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決着
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目を覚まし、あわてて体を起こす。水がぴちゃんと跳ねた。
「松宮!」
とっさに声をかけると近くで身じろぐ気配がする。
「うあ。あ」
呻きながら目を開けたであろう松宮に安心すると、自分たちの前に壁を作る。
「松宮」
状況把握はすぐにできた。死んだときと同じ場所だからだ。
「うっ、いてて」
状況把握どころか存在そのものが変わった松宮は違和感を感じるのだろうきょろきょろと周りを見渡している。
「状況把握して。まだドラゴンいるから。君には私の能力のすべてを渡してある。できるでしょ」
「えっ?」
「防御壁六枚!」
「ひゃいっ!」
言われた通りにする。目の前に六枚の壁が出てきて驚く。何をどうすればいいのかわからず、開いたモニターを視線がさまよう。
「集中!」
崩れそうな防御壁にしかることで気を引き締めるがわりと口をあけてあわあわしているのが手に取るようにわかる。自分と同じように視点が違えば視界も違うのだろうとは思う。確かに榛名自身も視点が違いすぎて戸惑う。それでもこの星のプログラムの制約を受けている分、松宮よりも上というだけだ。第三次元のままここに降りればプログラムが反発して暴走していたかもしれないと思えば、外殻を第一次元に守られているのは助かる事であった。
「なにこれ、えっ?なにで。なん、どうなって。は?」
完全に混乱の中にいるようだがそれでも六枚を維持している。ドラゴンの咆哮に体中がびりびりと震えた。
「ひゃぁ」
消し去ろうと思えば、プログラムを削除することはできるのだろうな、と榛名は思う。だがそれは世界を崩壊させかねない。
「ドラゴンの弱点として対抗ウイルスを天野が作っている。ならば」
炎が三枚の防御壁を吹き飛ばす。しとめたと思っているのに生きているのだ、さすがに驚いているのだろう、羽をばさばさと動かしている。威嚇するように唸る。
「雀蜂、雀蜂、女王蜂」
「防御壁」
雀蜂の大群を出現させ、榛名はドラゴンを襲わせる。
「松宮君、ドラゴンのデータ開いて」
「はいっ」
防御壁六枚を維持しながらデータを開く。相変わらず真っ赤に塗り替えられたプログラムは変動していないように見えた。
「回復しちゃってるね。ダメージ蓄積ゲージが減ってないということは、たぶん半日ぐらいのタイムラグがあるのかな」
「どうするんですか」
前足で攻撃され、六枚全部が一瞬で壊れる。その爪にひっかかって吹き飛ばされた二人は榛名は円柱にたたきつけられて崩れ落ちる。床を転がり、数メートル先でようやくとまった。
「ってぇ」
体中を打ち付けて、それでも何とか体を起こす。
「せんせぇ!」
離れたところに崩れ落ちている榛名を呼ぶ。声に反応したのか体が動いた。
「生きてますぅ?」
「生きてるよっ」
いててと体をさすりながら立ち上がる。自動治癒は榛名がかけていたものがまだ切れていない。自動で傷を治してくれるので自分のダメージを可視化するが一撃の重さはステータス異常を引き起こしているとしか思えなかった。
「いけ!」
空中に待機させている雀蜂に襲わせる。蜂が襲い掛かるものの炎で体の周りを焼きながら蜂を落としていく。同じ手には乗らないといったように。
「矢雨」
「防御壁」
ええいくそと六枚の防御壁を先ほどよりも厚く支える。上空にびっしりと隙間なく出現した矢は重力に従い落下する。それを炎や尻尾で振り払うものの、すべてを払えるはずもなく、そのうちのわずかではあったが体に刺さる。刺さったことに苛立ちをあらわにし、咆哮する。
「女王蜂」
息を吸い込み、炎を吐き出す。その火力に押されて防御壁が崩れる。
「くっ」
「防御壁、矢雨、矢雨、矢雨、注射器」
厚みを増やそうとモニターを注視している松宮の残された二枚の後ろに防御壁を四枚展開させる。一回目の矢を降らせ、防御壁を溶かしていたドラゴンが自分の体に降りかかる矢を炎で燃やし尽くした。
「げっ。さっきよりだめじゃないですか」
「大丈夫。注射器に水をつめて」
巨大な注射器に水を詰め込み、空気を抜いて、構える。
「松宮君、次の矢が降ったら飛び出します。一枚でいい防御壁を私の前に」
「了解」
「いくよっ!」
