僕が一目惚れした美少女転校生はもしかしてサキュバスじゃないのか!?

釈 余白(しやく)

文字の大きさ
59 / 158

熱い夜

しおりを挟む
 時間はもう二十一時を回っている。両親が留守のおかげでいつもより遅くまで二人でいられるのは嬉しいことではある。でも僕の頭はもう沸騰寸前だった。

「もう無理だ…… これ以上続けられないよ……」

「じゃあ今日はこのくらいで勘弁してあげる」
「でもとても頑張れたわね、いい子よ」

「そんな…… 小さい子ども扱いしないでくれよ」
「いつも咲の言いなりになっているみたいな僕だって、ちゃんとした同い年の高校生なんだからさ」

「でも困ったような顔でうんうんって頷いているキミ、とてもかわいいんですもの」
「一から教えてあげているんだからもっと甘えてもいいのよ?」

「いや、それは有難いけど僕にだって意地があるさ」
「次はもっとうまくやってみせるよ、きっと初めてだからうまくいかなかっただけなんだ」

「あらそう? それじゃ次を期待していいのね、楽しみにしているわ」
「汗かいたでしょ、なにか淹れてくるけど紅茶でいいかしら? レモネードの材料もまだ残っているわよ」

「そうだなあ、せっかく淹れてもらったレモネードが冷たくなっちゃってたから、今度はあったかいのが飲みたいな」

「温かい飲み物で大丈夫? 随分興奮していたから冷たいものがいいんじゃなくて?」
「こういうのなんて言うんだったかしらね? 心頭滅却すれば火もまた涼し?」

「それはちょっと違う意味で、心の持ち方で辛いことも耐えられるってことわざだよ」

「あら間違えて覚えていたわ、さすがに国語は得意なのね」
「母国語が得意なら語学なんて似たようなものだからすぐにできるようになるわよ」

「だといいけどなあ、もうぼろぼろすぎて泣きたい気分だよ」

 僕は咲と並んで座っているソファの前に置かれたテーブルの上にばらまかれた、子供用の英語教材カードを見ながら答えた。

 英語の勉強になるからと咲が出してきたカードは、文章と絵が対になったものだった。日本でいうかるたのようなものだ。

 英文を咲が読んで僕が絵を当てる。しばらくしてから交代し、今度は僕が英文を読むのだが、聞くのも読むのも全く分からず惨敗だった。

 咲の話によれば、これは就学前の子供が遊びながら学ぶためのものらしい。それがうまくできなくて熱くなり、膨れていた僕を咲が子ども扱いしているところだった。

「授業ではこんな風に遊び感覚ではできないけど、僕みたいな英語に苦手意識があるやつはこういうので覚えるのも悪くないかもね」

「でもこれは学校へ通う前にやるような内容よ」
「本来、高校生がやるには簡単すぎるんじゃないかしら?」

「今まできちんと勉強してきたならそうかもね」
「でもさ、高校生になってから野球はじめるやつだっているんだから、英語だって基礎の基礎からやるのに手遅れってことはないと思うんだ」

「いい心がけね、それにしてもキミがなんでも野球に例えるのは聞いていて面白いわ」
「私も何か始めようかしら」

「何か興味ある部活でもあった?」
「クラスの女子とも全然話しているところ見ないから、周囲に馴染めていないかもって真弓先生が心配していたよ」

「部活動はやめておきたいわね、私はお料理が好きなのよ」
「今まではママに教わりながら覚えてきたけど、日本食を一人で覚えるのは難しいかもしれないわね」

「両親と暮らしていたときにお母さんは和食を作っていなかったの?」
「確かお母さんが日本人って言っていたよね?」

「ええ、ママは日本人だけどドイツ大好きな人でね、若いころに留学した後そのまま住み着いたんですって」
「パパは現地の人だから、日本食は数年に一度オーマーのところで食べるくらいなのよ」

「オーマーってだれ?」

「ああ、えっとママのお母さん、祖母ね」

「なるほど、でもお母さんも和食を作る機会がなかったのに咲は興味があるんだね」
「なにか切っ掛けでもあったのかな?」

「うふふ、うふふふ」

 咲は唐突に両手で口を覆いながら笑い出した。僕がまたなにかおかしなことでも言ってしまったのだろうか。

「なに? どうしたのさ、僕がなにかおかしなこと言ったかい?」

「ううん、ごめんなさい、とっても楽しくなってしまったの」
「キミって本当にかわいいわ」

 そう言いながら体を寄せてきた咲は、僕の事を押し倒すようにその身を預けてきてキスをする。その求めに応えるように僕も咲の体を引き寄せキスを返した。

 なにがなんだかわからないけど、突然怒ったり笑ったり、咲は意外に喜怒哀楽がはっきりしている。教室ではいつも一人で外を見ているし、どちらかと言えば自らの存在を消すようにしているとも感じるのに、だ。

 でも咲が学校と家とで全然違う面を見せることになんの問題もない。僕にだけは優しくてかわいい面を見せてくれる、それだけで十分だ。

 それに学校で同じようにしていたらモテてモテて仕方ないだろう。そうなったら僕なんて相手にしてもらえないかもしれないと心配になってしまう。

 すると咲がまた僕の心を覗いたようなことを言う。

「大丈夫、私はキミだけのものよ、キミが望むなら永遠に、ね」

 それを聞いた僕は言葉を返すことができずに咲を見つめていた。咲はすぐ目の前で優しく微笑んでいる。

 そしてまた二人は唇を重ねながらソファへ身を沈めていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」 「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」 「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」 県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。 頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。 その名も『古羊姉妹』 本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。 ――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。 そして『その日』は突然やってきた。 ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。 助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。 何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった! ――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。 そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ! 意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。 士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。 こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。 が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。 彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。 ※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。 イラスト担当:さんさん

処理中です...