性的な目で舐めるように見られ、葛川のように男オメガが珍しいのか襲われそうになったのも一度や二度ではない。
『僕のオメガ……これからはずっと守ります』
みんな最初はか弱いオメガを擁護しようとする。だけど最後には体が目的だって知る。あなたもきっとそうだ。
『大切にします。僕の……』
瞼の裏に光を感じて意識がゆっくり浮上する。桔梗は小さく唸り、ゆるりと目を開くと眩い光が入って、思わず眇める。
「ん……ここは」
手を翳しそっと視線を周囲に滑らせると、全く見知らぬ部屋のベッドに自分が寝ている事に気づく。体を起こそうと身じろぐものの、なぜか体がやけに重く、首に違和感を覚える。
桔梗は怠い体を叱咤し、のろのろと半身を起こしてふかふかの枕に背中を預けて首を巡らす。
部屋の中央に桔梗がいるキングサイズのベッドがアイボリーの壁に接するように置かれ、左には壁の腰板と同じ木材を使用した大きな扉がある。あれはクローゼットなのだろう。幾つも扉があることから、他にもどこかへ続く部屋があるのかもしれない。ベッドと反対の壁には天井まで続く書架があり、娯楽本やエッセイ集などもあるが、料理に関する本が多い気がする。この部屋の持ち主は料理が好きな人なのだろうか。
右手は壁の一面全てが窓となっており、ロールカーテンが上げられてる窓から見える澄んだ青空がまるで絵画のようで、小さく吐息がこぼれた。
ルームコロンなのか、微かに香るハーブの匂いは、どこか桔梗の心をほっとさせる。
(ハーブって民間療法でも使うらしいから、鎮静効果があってもおかしくないな)
強制解雇になってしまったものの、桔梗がいた会社は医療機器を扱う商社だったため、家にも話題の一貫としてそういった本を何冊か買って読んでいた。
それにしてもなぜか喉が痛いし、首の後ろも妙にズキズキする。体も重だるいし、頭も妙に記憶がぼやけている。
しかしうっすらと、大雨の中で誰かに抱えられた事や、ずっと温かい何かに包まれていた事、それから首の痛みを総合すると、もしかしなくてもそうなのだろうと気づく。
だけど、桔梗は不思議と嫌悪感を感じていないことに首を傾げていた。
「きっと、ここはあの時の人の家なんだろうな……」
呟いた声は驚くほどに掠れていて、自分がかなり声を張り上げていたのが、多分あの時だったのを理解してしまい、カッと頬に熱が集まるのを感じていると。
「ああ、起きられましたか」
カチャリと扉が開く音が聞こえ、桔梗はビクリと全身を戦慄かせて掛け布団をかき集めるように引き寄せる。別に裸ではない。ちゃんとしたパジャマ(かなりブカブカだったが)を着ていて、肌もさっぱりとしているから、誰に見られてもおかしなところはない。だが、見知らぬ家の寝室で寝ていた桔梗からすれば、警戒を高めるには十分な状況だった。
なぜなら彼はアルファだったからだ。
「はじめまして、わたしは医師の藤田といいます。ドアは開けておきますので、入ってもいいですか?」
にこやかに微笑む初老の男性はそう告げ、目の前のドアを全開にしたまま桔梗の返事を待つ。桔梗が警戒を解かないままコクリと頷くと、ありがとうございますと言って医師が静かに入室してきた。
藤田は一定の距離を保ちながらベッドサイドテーブルに、手にしていたトレイを乗せた。未開封の水の入ったボトルと、錠剤が二種類。ひとつは桔梗が使用している抑制剤で、もうひとつは……
「あの……ここはどこなんですか?」
おずおずと疑問を口にする桔梗に、藤田はライティングデスクから椅子を持ってきて座っているところだった。きっと桔梗が警戒しているのに気づき、なるべく威圧感を感じさせないよう桔梗に目線を合わせてくれようとしたのだろう。
藤田は腰を下ろし、うーん、と上目で何事か思案して。
「まずはお名前を教えていただけますか?」
ボトルを渡しそう尋ねたのだった。