矢を降らせる。それに気をとられたドラゴンの元へとダッシュする。それに気づいたドラゴンは壊した円柱のかけらを尻尾でなぎ払い飛ばしてきた。
「せんせっ!」
榛名の前に防御壁が一枚展開された。飛んできたかけらは松宮の前に展開されていた防御壁をすべて砕いて松宮を吹き飛ばした。それにかまけている暇はない。前足を振り下ろすその爪が防御壁をいともあっさりと崩す。爪の先が右半身に食い込むがにやりと笑うと注射器を爪の根元へと刺し、中の水をすべて注ぎ込む。
「ざまぁ、みろ」
巨大な注射器の中に入っているのは足元の水。ドラゴンにとっては有毒ともいえる対抗ウイルスでできた水。水蒸気を吸い込んでなおも異変を生じたのだから水を打ち込めばいい。そして、それは的確にドラゴンを苦しめた。
「やば」
目の前で暴れられてはかなわない。体内に注入された水の効力でウイルスと対抗ウイルスが戦う。その痛みに暴れるドラゴンはなりふり構っていられない。つぶされるのは勘弁だと動かない体で思う。
「死ぬわけにはいかないのですよ」
歯を食いしばり自分の体を松宮のそばに転送させる。暴れるドラゴンはその手足が、尻尾が水に触れるのさえかまわない。内部崩壊がおきるのはまずいと思うが、さすがに一気にダメージを受けた体は言うことを聞かない自動治癒がかけられていてもその効果はじわじわとしか利いていないのだ。このままでは暴れ狂ったドラゴンに柱をへし折られて内部崩壊して大崩落の危険性もあった。松宮はと視線を動かせば彼は直撃した円柱の巨大なかけら、ともい崩れた塊の直撃を受けて、気絶している。
「うるさ、い」
ゲージはほぼほぼドラゴンの耐久値がなくなって点滅していた。天野のプログラムが勝ったのは明白で、点滅するドラゴンのプログラムは赤と白の斑模様を描いている。ならばもう自分の手で収束させても大丈夫だろうと、震える手を上げ、ドラゴンのデータを握りつぶす。最後に一際甲高い咆哮を上げて、ドラゴン自体が消滅した。
「あー」
安心してそのまま目を閉じる。回復が追いつくまでは何もする気力がなかった。
「松宮くん、生きてる?」
「死んでます」
「大丈夫そうね」
目を開けて側に寝転がっている松宮に声をかける。松宮が治癒プログラムを二つ発動させた。二人の体をプログラムが包み込む。治癒プログラムの繭の中で松宮が声を出した。
「先生。説明。マジ、説明」
「そうね。ドラゴンに勝つにはひいてこのドラゴンを目覚めさせて最強仕様にしたのは天野だとわかっているのだけれどね。私一人でも勝てるかどうかわからない。正直、天野を見据えたら君には私と同等になってもらわなきゃいけないんですよ」
「つまり?」
「君と私と一緒に死んで、私は死ぬことで天野のウイルスを抜け出せるだろうと予測していましたから君のプログラムと一緒に一次元に帰り、君のプログラムを、一次元と等しくさせようと思いました。つまり、君を神様に仕立て上げるんですよ。そして二人で力をあわせればまあドラゴンなら何とかいけるだろうなと」
「あの人は」
「いけるかは。次元が違いましたしね。難しい。結果、君はここの神様に。私は第三次元のものとして生まれ変わりました。ので、ドラゴンは簡単に消去できるでしょ。私が次元を上がってしまったから君にはここの神様を任せます」
「うん。意味がわかんねえです」
「脳みそ飽和してない?」
「してますよ。しすぎてて困ってるんですよ」
空洞内は静かだ。静かで、ドラゴンの姿すらない。
「先生、結局わかったことあるんですけどね。先生は生まれながらに先生だったわけですよ。神様だったんでしょう。僕はここに生まれてここで育ってるんです。神様がいることはわかる。先生が神様だから。でもね、その上に上がいるなんてもうオーバーです。飽和どころか頭パーンしてます。正直、先生はこんな風に世界がみえるんですね。ほとんどプログラムなんですけど」
「あっ、ごめんごめん。その機能オフっといて」
「どうやってですか」
体の傷もすべて癒えて修復が終わる。プログラムが解けてよいしょと榛名は立ち上がった。松宮も自分の体をチェックして痛みがないこと、関節が動くことを確認する。松宮を構築するプログラムを開き、いくつかをオフにしたりオンにしたりと微調整を行い、保存させる。
「あっ。元に戻った」
「慣れるには使うしかないんですよね。モニターとか要らないでしょ。タイムラグは無いから」
