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第一章 出会い〜旅の始まり

ユーリの新しい能力!

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部屋へ戻るとさっそくユーリが鞄から顔を出して部屋の中を確認しはじめた。

ユーリ自身でも出て良いときと悪い時があるのを理解しているみたい。
うちの子は頭いいなぁ!

確認が終わると、ソファーで寝そべってだらけていた俺の腹の上に飛んできた。

『きゅっきゅ?』

「ん?どうした?」

俺が、ユーリが何を伝えたいのか分からずにいると、身振り手振りで何かを伝えようと頑張りだした。うん、かわいい♪

でもそのうち、全然言いたいことが伝わらなさすぎたからなのか、しょんぼりしてしまった。

それがあまりにも可哀想で(俺のせいでもあるが)、思わずギュッと抱きしめた。

「ゴメンよ、言ってること理解できなくて。……ユーリがもっとレベル上がれば、言葉が話せるようになるのかなぁ~。」

そんな俺の独り言を聞いて、俺の胸にべったりくっついて甘えていたユーリが何かに気づいたのか、ガバっと顔を上げる。

その目はキラキラと輝いている。
一体どうしたんだろうと思ったその時、急に頭の中に幼い男の子の声が響いた。

『マ…マ、ママ、聞こえるぅ?』

「……何だ今の!?誰から話しかけられている!?」

『良かったぁ、聞こえるんだねぇ?僕だよぉ、ユーリだよぉ!』

周囲を警戒して見回していた俺は、驚いてユーリを見た。

ユーリは相変わらずキラキラな瞳をして、俺に向かって笑顔を向けている。

『ママ、僕ねぇ、どうやら念話っていうのを持っていたみたい!どうしてもママと話したかったからぁ、頑張ったぁ!!』

なんと、いつの間にか念話っていうスキルを取得していたらしい。
確かに産まれた時以外に鑑定してなかったからなぁ。
あれからいっぱい戦闘をこなしていたし、どんな事になっているのかは分からないもんな。

……久々に鑑定しておくか?なんか怖いけど。

俺はユーリに手をかざし、鑑定スキルを起動した。

『鑑定結果』

【名前】ユーリ
【種族】古竜(神竜種)
【契約者】沖 紫惠琉
【年齢】0歳
【レベル】10
【体力】4000
【魔力】6000
【攻撃力】4000
【防御力】5000
【素早さ】4000
【運】7777
【スキル】

     鑑定…レベル5
     火魔法…レベル8
     水魔法…レベル8
     土魔法…レベル8
     風魔法…レベル8
     光魔法…レベル8

【固有スキル】

     経験値倍化
     縮小化
     時空間魔法(MAX)
     神聖魔法(MAX)
     念話
     人化(使用不可)

……なるほどねぇ、ユーリもかなりオーク倒していたからそうもなるか。

っていうか、この前にはなかった固有スキルが2つあるね?
なるほどぉ~、やっぱり人化は確定なのね?
なるほど、なるほど……。

俺が少しの間、現実逃避を決めこんでいると、ユーリが焦れて服を引っ張ってきた。

『ねぇ、ママ、いつもいる他の人達はぁ?』

「…んぁ?ああ、みんなは部屋でゆっくりしているんじゃないかな?」

『そうなのぉ?じゃ~あ、まださっきまで作っていた食べ物は食べないんだねぇ?』

「……もしかして食べたいのか?」

『うん!だってとても美味しそうな匂いだったからぁ!』

とても輝いた笑顔で俺を見上げているユーリ。

なるほど、なるほど……ユーリは鞄の中にいても匂いは嗅げる、と。

……いや、そんなわけない。
実はこっそり顔出していたな?

「ユーリ~?もしかして君はぁ、鞄から顔を出していたのではないのかねぇ?」

俺がジトッとした目でユーリを見ると、『まずい』と顔に貼り付けながらそっぽを向いた。

「やっぱりかぁ~。」

『でもねぇ、ママ、顔全部を出したんじゃなくて、鼻だけ出したのぉ。でもぉ……ごめんなしゃい。』

きちんと反省したのか、ユーリはそう謝ってきた。
しょうがないなぁ、とりあえず見つかってないなら良いんだけど。

「いいか、なんで俺が人前では鞄から出てくるなと言っているのか、それはこの前ルーシェさんが言っていただろ?お前は特別な竜なんだ。だから変な人や悪人に見つからないように隠れてなければならないんだよ。」

『でもぉ~……僕、ママといつも一緒にいたいよぉ……。』

ユーリはそう言って、見つめ合っている目を潤ませた。

それは俺だって同じだ。
でもこればっかりはなぁ……。

「……1つだけ、方法はある。」

『えっ!方法はあるのぉ?』

ユーリは相当驚いたのか、潤んでいた目から涙が引っ込んだ。

俺はしっかりとユーリの目を見ながら言った。

「ユーリは『人化』っていう固有スキルを取得したんだ。ユーリは自分で確認することができるだろう?」

『うん、できるぅ!……あ、ホントだぁ。『人化』っていうスキルがあるねぇ?』

「このスキルは今の竜の姿から俺達みたいな人の姿になれるスキルなんだ。」

『えっ!?本当なのぉ!?』

「ああ、本当だ。だがな、今のままではそのスキルは使えないんだ。もっとレベルを上げれば使えるようになるのか、それとも何か特殊な条件があるのか……そこはまだよくわからない。でも、使える可能性は確実にあるんだから、寂しいのはよくわかるが、今しばらくは我慢していてくれないか?」

俺がそう説得するとユーリは『頑張って人化できるようにするぅ!』と意気込んでいた。

俺も楽しみにしているぞ、頑張れユーリ!
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