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92《竜王旗》と《アノドス》
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四本目の精霊剣《竜王旗》……巨大な槍に竜の紋章旗をつけた形状のそれを剣といっていいのか判断に迷うところではあるが、籠手の形をした剣も存在するので、やはり精霊剣のくくりではあるのだろう。
かつて竜の王国と軍勢を率いていた《竜公》フラガルドが戯れに鍛えたその剣は、俺に敗れた後、王国と、敵対しない竜には手を出さないことを条件に契約を行った。
「何か出してきたと思ったらただの旗かよ!」
「脅かしやがって!」
「四方から同時に攻撃しろ! 油断せずに、確実に仕留めるんだ!」
口々に叫ぶ魔族たちは、陣形を組み、四方八方から魔法の同時攻撃を行おうとする。
俺は『竜王旗』の能力を解放する。魔法陣が展開すると――攻撃しようとした魔族の動きがぴたりと止まった。
そのまま微動だにしなくなる。魔法を使おうと構えたまま、声一つさえ上げることができない。
精霊剣《竜王旗》――その力は、効力の範囲内にいるあらゆる生物の体感時間を停止させる。
「かつてたった四人で魔界と魔王を攻略したのだぞ。見くびってもらっては困る」
俺は言って、時間の止まった魔族を切りながら前に進み出る。
「ふん、やはりさすがと言っておこう」
動きを停止している魔族たちの中で、魔王だけがそう言い、笑った。
生物そのものの時間を止めるすさまじい効果は、強大な魔力と自我があれば破ることができる。というか、破れるのは俺と、この憎き魔王しかいない。
「やはりこいつらでは役に立たんようだな。まあわかっていたことではある」
言いながら、魔王は持っている剣で、近くにいる鱗を持った魔族を上段から切りつけた。
魔族は血を流したまま時間を止めている。
「仲間を!?」
魔王は次々と体感時間の止まったレジスタンスの魔族を次々に切り捨てていく。
そして切り捨てるたびに、魔王自身の力は増して言っているように見えた。
「これが魔剣《アノドス》である」
魔王は俺の眼前に躍り出ると、剣を振るった。
「くっ!」
俺はそれを竜王旗で防ぐ。
魔王は、いつの間にか五百年前に対峙したような、巨大な化け物に変わっていた。
「切った者の魔力を吸い取る。これにより、我は無限の魔力を手に入れられる」
魔王は、完全に復活していた。ほかの魔族から回復するだけの魔力を吸い取ったようだ。
いや、俺と別れた時点でもうすでにほとんど全盛期に戻っていたのかもしれない。
「どうやらお前との決着は、白黒つけねば収まらんようだな」
剣を受けながら、俺は言った。
「そういうことだ」
魔王は答える。
「ほかの魔族や人間の事情など関係ない。最初からこれは、我と貴様との戦いだった。そうであろうゼノンよ?」
「お前と思いが同じなど反吐が出る」
「どちらかの存在が終われば、その心持ちの悪さも消え失せようぞ」
俺は《ブーステッド》を召喚し、強化した体で力任せに魔王の剣をはじいた。
「で、あれば!」
「どちらかの死による落着! 今こそつけてくれるわ!」
かつて竜の王国と軍勢を率いていた《竜公》フラガルドが戯れに鍛えたその剣は、俺に敗れた後、王国と、敵対しない竜には手を出さないことを条件に契約を行った。
「何か出してきたと思ったらただの旗かよ!」
「脅かしやがって!」
「四方から同時に攻撃しろ! 油断せずに、確実に仕留めるんだ!」
口々に叫ぶ魔族たちは、陣形を組み、四方八方から魔法の同時攻撃を行おうとする。
俺は『竜王旗』の能力を解放する。魔法陣が展開すると――攻撃しようとした魔族の動きがぴたりと止まった。
そのまま微動だにしなくなる。魔法を使おうと構えたまま、声一つさえ上げることができない。
精霊剣《竜王旗》――その力は、効力の範囲内にいるあらゆる生物の体感時間を停止させる。
「かつてたった四人で魔界と魔王を攻略したのだぞ。見くびってもらっては困る」
俺は言って、時間の止まった魔族を切りながら前に進み出る。
「ふん、やはりさすがと言っておこう」
動きを停止している魔族たちの中で、魔王だけがそう言い、笑った。
生物そのものの時間を止めるすさまじい効果は、強大な魔力と自我があれば破ることができる。というか、破れるのは俺と、この憎き魔王しかいない。
「やはりこいつらでは役に立たんようだな。まあわかっていたことではある」
言いながら、魔王は持っている剣で、近くにいる鱗を持った魔族を上段から切りつけた。
魔族は血を流したまま時間を止めている。
「仲間を!?」
魔王は次々と体感時間の止まったレジスタンスの魔族を次々に切り捨てていく。
そして切り捨てるたびに、魔王自身の力は増して言っているように見えた。
「これが魔剣《アノドス》である」
魔王は俺の眼前に躍り出ると、剣を振るった。
「くっ!」
俺はそれを竜王旗で防ぐ。
魔王は、いつの間にか五百年前に対峙したような、巨大な化け物に変わっていた。
「切った者の魔力を吸い取る。これにより、我は無限の魔力を手に入れられる」
魔王は、完全に復活していた。ほかの魔族から回復するだけの魔力を吸い取ったようだ。
いや、俺と別れた時点でもうすでにほとんど全盛期に戻っていたのかもしれない。
「どうやらお前との決着は、白黒つけねば収まらんようだな」
剣を受けながら、俺は言った。
「そういうことだ」
魔王は答える。
「ほかの魔族や人間の事情など関係ない。最初からこれは、我と貴様との戦いだった。そうであろうゼノンよ?」
「お前と思いが同じなど反吐が出る」
「どちらかの存在が終われば、その心持ちの悪さも消え失せようぞ」
俺は《ブーステッド》を召喚し、強化した体で力任せに魔王の剣をはじいた。
「で、あれば!」
「どちらかの死による落着! 今こそつけてくれるわ!」
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