「と、言ってはい、そうですかって、すぐに出来るわけじゃあないんですよ。先生」
「がんばってちょうだい」
「先生はもともと神様でしょう。今の俺は神様一年生ですよ。さっき生まれたばかりの神様ですよ。カミサマカッコカリワライぐらいの勢いですよ。正直俺、ジョブチェンジして神様になったんだよって言ったらみんなに指差されて爆笑されるレベルですよ。その後真顔で病院行く?って聞かれるやつ。俺、知ってます!」
「いいじゃないの。君だって私の事神様だと思ってなかったでしょう」
「そりゃあそうですよ。もう今は信じてますし。あと、俺白いところでなんかこう体をいじくられてるような気がして」
「あ、あの時君意識あったんだね」
「ええ。夢じゃなかったんですか! 夢かと思ってました。先生、ところでこれからどうするんですか?というかドラゴンいなくなったっていうのはいいんですか?」
「存在しえないプログラムですからね。この空間だけはどうしようもないから、残しておきましょう。内部通路は使えるので、たしかあっちのほうが、崩落現場のちょっと先につながっていますね。あそこはジョウア国側に出ますし、あっちは山脈の中心部のほうに出るのか。どこだ。ガゼヌリア国だな」
「おしゃべりはそこまでだ」
空間にノイズが走り、割れる。そこからずるりと降りてきたのは天野だ。こつりと地面に足をつく。目は赤黒くにごり、その表情は硬く憎悪にあふれていた。
「天野」
呼びかけた榛名の頬を光の矢が掠める。耳をえぐられ、血があふれた。
「先生!」
「こっちは大丈夫。空間補強させておいて」
「はいっ」
空間自体に防御壁を張り巡らせ、補強する。それを見てから自分の怪我をなかったことにした榛名は世界ごと崩壊しないように、プログラムを保護するともう一度天野の名を呼んだ。自分の前に張られた防御壁は松宮だろう。前にあったときとはまったく違う雰囲気に内心あせりを感じる。彼の彼たらしめる核が、ウイルスに汚されているように見える。
「まずいな」
呼ばれても反応を見せず、口を一文字に閉ざす天野の顔から表情というものが消えている。指先をまっすぐ榛名へと向けた。
「っ!」
バチンと何かがはじくような音を立てる。顔を狙ったその一撃を手で払うように相殺する。びりびりとしびれるが手を無言で振って感触を振り払う。無言でにらみ合いながら榛名は息を吐いた。指先をしたから上に持ち上げる。足元の地面を割って飛び出してきたのは黒い棘がびっしりとついた蔦。足を絡めとり、動きを封じていく。
「うぐっ」
思わずうめく天野だがそれでも足元へ炎を生み出して落とすと戒めていた蔦が燃えて消える。指先から放たれる赤い光は榛名の心臓を狙う。それを打ち消した時に松宮の防御壁が壊れた。衝撃を殺しきれなかったようで、砕ける防御壁に手を出すことさえ出来ずただ見守るだけの松宮は自分の守りを徹底させることで二人を見守るしかなかった。幸いか不幸か、天野は榛名以外意識を向けてすらいなかった。また、榛名も天野だけを見ている。拮抗しているのかどうか、松宮にはわからないがそれでも声を出さないように音を立てないようにただ二人の動きを注視するだけだ。
氷の刃が榛名を襲えば、大火炎を用いてそれらを殺す。無言でにらみ合いながら互いに相手の隙をうかがっているようではあった。松宮の目にはめぐるましく現れては消えるプログラムが読めたり読めなかったり。目が回るとはこのことだろうなと思うレベルで、あまりの忙しさに吐き気を覚える。時折飛んでくる炎や氷、矢。時々光の矢だの槍だのを防御壁で受けたり、光のロープでたたき落としたりしていた。榛名は天野のプログラムを握りたいがそうはさせまいと攻撃を加える。一次元上の天野だが榛名と拮抗していることに焦りの色を見せる。無言で行われるプログラムでの攻防。時折互いの体をすり抜けたプログラムが傷を負わせる。低く、食いしばるように呻く榛名と天野が同時にしたうちをした。互いの手から光のロープが出る。二人の間でそれは絡まり、強く結ばれた。綱引きのような状態に、だが手を出すことは出来ない。どちらかのバランスが崩れた時、それが二人の決着をつけるときなのだと松宮は思う。モニターに映し出された双方のプログラムは松宮が読むには難しい。にらみ合いながらロープを引き合う。結び目が左右に揺れ動くが決定的な何かがあるわけではなかった。そんな中、すうと息を大きく吸い込んだ榛名が突然ロープをつかんでいた手を離した。
