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4.愛の押し売り
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メガッチこと大内拓朗の心臓は強烈なまでに鼓動を早くしていた。どうしてこうなった? そりゃ高波には谷前さんちょっといいなってことは話したが……
「大内君ってオタクなの?
高波君に聞いたんだけどアイガチのエクストラスコア出せるってホント?
少しでいいから教えてくれない?」
「オタクって言われるのは心外だが、アイガチのエクストラは出せるよ。
よ、良かったら協力プレイでもやってみる?」
「うんうん、ありがとう、大内君って優しいんだね。
あまり絡んだことないから知らなくて、なんかガリ勉タイプだと思ってた。
勝手に決めつけてごめんね」
谷前はそう言いながら大内の腕に胸が当たるくらいに接近していた。二人のスマホには『アイドルとだってガチ恋したい!』のタイトル画面が表示されている。
なぜこんなことになっているのかと言うと、帰る直前に金子が女子に告るからついてこいと連れて行かれたのが始まりだ。金子と大内は待ち合わせしたと言う校舎裏へ向かったのだが、そこには谷前を連れた高波が待っていた。
戸惑い焦る大内は、谷前と共に裏口のすぐ近くのベンチへと座らされて、首謀者である高波と金子は笑顔で去って行ったのだ。
『ちくしょう、こんな事なら協力ログボのためにあいつらへ頼むんじゃなかった』
大内は自分がプレイしているアイドルゲームが二人にばれていたことと、その原因を作った自分を呪っていた。しかしそんなことも、腕に当たるこの柔らかさとブラの固さの複合的触感の前では無力すぎる。今にも意識が飛びそうになるのをこらえるには協力プレイに集中するしかない。
別にスマホ同士を接近させなくても協力プレイはできるのだが、谷前は相手との距離が近いタイプらしく、大内のパーソナルスペースをガン無視して接近してくる。触感とともに漂ってくる女子の香りに刺激され、不本意ながら下半身が充血してくるような感覚に襲われていた。
その時、谷前のスマホ上部に緑色のアイコンと共にメッセージが無音で通知された。そこには――
『そろそろ押し倒せ』
大内は見てはいけないものを見た気がして目を反らしたが、耳の先まで顔がアツくなっているのがわかる。大して谷前はなにも見ていなかったかのようにプレイを続けていた。だがわずかに座りなおしてより近くに体を寄せると、大内の唇に自分のを押し付け不慣れで不器用なキスをした。
こちらは帰り道の高波と金子、大内と谷前をウマイこと引き合わせたことに満足しているようだ。
「今頃うまくやってるかねぇ。
それにしても谷前がメガッチのこと気にしてたなんて意外だったわ」
「いやいやそりゃねえだろ。
あいつら全然接点ないじゃん?
ゲームだってたまたまだったからな」
「じゃあなんでナミタカは谷前を連れて来てメガッチとくっつけようとしたんだ?
うまく行かなかったら哀れすぎんだろ」
「別にいんじゃね?
メガッチだって肉体がいいってだけで好きなわけじゃねえさ。
谷前も誰でもいいって言うとアレだけど、あんまモテる方じゃねえじゃん。
だから、メガッチがお前のこと好きみたいだから探ってみ? って言っただけだよ」
「そっか、まあどっちも相手いないし、うまく行けば儲けものってか?
ダメでも数日気まずいくらいだもんな、やったもん勝ちってやつだ」
「んだな、だから最後の一押し送ってやったんだよ。
その気が出て来てたら意外とすんなり進んじゃうかもしれねえしな。
明日聞いてみるのが楽しみだけど、朝には足腰立たなくなってるかもしれねえぞ?」
「マジかよ、谷前ってそんなすげえの?
ちょっとだけうらやましいぜ」
「だから金ちゃんも桃子行ってみろって。
オレが手伝ってやるからさ。
お前の気持ち知ってあいつには手を出してねえから安心物件だろ?」
「だからアイツはもういいんだよ。
例の後輩とまだ続いてたら俺は立ち直れねえぜ」
「たかがボタンくらいで情けねえなぁ。
桃子ってどこ行ったんだっけ? 西高か?
それとも麗明だったっけか?」
「西高だよ、そこはチェックしてある……
ちなみにあの後輩も西高だわ、サイアク」
「金ちゃんも西高行けたらよかったけどな。
オレたちの頭じゃ無理だったから仕方ねえ。
それよりメガッチが東高来たのが意外だったよな」
「友達いねえからじゃね?
それは俺も似たようなもんだけどさ」
「そんなもんかねぇ、オレは共学ならどこでも良かったけどな。
頭良かったら麗明行きたかったよ。
あそこって服飾科があるから女子がめちゃ多いんだぜ?」
「その考えは捨てた方がいいな。
もし行ってたら退学になってるかもしれねえぞ?
去年の河原退職の時、お前も退学なるかと思ったかんな」
「あれってオレ悪いことしたっけか?
河原が二組の三田村と不倫淫行してたんが全面的に悪いだろ」
「その後お前、河原のこと殴ったじゃねえか……
停学にもならなかったのが奇跡だぞ?」
「仕方ねえよ、三田村と生でやってメッチャ泣かしてたんだぜ?
不安で学校も休んでたしな、見舞い行ってついヤっちまったのは反省してるが。
でもあいつとは中学の時も何回かしてたし、まあ成り行きってやつで仕方ねえよ」
「マジ野獣でいいわ……
俺も青春してえええええ!!」
「じゃあこれから西高行こうぜ!