桔梗は自分の名前を告げ、身分証は持っていた鞄の中にあると告げると、藤田は「それは後ほど」と返し、トレイに乗っていた二種類の錠剤をシートから押し出し桔梗の手へと落とす。
「ここは、あなたがヒートになった時に保護した人物の自宅になります。保護場所は店舗側になる門のところですね。ここまでは覚えてますか?」
手の中にある白い錠剤を見つめたまま、小さく「はい」と答える。
「……これからあなたに残酷な事実をお話します。わたしはこの家の主の関係者ですが、結果如何では警察に連絡する事も可能です。その事を前提に、あなたに言いましょう。よろしいですね?」
桔梗は手の錠剤をぎゅっと握り締め、ゆるりと首肯した。
医師の話を統括すると。
この家の主は桔梗を保護した店のオーナーという話だ。店はカフェバーを経営していて、バースはアルファ。
「彼はあなたのヒートフェロモンに中られ、ラットになりました」
「それって、俺が彼にフェロモンテロを起こした……と」
桔梗は自分がしでかした事に、さあっと顔を青ざめさせた。
フェロモンテロとは、故意にアルファに対してフェロモンでラットを誘発させて、承諾もなく番契約を結ばせることを指す。近年、誘発剤によるフェロモンテロが多発しており、アルファがオメガに使用して強姦したり、逆にオメガがフェロモンでアルファをラットにして肉体関係を結んだりしている事から、同意ない性交はアルファだろうがオメガだろうが準強制強姦罪になる。
「違います。あなたは意図せずヒートになり、たまたま保護した人物がアルファだった。これは哀しい事故です」
「ですが……」
「彼は普段からアルファ用の抑制剤を使用していました。あの日もちゃんと服用していた。……多分、効果が切れる寸前だったのでしょう。彼は気づかずにヒートのあなたに近づいた。そして……避妊していたとはいえ、あなたのうなじに噛み付いた」
淡々と告げる言葉に、桔梗は「やっぱり」と微かに疼く首の後ろに意識を向けた。
なぜなら、藤田は自身でアルファとは言っていないが、その体躯やオメガに対するマナーを見る限りで察知した。しかし桔梗の鼻はアルファの匂いを全く感じなかった。
これまで会社の上司や他のアルファの匂いを多少なりとも感じていたから。こんなに近くに座る藤田の匂いを感じないなんて、彼が番持ちであっても桔梗がオメガである以上は感じるものだったから。だから自分が玲司という人と番になったのをうっすらとながら自覚していたのである。
「今、あなたに渡したふたつの錠剤、ひとつは抑制剤です。ヒートは終わりがけのようですが念のため。そしてもうひとつは緊急避妊薬です。先程も言いましたが、彼はかろうじて避妊をしています。ですがラット時の話を鵜呑みにする訳にもいきませんので、そちらをお飲みください。……ああ、別にあなたが子供を望むのでしたら、強引に飲めとは言いません」
「いえ……心遣い感謝します」
「あと、額も切れてたので、そちらも軽く縫合しました。日にちが経ってるので、もしかしたら傷が残るかもしれませんが」
「丁寧にありがとうございます」
額にそっと手をやると、ガーゼの感触と共にテープで肌が引きつけた感覚を感じる。そういえば社長にファイルを投げつけられたなと、その後の出来事が強すぎてすっかり忘れていた。
「もし痛みが続くようなら、痛み止めも処方しますので」
アルファだけど医師だからか、細かな気配りに、これまでの緊張が少しだけ解ける。
渡された薬を飲み、ボトルの蓋を締めた時に、何かが割れる音が唐突に桔梗の耳へと届いた。
「今のはいった「お前、自分が何をしたのか、分かっているのか!? 畜生以下の非道をするとは思わなかったぞ!」
桔梗の言葉を遮る大声と陶器の割れる音と、何か重いものが倒れる音が聞こえ、桔梗は恐怖に震える。