拮抗していた力が突如崩れた天野がバランスを崩す。
「天野!」
大声で名前を叫ぶ。転ぶ前に体勢を立て直そうとした彼の体がびくりと跳ね上がり、硬直して転がった。
「ぐっ」
激痛が走り、硬直する寸前腕を貫いたのは天野から飛ばされた赤い針であった。腕を貫き、呻く。ここで崩れ落ちるわけにはいかない。どうにか踏ん張りながら、天野を見れば名前にこめた強い力はロープと同じように体を縛り上げているようだ。はぁと息を吐いて、榛名は怪我を負った腕の傷をプログラムで削除することによって「無かった」事にする。
天野を構築するプログラムを開き、そのまがまがしい姿に松宮は呆然としていた。
「せんせ」
「ひどいな。これでよく動いていたもんだ」
つぎはぎだらけの、機能すらしてない箇所もあるだろうめちゃくちゃにいじられたプログラム。そのプログラムに触れる。じゅっと指先を焦がすのはセキュリティと第五次元のウイルスだろう。
「っ!」
「やめっ、やめろ、榛名っ!」
びくりと体を震わせる。
「天野、さようなら」
痛みに顔をゆがめながら天野のすべてを構築するプログラムをつまむ。つまんで寄せ集めてすべてをその手の中に握りこむ。
「ああああああああ」
手のひらが焼けていく音が聞こえるようだ。
「先生!」
悲鳴すら上げることも出来ず天野は必死に暴れる。そのそばで榛名は天野のプログラムを離さないよう両手で必死にすりつぶしていく。痛みに顔をゆがめ、それでも両手に押しつぶすように持つ。痛みにひざが折れそうになる。
「そこまでだ」
足元でのた打ち回っていた天野の体がぴたりと止まる。
「えっ」
突然の声に驚いたのは榛名だけではなかった。松宮も一緒に声のしたほうを向く。天野の体を踏みつけて現れているのは見たことも無い生き物だった。
「なっ」
何も無く突然現れたそれは天野の体を引き上げて肩に担ぐと指を持ち上げた。鎧がそのまま動いているように見える。その指先が驚き硬直している榛名の胸にとんと触れた。
どん。と低い音を立てて、榛名の体が揺れる。両手が離れて天野のプログラムが零れ落ちた。背中まで開いた穴。榛名の体が崩れて血があふれる。ぎりぎり生存できているぐらいのダメージ量をほんの一撃で与える。
「せんせええええええええ」
叫ぶ松宮の前で血まみれになって倒れる。あわてて止血から蘇生、回復を施す。それを見て、笑ったように松宮には思えた。ついでだとばかりにそいつは赤い何かを落とす。すでに意識を失っていたはずの榛名が目を見開いて絶叫した。赤黒くうねるプログラムが榛名を飲み込んでいく。
「あっ。あ、先生!先生!」
あせる松宮を見下ろし、笑いながらそれは天野を抱えて消えた。
「対抗ウイルス」
「対抗ウイルス治癒」
それらが消えたことも気に留めず、松宮は自分に出来ることを行う。榛名を貪り食おうとするかのようにうごめくウイルスを引きちぎりながら榛名の体に対抗ウイルスを打ち込む。それから真っ白い繭になるように、ラウの王都で見たウイルスを殺すための繭を思い出す。
「消毒」
ウイルスが暴れている。榛名の体が見えない。少しでも表面のウイルスを払い落とすためにプログラム除去をかけていく。多少落ちたがまだしがみついているプログラムはそのままにしておくわけにはいかない。繭を作り出し、ウイルス治療を施していく。対抗ウイルスのプログラムは繭のよう、というよりはミイラに近い状態になった。
「うわぁ」
なんともいえない形状になった榛名に、しかしウイルスと直接戦っているらしい白い対抗ウイルスを引き剥がすわけにはいかない。榛名の命が消えているわけではないが予断は許さない上に何よりもここにおいて治療をするわけにはいかず、地上に戻るしかないのだと気づく。ミイラ男と成り果てている榛名を抱きかかえ、長い回廊を歩くのは骨が折れる。下りではなく上りになる事を思えば極力しんどいのは避けたい。空間をスキャンしたものを浮かび上がらせ、入ってきた所に屋根をつける。そこに滑車とロープをつけてするすると登った。
「成功したぁ」
封じている石の向こう側に向かって声を上げる。見張りを置いていたのかあたりがざわざわしている。石がどかされ、まぶしい光があたりを包み込む。松宮はドラゴンは退治した事、土砂崩れの向こう側に続く道があることを教えた。ミイラと化した榛名を見て誰もが恐怖に顔を引きつらせた。立ち止まっているものたちを誘導しろと告げて、足早に榛名を抱きかかえてキャラバンへと戻っていった。