ほれほれ、カワイイ子いるかもしれねえしな!」
「大内君ってオタクなの?
高波君に聞いたんだけどアイガチのエクストラスコア出せるってホント?
少しでいいから教えてくれない?」
「オタクって言われるのは心外だが、アイガチのエクストラは出せるよ。
よ、良かったら協力プレイでもやってみる?」
「うんうん、ありがとう、大内君って優しいんだね。
あまり絡んだことないから知らなくて、なんかガリ勉タイプだと思ってた。
勝手に決めつけてごめんね」
谷前はそう言いながら大内の腕に胸が当たるくらいに接近していた。二人のスマホには『アイドルとだってガチ恋したい!』のタイトル画面が表示されている。
なぜこんなことになっているのかと言うと、帰る直前に金子が女子に告るからついてこいと連れて行かれたのが始まりだ。金子と大内は待ち合わせしたと言う校舎裏へ向かったのだが、そこには谷前を連れた高波が待っていた。
戸惑い焦る大内は、谷前と共に裏口のすぐ近くのベンチへと座らされて、首謀者である高波と金子は笑顔で去って行ったのだ。
『ちくしょう、こんな事なら協力ログボのためにあいつらへ頼むんじゃなかった』
大内は自分がプレイしているアイドルゲームが二人にばれていたことと、その原因を作った自分を呪っていた。しかしそんなことも、腕に当たるこの柔らかさとブラの固さの複合的触感の前では無力すぎる。今にも意識が飛びそうになるのをこらえるには協力プレイに集中するしかない。
別にスマホ同士を接近させなくても協力プレイはできるのだが、谷前は相手との距離が近いタイプらしく、大内のパーソナルスペースをガン無視して接近してくる。触感とともに漂ってくる女子の香りに刺激され、不本意ながら下半身が充血してくるような感覚に襲われていた。
その時、谷前のスマホ上部に緑色のアイコンと共にメッセージが無音で通知された。そこには――
『そろそろ押し倒せ』
大内は見てはいけないものを見た気がして目を反らしたが、耳の先まで顔がアツくなっているのがわかる。大して谷前はなにも見ていなかったかのようにプレイを続けていた。だがわずかに座りなおしてより近くに体を寄せると、大内の唇に自分のを押し付け不慣れで不器用なキスをした。
こちらは帰り道の高波と金子、大内と谷前をウマイこと引き合わせたことに満足しているようだ。
「今頃うまくやってるかねぇ。
それにしても谷前がメガッチのこと気にしてたなんて意外だったわ」
「いやいやそりゃねえだろ。
あいつら全然接点ないじゃん?
ゲームだってたまたまだったからな」
「じゃあなんでナミタカは谷前を連れて来てメガッチとくっつけようとしたんだ?
うまく行かなかったら哀れすぎんだろ」
「別にいんじゃね?
メガッチだって肉体がいいってだけで好きなわけじゃねえさ。
谷前も誰でもいいって言うとアレだけど、あんまモテる方じゃねえじゃん。
だから、メガッチがお前のこと好きみたいだから探ってみ? って言っただけだよ」
「そっか、まあどっちも相手いないし、うまく行けば儲けものってか?
ダメでも数日気まずいくらいだもんな、やったもん勝ちってやつだ」
「んだな、だから最後の一押し送ってやったんだよ。
その気が出て来てたら意外とすんなり進んじゃうかもしれねえしな。
明日聞いてみるのが楽しみだけど、朝には足腰立たなくなってるかもしれねえぞ?」
「マジかよ、谷前ってそんなすげえの?
ちょっとだけうらやましいぜ」
「だから金ちゃんも桃子行ってみろって。
オレが手伝ってやるからさ。
お前の気持ち知ってあいつには手を出してねえから安心物件だろ?」
「だからアイツはもういいんだよ。
例の後輩とまだ続いてたら俺は立ち直れねえぜ」
「たかがボタンくらいで情けねえなぁ。
桃子ってどこ行ったんだっけ? 西高か?
それとも麗明だったっけか?」
「西高だよ、そこはチェックしてある……
ちなみにあの後輩も西高だわ、サイアク」
「金ちゃんも西高行けたらよかったけどな。
オレたちの頭じゃ無理だったから仕方ねえ。
それよりメガッチが東高来たのが意外だったよな」
「友達いねえからじゃね?
それは俺も似たようなもんだけどさ」
「そんなもんかねぇ、オレは共学ならどこでも良かったけどな。
頭良かったら麗明行きたかったよ。
あそこって服飾科があるから女子がめちゃ多いんだぜ?」
「その考えは捨てた方がいいな。
もし行ってたら退学になってるかもしれねえぞ?
去年の河原退職の時、お前も退学なるかと思ったかんな」
「あれってオレ悪いことしたっけか?
河原が二組の三田村と不倫淫行してたんが全面的に悪いだろ」
「その後お前、河原のこと殴ったじゃねえか……
停学にもならなかったのが奇跡だぞ?」
「仕方ねえよ、三田村と生でやってメッチャ泣かしてたんだぜ?
不安で学校も休んでたしな、見舞い行ってついヤっちまったのは反省してるが。
でもあいつとは中学の時も何回かしてたし、まあ成り行きってやつで仕方ねえよ」
「マジ野獣でいいわ……
俺も青春してえええええ!!」
「じゃあこれから西高行こうぜ!
ほれほれ、カワイイ子いるかもしれねえしな!」
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