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第3章 スノービーク〜
やっぱり、そうきたか!
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それから俺達は、みんなでリッキーの屋敷へ歩いて向かう。
さっきの出来事をウォールさんに伝えに行くからだ。
さっきの騒ぎの当事者であるリリーさんとリッキーが、もうこれ以上彼らをこの街にいさせるのは害悪にしかならないと最終判断を下したのだ。
……でも、そんな簡単に彼らは街を出ていくかなぁ?
門のところに着くと、門番さんから「先ほどミスト様とフォグ様が帰ってこられたのですが……何があったんでしょうか?」と聞かれた。
そこで先ほど街であった騒ぎの事を伝えると、どうやらこの場所からでも雷魔法が使われたのは確認済みで、門番の1人がウォールさんに連絡を入れに行ったそうだ。
「それなら話は早そうだな。早く父さんのところに向かうか。できるならあいつらより早く伝えに行ければ良いんだけどな。」
リッキーはそう言って、屋敷の方を見た。
確かに彼らより早く行ったほうが良いような気が、俺もするんだよなぁ……。
そう思いながらも俺たちはマイペースに屋敷へと向かい、その足でウォールさんの執務室へと向かった。
こういう時は、嫌な予感っていうものほど的中するもので……。
部屋の前まで着くと、男性の怒鳴って何かを主張している声がした。
「だから、何度も言っているだろう!リッキーとリリーの婚約を破棄してくれないか!」
するとウォールさんがため息をついてから答えた。
「なんで破棄する必要があるんだい?彼らは幼なじみだし、平民とはいえこの街1番の実力者の娘じゃないか。リッキーには釣り合うし、何か問題でも?」
「ああ、さっき帰ってきた息子たちが言うには『さっき街中でリッキーが雷魔法を使った!』とのことだ。兄さんは街中で魔法を使うのは危険だからって法で禁止していただろう?それを破ったんだから、犯罪者ってことだ!犯罪者を次期領主にするつもりか!?だからリッキーは廃嫡して、俺の息子のどちらかを次期領主にすれば良い!そうなると街1番の実力者の娘なんだから、息子たちのどちらかと婚約するのが筋じゃないか!?」
あぁ~……やっぱりねぇ。そう言ってくると思ったよ。
俺は思わずため息をついてしまう。
本来であればあんなに周りに人がいればみんなが証言してくれるものだが、圧力をかけて嘘の証言をさせるかもしれないと思っていたんだ。
しかも危険だと思ってみんなどこかへ行ってしまってからの雷魔法だったから、きちんと見ていた人もいなかったんじゃなかろうか?
そうなってしまうと、リッキーも防御のために魔力高めていたし、なんとでもごまかせる。
しまったなぁ……と思っていると、ウォールさんは落ち着いた声でヘイスさんに話しかけた。
「私に届いている情報では『ミストが魔力を高めたのでリッキーも魔力を高めだした』という市民からのものと『大きな声でミストが「余裕そうな顔をしていられるのも今のうちだけだぞ!これでもくらえっ!!」と叫んでいた』という門番からのものがある。これらを総合すると『何らかの魔法を先に使ったのはミストである』となるんだが……違うのかい?」
なるほど、あの門まで声が届いていたんだね。
さすがにでかい叫び声だったもんなぁ。
するとグウッとくぐもった声がしたので、ヘイスさんが言葉に詰まったらしい。
「……そんな情報、嘘っぱちだ!それが本当だって言うなら、証拠を見せろ!」
証拠かぁ……証拠は無理だろうなぁ、何も残らなかったし。
あとは証言しかないんだけど、それも当事者や身近な者では証言にならない。
かといって、街の人は報復を怖がって証言してくれないだろうしなぁ……。
俺がそうやって頭を悩ませていると、リッキーがいきなり執務室のドアをノックした。
「ただいま帰りました、リッキーですが入室して良いですか?」
「ああ、リッキーか。入っても良いぞ。ちょうどヘイスが来ているところだ。」
ウォールさんの言葉にみんなで入室すると、中にいたヘイスさんがこちらを、憎悪が滲む顔で睨みつけてきた。