「ふう……。お二人共三十を過ぎた良い大人ですのに、子供みたいな事をして……」
「あの……」
「ああ、大丈夫ですよ。すぐに戻りますので、お待ちください」
呆れたように深々と溜息を零し、藤田は椅子から立ち上がると部屋を出ていこうとする。何かよく分かっていないが、自分も行かなくてはと、桔梗はベッドから降りて慌てて藤田のあとを追う。
パジャマの裾を折り曲げ部屋を出ていこうとする桔梗は、ちらりとゴミ箱に視線を向けると、妙に安堵した吐息をはいて寝室をあとにした。
廊下を歩き、階段を降りる藤田に続いて桔梗も降りていく。次第に声が大きくなっているのか、怒鳴ってる相手が声を張り上げているのか、劈く音が桔梗の体をこわばらせた。
桔梗は人に怒鳴られるのが苦手だ。それがアルファなら余計に。
かつて桔梗を詰った父親の怒鳴り声と直結してしまう。だからこそ桔梗はそういった場面にならないよう、仕事については事前に過剰に用意をし、人付き合いも差し障りのない距離を保つようにしてきたのだ。
階下に降り立つといくつかのドアがあり、藤田は迷う様子もなく歩くのを、桔梗もあとに続いて行く。激しく声を荒げるのが次第に明確になって桔梗の耳に響いた。
恫喝する大声は父親を思い出し、心臓がドクドクと激しく高鳴る。首を竦めると項辺りがズキリと痛んだが、それよりも動揺のが強かった。
大丈夫、ここには父親もいないし、あの声も父の声ではない。桔梗に興味ない人が、こんな場所に居る訳がない。
桔梗は自分に必死に何度も言い聞かせ、過去に塗りつぶされる心を奮い立たせる。
「いったい、朝からなにをされているんですか、おふたりとも」
藤田がドアのひとつを開き、中に向かって窘める言葉を吐く。すると、あれだけの激しい音が一変、ピタリとやんだ。
桔梗は藤田の肩越しに中の様子をうかがう。
陽が差し込み眩しいほど光に満ちたその場所は、どうやらリビングダイニングのようだ。
カウンターキッチンと、壁を切り取ったような窓に四人がけの長テーブルが直角に設置され、とても明るい雰囲気だった。それからリビング側は、壁に埋め込まれた大型テレビと相対するようにソファセットが置かれ、そのソファも座面が広くゆったりできそうなのがいい。
あまり物を置いてないのか、閑散とした印象は否めないものの、すっきり片付いた部屋は桔梗に良い印象を与えた。
そのリビングに、がっちりとしたアルファ然としたスーツ姿の男性が息を荒げて睥睨する先に、同じ体躯の良い黒髪の男性が座り込んで俯いていた。乱れた髪で表情は覗えなかったが、口元に赤い痣よりも赤い血が一筋流れているのに気づく。
「だ、大丈夫ですか!?」
桔梗は藤田をおしのけ、座る男性へと慌てて近づく。ふわりと記憶にある香りが鼻先に届き「もしかして」と見上げると、男性と視線がかち合う。
怜悧な輪郭、秀でた額に黒髪がかかり、とても色気がある。太い眉毛の下には青みがかった黒い瞳が陽の光を受けて煌き、まっすぐな鼻梁と薄い唇。厚みのある胸にがっしりとした肩幅。それは桔梗がアルファだったらと理想する姿に近い。
なりたくてなれなかったアルファが桔梗の前にいた。
「君は……」
突然桔梗が現れ男性は一瞬呆けた顔をしたものの、すぐに眉根を寄せて悲しげな表情となり、そっと手を伸ばしてきたがすぐに怯えたように引っ込む。
たったそれだけで、彼が自分のうなじを噛んだアルファで、その事実を酷く後悔しているのだと分かる。
「ごめん……」
なぜ彼が謝るのだろう。彼は自分のヒートに巻き込まれた被害者だと桔梗は切なくなる。
突発的な事故なのだ。桔梗にも非があり、一方的に謝れる理由はない。
「謝らないでください。あなたは俺のヒートに巻き込まれただけなんです。俺にも責任の一端はあるんです」
「だけど……僕は君のうなじを噛んで番に……」
「それは」
