異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第3章 スノービーク〜

大丈夫!?

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俺達は街の奥の方にある貴族街へと急ぐ。

スコットさんとリッキーは先に向かったのだが……大丈夫だろうか?

程なくして凄い人集りが見えてきたので、あそこが騒ぎの中心だろう。

ここまで来るとさすがに騒ぎの中心からの声が聞こえる。

「だ、か、ら!私はあなた達のどちらかと結婚する気はないわ!それにリッキーと婚約しているのよ!?おかしなこと言わないで!」

「リッキーとは早く婚約解消しろって何度言ったらわかるんだ!!今はまだ、金持ちとはいってもお前は平民なんだぞ!?貴族である俺たちに逆らうことは許されない!」

「馬鹿じゃないの!?婚約は現領主であるウォール様がお決めになったの!それにあなたたち、爵位は持ってないわよね?爵位持ちはウォール様たちのみで、あなた達一家は爵位を持ってない。ただ単に領主家の血が流れているだけよ!しかもウォール様の計らいで、屋敷の一角に住まわせてもらっているだけじゃない!」

おぉ~……さすが、姉さんの生まれ変わり。

痛いところを的確に突いてくるな!

そう、これは今朝リッキーとウォールさんから聞いたことなんだが、普通は爵位の継承がなされると残った弟は平民扱いになるらしい。

例外として、1つの貴族家が複数の爵位を持っていた場合は、弟がその爵位を継承することができるそうだ。

だから本来ヘイスさん達は領主家の血は流れるが、平民とみなされるのだ。

通常の貴族の場合は当主が交代すると、元領主夫妻が生きている場合は敷地内で隠居してもらい、当主は長男が継ぐので弟はそれぞれ婿に行ったり、独立して家を出る。

だがヘイスさんの場合、あの性格が災いして自力では誰も結婚相手が見つからず、仕方なしにウォールさんが他の家に掛け合って、なんとか奥さんを得ることができたんだそうだ。

だがしかし、その奥さんも子供を2人産んだことでお役御免とばかりにウォールさんに離縁を願い出て、今は別の貴族の後妻になって幸せに過ごしているんだそうだ。

そんな事があったので、ウォールさんも不憫に思い、今現在も敷地内で暮らしているのだ。

だから本来あんな態度をリッキーに対して取ることは出来ないはずなんだけど、「リッキーさえいなければ自分達が継げる!」と思っているから強気に出るらしい。

彼らの考え方がおかしいと思うんだ、俺は。

そんな彼らのやりとりが耳に入り、リッキーがすぐさま人だかりの中に入った。

俺もついでについていく。

姉さんの生まれ変わりだと知ってしまったから、リリーさんが心配なんだよね。

「……おい、俺の婚約者に何してるんだ?」

リッキーが低めの声で、ミスト兄弟に話しかける。

「何って、お前との婚約破棄を命令していたんだ!お前からでも良いから、早く婚約解消しろ!」

「馬鹿じゃないのか?嫌いなわけじゃないのに誰が婚約破棄なんてするかよ。貴族の結婚っていうのはお前たちが考えているほど簡単なものじゃないんだ。そういうお前たちこそ、頭は大丈夫なのか?」

そう言われたミスト兄弟は怒りで真っ赤になっている顔をさらに真っ赤にした。

するともう我慢できないとばかりに、いきなり右手に魔力を高めだした。

周りにいた人達は慌てて蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

そんな2人に対してリッキーは眉をひそめつつ、自らも両手に魔力を集めだした。

「……お前たち、こんな街中で魔法を使うつもりか?」

すると、かなり魔力を高めて何らかの魔法を撃つ準備ができた兄弟は、勝ち誇った顔でリッキーを見る。

「余裕そうな顔をしていられるのも今のうちだけだぞ!これでもくらえっ!!」

そう言って手を振ると、上空から雷のような魔法がリッキーめがけて降り注いだ。

だがしかし、リッキーはその魔法を魔力を凝縮させて覆ってある両手で受けて、かき消してしまった。

……スゴイネ、リッキー。ソンナコトデキルンダネ?

少しのあいだ現実逃避していた俺は、ふとミスト兄弟を見やる。
すると彼らは顎が外れたような顔で唖然としていた。

……そりゃあ、そうなるよねぇ~。

自分たちの渾身?の魔法を放ったのに、リッキーには全く通じなかったんだから。

リリーさんはもう大丈夫なのを確認すると、ミスト兄弟に言い放つ。

「もう我慢できない。今までこうやって暴力に訴えてこなかったから見逃していたけど、今私たちにしたこと、ウォール様に伝えるわ。覚悟しておきなさいよ。」

それを聞いたミスト兄弟は顔を赤から青へと変化させたが、態度だけは偉そうに「覚えていやがれ!必ず報いを受けさせてやるからな!」と言い捨てて馬車で何処かへ向かった。

俺たちはリッキーとリリーさんの傍に集まる。

さっきの騒ぎで、そこにいなかったはずのエミリーさんも駆けつけたようだ。

「リリー、大丈夫!?怪我はないの?」

「大丈夫よ、エミリー。私には怪我はないわ。リッキーは両手に雷魔法を受けたから怪我が無いかは分からないけど……。」

リリーさんはそう言って、心配そうにリッキーを見やった。

当のリッキーはというと、先ほどの騒ぎはどこ吹く風に俺の方に歩いてくる。

「なあ、あの魔法を受けた手、大丈夫なのか?」

「ああ、魔力でコーティングしたから何ともなかった。意外といけるもんだな!」

……もしや、ぶっつけ本番!ってやつだったんじゃ……。
ダメだった時はどうするつもりだったんだよ!?

俺がそう言うと「だってお前が目の前にいるんだから、何かあってもすぐ回復してくれるだろ?」だってさ!

信頼は嬉しいけど、もし回復が間に合わなかったらどうするつもりだったのか、ちゃんと考えて欲しいものだ!
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