「……私は邪魔なようだから退室させてもらうよ。」
「待ちなさい、ちょうど当事者の2人が来たんだ、一緒に話を聞いたらどうだ?」
「そんなの、嘘で塗り固めた話をされるに決まってる!くだらない話を聞いてる時間はないんだ!……失礼する!」
ヘイスさんはそう言うと、足を踏み鳴らしながら出ていった。
「はぁ……。もう、限界なのかもしれないな。」
出ていったヘイスさんの方を向きなから、思わずといった感じでウォールさんは呟く。
それから俺たちの方を見た。
「さて、君たちの話も聞こうか。だがまぁ、こちらに入ってきた情報でもヘイスたちが嘘をついているのは明白なんだが、ね。」
俺たちは頷くと、代表してリッキーがウォールさんに説明をする。
リリーさんとミストさんの口論に関しては聞いていたのは途中からだったので、リリーさんに話してもらった。
どうやら彼らは俺たちと屋敷の門の所で別れてから馬車であちこちの店に行き、俺たちの方悪口を言い回っていたらしい。
そこを、たまたま親と買い物に出ていたリリーさんが見咎めると、今度はリリーさんへと話の矛先が向き、それがあまりにも雲行きが怪しくなったので買い物を切り上げて家に戻ったそうだ。
家に帰ってしばらくすると家の前に彼らが来たのだが、いくら門番の人が帰ってくれと言っても帰ってくれず、仕方なしにリリーさんが対応に出ていくことに。
そして出てきたリリーさんに対し、唐突に「リッキーと婚約破棄をして俺たちのどちらかと結婚しろ!」と言ってきたらしい。
いくら「無理だ」と言い続けても受け入れてくれず、大変だったらしい。
そっか、それで俺たちが行った時にあんな言い合いになっていたのか。
……リリーさん、よく手を出さずに我慢したなぁ。
姉さんだったら即攻撃!ってしそうだけど。
転生したからなのか、少しは落ち着いて物事を考えられるようになってくれたのかな?
さっきの出来事をウォールさんに伝えに行くからだ。
さっきの騒ぎの当事者であるリリーさんとリッキーが、もうこれ以上彼らをこの街にいさせるのは害悪にしかならないと最終判断を下したのだ。
……でも、そんな簡単に彼らは街を出ていくかなぁ?
門のところに着くと、門番さんから「先ほどミスト様とフォグ様が帰ってこられたのですが……何があったんでしょうか?」と聞かれた。
そこで先ほど街であった騒ぎの事を伝えると、どうやらこの場所からでも雷魔法が使われたのは確認済みで、門番の1人がウォールさんに連絡を入れに行ったそうだ。
「それなら話は早そうだな。早く父さんのところに向かうか。できるならあいつらより早く伝えに行ければ良いんだけどな。」
リッキーはそう言って、屋敷の方を見た。
確かに彼らより早く行ったほうが良いような気が、俺もするんだよなぁ……。
そう思いながらも俺たちはマイペースに屋敷へと向かい、その足でウォールさんの執務室へと向かった。
こういう時は、嫌な予感っていうものほど的中するもので……。
部屋の前まで着くと、男性の怒鳴って何かを主張している声がした。
「だから、何度も言っているだろう!リッキーとリリーの婚約を破棄してくれないか!」
するとウォールさんがため息をついてから答えた。
「なんで破棄する必要があるんだい?彼らは幼なじみだし、平民とはいえこの街1番の実力者の娘じゃないか。リッキーには釣り合うし、何か問題でも?」
「ああ、さっき帰ってきた息子たちが言うには『さっき街中でリッキーが雷魔法を使った!』とのことだ。兄さんは街中で魔法を使うのは危険だからって法で禁止していただろう?それを破ったんだから、犯罪者ってことだ!犯罪者を次期領主にするつもりか!?だからリッキーは廃嫡して、俺の息子のどちらかを次期領主にすれば良い!そうなると街1番の実力者の娘なんだから、息子たちのどちらかと婚約するのが筋じゃないか!?」
あぁ~……やっぱりねぇ。そう言ってくると思ったよ。
俺は思わずため息をついてしまう。
本来であればあんなに周りに人がいればみんなが証言してくれるものだが、圧力をかけて嘘の証言をさせるかもしれないと思っていたんだ。
しかも危険だと思ってみんなどこかへ行ってしまってからの雷魔法だったから、きちんと見ていた人もいなかったんじゃなかろうか?