「松宮!」
とっさに声をかけると近くで身じろぐ気配がする。
「うあ。あ」
呻きながら目を開けたであろう松宮に安心すると、自分たちの前に壁を作る。
「松宮」
状況把握はすぐにできた。死んだときと同じ場所だからだ。
「うっ、いてて」
状況把握どころか存在そのものが変わった松宮は違和感を感じるのだろうきょろきょろと周りを見渡している。
「状況把握して。まだドラゴンいるから。君には私の能力のすべてを渡してある。できるでしょ」
「えっ?」
「防御壁六枚!」
「ひゃいっ!」
言われた通りにする。目の前に六枚の壁が出てきて驚く。何をどうすればいいのかわからず、開いたモニターを視線がさまよう。
「集中!」
崩れそうな防御壁にしかることで気を引き締めるがわりと口をあけてあわあわしているのが手に取るようにわかる。自分と同じように視点が違えば視界も違うのだろうとは思う。確かに榛名自身も視点が違いすぎて戸惑う。それでもこの星のプログラムの制約を受けている分、松宮よりも上というだけだ。第三次元のままここに降りればプログラムが反発して暴走していたかもしれないと思えば、外殻を第一次元に守られているのは助かる事であった。
「なにこれ、えっ?なにで。なん、どうなって。は?」
完全に混乱の中にいるようだがそれでも六枚を維持している。ドラゴンの咆哮に体中がびりびりと震えた。
「ひゃぁ」
消し去ろうと思えば、プログラムを削除することはできるのだろうな、と榛名は思う。だがそれは世界を崩壊させかねない。
「ドラゴンの弱点として対抗ウイルスを天野が作っている。ならば」
炎が三枚の防御壁を吹き飛ばす。しとめたと思っているのに生きているのだ、さすがに驚いているのだろう、羽をばさばさと動かしている。威嚇するように唸る。
「雀蜂、雀蜂、女王蜂」
「防御壁」
雀蜂の大群を出現させ、榛名はドラゴンを襲わせる。
「松宮君、ドラゴンのデータ開いて」
「はいっ」
防御壁六枚を維持しながらデータを開く。相変わらず真っ赤に塗り替えられたプログラムは変動していないように見えた。
「回復しちゃってるね。ダメージ蓄積ゲージが減ってないということは、たぶん半日ぐらいのタイムラグがあるのかな」
「どうするんですか」
前足で攻撃され、六枚全部が一瞬で壊れる。その爪にひっかかって吹き飛ばされた二人は榛名は円柱にたたきつけられて崩れ落ちる。床を転がり、数メートル先でようやくとまった。
「ってぇ」
体中を打ち付けて、それでも何とか体を起こす。
「せんせぇ!」
離れたところに崩れ落ちている榛名を呼ぶ。声に反応したのか体が動いた。
「生きてますぅ?」
「生きてるよっ」
いててと体をさすりながら立ち上がる。自動治癒は榛名がかけていたものがまだ切れていない。自動で傷を治してくれるので自分のダメージを可視化するが一撃の重さはステータス異常を引き起こしているとしか思えなかった。
「いけ!」
空中に待機させている雀蜂に襲わせる。蜂が襲い掛かるものの炎で体の周りを焼きながら蜂を落としていく。同じ手には乗らないといったように。
「矢雨」
「防御壁」
ええいくそと六枚の防御壁を先ほどよりも厚く支える。上空にびっしりと隙間なく出現した矢は重力に従い落下する。それを炎や尻尾で振り払うものの、すべてを払えるはずもなく、そのうちのわずかではあったが体に刺さる。刺さったことに苛立ちをあらわにし、咆哮する。
「女王蜂」
息を吸い込み、炎を吐き出す。その火力に押されて防御壁が崩れる。
「くっ」
「防御壁、矢雨、矢雨、矢雨、注射器」
厚みを増やそうとモニターを注視している松宮の残された二枚の後ろに防御壁を四枚展開させる。一回目の矢を降らせ、防御壁を溶かしていたドラゴンが自分の体に降りかかる矢を炎で燃やし尽くした。
「げっ。さっきよりだめじゃないですか」
「大丈夫。注射器に水をつめて」
巨大な注射器に水を詰め込み、空気を抜いて、構える。
「松宮君、次の矢が降ったら飛び出します。一枚でいい防御壁を私の前に」
「了解」
「いくよっ!」
矢を降らせる。それに気をとられたドラゴンの元へとダッシュする。それに気づいたドラゴンは壊した円柱のかけらを尻尾でなぎ払い飛ばしてきた。
「せんせっ!」