「僕はアルファの本能に負けたんです。抑制剤を常用しているからと慢心してました。だけどあなたのフェロモンに抵抗できず、意識のないあなたの体を無理やり暴き、うなじを噛んでしまったんです。僕は最低だ……」
ああ、この人は自分以上に今回の事を悔恨しているのだろう。
悪いのは自分なのに。ただこの人は巻き込まれただけの被害者だ。
「俺こそごめんなさい。あなたは俺のヒートに巻き込まれた被害者なのに、こんな怪我を……」
「大丈夫です。君こそ体は大丈夫ですか?」
心配そうに目を覗き込んで尋ねてくる男性に、桔梗はコクリと頷く。
いつもヒートになると、抑制剤が効いてるとはいえ、数日は動くのも億劫な倦怠感が続く。それが今回ないのは、自分が番を得たからなのか、アルファに抱かれたからなのか。たっぷり取った睡眠もあわさって、かなり体が軽い。
だからこそ、こんな風に彼には罪悪感をかかえてままでいてほしくない。罪を背負うのは自分だけでいいから。
「俺も大丈夫です。あなたのおかげで」
桔梗は目の前の落ち込んでいる男性の手を取り、きゅっと強く握り締める。
彼は自分のうなじを噛んで番にした。それはつまり、彼が本当に心から好きになった人ができた時、自分は捨てられ地獄の苦しみが待ってる。だけどそれでもいい。彼の運命を変えるほどのことをしでかしたのだから。
「ごめんなさい。それからありがとうございます。俺をあの時助けてくれて」
「君は……」
「あ。それから俺は香月桔梗と言います」
「……え?」
唐突に自分の名前を告げる桔梗に、目の前のアルファ男性はきょとりと黒い瞳を瞬かせる。明らかに桔梗より年上だと思われる人が、呆けてる姿は少しだけ幼く見える。
「お互い、望まぬ結果でしたけど、こうして出会ったのも何かの縁だと思うんです。これからの事とか色々問題は山積してますが……ええっと、」
「玲司です。僕は寒川玲司と言います」
「え、と。玲司さん。これからよろしくお願いしてもいいですか?」
真っ直ぐに玲司の目を見て桔梗が言えば、玲司はふわりと花開くように笑みを浮かべ、ギュウギュウと桔梗を抱き締めてきた。鼻先に届くハーブの香りが、桔梗の心を凪いだ湖のように落ち着かせる。
ヒートの熱にうかされてた時でも記憶に残る肌の温もりと爽やかなハーブの香り。やはりこの人が自分を包んでくれたのだと、桔梗は心の中で納得することができた。
「ありがとう。本当に、ありがとう。あんなに酷い事をした僕と向き合ってくれて嬉しいです」
「え、あ、あの……っ」
それはこちらの台詞だ。初対面で見も知らぬオメガのフェロモンにあてられラットを起こしたというのに、なぜこの人はこんなに嬉しそうなのだろう。
意外と筋肉のついた腕の中で、息苦しさと共に首を傾げていると。
「離さんか、馬鹿者! アルファのお前と違って、オメガの体は繊細なんだぞ。番を殺す気か」
いつの間に玲司の背後に立っていたスーツ姿の大柄な男性が、固く握った拳でもって玲司の頭頂に鉄槌を下す。それを見ていた桔梗と藤田はゴンという音を聞いて自分まで頭を殴られたかのような錯覚に陥り、渋面で彼らの成り行きを見守った。
だが当の玲司はというと、あんなに凄い音がしたというのにニコニコと笑顔を浮かべていて、アルファって頑丈なんだなと別の意味で桔梗は感嘆しながらも。
(玲司さんって、天然さん……?)
内心で思ったのは言うまでもない。
この不思議な人がお店のオーナーをしてて、やはり桔梗よりも年上と知る前に、桔梗のお腹が空腹を訴える。
時計を見れば昼もとっくに過ぎており、玲司が朝食の準備をしてる間、簡単な略歴をスーツの男性が問いただしてきたので、現在家を出て一人暮らしをしていたが突然三日前に勤めていた会社から不当解雇をされたと告げていた。
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