そうなってしまうと、リッキーも防御のために魔力高めていたし、なんとでもごまかせる。
しまったなぁ……と思っていると、ウォールさんは落ち着いた声でヘイスさんに話しかけた。
「私に届いている情報では『ミストが魔力を高めたのでリッキーも魔力を高めだした』という市民からのものと『大きな声でミストが「余裕そうな顔をしていられるのも今のうちだけだぞ!これでもくらえっ!!」と叫んでいた』という門番からのものがある。これらを総合すると『何らかの魔法を先に使ったのはミストである』となるんだが……違うのかい?」
なるほど、あの門まで声が届いていたんだね。
さすがにでかい叫び声だったもんなぁ。
するとグウッとくぐもった声がしたので、ヘイスさんが言葉に詰まったらしい。
「……そんな情報、嘘っぱちだ!それが本当だって言うなら、証拠を見せろ!」
証拠かぁ……証拠は無理だろうなぁ、何も残らなかったし。
あとは証言しかないんだけど、それも当事者や身近な者では証言にならない。
かといって、街の人は報復を怖がって証言してくれないだろうしなぁ……。
俺がそうやって頭を悩ませていると、リッキーがいきなり執務室のドアをノックした。
「ただいま帰りました、リッキーですが入室して良いですか?」
「ああ、リッキーか。入っても良いぞ。ちょうどヘイスが来ているところだ。」
ウォールさんの言葉にみんなで入室すると、中にいたヘイスさんがこちらを、憎悪が滲む顔で睨みつけてきた。
「……私は邪魔なようだから退室させてもらうよ。」
「待ちなさい、ちょうど当事者の2人が来たんだ、一緒に話を聞いたらどうだ?」
「そんなの、嘘で塗り固めた話をされるに決まってる!くだらない話を聞いてる時間はないんだ!……失礼する!」
ヘイスさんはそう言うと、足を踏み鳴らしながら出ていった。
「はぁ……。もう、限界なのかもしれないな。」
出ていったヘイスさんの方を向きなから、思わずといった感じでウォールさんは呟く。
それから俺たちの方を見た。
「さて、君たちの話も聞こうか。だがまぁ、こちらに入ってきた情報でもヘイスたちが嘘をついているのは明白なんだが、ね。」
俺たちは頷くと、代表してリッキーがウォールさんに説明をする。
リリーさんとミストさんの口論に関しては聞いていたのは途中からだったので、リリーさんに話してもらった。
どうやら彼らは俺たちと屋敷の門の所で別れてから馬車であちこちの店に行き、俺たちの方悪口を言い回っていたらしい。
そこを、たまたま親と買い物に出ていたリリーさんが見咎めると、今度はリリーさんへと話の矛先が向き、それがあまりにも雲行きが怪しくなったので買い物を切り上げて家に戻ったそうだ。
家に帰ってしばらくすると家の前に彼らが来たのだが、いくら門番の人が帰ってくれと言っても帰ってくれず、仕方なしにリリーさんが対応に出ていくことに。
そして出てきたリリーさんに対し、唐突に「リッキーと婚約破棄をして俺たちのどちらかと結婚しろ!」と言ってきたらしい。
いくら「無理だ」と言い続けても受け入れてくれず、大変だったらしい。
そっか、それで俺たちが行った時にあんな言い合いになっていたのか。
……リリーさん、よく手を出さずに我慢したなぁ。
姉さんだったら即攻撃!ってしそうだけど。
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