榛名の前に防御壁が一枚展開された。飛んできたかけらは松宮の前に展開されていた防御壁をすべて砕いて松宮を吹き飛ばした。それにかまけている暇はない。前足を振り下ろすその爪が防御壁をいともあっさりと崩す。爪の先が右半身に食い込むがにやりと笑うと注射器を爪の根元へと刺し、中の水をすべて注ぎ込む。
「ざまぁ、みろ」
巨大な注射器の中に入っているのは足元の水。ドラゴンにとっては有毒ともいえる対抗ウイルスでできた水。水蒸気を吸い込んでなおも異変を生じたのだから水を打ち込めばいい。そして、それは的確にドラゴンを苦しめた。
「やば」
目の前で暴れられてはかなわない。体内に注入された水の効力でウイルスと対抗ウイルスが戦う。その痛みに暴れるドラゴンはなりふり構っていられない。つぶされるのは勘弁だと動かない体で思う。
「死ぬわけにはいかないのですよ」
歯を食いしばり自分の体を松宮のそばに転送させる。暴れるドラゴンはその手足が、尻尾が水に触れるのさえかまわない。内部崩壊がおきるのはまずいと思うが、さすがに一気にダメージを受けた体は言うことを聞かない自動治癒がかけられていてもその効果はじわじわとしか利いていないのだ。このままでは暴れ狂ったドラゴンに柱をへし折られて内部崩壊して大崩落の危険性もあった。松宮はと視線を動かせば彼は直撃した円柱の巨大なかけら、ともい崩れた塊の直撃を受けて、気絶している。
「うるさ、い」
ゲージはほぼほぼドラゴンの耐久値がなくなって点滅していた。天野のプログラムが勝ったのは明白で、点滅するドラゴンのプログラムは赤と白の斑模様を描いている。ならばもう自分の手で収束させても大丈夫だろうと、震える手を上げ、ドラゴンのデータを握りつぶす。最後に一際甲高い咆哮を上げて、ドラゴン自体が消滅した。
「あー」
安心してそのまま目を閉じる。回復が追いつくまでは何もする気力がなかった。
「松宮くん、生きてる?」
「死んでます」
「大丈夫そうね」
目を開けて側に寝転がっている松宮に声をかける。松宮が治癒プログラムを二つ発動させた。二人の体をプログラムが包み込む。治癒プログラムの繭の中で松宮が声を出した。
「先生。説明。マジ、説明」
「そうね。ドラゴンに勝つにはひいてこのドラゴンを目覚めさせて最強仕様にしたのは天野だとわかっているのだけれどね。私一人でも勝てるかどうかわからない。正直、天野を見据えたら君には私と同等になってもらわなきゃいけないんですよ」
「つまり?」
「君と私と一緒に死んで、私は死ぬことで天野のウイルスを抜け出せるだろうと予測していましたから君のプログラムと一緒に一次元に帰り、君のプログラムを、一次元と等しくさせようと思いました。つまり、君を神様に仕立て上げるんですよ。そして二人で力をあわせればまあドラゴンなら何とかいけるだろうなと」
「あの人は」
「いけるかは。次元が違いましたしね。難しい。結果、君はここの神様に。私は第三次元のものとして生まれ変わりました。ので、ドラゴンは簡単に消去できるでしょ。私が次元を上がってしまったから君にはここの神様を任せます」
「うん。意味がわかんねえです」
「脳みそ飽和してない?」
「してますよ。しすぎてて困ってるんですよ」
空洞内は静かだ。静かで、ドラゴンの姿すらない。
「先生、結局わかったことあるんですけどね。先生は生まれながらに先生だったわけですよ。神様だったんでしょう。僕はここに生まれてここで育ってるんです。神様がいることはわかる。先生が神様だから。でもね、その上に上がいるなんてもうオーバーです。飽和どころか頭パーンしてます。正直、先生はこんな風に世界がみえるんですね。ほとんどプログラムなんですけど」
「あっ、ごめんごめん。その機能オフっといて」
「どうやってですか」
体の傷もすべて癒えて修復が終わる。プログラムが解けてよいしょと榛名は立ち上がった。松宮も自分の体をチェックして痛みがないこと、関節が動くことを確認する。松宮を構築するプログラムを開き、いくつかをオフにしたりオンにしたりと微調整を行い、保存させる。
「あっ。元に戻った」
「慣れるには使うしかないんですよね。モニターとか要らないでしょ。タイムラグは無いから」
「と、言ってはい、そうですかって、すぐに出来るわけじゃあないんですよ。先生」
「がんばってちょうだい」
「先生はもともと神様でしょう。今の俺は神様一年生ですよ。さっき生まれたばかりの神様ですよ。カミサマカッコカリワライぐらいの勢いですよ。正直俺、ジョブチェンジして神様になったんだよって言ったらみんなに指差されて爆笑されるレベルですよ。その後真顔で病院行く?って聞かれるやつ。俺、知ってます!」
「いいじゃないの。君だって私の事神様だと思ってなかったでしょう」
「そりゃあそうですよ。もう今は信じてますし。あと、俺白いところでなんかこう体をいじくられてるような気がして」
「あ、あの時君意識あったんだね」
「ええ。夢じゃなかったんですか! 夢かと思ってました。先生、ところでこれからどうするんですか?というかドラゴンいなくなったっていうのはいいんですか?」
「存在しえないプログラムですからね。この空間だけはどうしようもないから、残しておきましょう。内部通路は使えるので、たしかあっちのほうが、崩落現場のちょっと先につながっていますね。あそこはジョウア国側に出ますし、あっちは山脈の中心部のほうに出るのか。どこだ。ガゼヌリア国だな」
「おしゃべりはそこまでだ」
空間にノイズが走り、割れる。そこからずるりと降りてきたのは天野だ。こつりと地面に足をつく。目は赤黒くにごり、その表情は硬く憎悪にあふれていた。
「天野」
呼びかけた榛名の頬を光の矢が掠める。耳をえぐられ、血があふれた。
「先生!」
「こっちは大丈夫。空間補強させておいて」
「はいっ」
空間自体に防御壁を張り巡らせ、補強する。それを見てから自分の怪我をなかったことにした榛名は世界ごと崩壊しないように、プログラムを保護するともう一度天野の名を呼んだ。自分の前に張られた防御壁は松宮だろう。前にあったときとはまったく違う雰囲気に内心あせりを感じる。彼の彼たらしめる核が、ウイルスに汚されているように見える。
「まずいな」
呼ばれても反応を見せず、口を一文字に閉ざす天野の顔から表情というものが消えている。指先をまっすぐ榛名へと向けた。
「っ!」
バチンと何かがはじくような音を立てる。顔を狙ったその一撃を手で払うように相殺する。びりびりとしびれるが手を無言で振って感触を振り払う。無言でにらみ合いながら榛名は息を吐いた。指先をしたから上に持ち上げる。足元の地面を割って飛び出してきたのは黒い棘がびっしりとついた蔦。足を絡めとり、動きを封じていく。
「うぐっ」
思わずうめく天野だがそれでも足元へ炎を生み出して落とすと戒めていた蔦が燃えて消える。指先から放たれる赤い光は榛名の心臓を狙う。それを打ち消した時に松宮の防御壁が壊れた。衝撃を殺しきれなかったようで、砕ける防御壁に手を出すことさえ出来ずただ見守るだけの松宮は自分の守りを徹底させることで二人を見守るしかなかった。幸いか不幸か、天野は榛名以外意識を向けてすらいなかった。また、榛名も天野だけを見ている。拮抗しているのかどうか、松宮にはわからないがそれでも声を出さないように音を立てないようにただ二人の動きを注視するだけだ。
氷の刃が榛名を襲えば、大火炎を用いてそれらを殺す。無言でにらみ合いながら互いに相手の隙をうかがっているようではあった。松宮の目にはめぐるましく現れては消えるプログラムが読めたり読めなかったり。目が回るとはこのことだろうなと思うレベルで、あまりの忙しさに吐き気を覚える。時折飛んでくる炎や氷、矢。時々光の矢だの槍だのを防御壁で受けたり、光のロープでたたき落としたりしていた。榛名は天野のプログラムを握りたいがそうはさせまいと攻撃を加える。一次元上の天野だが榛名と拮抗していることに焦りの色を見せる。無言で行われるプログラムでの攻防。時折互いの体をすり抜けたプログラムが傷を負わせる。低く、食いしばるように呻く榛名と天野が同時にしたうちをした。互いの手から光のロープが出る。二人の間でそれは絡まり、強く結ばれた。綱引きのような状態に、だが手を出すことは出来ない。どちらかのバランスが崩れた時、それが二人の決着をつけるときなのだと松宮は思う。モニターに映し出された双方のプログラムは松宮が読むには難しい。にらみ合いながらロープを引き合う。結び目が左右に揺れ動くが決定的な何かがあるわけではなかった。そんな中、すうと息を大きく吸い込んだ榛名が突然ロープをつかんでいた手を離した。
拮抗していた力が突如崩れた天野がバランスを崩す。
「天野!」
大声で名前を叫ぶ。転ぶ前に体勢を立て直そうとした彼の体がびくりと跳ね上がり、硬直して転がった。
「ぐっ」
激痛が走り、硬直する寸前腕を貫いたのは天野から飛ばされた赤い針であった。腕を貫き、呻く。ここで崩れ落ちるわけにはいかない。どうにか踏ん張りながら、天野を見れば名前にこめた強い力はロープと同じように体を縛り上げているようだ。はぁと息を吐いて、榛名は怪我を負った腕の傷をプログラムで削除することによって「無かった」事にする。
天野を構築するプログラムを開き、そのまがまがしい姿に松宮は呆然としていた。
「せんせ」
「ひどいな。これでよく動いていたもんだ」
つぎはぎだらけの、機能すらしてない箇所もあるだろうめちゃくちゃにいじられたプログラム。そのプログラムに触れる。じゅっと指先を焦がすのはセキュリティと第五次元のウイルスだろう。
「っ!」
「やめっ、やめろ、榛名っ!」
びくりと体を震わせる。
「天野、さようなら」
痛みに顔をゆがめながら天野のすべてを構築するプログラムをつまむ。つまんで寄せ集めてすべてをその手の中に握りこむ。
「ああああああああ」
手のひらが焼けていく音が聞こえるようだ。
「先生!」
悲鳴すら上げることも出来ず天野は必死に暴れる。そのそばで榛名は天野のプログラムを離さないよう両手で必死にすりつぶしていく。痛みに顔をゆがめ、それでも両手に押しつぶすように持つ。痛みにひざが折れそうになる。
「そこまでだ」
足元でのた打ち回っていた天野の体がぴたりと止まる。
「えっ」
突然の声に驚いたのは榛名だけではなかった。松宮も一緒に声のしたほうを向く。天野の体を踏みつけて現れているのは見たことも無い生き物だった。
「なっ」
何も無く突然現れたそれは天野の体を引き上げて肩に担ぐと指を持ち上げた。鎧がそのまま動いているように見える。その指先が驚き硬直している榛名の胸にとんと触れた。
どん。と低い音を立てて、榛名の体が揺れる。両手が離れて天野のプログラムが零れ落ちた。背中まで開いた穴。榛名の体が崩れて血があふれる。ぎりぎり生存できているぐらいのダメージ量をほんの一撃で与える。
「せんせええええええええ」
叫ぶ松宮の前で血まみれになって倒れる。あわてて止血から蘇生、回復を施す。それを見て、笑ったように松宮には思えた。ついでだとばかりにそいつは赤い何かを落とす。すでに意識を失っていたはずの榛名が目を見開いて絶叫した。赤黒くうねるプログラムが榛名を飲み込んでいく。
「あっ。あ、先生!先生!」
あせる松宮を見下ろし、笑いながらそれは天野を抱えて消えた。
「対抗ウイルス」
「対抗ウイルス治癒」
それらが消えたことも気に留めず、松宮は自分に出来ることを行う。榛名を貪り食おうとするかのようにうごめくウイルスを引きちぎりながら榛名の体に対抗ウイルスを打ち込む。それから真っ白い繭になるように、ラウの王都で見たウイルスを殺すための繭を思い出す。
「消毒」
ウイルスが暴れている。榛名の体が見えない。少しでも表面のウイルスを払い落とすためにプログラム除去をかけていく。多少落ちたがまだしがみついているプログラムはそのままにしておくわけにはいかない。繭を作り出し、ウイルス治療を施していく。対抗ウイルスのプログラムは繭のよう、というよりはミイラに近い状態になった。
「うわぁ」
なんともいえない形状になった榛名に、しかしウイルスと直接戦っているらしい白い対抗ウイルスを引き剥がすわけにはいかない。榛名の命が消えているわけではないが予断は許さない上に何よりもここにおいて治療をするわけにはいかず、地上に戻るしかないのだと気づく。ミイラ男と成り果てている榛名を抱きかかえ、長い回廊を歩くのは骨が折れる。下りではなく上りになる事を思えば極力しんどいのは避けたい。空間をスキャンしたものを浮かび上がらせ、入ってきた所に屋根をつける。そこに滑車とロープをつけてするすると登った。
「成功したぁ」
封じている石の向こう側に向かって声を上げる。見張りを置いていたのかあたりがざわざわしている。石がどかされ、まぶしい光があたりを包み込む。松宮はドラゴンは退治した事、土砂崩れの向こう側に続く道があることを教えた。ミイラと化した榛名を見て誰もが恐怖に顔を引きつらせた。立ち止まっているものたちを誘導しろと告げて、足早に榛名を抱きかかえてキャラバンへと戻っていった。
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