22 / 81
第二章 遠征 X ダンジョン + 人気者
22.カクシンテキ
しおりを挟む
翌日、つまり横須賀校へ遠征してきて三日目の朝、昨晩遅くに紗由から届いていた動画ファイルに気が付いた。今日も昼からダンジョンへ潜ると言ってあったのに、早寝せず寝坊したらどうするんだと思いつつ動画を再生してみた。
『なんだこりゃ!?
これがもしかして例の新型HMDRで記録したデータなのか?
まるっきり実写風だしこれは…… もしかして俺がアバター表示されているのか?』
ブツブツと呟きながら確認していた動画には、公認HMDRのような一人称視点での3DCG表示ではなく、三人称視点でのCG表示、といってもまるっきり実写映像にしか見えないダンジョンに、ネコ耳少女の3Dアバターが闊歩していたのだ。
現代日本の通信システムはお世辞にも世界基準で見て高性能とは言えない。全国津々浦々に張り巡らされていた光ファイバー通信網も、6Gと呼ばれたモバイル通信網も壊滅しているからだ。代わりに整備されたのは東北から近畿へ伸びる鉄道網に沿った通信用メタルケーブルと、ダンジョン内のビーコンを利用した反射式小規模無線通信網がほぼすべてだ。
学校や役所、軍関連施設のような大型の公共施設には独自のLANが構築されており、それが全国ネットワークへと接続されている。歴史を振り返って同等に近い通信網を探すとすれば、それは二十一世紀初頭前後まで遡るほど、つまり約百年前の設備に等しい。
そんな劣悪なネットワークしか存在しない国内でリアルタイム通信するためには、当然データ量を大きく削減する必要がある。そのためダンジョン配信の画像品質も百年前程度のクオリティに抑える必要があった。
それなのに、送られてきた動画データは、カメラ映像そのままの背景にCGアバターをAR合成したものなのだから驚くほかない。そもそも俺の後ろにカメラマンが居たわけでもないのだから、カメラで写した探索映像なんてものは存在していないのだ。
これが本当に録画ではなく、HMDRの外周にいくつも埋め込まれているセンサで読み取った地形を元に再現したCGだとするなら画期的なんてもんじゃない。ホームダンジョンではないので細部まで正確に読み取られているのかまではわからないが、パッと見では破綻しているように感じない。
動画の下部にはタイムコードが表示されており、不自然な時間経過が起きた様子もない。これがまさかリアルタイム合成映像だとするなら画期的すぎる発明と言えるだろう。そもそもこんなホビー的分野に注力している科学者は現代にあまりいない。今は衣食住を初めとして、生きるために必須な物の質を向上することが社会的に望まれているからである。
しかし紗由は違った。住むところは最低限雨風がしのげて研究に使う機器が置ければいいようだし、食事は誰もが不満をこぼして当たり前の総合フードベース料理とたまのモンスター肉で満足している。着る物なんて言わずもがなである。
あれこれと考えることは多かったが、とり急ぎ俺はまだ寝ているであろう紗由へメッセージを送っておくことにした。とにかくあの動画の詳細が知りたくて仕方ないのだ。
そして数時間後、もう東京湾ダンジョンへ潜るために海軍船へ乗り込んだ辺りで帰ってきた返答に俺は一人で突っ込みを入れていた。
『おにい? やっぱりネコ耳少女じゃかわいすぎて気に入らなかった?』
『なんだこりゃ!?
これがもしかして例の新型HMDRで記録したデータなのか?
まるっきり実写風だしこれは…… もしかして俺がアバター表示されているのか?』
ブツブツと呟きながら確認していた動画には、公認HMDRのような一人称視点での3DCG表示ではなく、三人称視点でのCG表示、といってもまるっきり実写映像にしか見えないダンジョンに、ネコ耳少女の3Dアバターが闊歩していたのだ。
現代日本の通信システムはお世辞にも世界基準で見て高性能とは言えない。全国津々浦々に張り巡らされていた光ファイバー通信網も、6Gと呼ばれたモバイル通信網も壊滅しているからだ。代わりに整備されたのは東北から近畿へ伸びる鉄道網に沿った通信用メタルケーブルと、ダンジョン内のビーコンを利用した反射式小規模無線通信網がほぼすべてだ。
学校や役所、軍関連施設のような大型の公共施設には独自のLANが構築されており、それが全国ネットワークへと接続されている。歴史を振り返って同等に近い通信網を探すとすれば、それは二十一世紀初頭前後まで遡るほど、つまり約百年前の設備に等しい。
そんな劣悪なネットワークしか存在しない国内でリアルタイム通信するためには、当然データ量を大きく削減する必要がある。そのためダンジョン配信の画像品質も百年前程度のクオリティに抑える必要があった。
それなのに、送られてきた動画データは、カメラ映像そのままの背景にCGアバターをAR合成したものなのだから驚くほかない。そもそも俺の後ろにカメラマンが居たわけでもないのだから、カメラで写した探索映像なんてものは存在していないのだ。
これが本当に録画ではなく、HMDRの外周にいくつも埋め込まれているセンサで読み取った地形を元に再現したCGだとするなら画期的なんてもんじゃない。ホームダンジョンではないので細部まで正確に読み取られているのかまではわからないが、パッと見では破綻しているように感じない。
動画の下部にはタイムコードが表示されており、不自然な時間経過が起きた様子もない。これがまさかリアルタイム合成映像だとするなら画期的すぎる発明と言えるだろう。そもそもこんなホビー的分野に注力している科学者は現代にあまりいない。今は衣食住を初めとして、生きるために必須な物の質を向上することが社会的に望まれているからである。
しかし紗由は違った。住むところは最低限雨風がしのげて研究に使う機器が置ければいいようだし、食事は誰もが不満をこぼして当たり前の総合フードベース料理とたまのモンスター肉で満足している。着る物なんて言わずもがなである。
あれこれと考えることは多かったが、とり急ぎ俺はまだ寝ているであろう紗由へメッセージを送っておくことにした。とにかくあの動画の詳細が知りたくて仕方ないのだ。
そして数時間後、もう東京湾ダンジョンへ潜るために海軍船へ乗り込んだ辺りで帰ってきた返答に俺は一人で突っ込みを入れていた。
『おにい? やっぱりネコ耳少女じゃかわいすぎて気に入らなかった?』
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~
尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。
ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。
亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。
ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!?
そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。
さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。
コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く!
はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる